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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第11回助成

NPO法人レインボーコミュニティcoLLabo
SJF助成事業第1次中間報告(23年6月

 

助成事業名:『性的マイノリティ女性の地域と世代を超えたオンライン上のコミュニティ構築と実態調査  

 レズビアンやバイセクシュアル女性などのセクシュアルマイノリティ女性(以下「性的マイノリティ女性」と記す)は、性的マイノリティであることに加え、女性であることでの生きにくさを抱えている。そこには、見えにくさ(カミングアウトや発信の問題から、当事者にとっても不可視化されている現実)、声が届かないために自ずと対応する公的制度や民間サービスが不足し、コミュニティの不在といった課題があると考えている。そのため、本事業では2点を目的とする。

1)性的マイノリティ女性が、世代、名乗り(アイデンティティ)、住む地域や個人のネットワーク、生活形態を超えつながり、自己を肯定し、多様なロールモデルを知って未来を切り開いていく力をつけられるようなしくみを作ること

2)社会制度は待っていて与えられるものではない。人生の困難を軽くできるよう、自ら社会に変化を求めていく動きを学び、拡げていくこと

 

助成金額 : 290万円

助成事業期間 : 2023年1月~2024年12月 

実施した事業と内容:   

2023年1月~3月

みらいふサイト制作の準備(事業内部ミーティング・制作会議):制作計画の変更:2段階での公開、ページ別運用

専門相談員による実態・ニーズ調査(1月~LINE相談13回)

せくたんページの制作準備

調査準備(社会学・心理学分野)

2023年4月~6月

事業内部ミーティング・仮サイト公開に向けた準備(賛同団体調整)

みらいふサイト制作の準備

専門相談員による実態・ニーズ調査(継続、14回予定)

みらいふサイト参加者一次募集(4月~)*写真下=プロジェクト紹介の掲示の模様

ASTA

事業の認知拡大の取組(TRP2023へのブース出展)*写真下

ASTA

調査準備(社会福祉学・心理学分野)

プレ調査開始(6月~)

 

今後の事業予定 : 

2023年6月30日 みらいふ(仮)サイトの公開

7~8月 みらいふサイト・せくたんページ制作(インタビュー、調整、記事化、コンテンツ制作) 

8月末 せくたんぺージ公開

10月 みらいふサイト参加者二次募集、認知向上と参加型コミュニティ試行(変更点:参加型コミュニティも2段階で、トライアル→評価→開始に修正)

11~12月 プレ調査結果の中間報告、認知・参加拡大の評価・2クール目計画策定

2024年1~3月 ページ連携方法決定・本サイト制作(変更点:仮サイトでの運用評価、構成・機能等、業者に相談)

2024年4月~6月 みらいふ(本)サイト公開、せくたんページ連携、参加型コミュニティ開始、事業の認知拡大のための活動(第2弾)

2024年7月~12月 ニーズ・実態の本調査(継続)(コミュニティ参加50名目標)、助成事業としての評価・総括

 

 

助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例を挙げた。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるかを記載。

 とくに、助成申請書の3-5で5つの評価軸について記載した「課題と考えることとそれへの対策」に関連させて、どのように変化したのかも記載。

(1)当事者主体の徹底した確保 

 本事業においても、レズビアン、バイセクシュアル女性などの当事者主体であることは徹底されている。アイデンティティの多様さが、議論や連帯を複雑にする過去の経験から、「社会的に女性として生きるカップルやかぞく、個人」と、当事者性を認知しやすい表現で、現在のところ支障はなく、10代~50代の参加登録がある。参加者の意思に沿ってそれぞれの複合的な特性も捕捉できるよう意識している。

(2)法制度・社会変革への機動力

 2023年LGBTを巡っては、著しい動きがある。法制度化へのアクションを起こす参加者もいて、本事業は、そうした動きへの自分事意識を増やすこと、中長期的に、社会の不公正さに対して立ち上がる当事者の層を厚くし、社会に訴えていくきっかけを提供するものである。身近な変化を起こした事例を発掘し、見える化し、自らの権利を諦めたり、気づかない人に届くようにすることで、当事者の層を広げていくことが課題だととらえている。

(3)社会における認知度の向上力 

 4月にTRP2023(東京レインボープライド2023)にブース出展し、「みらいふ」「せくたん」の切口から本事業を紹介した。今後の発信に対する期待や、セクシュアリティ探索の現代的な困難さに共感をいただいた。性的マイノリティ女性を冠するブースは珍しいと大学生メディアの取材もあり、リアルで発信することの意義を感じた。

 今後もリアルでの自主発信機会を模索し、参加者を増やせるよう、伝わりやすさの工夫(ストーリーとデータ)と、オンライン(SNS等)の活用をしていく。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 重要なステークホルダーとして、女性が中心の他団体を設定してきたが、参加する当事者、専門性や技術をもつ協力者も加える。ここまでに参加表明した約10名、2団体の事業への共感を、目標に向けて調整をはかれるかがカギである。法人内で作りこまず、プロセスへの参加、協働に重きをおいた進行計画に修正した。今後、まだ接点のない各地団体等との協力も模索していく。

(5)持続力 

 事業の理論的枠組みは同一でも、従来の “オフラインで参加者が集まり、対話し、学び合うプログラム”と手法の相違が課題だ。専門性の補完は、Webメディアに精通する協力者を再編する解決途上である。一方組織評価の機会ともなり、法人外との連携を強化し早期に計画変更して、持続する上での人的側面を固める考えである。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 存在を前提とする制度がないという差別や偏見の残る社会で、性的マイノリティ女性がカミングアウトや声をあげることには壁がある。社会に気づきと配慮を求めるには相当の努力が必要で、困難をも表明しにくいという悪循環がある。また、性的指向は恋愛ごととして矮小・個人化されやすく、諦めやすく社会的課題との認識をもちにくい。

 打開するには、カミングアウトや権利の主張の学習とピアの支えが有効と考えるが、提供できるコミュニティは、当事者の環境によっては身近でない。アイデンティティや世代、リテラシー等による分断・差異もある。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。 

「社会的に女性として生きるひと、カップル、かぞく」のフレームで、多様なリアリティを発信し、自分事感や親近感を生む。

 セクシュアリティ探索期や恋愛といった断片ではなく、その後どんな人生を送れるのか、どのように困難に挑めるのかといった視点や話に触れることで、学習機会を提供する。

 オンライン上のコミュニティ機能により、環境による差異を超えると考えている。また、コミュニティで行う調査は、「性的マイノリティ女性」の課題を明確にし、回答し(声を発し)、他の当事者の実態を知る(共感する)経験により、共に社会へのアクションのきっかけを提供することにも寄与できると考えている。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 現場や当事者間で完結せず、「性的マイノリティ女性」の人生や生活に関わる調査・研究を広げ、成果を活かすことが重要だ。今後の学術研究も視野に、共通の問題意識をもつ研究者との連携を強化したい。また、コミュニティ構築については、オンラインの技術的側面と「コミュニティ開発」の専門・実践家との連携が必要と考える。  ■

 

 

 

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