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 =ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第8回助成公募(2019年9月)の審査結果=

 

◆助成決定総額:700万円

◆助成決定先:有効応募総数は57件となりました(助成公募の概要はこちらをご参照ください)。SJF審査委員会による書類審査を通過した申請者への面接審査を経て、下記7団体の事業に決定しました。

 

公募テーマ1

『女性の権利、 LGBTの権利、 先住民・移民・難民の権利、 ビジネスと人権、 市民スペース(表現の自由・報道の自由を含む) の問題に対する取り組み、 人権を基盤として人の力を引き出す活動(capability building)、 脆弱な立場にある人への支援』   

※活動方法は限定しないが、アドボカシー活動を積極的に支援。活動現場から吸い上げた意見や想いを尊重する姿勢や、社会の仕組み・政策・制度をよりよく変えていく長期展望があることを期待。

― オープン・ソサエティ財団(Open Society Foundations: OSF)の指定枠(総額500万円)―

【助成期間】2020年1月~12月

【助成額】各案件につき100万円

 

NPO法人ASTA

『性の多様性を認め合う社会の実現に向けた地域ネットワーク構築事業』

【事業概要】

 LGBTなどの性的マイノリティの人権保障について、学校の教職員や保護者、自治体関係者を含む市民が互いに情報・行動連携できる地域ネットワークを構築、性の多様性を認め合う社会の実現に向けた制度・政策提言を行う。

①「中部地域ダイバーシティ・ネットワーク構築」事業

 中部地域において、性的マイノリティの人権保障に向けた支援の在り方や具体的実践、制度改革に向けて連携できる市民ネットワークを構築する事業である。比較的小規模な勉強会から始めて徐々にネットワークを拡大し、最終的にはコンソーシアムを設立して提言書をまとめ、自治体等に申し入れを行う。その際に重視するのは、当法人のメンバーを中心とする当事者が参加し、非当事者とともに議論することである。

②「LGBT出張授業」事業

 アドボカシー活動への従事者を育成し、ネットワークへの参加者を増やすための事業である。具体的には、基礎知識講座の後で、当事者やその親などをファシリテーター(ボランティア・スタッフ)として少人数のグループワークを行う。これまでも実施してきた取り組みであるが、さらに回数の増加を図るとともに、費用面で見送らざるを得なかった愛知・岐阜以外の県で授業を行う。特に北陸地方には当法人のような団体がないためニーズが高く、これらの地域の関係者にもネットワークへの参加を促していきたい。

選考骨子

・当事者のエンパワーメントとともに、市民に対するアドボカシーが戦略的な活動となっている。
・計画目標が段階的で妥当に設定されている。
・特に地方ではまだ差別をうけ支援からこぼれている人がいる。点や線での支援がネットワーク形成で面の支援になっていくことを助成するのは意義がある。
・地方でも市民の身近な地域で当事業のような活動が広がっていくことは重要だ。  

 

NPO法人OurPlanet-TV

『ビデオ・プロジェクト~甲状腺がんになった私たちの声を聞いてください~』

【事業概要】

 社会から孤立し、隠された存在となっいる小児甲状腺がん患者の声を可視化し、患者の存在を社会に伝えるためのプロジェクトである。映像を通して、これまで封印されていた患者と家族のリアルな声を、国内外に広く発信することを目指す。

1)原発事故から現在までの体験の記憶を喚起して、初期被ばくの状況を映像証言として詳細に残す。

2)患者と家族が、ライフストーリーを口にすることで、低下している自尊心を高め、エンパワメントに繋げる。

3)患者の声を可視化し、低下している社会的関心を喚起する。

選考骨子

・政府が隠そうとしている課題に取り組むことに期待する。
・原発事故の健康被害を風化させず、被害者支援のしくみをつくっていくために必要な活動だ。
・患者の中には、甲状腺がんの手術から7年が経ち、「原賠時効特例法」の時効が迫っている人もいて、この問題の可視化は喫緊の課題。患者自身も徐々に、当事者が声をあげることの大切さや記録を残すことの意味を認識しつつある。事故10年を控え、いま突破口を作ることが重要であるという当法人の認識に賛同する。

 

NPO法人ピッコラーレ

『若年妊婦のアドボカシー促進のための白書作成事業』

【事業概要】

 運営する妊娠葛藤相談窓口に寄せられた声を白書としてまとめ、妊娠に関する諸課題の提示と、アドボカシー活動につなげることを目的とする。

 2019年9月までに受けた相談延べ件数は1万3千件以上、相談者数はおよそ2,700人にのぼり、現在も増加傾向である。相談窓口に寄せられる「妊娠したかもしれない」、「妊娠しているがどうしたらよいかわからない」といった「妊娠葛藤」を抱える相談者の3分の1は10代〜20代前半の若年者である。そのほとんどが誰にも相談せず孤立し、一人で葛藤を抱え込んでいる。なぜ、孤立しなければならなかったのか。この白書では、当法人が聞き取った若年者たちの声から、若年妊娠にまつわる課題を整理し、社会全体への啓発につなげていく。 

