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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第9回中間2次報告

NPO法人Accept International(2022年1月)

団体概要

 当法人の前身団体である日本ソマリア青年機構は「紛争地ソマリアの問題を解決する」ことを目的に2011年9月に設立され、2017年4月にNPO法人アクセプト・インターナショナルとして法人化されました。これまで当法人は「排除するのではなく、受け入れる」ことをコンセプトに、海外事業を中心に展開し、ソマリアやケニア、インドネシアなどでテロリストやギャングとされる人たちの社会復帰支援を行ってきました。更に海外事業で培った知見と実績を踏まえ、昨年より国内事業局を設立しました。「誰一人取り残さない、たとえ加害者とされる人であっても」とのミッションの下、支援や共感が集まりにくい在日外国人や加害者側の非行少年への活動を行っております。

 

助成事業名・事業目的

取り残された非行少年へのケア拡大 社会全体での包括的支援の実現と保護司制度の改革-

 本事業の目的は、一度犯罪行為に及んだ少年が、再犯を繰り返せざるを得ないという不公正な社会構造の変革のため、保護司制度を広く社会に開かれた制度へ変えることです。

 

助成金額 : 100万円 

助成事業期間 : 2021年1月~22年6月

実施した事業内容・成果への兆し(~21年12月): 

保護司会やNPO・自助団体等と連携しての新たな更生保護の担い手の創出

・2021/04/17(土) アドボカシーカフェ登壇

内容…「非行少年と保護司~やり直しを支援できる社会へ~」
参加者数…63名

・2021/04/18(日) 第1回更生保護ゼミ開催

内容…日本の犯罪とその防止を巡る状況と制度
参加者数…8名

・2021/04/24(土) 第2回更生保護ゼミ開催

内容…更生の意味とアプローチについて
参加者数…8名

・2021/6/6(日) 第3回更生保護ゼミ開催

内容…依存症と犯罪について
参加者数…15名

・2021/9/30(木)若手保護司とのオンライン座談会

内容…若い世代が保護司になる意義や悩みについて
参加者数…4名

・2021/10/22(金)Social Vision Summit登壇(写真下)

内容…少年院にいる少年へのキャリア支援について
参加者数…15名

   250SJF20190723

・2021/10/24(日) 第4回更生保護ゼミ開催

内容…再犯防止と保護司の役割
参加者数…13名

・2021/10/30(土) 江東区保護司会との対面座談会

内容…江東区保護司会会長・分区長との顔合わせ
参加者数…9名

・2021/11/27(土) シンポジウム開催

内容…若者による無差別刺傷事件について
視聴回数…167回

 

【成果への兆し】

 これまでのオンラインイベントの累計の参加者は100名を超え、社会の多様な人々に更生保護・保護司に関して啓発してこられたと思います。その中から現在1名が既に保護司に就任しました。4名は、現役保護司と協力しながら、オンラインでの勉強会や質問会、対面での顔合わせなど丁寧にフォロー・両者の信頼関係構築に励みました。座談会で保護司の方からは「保護司が高齢化、担い手不足に陥っている中で、これまでは志のある若い世代と接点を持つことができなかったので、実際に会うことができてとてもありがたい」というお声をいただき、参加者の方からも「実際に先輩の保護者の方々とお話をする中で、より一層保護士への就任意欲が高まった」というような声をいただくことができました。現在は、保護司会の方で推薦をするかの検討中になります。これまで所謂犯罪領域であったり、地域の保護司会に縁がなかった若い世代の人たちが保護司会に入り、オンラインで保護司と共にその方々を育て、最終的に保護司としての次の担い手にしていく、という初の事例を作ることができたと考えています。

 また、市民社会への啓発啓蒙を目的として、弁護士や地域福祉の専門家、会社経営者、学生など、多様な若い世代のゲストを招いてのシンポジウムを開催しました。当日はYouTube LIVEで生配信し、累計160名の方に視聴していただきました。参加者の方からは、今回テーマとして取り上げた無差別刺傷事件を切り口に、「自分とは縁のない犯罪という問題に対して、自分が実は当事者でもあるということ」、「第三者としての立場の重要性を学んだ」といった声を寄せていただきました。

