ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)アドボカシーカフェ第72回開催報告
「薬物を使うことがある」と
誰でも安心して話せる支援がある社会とは
~ハームリダクションで出会う~
2022年5月14日、古藤吾郎さん(ハームリダクション東京共同代表/日本薬物政策アドボカシーネットワーク事務局長)、上岡陽江さん(ダルク女性ハウス施設長/ハームリダクション東京共同代表)をゲストに迎え、SJFはアドボカシーカフェをオンラインで開催しました。
今、日本では市販薬と処方薬による薬物使用(オーバードーズ)が大変だと上岡さんは話し、止めなければいけないという思い込みが状況を悪化させていると強調されました。薬物使用がある人をリスペクトしているシドニーの公設民営の注射保健センターの見学を重ねるなかで、回復支援は止めることからは始まらないと上岡さんは気づいたそうです。
薬物依存症の背景にはさまざまな困難があることが多い。クスリを使う当事者たちにアウトリーチできるオンライン空間に、薬物使用がある人が安心して話せる場を古藤さんや上岡さんたちは創り、運営しています。ふっと今ならできる、という時に話せるよさもチャットにはあると上岡さんは言います。LINEの通話で、薬からの離脱で疲れているクライエントの寝息をしばらく聴いて、また話し始めるのを待ったことも古藤さんはあります。
薬物のゼロ使用だけがゴールの支援では、無理な断薬を一人で行って逆に命が危険にさらされることさえあるとの説明があり、ハームリダクションに基づき、断薬以外の選択肢も併存させることでより多くの命が救われると強調されました。薬物使用・薬物依存症に関連するさまざまな困りごとに対応するために、多様な職種の人たちとネットワークをつくって知恵を分かち合っています。
※コーディネーターは寺中誠さん(SJF企画委員)
(写真=左上から時計回りで、上岡陽江さん、寺中誠さん、古藤吾郎さん)
※詳細な報告はゲストの希望により割愛いたします。
●次回SJFアドボカシーカフェご案内★参加者募集★
『気候危機の今、川とともに生きる
~球磨川水害から考える住民参加型の流域づくり~』
【日時】2022年7月16日(土)13:30~16:00
【会場】オンライン開催
【詳細・お申込み】こちらから
※今回22年5月14日のアドボカシーカフェのご案内チラシはこちらから(ご参考)。