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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)連携プロジェクト助成報告

特定非営利活動法人わかもののまち(2023年1月)

連携団体

認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights) 

 

助成プロジェクト名:   

 子ども・若者の切れ目ない連続的な参画の仕組みの構築―権利に基づいたこども庁、こども基本法を通して―

 

共通テーマ

  • 子ども・若者の声が聴かれずに、物事が決まる社会になっている。

 我が国は、1994年に国連子どもの権利条約を批准したにも関わらず、これまで国内法の整備が進んでこなかった。子どもを権利の主体ではなく、保護の対象と捉える姿勢は深く根付いており、子ども・若者の声が聴かれる社会の実現には程遠い。

 

  • 子ども・若者の参画がお飾り参加、形式的参加の段階にとどまっている。

 とりわけ、同条例12条「意見表明権」については、「義務を果たせない子どもに権利を認めるのか」といった子どもわがまま論がいまだに強い。多くの自治体で子ども・若者の参画に取り組みをはじめているが、そのほとんどはお飾り参加、形式的参加にとどまり、本気で子ども・若者の声を社会に活かそうとする事例は少ない。

 

  • こども庁、こども基本法の動きは活発化してきているが、子どもから若者への切れ目のない連続的な政策が構築されていない。

 そうした中で、こども庁、こども基本法の動きが活発化しており、我が国の子ども・若者政策にとって大きな転換点にある。しかし、有識者会議でも指摘されているように「子ども」にとどまった政策だけでなく、子どもから若者へと切れ目なく連続的に権利保障をしていく政策の構築が求められている。

 

プロジェクト目的

子どもから若者へと切れ目なく連続的な参画の仕組みの構築を目指す。

  • こども庁、こども基本法の動きが活発化する時期だからこそ、実行性を伴う政策提案、子ども・若者支援団体のネットワーク構築、世論の喚起が重要である。
  • 上述したように、意見表明権の保障をベースとした子ども・若者参画の取り組みは、良い事例が少なく発展途上にある。さらに子どもから若者への連続的な政策の重要性は多くの場面で指摘されているにも関わらず、具体的な議論は行われていない。
  • こども庁、こども基本法ができたとしても、ただのスローガンになってしまっては意味がない。実行性を伴う政策にしていくためには各地の実践団体が連携することが重要である。
  • わかもののまちづくり推進を行うわかもののまちと、子どもの権利保障に取り組んできたC-Rightsが協働することによって、子どもから若者へと切れ目のない連続的な参画の仕組みの構築が可能である。

助成金額 : 50万円 

助成事業期間 : 2022年1月~22年12月

実施事業の内容: 

●5回に渡る連携シンポジウムを開催し、累計179名の参加があった。
250SJF20190723

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(写真上=連携フォーラム第3回「子ども・若者と政策決定者の対話を意味のあるものにするためには?」集合写真)

●12月:報告書を発行。各所への配布開始。

 

事業計画の達成度:

  • こども家庭庁の創設に向け、子どもや若者と最前線で関わる実践者や当事者を登壇者として招き、それぞれの視点からの問題提起いただいたことは大きな刺激となり、それをもとにこども家庭庁設置準備室の有識者会議での提言に繋げていくことができた。
  • また、今回は連携団体同士による推薦でゲスト選定を行い、必ず2名のゲストをお招きした。領域の近いゲストを2人招いてのクロストーク形式で会を進めたことで、議論が活性化し、新たな論点や共通点などが発掘された。こども家庭庁創設に向けた重要な議論ができた。
  • 高校生や大学生などの参加者もおり、イベント時の参加者間のディスカッションは多様な視点でこども若者について考える時間となった。

連携効果:    

  • 活動分野は近い領域にあるが、お互いが発信できる層は異なっており、さらに広く活動を周知する契機となった。具体的には、わかもののまちは議員や自治体職員などの周知に強く、C-Rightsはこども若者支援に関わるNPOの職員などへの周知に強い。お互いが連携したことでお互いを知り合う機会にもなった。
  • C-Rightsで活動する大学生インターン生などが、積極的に本事業に参画してくれたことで、当事者視点による事業推進をすることができた。
  • こども家庭庁の創設にさまざまな立場で関わっているゲストをお招きできたことで、シンポジウム内で議論したことをこども家庭庁創設へフィードバッグすることができた。

 

成果と課題:

(1)当事者主体の徹底した確保

 申請書でも記載した通り、当事者団体としてはじまったわかもののまちとユースチームを抱えるC-Rightsが連携したことで当事者性の徹底された運営が行われた。具体的には、司会を大学生世代が務めるほか、ゲストにも若者当事者世代が登壇した。

(2)法制度・社会変革への機動力

 具体的な変革までには繋がっていないが、こども家庭庁創設に関わる有識者会議のメンバーやこども家庭庁設立準備室内の方にも登壇いただいたことで、シンポジウムで議論してきたことをフィードバックすることができた。

(3)社会における認知度の向上力

 累計で200名近い参加者が集まり、こども家庭庁創設に向けた世論の喚起に繋がった。また、これからは昨年作成した報告書をもとにさらなる世論喚起を行っていきたい。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 今回はゲストを招いた連続シンポジウムの開催に留まり、こども家庭庁の創設に向けた議論の深化までしか行うことができなかった。今回のシンポジウムでの成果物をもとにステークホルダーとの関係構築も行っていきたい。

(5)持続力

 今回は、わかもののまちとC-Rightsがはじめて協働するプロジェクトであったが、連携してきたことによって相互理解が促進された。今回を契機にさらなる連携を目指していきたい。

 

今後の展望:  

  • まず、今回の連続シンポジウムで行ってきた議論をベースとし、こども家庭庁の創設、創設後に向けて引き続き政策提言などのアドボカシー活動を行っていきたい。
  • 今回のプロジェクトを通じて、わかもののまち・C-Rightsの間には、連携の土台が構築できたことから、今回で終わりにせず、継続的な協働の枠組みを模索していく。

 

~子ども・若者のためにから、子ども・若者とともにつくる社会へ~

 

 

 

 

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