 妊娠支援の仕組みは、妊娠して出産することが前提となっているが、その前の時点、妊娠してしまったかもしれない、妊娠したがどうしたらよいか、という時点からの支援への取り組みが少ないため、より早い段階からの支援の充実につなげたい。また、妊娠葛藤を生む複雑な背景への支援の根拠法は、売春防止法、母子保健法、児童福祉法などいくつかあるが、妊娠葛藤を包括的に支援するための法整備のために、政策提言なども行なっていきたい。

選考骨子

・著しく社会から疎外された状態にある若年妊婦の支援である。
・命の問題であり、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの問題として、小・中・高・大での授業、保健センター、保健所などと連携し救済支援のしくみづくりにつながることを期待する。
・性教育が至らない問題とも関係がある。背景にある複合的な問題に、現場支援を土台としたデータを用いて白書をつくり、行政に働きかける等のロビー活動もあり、手法がしっかりしている点も評価した。

※世界保健機関(WHO)の定義:「人々は安全で満足できる性生活をおくり、子どもを産むかどうか、産むとすればいつ、何人までを産むかを決定する自由を持つべきである。さらに人々は生殖に関連する適切な情報とサービスを受ける権利を有する。その対象はまた、性に関する健康も含まれており、その目的は、リプロダクションや性感染症に関するカウンセリングやケアを受けられるにとどまらず、個人と他人の生活との相互関係を向上させることを目的としたものである」

 

ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム実行委員会

『ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム』

【事業概要】

 ジャーナリストを目指す日本と韓国の学生が集い、それぞれの問題意識を共有しながら、ジャーナリストとしての視点を育んでもらおうと企画した。ジャーナリストの原点は「平和と人権を守る」ということだと思う。そうした原点を学んで欲しい。

 4泊5日で「第5回ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム@九州」を1月29日から2月2日に開催。テーマは「反骨のジャーナリストの足跡をたどる」(仮称)。炭鉱労働者として働き、炭鉱労働者たちの生活を描いた記録文学などを発表した上野英信(1923~1987年)、筑豊に拠点を置き朝鮮人強制連行問題などをテーマにした記録作家の林えいだい(1933~2017年)、水俣病を書き続けた作家の石牟礼道子(1927~2018年)らの活動の軌跡を現地で学び、民衆史の重要さを胸に刻む。

 また夏ごろに第6回を韓国で開催することを検討中。これもまた、歴史の現場を訪ね、ジャーナリスト精神を学ぶ旅になる。

 フォーラムでの経験を踏まえて、参加した学生と実行委員が共同で報告記事・報告集・記録ドキュメンタリーを作成し、上映会や報告集会等の形で広く社会に発信する。

選考骨子

・表現の自由の問題や、日本の歴史認識の問題と向き合う重要性を鑑みた。
・ジャーナリストが組織に入って活動の制約を受けやすくなる前の段階で、ジャーナリストの横のつながりをつくるのは重要と考える。
・若い世代に学びを提供するとともに、若い世代を学びをつくる側にも巻き込もうとしている。世代を超えて問題に取り組む点も評価した。  

 

NPO法人メコン・ウォッチ

『日本の開発援助による被害防止のために~JICA・JBICのガイドライン改定と適切な運用へ向けて~』

【事業概要】

 事業目的は「日本の開発援助における、環境や社会への配慮を向上させること」である。

 その実現のため、日本の開発援助を主に担っている国際協力機構(JICA)および国際協力銀行(JBIC)がそれぞれ持つ「環境社会配慮ガイドライン」の、1)適切な運用を促進し、2)2020年度前後に行われるガイドライン改訂にあたり、その基準を強化する。

 ガイドラインの遵守と向上は、ガイドラインが対象とする援助機関だけに任せていては実現しない。モニタリング→問題指摘→適切な運用→基準強化→モニタリングというサイクルにおいて、市民社会がどれだけ関与し、現地政府以外からの情報をインプットできるかが鍵となる。また、経済的利益優先のなかガイドラインが運用の段階でなし崩しとならないよう、違反があった場合、現地住民からの異議申し立てを有効にしていく方法を現地と協議していく。

