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8月31日企画はこちら、
 
『セクシャル・マイノリティのことを知り、誰もが生きやすい社会を目指して 第3回
~ セクシャル・マイノリティから見た、日本の「新しい」家族と生活 ~』
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 原発事故は、どのように報道されたのか

 

2013年8月2日、文京シビックセンターにて、SJFは第17回アドボカシーカフェを開催しました。原発事故の報道で何が問われたのかを検証し、情報をめぐるメディアと市民の関わり方についてお話を伺い、対話を通して考える機会となりました。
“客観報道”の名のもとに一方的に行政やマスメディアから情報が流れてきた社会から、ネットがメディアと市民を近づけ、市民の情報の共有化が進む社会へ向かおうとする今は、私たち一般市民が情報に主権的に関われる初めての機会であり、これを生かそうと提言されました。そして、一人ひとりのメディア・リテラシーを増やし、主体的に情報を選択し、公正に判断していくことの重要性が指摘されました。

◆ おもな内容 ◆

◇ 山田 健太 さん(『3.11とメディア』著者、専修大学人文・ジャーナリズム学科教授)の提言

◇ 竹内 謙 さん(元インターネット新聞Jan Jan社長、元鎌倉市長)のコメント

◇ 参加者とゲストのダイアログやディスカッション

◇ 進行・企画説明 辻 利夫(SJF運営委員)

 

山田さんスピーチ写真1    竹内さんスピーチ写真
ああああああ 参加者と対話する山田健太さん(左)と竹内謙さん

 

◆ 映像とともに報告いたします(以下 敬称 略)。◆

 

~ 3.11から1年後、被災地の地元新聞から掛け離れた東京地域の新聞 ~

◇ 地元では、震災記事は未だ日常として扱われながら、“希望”といった前向きな言葉が前面に出ていた。一方、“鎮魂”と題し、既に節目としての扱いが多い東京地域の紙面だった。(山田)

 

~ “ウソ”と“無視”―原発報道の何が問題だったのか ~

◇ 批判されてきた問題点には、政府や東電の情報を厳しく追及せず垂れ流していた?脱原発デモを無視し市民の動きを阻害した?避難基準が国の20mSvとメディア社内の1mSvとでダブルスタンダードでありその間は不十分な報道となった?等がある。3.11原発報道の問題は、現在のジャーナリズムが抱える構造的な問題そのものだ。(山田)

◇ 結果的にウソとなった報道はあるだろうが、意図的なウソ報道があったとしたら、なぜなのか。(参加者)

◇ “メルトダウンしている”と日本で大きく報道されたのは5月に入ってからだ。それ以前から欧米の記者は報道していた。事故当時にメルトダウンしていると発言した審議官が管総理に更迭された背景がある。また、避難地域は原発から同心円の地域でよいとし続けるために“ホットスポット”の存在を報道していなかった点もウソだったと主観的には言える。(竹内)

 

~ “客観報道”と言われるものは市民の応援により真ともになっていくか ~

◇ 報道に記者の主観を入れないという“客観報道”にとらわれ、マスコミは、権力側の都合のよい広報機関に陥った。このために、被害は大きくなり、被ばく量が増加した。水俣病の対策を先延ばしした構図と同じだ。(竹内)

◇ メディア事業にはお金がかかわっているので、何らかの権力とかかわらざるを得ないのでは。スポンサーとの関係も圧力になっているのではないか。(参加者)

◇ 成熟社会の条件の1つであるメディアの独立性を保てない状況がある。スポンサーの圧力以上に、行政局の圧力が大きい。地域誌が県知事に半年間も取材拒否され続けつぶれるしかない状況に陥ったケースがある。スポンサーの圧力を市民の力でいかに跳ね返すかについては、一般市民には、新聞社の株主が見えず、また日本の新聞社には株主を選択する権利があるという特殊事情を考慮する必要がある。(山田)

◇ 安全神話に偏った“客観報道”は、3.11で崩れ、市民に不審を抱かれている。放射能汚染のホットスポット地図の報道番組は、自立的な記者が作成したもので、“客観報道”に揺らぎを与える起爆剤となった。(竹内)

◇ 「確証なき安全宣言」と大飯原発再稼働を報じた東京新聞は、悪しき“客観報道”から吹っ切れた主観の入った報道として画期的だった。(山田)

