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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第10回助成


一般社団法人子どもの声からはじめよう
SJF助成事業中間報告(22年12月

 

助成事業名児童相談所一時保護施設における訪問アドボカシー  

 本事業の目的は、我が国における社会的養護の分野において、子どもの声を起点に子どもの権利を保障する子どもアドボカシーの制度を構築するとともに、子どもの声を尊重する文化醸成に寄与することである。特に、児童相談所に保護された子どもを対象に、子ども・家族に対する援助方針の策定や一時保護施設における子どもの生活環境に子どもの声を反映するために、子どもをエンパワメントし、子どもの意見形成・意見表明を独立性の高い立場から支援する。併せて、児童相談所の職員や保護者に対して、子どもの声を中心に据えたフィードバックを行うことで、ケースワークや一時保護施設の運営における子どもの参加・参画を促進する。

助成金額 : 100万円

助成事業期間 : 2022年1月~2023年12月 

実施した事業と内容:  

 2月 訪問アドボカシー活動報告会 活動報告書の作成・頒布
     →コロナウイルス感染症のため実施できず。

  3月 アドボケイト登録面談・訪問前研修
     →5月実施。11人登録。

4月 訪問アドボカシー実践(令和4年度・年間50回程度)
     →順調に実施。12月10日までに延べ37回実施。

Kaida SJF

6月 東京都特別区に新設される児童相談所での実践に向けて、職員向け研修、協議を実施。

7月 東京都特別区に新設された児童相談所の一時保護施設において、2か所目の訪問アドボカシー活動を開始(隔週訪問)。

12月10日 日本子ども虐待防止学会 第28回学術集会にて実践報告

12月17日 子どもアドボケイト養成講座(~23年2月まで)
      12月10日時点で80名超の申し込み

 

 

助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例を挙げた。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるかを記載。

 とくに、助成申請書の3-5で5つの評価軸について記載した「課題と考えることとそれへの対策」に関連させて、どのように変化したのかも記載。

(1)当事者主体の徹底した確保 

 子どもアドボカシー活動においては、子ども・若者の参画を中心的な価値の一つに据えている。実際に以下のような場面で子ども・若者の参加している。

① アドボカシー活動の諸ツール:「気持ちカード」は、一時保護を経験した子どもたちへのヒアリングを実施し、その時の気持ちや考えをもとに作成し、表面に欲求表現「~したい/~したくない」、裏面に対応する子どもの権利を示した。外国にルーツを持つ子どもへのアドボカシーやアドボケイトの説明ポスターは母国語で作成した。よりよい表現を子どもに教わりながら修正を加え、日本語のポスターと同じ大きさで一時保護所内に掲示した。子どもアドボカシーについて説明する動画は、児童養護施設を経験したクリエイターに作成を依頼した。アドボカシーのキャラクター「みみうさ」は子どもが考案した。

② アドボケイト養成への参画:アドボケイトの養成講座は、第一講に「子ども・若者の声に学ぶ」を据え、講座全体を通じて複数のユースと多様なバックグラウンドを持った受講生が共に学ぶコミュニティを形成している。

③ 訪問活動への参加:全国の子どもアドボカシー団体で唯一、インケアユースが訪問活動に参加している。現場にケアを受けているユースのエネルギー、視点が入ることで、効果的なアドボカシーが実践できている。

④ サービス評価への参画:研究機関(大分大学)に、子どもたちのアドボカシーサービスに対する評価を、インタビュー、一時保護所退所時のアンケートでとっている。分析の上、訪問活動の改善にアドボカシーを利用した子ども、アドボケイトと関わった子どもの声を反映していく。

(2)法制度・社会変革への機動力

 代表は2023年4月に設置されるこども家庭庁の政策参与に就任し、こども政策にこども・若者の意見を反映するプロセスを検討する会議等で助言・提言を行っている。特に、自ら声を上げることが難しい状況に置かれている子どもの声をどのように制度・政策に反映するかについて、弊団体の取り組みから得られた知見を政府職員に共有するとともに、SNS、ヒアリング、フィールドワークなど様々な手法を交えながら、試行実践を進めている。

(3)社会における認知度の向上力 

 子どもアドボカシーについて、マスメディアから取材を受ける機会が増えている。講座やイベントなどには、マスメディアの報道をみてエントリーされる方が2割程度いる。子どもアドボカシーに関する発信に触れるとき、情報の受け手の中にすでにある問題意識が喚起され、問題解決のための具体的な方策として認識していただける機会が増えていると感じる。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 私たちの実践を展開していくためには、専門機関・専門職の理解を得ること、心理的な抵抗感を解消することが不可欠である。

 前者については情報発信や専門職への研修等で促進することができるが、後者については難しさを感じている。

 それは、子どもアドボカシーによって子どもが自らの権利を保障するために意見を表明したり行動を起こしたりすることを歓迎できるだけの余裕が、専門機関・専門職側にないからである。社会的養護の子どもに対する子どもアドボカシーの取り組みは令和6年より一部制度化されるが、制度を文化に落とし込むには、専門機関・専門職がタテマエからホンネで子どもの声を聴くことの大切さを実感できることが重要で、そのためのアシストを続けていきたい。

(5)持続力 

 活動の持続には、主に人材と資金の二つのリソースが不可欠である。人材については、様々な場面で普及啓発を行うことで、アドボケイトを養成する講座に一定程度の人数がエントリーし続けており、適性の高い人材を選任しやすい状況が続いている。資金については、独立性を保つ観点から自治体からの受託という形は避けつつも、アドボカシー活動を前提とした専門機関・専門職への研修・コンサルティングなどを請け負う形で事業収益を上げ、活動資金を確保することについて検討を始めている。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 児童虐待が社会問題化し、社会は虐待を受けていると思しき子どもを検知するようになった。しかし、児童相談所に保護されたにも関わらず、亡くなってしまう子どもは後を絶たない。児童相談所が対応するケースの増加に対して、人材の確保・育成が追い付いていない。

 また、行動化、専門化することで、虐待を受けている児童やその家庭、対応する専門機関が地域社会から浮遊している。

 更には、従属的な存在としての子ども観が困難に直面する子どもへのパターナリスティックな関与を強化し、子どもの尊厳が守られない状況が続いている。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。 

 私たちが推進しているのは、子ども・若者や市民の参加を中心的な価値に据えた子どもアドボカシーである。子ども・若者のために支援するのではなく、子ども・若者と「ともに」つくるアドボカシーは、子どもの参加(自身の人生と社会システムへのコミットメント)を促進し、子どもの尊厳を確かなものにするための権利基盤アプローチである。

 さらには、養成された市民が秘匿性・閉鎖性の高い専門機関に定期的に訪れ子どもたちと関わることで、専門化・高度化・合理化されることによって地域社会から浮遊している社会的ケアのシステムを地域に開くことを促進するとともに、地域の持つ養育力を喚起する貢献ができると考えている。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 私たちは、子どもたちが自分の気持ちや思考を明確にし、表明しやすい環境を築くことを得意としている。一方で、もし養護下にある子どもの人権が侵害された場合、その問題を解決する力が十分にあるとは言えない。訪問施設を設置している自治体の、弁護士を中心とした子どもの権利擁護委員との連携によって、子どもの権利侵害事案を関知した場合に実効性のある対応ができるよう連携を図りたい。  

 

今後の事業予定 : 

2023年
2月 訪問アドボカシー活動報告会・活動報告書の作成・頒布

3月 アドボケイト登録面談・訪問前研修

12月 子どもアドボケイト養成講座(~24年2月まで)   ■

 

 

 

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