“SJFの助成で作成したパンフを持って各地で学習会を開催”(2013/07/14)
◆団体名(所在地) : 「多様な学び保障法」を実現する会(東京都北区)
◆団体概要:
フリースクール、シュタイナー学校、外国人学校、ホームエデュケーション等既存の学校に通う以外の「多様な子どもの学びの場」を支援する160個人・団体で2012年7月に設立。新法の実現をめざす。
◆助成事業名: 「子どもの多様な学びを実現するための立法をめざす活動」
◆助成事業概要:
学校教育外で活動する市民・市民教育団体がつながりあい、法制化を明確にめざすために、学習会・講演会・フォーラム等対話の機会の開催、立法に必要な議員・行政への働きかけを行う。これらの普及・啓発のツールとして、パンフレットを作成する。
◆助成金 : 50万円
◆助成事業期間 : 2012年10月~2014年3月
◆助成事業計画:
(1) 研究、学習活動
(2) 学習会、講演会、フォーラムなど市民対話の機会の開催
(3) 不登校、オルタナティブ教育関係者へ伝え盛り上げる活動
(4) 子ども、保護者、市民、学校関係者に伝え盛り上げる活動
立法に必要な議員との対話、行政との対話の活動、など
◆実施助成事業と内容:
(1) 2012年12月2日「子どもの多様な学びの機会を保障する法律」学習会in関西(大阪府立大)
(2) 2013年2月10日・11日第5回日本フリースクール大会
シンポジウム「新法、私たちはどこまで来たか」
テーマ別セッション「子どもの多様な学びの機会を保障する法律」
(3) 4月 パンフレット完成(初版5000部)
(4) 1月~ 政権交代後、いじめ防止の立法化に際して、学校外での学習を認める内容を盛り込めるか否かが今後への糸口と考え、2~3月には、民主、自民、公明それぞれに要望書を提出した。
(5) 4~5月 民主党・生活・社民が「いじめ対策推進基本法案」を参議院に提出。実現する会が求めてきた、学校外での学習を就学義務履行とみなす制度創設が附則に盛り込まれた。与党(自民・公明)は「いじめ防止対策基本法」を準備していたため、同様の主旨を附則に入れるよう要望した。
(6) 4月 大阪府立大第2回学習会
(7) 5月 日本教育法学会でシンポジウムを開催
(8) 5~6月 一本化を目指す与野党協議開始。民主案附則の内容の制度創設は盛り込まなかったが、附則第2条第2項に以下が盛り込まれ、学校外の学習支援の検討に道筋ができる形で6月20日「いじめ防止対策推進法」衆院提出・可決、21日参院提出・可決成立。
「政府は、いじめにより学校における集団の生活に不安又は緊張を覚えることとなったために相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている児童等が適切な支援を受けつつ学習することができるよう、当該児童等の学習に対する支援の在り方についての検討を行うものとする。」
(9) 6月9日 埼玉地域学習会(越谷市・りんごの木)
(10) 6月21日 大阪府立大第3回学習会
(11) 7月 パンフレット10000部増刷
(12) 7月6日 香川地域学習会(高松市・ヒューマンハーバー)
(13) 7月14日 実現する会1周年総会&集会「新しい法律が子どもたちの未来を支える」
(14) 7月27日 兵庫(宝塚市) 登校拒否・不登校を考える夏の全国大会で分科会
(15) 7月28日 同上 シンポジウム「多様に育ち多様に生きる」
(16) 8月 東京都高等学校教職員組合教育研究会で講演及びパンフレット配布
(17) 8月16日 大阪府立大第4回学習会
(18) 8月29日 大阪地域学習会(関西おるたネット)
(19) 8月 役員会、運営会議にて、「新しい普通教育の創造」をテーマにオルタナティブ教育から新たな普通教育の概念・実際を提示していくことを定める
(20) 9月14日 東京シューレ保護者学習会(北区、新宿区、千葉県柏市3ヶ所同時開催)
(21) 9月29日 おるたネット東京学習会
◆助成事業計画の達成度 :
助成決定時、学習権に対する認識の高い民主党を中心に2013年1月立法のための議員連盟結成を予定し、通常国会会期中の立法化に向けた道筋を描いていたが、12月衆院選、政権交代による政治情勢の大変動によって、立法実現の達成度は急落した。しかし、「いじめ防止対策推進法」の立法過程におけるロビー活動によって、学校外の学習支援の検討の余地を附則に明文化することができた。また、「子どもの学習権の保障」は党派を超えて、重要との認識が共有できるものだということも分かった。
一方、市民・オルタナティブ教育関係者への普及・啓発は、4月パンフレット作成以降進展し、全国各地での学習会の開催、オルタナティブ教育関係者・団体の交流・結束を強めることができた。2013年9月末までの学習会・シンポジウム等の開催は12回15ヶ所に達した。実現する会会員数も200名を超えた。
◆助成事業の成果・助成の効果:
立法に向けた政治的な具体的道筋は見出しにくい状況となっているが、オルタナティブ教育関係者・団体間での実践交流が進展し、その共通課題や共通する価値の抽出作業が進んでいる。これは、日本において、初のオルタナティブ教育運動の組織化の契機となったと評価している。
また、上記の交流から「新しい普通教育の創造」というテーマが設定されたことは、重要な成果であった。日本において、法制度的、学識的、一般的に、「普通教育」とは学校教育で行われるもの、すなわち学習指導要領という発想への固執は根深い。その限界を、すでに一般市民の感覚は超えつつあることを、実現する会の発足とそれに対するSJFの助成決定、アドボカシーカフェでの関心の高さ、各地で展開される学習会の様子から確信することができた。しかし、学識的、言説的には学校教育外に広げることが未だタブー視されている。そこに実現する会の問題提起が徐々に風穴を開けようとしていることも効果の現れであると考えている。
◆助成事業の成果をふまえた今後の展望:
① 学習会を展開し普及・啓発を推進する
- •10/18(金) 大阪府立大第5回学習会
- •11/10(日) 東京学芸大・スクールソーシャルワーカー学習会
- •11/30(土) 長野学習会(実現する会主催)
- •11/30(土) 東京シューレホームシューレ学習会
- •12/15(日) 広島学習会
- •12/21(土) 長崎学習会
- •12/22(日) 福岡学習会
- •日程調整中 山口学習会、NPO法人カタリバおとなカフェ(東京都)
以後継続
② 実践交流と「新しい普通教育の創造」に向けた取り組み
- •2014年2月 実現する会実践交流集会(会場:東京シューレ葛飾中学校)
- •3月29日・30日 第6回JDEC日本フリースクール大会(フリースクール全国ネットワーク主催・オリンピックセンター)
③ 立法に向けた取り組み
- •2013年秋以降 ロビー活動の継続
- •2014年7月 実現する会第4回総会
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