◇ 報道とは主観である、とは言えないのか。(参加者)

◇ 戦後の新聞倫理綱領で、個人の意見を言わないルールが作られたが、そもそも無理がある。ある事実に着目すること、どの方向から見るか、どういう表現を取るか、これらは個人の主観であり、個人の主観を抜いた記事はあり得ない。(竹内)

◇ よい報道がなされなければ、読者の信頼を失い、市場価値を失っていくので、報道は修正されざるを得ないのではないか。(参加者)

 

~ メディアの限界を踏まえ何を期待するのか ~

◇ 日本の新聞の特徴として、全国紙は欧米を凌ぐ部数という大規模であり、地方紙は、福島と沖縄以外は各県1誌であり、全般的に受け入れられるよう中庸的に“客観報道”する点がある。(山田)

◇ 3.11のような緊急事態には、政府は非常に大きな力で状況をコントロールしようとする。ジャーナリズムの自由を制限でき、たとえば放送局に対し、放送法規定により、政府の発表を事実上そのまま放送するようお願いできる。放送局は、免許更新への思惑で従わざるを得ないのが実情だ。(山田)

◇ マスメディアで市民をコントロールしようとするのは傲りだ。マスメディアは不要なのではないか。(参加者)

◇ 悪いメディアを一掃した場合、力の強いもの―政府や大企業か―が権威化し表現の自由が奪われるだろう。メディアの空白期間をうまないよう、市民は、自由なメディアを大事にしながら、既存のメディアを変えていく道がよいのではないか。大規模メディアがある日本は、一部の上級市民だけが新聞を読んで社会を動かすのではない唯一の国だ。一定の経営基盤があり、継続的・安定的に取材し報道していけるメディアにより、必要最低限の社会の最低常識を伝える仕組みを維持していく必要はある。一方、ピンポイントで問題を追及するネットメディアの役割は大きく、共存していく形がよいだろう。(山田)

 

~ 私たち市民は、いかに主体的にメディアから情報を取り込み、日常生活につなげていくか ~

◇ 3.11を経て、より多くの個人が自ら様々なメデイアに接し、情報を得ようとするようになった。(山田)

◇ 多様なメディアが情報を発信しているが、各個人が接しているメディアは、限定されているのでは。仮にインターネットメディアが存在しなかったらどうなるのか。(参加者)

◇ 将来的にはネットが幅広い論点を整理する役割を負うようになるのではないか。ネットの行き過ぎを指摘する“雰囲気”はあるが、ネット規制を行政にゆだね“官制自主規制”に陥らないよう注意が必要だ。(山田)

◇ ネット社会がメディアと市民を近づけている。市民が活動する情報を色々な分野で専門のNPO・NGOが発信している。(竹内)

◇ フラットなネット上の情報は、1つにまとまっていない分検索機能が重要だが、検索などの裏の情報も透明化していくと、より公正な情報基盤となる。(山田)

 

~ メディアを支えるのは、市民の批判 ~

◇ 印象批判にとどまらず、具体的な報道内容を指摘した批判がメディアを鍛える。(参加者)

◇ メディア批評の場を作る必要がある。テレビの批評雑誌はあるが、新聞の批評雑誌がない。(山田)

◇ なお、残された大切な課題の一つに、被災者の内面の問題に関する報道を、一般市民が支えていくことがある。(山田)

 

~ 情報をコントロールされない市民へ ~

◇ メディア・リテラシーを増やして、パニックを起こさず“安心安全”を自ら判断できる市民となれば、お茶の間メディアの報道を変えていけるのではないか。きっかけは、ネットではないか。取材過程や報道過程を可視化し、市民が報道の在り方を変えていけるか、緊張感のある今、まさに問われている。(山田)

◇ インターネットでは、ネット情報の間違いを直す機能も持っている。ネットの持っている力を活用し、個人のメデイア・リテラシー、ひいては社会全体のメディア・リテラシーを高め、マスメディアを変えていく潮流を感じている。(竹内)

◇ 私たち一般市民が、情報に主体的に関われる初めての時代だ。このチャンスを生かし、情報を共有化するためのメディアの仕組みを作っていくことが大切だ。(山田)

 

総集編

 

◆ 次回企画 ◆  ~ お申込み受付け中 ~

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ご支援はこちらから(税金の控除が利用できます。)  http://socialjustice.jp/p/shien/

 

 

 

 

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