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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第11回助成

一般社団法人ソウレッジ
SJF助成事業第2次中間報告(23年12月

 

助成事業名:『おひさまLINE  

【助成申請当初の助成事業目的】

 「おひさまプロジェクト」の一環として進めていく事業である。「おひさまプロジェクト」で目指しているのは、「妊娠やそれに伴う不安が理由で将来の可能性が制限されること=羽を折られること」がない社会である。そのような社会のために「教育現場や支援から取り残されている若者に知識や情報を届けること」「その知識を基に行動を起こせるように制度を整える(緊急避妊薬やミレーナの無償提供)こと」の両輪で事業を進めていく。「おひさまLINE」が担うのは主に前者である。その目的を以下に挙げる。受益者は22歳以下の現時点で妊娠を希望していない人である。

  1. 性教育のアウトリーチを行うことで、若者の主体的な選択肢を増やす。
  2. 性知識だけでなく福祉情報を共に届けることで、「緊急避妊が必要な現状」から抜け出すためのサポートを行う。
  3. 「おひさまLINE」を通して実施するアンケートや交流イベントで、背景にある実態を調査・可視化し、女性主体の避妊具の多様化と必要性などについての政策提言につなげる。

【変更点】

  • 受益者の対象年齢を22歳以下から24歳以下に変更

   変更の理由:

    1.  事業を通じて解決したい課題は、金銭的に自立しておらずキャリアが築けていない若者の妊娠やそれに伴う不安が理由で将来の可能性が制限されることであった。そのため当初は、「学生や中学/高校卒業後に働いていて金銭的に余裕がないと考えられる若者」としていた。しかし事業を実施する中で、学校をストレートに卒業できていない若者や留年や浪人等・大学院進学等で在学中の若者、就業しているが金銭的に余裕がない若者なども含めて支援を行う必要性を感じ、24歳以下の若者までを含むこととした。
    2.  政策提言に向けて国内外の調査研究を調べていく中で、調査研究では主に18歳または20歳または24歳以下で区切ることが多いことがわかり、ソウレッジの支援対象を包括できる24歳以下に変更した。
  • 対象の避妊薬に低用量ピルを追加

変更の理由:

 緊急避妊薬だけでなくより確実な避妊を行うため、ミレーナの無償提供を当初計画に含んでいた。しかし、連携病院のうち若者へのミレーナ装着を実施していない病院が半数ほどあった。一方で、低用量ピルの処方は全連携病院で行われていたため、低用量ピルも無償提供に含むこととした。それにより、確実な避妊方法につながる受益者の数を増やすことを目指す。

 

助成金額 : 161.5万円

助成事業期間 : 2023年1月~2024年6月 

実施した事業と内容:   

・「おひさまプロジェクト」事業

  • 連携病院の増加

 中間1次報告時点の連携病院数8病院から21病院(11月末時点)まで連携病院数を拡大した。病院の所在地も関東中心だったところから、関東甲信越15病院・東北1病院・関西3病院・中国地方1病院・沖縄1病院に増加した。

 また、連携病院の拡大により、1ヶ月あたりの費用負担実施数が10件前後から30件前後まで拡大した。

Kaida SJF
写真上=
2023年8月、連携病院「藤沢女性のクリニックもんま」にミレーナ・低用量ピルの無償提供開始について相談した際の写真。「藤沢女性のクリニックもんま」院長の門間美佳先生(左)と一般社団法人ソウレッジの鈴木莉帆(右)。

Kaida SJF
写真上=第75回 産科婦人科学会学術講演会への出席をしました。

  • Instagram「おひさまぐらむ」(ID : ohisamagram0819)の公開
     これまでおひさまLINEで発信してきた内容をInstagramにも投稿し、「おひさまぐらむ」を公開した。宣伝や告知などは12月以降開始し、フォロワー数を増やす予定。
  • 連携若者支援団体の増加
     おひさまプロジェクトの紹介(紹介カードの設置や、オンラインでの紹介など)について現在10団体。その他、イベント時等におひさまプロジェクトの紹介カードを配布し、広くおひさまプロジェクトを紹介してくれる団体を募集。
  • アウトリーチ活動での連携