選考骨子

・ビジネスと人権の問題や、地球環境保護の問題と関連づけた展望のある取り組みを期待する。
・環境社会配慮ガイドラインの改定時期であり、提言の好機だ。
・日本のODA政策の問題については、政府や企業は看過や隠蔽をしがちであり、助成が必要だ。
・日本国内の市民への情報提供により理解促進を図るとともに、現地市民の参加と意見表明の道筋をより強固にできることを期待する。

 

 

公募テーマ2

『見逃されがちだが、大切な問題に対する取り組み』を対象としたアドボカシー(社会提案・政策提言)活動

【助成額】各案件につき100万円(総額200万円)

 

NPO法人監獄人権センター

『重い罪を犯した人の社会復帰と刑罰のあり方~無期刑・終身刑に関する政策提言~』

―公益財団法人庭野平和財団との協力による助成―

【助成期間】2020年1月~12月

【事業概要】

 日本でも、超党派の議員連盟において死刑制度が廃止された場合の代替刑の検討が始まるなか、「仮釈放のない終身刑」の是非が国際的な問題となっている。

 犯罪者を「更生の可能性がない人間」と見なし、社会との繋がりを生涯絶つというこの刑罰の実態を調査・研究したうえで、運用のあり方に疑問を呈し、国連の国際基準の改訂にもNGOの立場から関わるピナル・リフォーム・インターナショナル(PRI)のメンバーを講師に招いたシンポジウムの開催、アメリカの刑務所の更生プログラムによる終身刑受刑者の立ち直りを描いたドキュメンタリー映画『ライファーズ』の上映・講演と参加者との対話、重い罪を犯した人の社会復帰について問題提起するキャンペーン、法務省・国会への政策提言等を通じ、無期刑・終身刑の望ましいあり方について提案する。

 厳罰化を求める世論の高まりが顕著な日本において、統計等の根拠に基づいた正しい情報を市民に提供したうえで、重い罪を犯した人の社会復帰と刑罰のあり方を議論し検討する。土台として、無期刑受刑者からの手紙相談の内容を集約・分析し、実態把握と問題の要因究明につとめていく。誰もが排除されない、生きる希望のある社会づくりに貢献する。

選考骨子

・終身刑というものを、社会が求める刑罰という見地と、人権の見地の両方から考えることは極めて難しい作業であるだけに、重要な問題である。善悪の二元論に陥りがちな現代の社会のなかで、人間とは何かを考える一つの重要な機会を提供する活動だ。
・議連や法務省とも連携した活動の広がりを期待する。
・社会的課題として盛り上がっていくために、自分事として考えてもらえるよう、市民を巻き込んでいくことを後押しする。

 

アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク 

『在日コリアン女性に関する複合差別実態調査―第3回在日コリアン女性実態調査―』

【助成期間】2020年1月~2021年12月

【事業概要】

 民族差別とジェンダー差別の複合によって周縁化され、不可視化されてきた在日コリアン女性の生活・人権状況に関する統計的情報はほとんど無い。一方、20年ほど前からマイノリティ女性に対する複合差別に関心を持つ国連人権機関からは、関連する情報の提供が日本政府だけではなく、当事者をはじめNGOに求められるようになってきた。そうした状況下でアプロ女性ネットは、2004年(アプロ女性ネットの前身である「アプロ女性実態調査プロジェクト」が実施)と2015年からそれぞれ3年がかりで当事者による「在日コリアン女性実態調査」を2回実施し、結果を報告書にして発表してきた。その成果は大きいが、課題もいくつか見つかったため、内容も抜本的に補足・改善して、政府と日本社会、さらに政府と国連人権機関に対してより一層説得力のある情報を提供すべく「第3回在日コリアン女性実態調査」を行い、在日コリアン女性の存在を可視化し、複合差別の解消に向けた政策提言に活用し、人権と尊厳が保障される社会の実現をはかる。

 第3回在日コリアン女性実態調査では、特に、在日コリアン高齢女性の健康や生活など、在日コリアン高齢女性の実態および、戦後、就労や結婚、留学などの目的で渡日し、居住するようになった在日コリアン女性の実態についても明らかにする。

選考骨子

・人権を考える上で身近であるはずの問題ながら看過されている課題を可視化する重要性を鑑みた。
・政治にアクセスできない在日コリアン女性の課題に取り組む重要性を鑑みた。だれもが尊厳ある存在である社会の実現につながる。
・当事者自身が生きづらさを解決しようとする政策提言や国際社会への報告の土台となる、マイノリティ女性が抱える問題の実態を知る調査を後押しする。

 

 

◇◆◇ 助成発表フォーラム 第8回◇◆◇

【日時】2020110(金) 13時から1630分(開場1230

詳細・お申込みこちらから ★参加者募集★

 

 

 

 

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