 

今後の事業予定:   

(1)  関係者のコミュニティ化と調査活動

活動予定内容:
保護司/若年層向けのアンケートの作成
アンケート調査・ヒアリング調査の実施

(2) 政府関係者への政策提言

活動予定内容:
政策提言のドラフト作成
連携先とのドラフトのブラッシュアップ

 

助成事業の成果をふまえた課題と展望:   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか。

(1)当事者主体の徹底した確保

 本事業は、現役の保護司や更生保護領域の関係者を交えた上で、市民社会の参加を主眼に置いている。当法人のゼミを通じて、普段の生活で非行少年などと接点が無い地域市民を、更生保護の新たな担い手として活躍してもらうことを目指している。また、保護司制度の問題については、高齢・若年問わずインタビューや当法人の活動を通じて、担い手不足などの問題意識を共有している。

(2)法制度・社会変革への機動力

 従来からの区議会議員・国会議員との繋がりを生かして、政策提言を実施していく予定です。また、法務省にも既に当法人から政策提言をする旨は伝えており、無駄な摩擦などは発生しないと想定しています。政策提言書に基づいた意見交換会をオンラインで実施し、保護司に関する議連の所属議員などを招聘できるように前広な事前手配を行いたいと考えています。

(3)社会における認知度の向上力

 これまでのつながりを生かしつつ、積極的なメディア戦略も取る予定です。当法人のノウハウ不足については、プロボノとして参画しているメディアチームにリードを依頼し、プレスリリースなどを行います。これは、政策提言書が完成した時点で行う予定です。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 これまでも法務省保護局・保護観察所・保護司会・BBS・若年保護司・その他支援団体等とコミュニケーションを取ってきましたが、特に大きな利益相反などは生まれておりません。従来の保護司制度を批判・対立するものではないことを強調し、広報や発信をしています。むしろ、従来取り組まれていなかった保護司の課題に対して、切り込んでいくことに評価を頂いております。また、11月には弁護士・精神福祉士・経営者・学生をパネリストとしたシンポジウムを開催し、更生保護領域に限らない立場の人々と非行少年の課題に関する認識を共有する機会を作りました。

(5)持続力

 本プロジェクト終了後も、自主財源で国内の非行少年への取り組みは、一つの期間事業として継続実施していきたい考えです。現在、関係者と話を進める中で、非行少年向けのキャリア支援や少年院内へのアプローチなども検討しています。本事業で生まれた繋がりを活かし、新たな事業拡大にも取り組んでいきます。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 非行少年が元々抱えている脆弱性と彼らが出所後やり直しをする際に彼らのニーズに対応した支援が乏しい社会構造が挙げられると考えます。彼らは元々、障害/貧困/虐待/いじめなどの、家庭・社会の不公正に晒されているケースが少なくありません。かつ、少年院などの出所後も、従来抱えている生き辛さや問題を解決する支援などが不十分であり、再非行に走ってしまう悪循環が存在すると考えます。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

 地域社会での新たな更生保護の担い手と新たな若年保護司を創出することで、非行少年をケアする存在を増やします。また、政策提言とメディアへの発信によって、根本的かつ全国的に保護司制度を変革する機運を作ります。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 鍵となるのは、法務省と保護司会だと考えます。基本的に、保護司の担い手不足は、両者ともに危機感を感じている部分です。ただ、実際に新たな若手の保護司を受け入れる際には、保護司会側への細やかな調整や若手側へのフォローなどは必要ですので、出来るだけスムーズに若年層が就任していけるようサポートしていきます。

 

関連するSJFアドボカシーカフェ:『非行少年と保護司~やり直しを支援できる社会へ~』の報告はこちらから

 

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