 2023年7月と9月に、新宿歌舞伎町でのアウトリーチ活動に、弊団体が参加し、若年女性たち(合計約30名程度)におひさまプロジェクトの紹介カードを配布した。

 

 上記の取り組みにより認知度が上昇し、当事業の受益者も着実に増加している(図1)。費用負担の条件に「おひさまLINE」への登録を必須としているため、今後はLINEを通じて受益者へのアンケート調査などを行っていく。

(図1)緊急避妊薬、ミレーナ、低用量ピルの費用負担実績数推移

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
緊急避妊薬 1 2 5 2 5 7 10 22 12 36
ミレーナ 3 4 2
低用量ピル 5 0 8

※緊急避妊薬と低用量ピルを同時に処方する病院もあるため、費用負担数と受益者数は一致しません。
※11月分は12月7日までに病院から報告を受けるため、記載しておりません。

 

  • 受益者との交流会、アンケート実施の準備
    • 受益者と弊団体メンバーの交流会の準備
      • 2023年11月現在、担当者が企画の準備を行っている。実施時期は2023年12月〜2024年3月の間を想定している。
    • アンケート実施の準備
      • 2023年8月より、外部の有志プロボノにより、受益者向けアンケートの設計を行っている。
      • 11月現在、アンケート内容の最終調整をしている。12月よりSNSでの発信や協力団体・自治体を通じて受益者層に向けて緊急避妊薬の認知や課題に関するアンケートを実施する予定。

・性教育研修事業

  • 性教育研修の実施
    • 教職員や保護者向け研修を支援現場等に広げるため、若者・こども支援NPO法人等の職員への研修を実施。
    • また、企業に向けた研修の開発のため2023年9月に富士製薬工業株式会社でお試し会を実施。お試し会を経てブラッシュアップした企業研修をもとに、企業への営業を始めている。
  • 研修専任講師との契約と社内研修の実施
    • 2023年10月よりジェンダーに関する研修の実績がある研修講師と契約を結び、より多くの研修を実施できる体制を作っている。
    • また、同講師による社内向けの研修も実施しており、2023年11月にはトランスジェンダーに関する勉強会を実施した。

 

今後の事業予定 : 

・「おひさまプロジェクト」事業

  1. 受益者との交流会
    1. 当初計画との変更点
      1. 2023年1月〜12月に実施予定から、2023年12月〜2024年3月に実施予定に変更
    2. 実施計画
      1. 2023年12月:交流会の実施概要と実施時期を確定し、集客を開始。参加者へのヒアリング事項やアンケートの設計を行う。
      2. 2023年12月〜2024年3月:交流会の実施と、参加者へのヒアリングやアンケートの実施
      3. 2024年3月まで:交流会の振り返りと、ヒアリング・アンケート結果の分析
  2. 受益者へのアンケート
    1. 当初計画との変更点
      1. 当初実施予定はなかったが、政策提言のために必要と判断し、計画を追加
    2. 実施計画
      1. 2023年12月:SNSや協力団体にて、アンケートのプレ調査を開始。並行し、自治体や若者支援団体へ本調査への協力を依頼する。
      2. 2024年1月〜2月:本調査への協力を承諾した自治体や若者支援団体でアンケートの配布を行い、回答を集める。
      3. 2024年3月:アンケート結果を集計する。
  3. 自治体への政策提言
    1. 当初計画との変更点
      1. 兵庫県内の自治体で2024年度中のSIB運用開始を見据えて提案の予定を、公費負担の実現を目指す政策提言に変更。また、自治体も兵庫県内に限らず実現を目指す。
    2. 実施計画
      1. 2023年12月:アンケート調査への協力を切り口に、複数自治体へ協力を打診する。
      2. 2024年1月〜3月:アンケート調査協力を承諾した自治体で調査と並行し、実証事業の提案を行う。

 

助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例を挙げた。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるかを記載。

