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 ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)の助成は、問題を普遍的に解決できるよう、現場での活動にとどまらず社会的な枠組みや制度・政策を変えていく活動を、対象としています。市民の自発的な活動を助成することで、民主主義を再構築していく一助になればと考えています。声を上げにくい問題がゆえにいまの政策・制度では見過ごされがちな社会的課題への取り組みを支援し、多様な人々の関係が公正となる社会を目指しています。

 第4回目の助成となる今回は、41件のご応募いただき、書類審査と面接審査により3つの助成先を決定しました。

 

【助成開始期】 20161

【助成総額】 300万円

【助成テーマ1】子ども・若者の未来に関する取り組み=を対象とするアドボカシー活動
                  ※テーマ1株式会社日本財託より指定寄付をいただきました

NPO法人 僕らの一歩が日本を変える。」による
若者と政治に新しい出会いを届ける『票育』授業プログラム

(助成金額 100万円、助成終了期 2017年1月)

 ◇事業の趣旨: 政治教育は日本でタブー視されてきた。18歳選挙権が実現したが、実生活に即した政治教育を行う公教育の場が十分に用意され、根源的に若者の政治・社会への参加意欲を高める仕組みがなければ、新たな選挙権を生かせない。そこで、教員の方々が政治的中立性を保ちながら実施することが難しい政治教育に、高校生や大学生が運営するNPOが入って、自らの学校や地域社会の課題に気づきアクションにうつすプロセスを重視した中立的な授業プログラムを、エンターテイメント性と言葉のキャッチボールを大切にしながら実施する。中高生が主体的な発想や行動――既存のものから自分の答えを選ぶ力、多様な意見から分け隔てなく自分の答えを見出す力、新たに自分だけの答えを生み出す力――ができるようになることが目的だ。このような教育により、日本の若者の社会づくりへの主体的な参加と協力が促進され、その声がしっかりと政治に届けられるようになることを目指す。学校の先生・教育委員会・選挙管理委員会の方たちとも対話を重ねながら当プログラムを進める。

 ◇選考概要:

・政治教育がタブーになっているなかで、当事業の重要性を鑑みた。
・当団体は、若者と政治をつなげるという目的のもと、中高生が自ら地域社会で何が必要なのかを考えるプロセスを重視しており、将来への不安を持つ中高生に対して、自分たちで、地域の課題に気づけ、どういうアクションができるかに気づける、ということを示すことを重視しており、普遍性がある。
・授業プログラムの実行力がある。プログラムをきちんと考えているとともに、高校生100人×国会議員といったイベントの実績にもとづくファシリテートやコーディネートする実力がある。
・教育現場や行政、立法関係者との連携力がある。
・当団体は、さまざまな若者の政治参加のあり方を尊敬しながら、自分たちの役割や立ち位置を考え、一過性のものではなく、省庁官庁との関わりが深いことを生かした活動で役割を果たしていきたいと考えており、好評した。
・後輩への引き継ぎもきちんと行われているもよう。今後の発展性が期待できる。

 

【助成テーマ2】原発事故による社会課題解決への取り組み=を対象とするアドボカシー活動

NPO法人 OurPlanet-TV」による
Support and Survey on Young GenerationsSOYプロジェクト~保健室および地域の健診データ記録・蓄積化~

(助成金額 100万円、助成終了期 2017年5

 ◇事業の趣旨: 政府による被ばく防護策が乏しいなかで、住民とくに子どもの体調悪化を早期に把握し、治療や保養につなげられるようなデータベース化を求める声が強まっている。市民や自治体による独自の健康診断が実施されているケースはあるが、バラバラのまま統一した指針や結果の集約がない状態である。当プロジェクトにより、それらの独自健康診断を調査し、有効な実施指針を提示するとともに、検診結果の集約と蓄積につなげる。また、子どもたちの心身の変化に敏感な場所である学校・保健室の養護教員による先進的な実践例を研究し、子どもの健康状態をモニタリングするためのガイドラインを作成し公開する。これらにより、子どもの健康管理に資すことができるデータベースの土台をつくる。ただし養護教員は、政府・福島県によるリスクコミュニケーションにより被ばくに関して口にできない環境にあるため、養護教員と丁寧に信頼関係を築くことを重視している。保健室が子どもの健康について被ばくも含めて語れる拠点となることを目指し、DVD『チェルノブイリ28年目の子どもたち』(SJF2回助成対象)を活用し、養護教員間の情報共有を図りネットワーク化を支援する。さらに、学校・地域住民・行政が一緒に参加し学び合える場づくりも考えている。「チェルノブイリ被害調査・救済」女性ネットワークおよび「養護実践研究センター」と連携して当プロジェクトを進める。

