ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第14回助成中間報告
特定非営利活動法人 監獄人権センター(2026年6月)
◆助成事業名・事業目的:
「監獄をアップデートする。人権意識の向上と有用な支援の提供」
全国の刑務所における、2025年6月の「拘禁刑」開始以降の処遇の実態を調査・分析・公表し、受刑者に対する人権侵害等の問題の改善をはかる。刑務官等の刑務所スタッフの人権意識を高め、受刑者が安全な環境で社会復帰に向けた処遇を受けるための刑事施設のあり方を提案する。
全国各地の刑務所出所者を対象とする社会復帰支援事業の実態を調査・分析し、刑務所出所者のニーズに則した有用な支援事業のあり方を提案する。刑務所受刑者に対する厳しい世論が顕著な日本において、正しい情報を市民に提供したうえで、受刑者の社会復帰と刑罰のあり方を議論し検討する。誰もが排除されない、生きる希望のある社会づくりに貢献する。
◆助成金額 : 100万円
◆助成事業期間 : 2026年1月~26年12月
◆報告時点までに実施した事業の内容:
2026年1月~2月:調査①(日本全国の刑務所の2025年6月以降の処遇実態に関する情報の収集、分析)
・報道(新聞、ネット記事、ニュース動画)、法務省公表資料、法務省書籍等を収集、閲覧して情報を分析した。報道や法務省公表資料(ウェブサイト等)では、2025年6月の拘禁刑開始後の「変化」や、法務省がPRに注力したい情報が広く散見されるものの、内部向け発行誌(「刑政」等)においては、懲役受刑者は引き続き刑務作業中心の生活を送ることや、処遇の「強制」に代わる「動機付け」なる用語が流通している事等、丁寧に読み込み分析する中で得た情報が多数あった。
3月~4月:刑務所出所者、元刑務官等へのインタビュー①
・複数回の受刑経験がある刑務所出所者2名(ともに東京在住)にインタビューを行った。再犯に至る理由や詳細なライフログ、交友関係等、様々な証言が得られた。
4月:調査②(刑務所出所者を対象とする支援事業・社会資源に関する情報収集・分析)
・生活保護受給中の刑務所出所者2名(ともに東京在住)について、本人から現状での生活上の困りごとに関する情報提供を受けた。行政が行う支援サービスの使いにくさ、医療情報へのアクセスのハードルの高さ等の具体的な情報が得られた。
5月~6月:ウェブ、SNS、ラジオを通じたキャンペーン①
・東京府中FMで放送中の「刑務所ラジオ」(毎月第2月曜日夜10時~10時29分)において、「元受刑者が考える、塀の中と外、必要だと思う事」と題して、2名の元受刑者の生の声を放送した(5月23日収録、6月8日放送)。刑務所において受けた「○○プログラム」と呼ばれる教育よりも、自発的・能動的に行動したクラブ活動や日常の所作等にこそ「気付き」や喜びがあり、刑務所出所後の生活にも活かされていることを確認した。
※成果物の中核となる「政策提言等の基盤となる情報冊子」に、本プロジェクトの全成果が集約されることとなるので、情報収集~執筆・編集のスケジュール管理を確実に行い、制作から活用まで、遅滞なく実施することが求められる。
◆今後の事業予定
7月 E)「CPRニュースレター」による情報発信①
8月 G)政策提言①(法務委員に対する情報提供)
9月 B)刑務所出所者、元刑務官等へのインタビュー②、C)刑務所受刑者アンケートの実施
10月 D)ウェブ、SNS、ラジオを通じたキャンペーン②、E)「CPRニュースレター」による情報発信②
11月 F)政策提言等の基盤となる情報の資料化、H)プロジェクトテーマに関連するセミナーの開催
12月 G)政策提言②(法務省、国会への政策提言)、メディアへの情報公開
◆助成事業の目的と照らし合わせた効果・課題と展望:
【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか。
(1)当事者主体の徹底した確保
コアメンバーとして弁護士、元受刑者、受刑者家族、支援者が参加し、当事者性を確保している
(2)法制度・社会変革への機動力
弁護士が参加し、国内の法令や国連の基準規則に基づいた改善の提案や問題点の指摘を行っている
(3)社会における認知度の向上力
FMラジオによる情報発信、SNSへの情報掲載を実施している
(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)
法務省関係者に対する情報提供の要求、元刑務官に適宜アドバイスを受ける等の機会がある
(5)持続力
従前より関係構築を行ってきた国会・地方議会関係者や支援団体等のネットワークの活用、毎月のFMラジオ放送を活用した情報発信
【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目について考察。
(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。
支援者側の処理能力不足や怠慢、個々の繋がりの減少、当事者の意識や能力を引き出す仕組みの不構築
(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。
支援者側の意識改革、情報提供のあり方の見直し
(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。
行政・立法機関との連携、当事者グループや元当事者の過去を持つ支援者との連携 ■