 とくに、助成申請書の3-5で5つの評価軸について記載した「課題と考えることとそれへの対策」に関連させて、どのように変化したのかも記載。

(1)当事者主体の徹底した確保 

 おひさまプロジェクトの受益者層である当事者の理解を深めるため、新宿歌舞伎町での夜回りにて、アウトリーチ活動を行った。

 また、さまざまなマイノリティー性のある当事者を取り残さず、支援を届けたい層にきちんと届けられるよう、表現・表記にも最大限の配慮を以前から行っているが、さらに徹底するため、社内でのトランスジェンダー勉強会を実施した。

 今後、おひさまプロジェクトの受益者のプライバシーや本人の気持ちを尊重しながらもリアルな声を行政に届けていくために、匿名でのアンケートやインタビュー調査なども含めて実施するが、その際のヒアリング方法やアンケートの言葉遣いなど表現方法を検討している。

(2)法制度・社会変革への機動力

 申請時に挙がっていた課題として①緊急避妊薬OTC化(薬局でアクセスできるようにする)の議論があまり進んでいないこと、②新型コロナウイルスの影響でオンライン診療に関しての指針が再度変更になる可能性のあること、③はどめ規定をはじめとするさまざまな制約により教育現場における性教育が進まないという状況があった。

 ①に関しては、2023年11月より一部薬局での試験販売が始まるなど当初より進んだため大きな課題ではなくなった。一方で、試験販売では緊急避妊薬の費用が7,000円〜9,000円と依然として費用が高く金銭的に余裕のない人や若者の手に入りにくいことは課題である。未成年の緊急避妊薬費用の公費負担を目指すため、自治体での公費負担からはじめ国での公費負担を目指し政策提言活動を進めている。また、薬局での緊急避妊薬販売が本格的に始まった場合には、おひさまプロジェクトの連携を薬局でも開始する予定である。

 ②に関しては、おひさまプロジェクトでは当初オンライン診療を主軸に考えていたが、プロジェクトを進めて行く中で処方から郵送に時間がかかってしまい、緊急避妊薬の服用リミットである72時間以内に手元に届かないことなどの課題が表出した。そのため、現在はオンライン診療ではなく病院での処方を主軸に切り替え、全国に展開して行くことを目指している。

 ③に関しては、すでに自民党の勉強会に参加し、おひさまプロジェクトについての話や避妊薬へのアクセスをめぐる課題の共有などを行っており、法律や条例をつくる政治家に直接働きかけられる土台づくりを始められている。また、若者支援の現場など「はどめ規定」などの制約がないところでの性教育の普及や、教育に関わらない大人にも届けるため企業での研修事業の普及にも力を入れている。

Kaida SJF
写真上=自民党ポリスタで避妊薬・SRHRの課題に関してお話しました。

 

(3)社会における認知度の向上力 

 緊急避妊薬の薬局での試験販売が始まったことで、以前より社会での認知度は向上したと考えているが、まだ少数の女性の問題であるという認識が多いと考える。社会全体で広く知ってもらうために、全世代にアプローチしていく。

 自治体や教育現場での研修や講演会といった草の根活動としては、保護者や教員、若者支援に関わる職員向けの研修を継続的に行っている。さらに、企業向けの研修の営業活動も進めており、教育現場以外の場で働く人々にも認知拡大を目指している。

 また、新聞・雑誌などへの寄稿などの活動では、佼成新聞にて代表鶴田が毎月連載を行なっている。直近では読売新聞からの取材もあり、着実にメディア露出を増やすための活動を行っている。また、自治体での公費負担を実現するためのプロジェクトを実施予定であり、その内容をメディアに取材してもらうための依頼活動を2023年11月に行っている。

 SNSでのより活発な発信としては、団体メンバーの発信強化も引き続き行っているが、弊団体公式Instagramの運用の強化も行っている。

 認知度向上のため、関連団体以外に企業との連携も進めている。具体的には、弊団体が開発した企業向け研修の導入とともに、低用量ピルの服用にかかる費用の会社補助といった福利厚生の実現やそれらの情報発信等、企業との連携について働きかけを行っている。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 政党の勉強会や研修に参加する回数が増加している。性教育や避妊具の拡充に消極的な姿勢をとっている政党所属であっても、個人的におひさまプロジェクトに関心を持つ議員との接点も増えており、避妊薬の公費負担の制度についても提案を進めている。
 また、教職員や保護者への性教育研修などについても、賛同してくれる教員や保護者を巻き込みながら、性教育に消極的な教職員や保護者へも寧に根気強く対話を行い、研修の導入・実施などを進めている。