 ◇選考概要:

・保健室の養護教員は子どもたちのさまざまな健康問題のキーパーソンであり、当プロジェクトが、福島原発事故の影響について保健室からの情報を重視することを鑑みた。養護教員のネットワークが顕在化し、子どもの健康を守る力となることを期待する。
・低線量被ばくする環境での健康実態についてのデータ集積を、チェルノブイリからの知見も参考に、進めることは意義がある。低線量被ばくの問題は長期の問題であり、これから表出してくるにもかかわらず、解決したかのように忘れかけられていることに対峙することは大切だ。
SJFの第2回助成事業で作成したDVDにより問題認識が広がり、本プロジェクト共同者とつながる契機となった。また、今回は、前回のチェルノブイリ取材で発見したことをもとに、さらに一歩進めた事業であり、継続性と発展性を評価する。

 

【助成テーマ3】見逃されがちだが、大切な問題に対する取り組み=を対象とするアドボカシー活動

NPO法人 WorldOpenHeart」による
加害者家族の現状と支援を考えるシンポジウムの開催

(助成金額 100万円、助成終了期 2017年3

 ◇事業の趣旨: 犯罪事件は特殊な環境で起きたものばかりではなく、加害者の家族は、さまざまな要素について平均的な家族が多いというデータが当団体の調査結果から出ている。被害者の家族が、犯罪の加害者となる事例もあり、実は身近な問題だ。加害者の家族は、自ら罪を犯したわけではないにもかかわらず、報道・ネット上の誹謗中傷・プライバシー侵害、地域からの排除、進学・就職・結婚差別に悩まされ、自殺に至るケースもある。それでも、自責の念から声を上げることが困難な状況にある。加害者の家族は、日本の法制度ではあらゆる支援の網の目からこぼれており、当団体が2008年から支援してきた。当シンポジウムでは、親が収監された子どもたちへの影響や、犯罪の世代間連鎖をどう断ち切るかなどをテーマに、法や教育の専門家らも交えて対話する。仙台・東京・名古屋・大阪・福岡で計5回開催し、報告書を作成する。加害者の家族の現状について、多くの市民が情報を共有し、社会的排除から包摂へと認識が変わる必要がある。家族の精神的・経済的負担を減らすための支援の仕組みについて市民が考えることが求められている。誰もが、不当な扱いや人権侵害に対して、声を上げられ、必要な支援を求められる社会を目指している。

 ◇選考概要:

・加害者側の家族の問題が可視化されてこなかった。その家族の声を発信することじたいに意義がある。始動期にある活動で、当団体が先駆け的に行っており支援したい。
・子どもが加害者家族としてレッテルが張られ、教育現場からも排除されている実態が当団体の調査により明らかになっており、深刻な状況を鑑みた。子どもに対してメディアや教育現場などから引き起こされている人権侵害に向き合い、弁護士や自治体議員とも連携してアクションを起こす当団体の事業は、社会の意識改革をすすめるものだ。
・被害者側とも対話している点を好評した。被害者側であった人が加害者側となる事例もふまえており、お互いに説明しあい理解しあえるよう活動をすすめていく方針に賛同する。

 

◇◆◇ 助成発表フォーラム 第4回◇◆◇

 新たな助成先は、どのような社会的課題に気づき、その解決のために、どのような原因を見出し、社会をどのように変えていこうとしているのでしょうか。「これが問題だ」との声なき声もすくいあげ、異なる認識をしている人々とも対話し、一緒に解決していこうとしています。差異を認め合いながら、本質的に大切なことのために歩み寄ろうとしています。このフォーラムで、助成先からお話をうかがい、対話交流してみませんか。

【日時】2016118日(月)18302100 (開場1800

【会場】新宿区・若松地域センター 2階 第1集会室 TEL 0332096030
         東京都新宿区若松町126(都営大江戸線・若松河田駅「河田口」徒歩2分) 

【参加費】無料

詳細こちらから。

 

 

 

 

 

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