(5)持続力 

 申請時に課題として挙げていた緊急避妊薬のOTC化議論が平行線をたどっているという点は、(2)に記載の通り解消されてきている。一方で、緊急避妊薬が高価であるという点は引き続き課題が残っており、安定して無償提供を行うために自治体や他の団体と連携して仕組みづくりを行う必要がある。

 SIBの提案を行う計画だったが変更し、自治体予算での公費負担による公的な資金を元に持続する形を作っていこうとしている。これまでの提案活動の中でいきなり公費負担を実現することは難しいことが見えてきたため、自治体と連携しながらまずは弊団体で資金を集め、該当自治体内の全ての病院で費用負担を行うことで自治体内での無償化を開始し、その成果を元に公費負担を実現するというステップで進めようとしている。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 当事業は若者の予期せぬ妊娠・出産や妊娠不安にまつわる課題に取り組んでいる。若者の予期せぬ妊娠や妊娠不安という課題の背景には、①避妊薬の費用が高く種類が少ないこと ②適切な避妊方法を選択するための性教育の不足 ③女性の自己責任として捉える風潮 がある。
 これらの課題は、相互に関係性がある。
 避妊薬の避妊薬を使う人が少なく避妊薬の市場が小さいため、避妊薬の販売価格が高い。また、市場が小さいため海外で認可されている避妊薬を国内で新たに認可を取り販売しようとする製薬企業が少ない。その結果、国内で認可されている避妊薬の種類は少なく、価格も高い。
 義務教育では具体的な妊娠の過程を取り扱わないため、避妊薬に関する知識をしっかり持つことができる若者は少ない。
 また、性教育の不足により避妊薬について誤った悪い印象を持っている人も多く、避妊薬の使用が広がらない。若者が低用量ピルなどの避妊薬を服用しようとしても、保護者からの反対で服用できないケースもある。
 予期せぬ妊娠や妊娠不安を自己責任と捉える風潮があることから、緊急避妊薬の薬局販売や公費負担もこれまで行われてこなかった。
 そのため、性知識の普及と市場の拡大、課題の認知拡大が必要である。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。 

①避妊薬の費用が高く種類が少ないことへの解決
 緊急避妊薬の公費負担を実現することで、個人の費用負担を軽減することができる。また、教育者や企業の従業員向けの研修を通じて、避妊薬に関する正しい知識の浸透による避妊薬市場の拡大を目指す。
上記と並行して国内外の製薬会社へ働きかけることを通じて、避妊薬の種類を増やすことにも貢献する。

②性知識を得る機会の増加
 若者に対しては、おひさまプロジェクトのLINEやInstagramを通じて性知識を届ける。
また、大人へは研修を通じて性知識の学び直しの機会を作ることで、学校現場や家庭内での性教育の充実を目指す。

③課題の浸透
 緊急避妊薬の公費負担を目指す政策提言の取り組みの中で、若年女性の現状や取り巻く課題を発信する。また、ほか団体や政府関係者を巻き込み進めていくことで、この課題に取り組む人を増やす。
それにより、予期せぬ妊娠や妊娠不安にまつわる課題を自己責任ではなく社会の課題と捉え直すよう働きかける。

(3)この助成をきっかけに実際に連携が進んだことはあるか、あるいは今後具体的な計画はあるか。

①おひさまプロジェクトの連携病院数と地域の増加
 本助成開始時には2病院だった連携病院数を、21病院まで増加した。それにより、地域も関東甲信越15病院・東北1病院・関西3病院・中国地方1病院・沖縄1病院にまで拡大した。

②連携若者支援団体の増加
 おひさまプロジェクトの紹介(紹介カードの設置や、オンラインでの紹介など)に協力する若者支援団体10団体との連携を開始することができた。

③行政との連携
 まだ連携が確定していないが、連携検討が進んでいる。   

 

Kaida SJF
写真上=一般社団法人ソウレッジはおかげざまで4周年を迎えることができました。2023年9月、4周年を記念したイベントを実施しました。

 

 

 

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