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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第10回助成


気候危機と水害:ダムで暮らしは守れるか?連続セミナー実行委員会
SJF助成事業中間報告(22年6月

 

助成事業名川を住民の手にとりもどす~市民が考える気候危機下での「流域治水」~  

 熊本県球磨川を事例に、日本の河川政策の現状、海外のダム問題や川とのつきあい方との比較、川とわたしたちの暮らしの関わりをめぐる諸問題、住民参加・住民決定による河川政策づくりのあり方について、流域住民が知り、学び、考える「場」を通して、住民発の流域治水提言をとりまとめ、国や県の施策に反映させる。この活動を通して、住民主体による「流域治水」の重要性を広く社会に広め、住民の声が活かされた地域住民主導の政策づくりを実現する。

 

事業計画 

1月~ 
  • 球磨川流域の被災地現地調査、被災者聞き取り調査開始
  • 議員(県議会議員、国会議員)視察対応と対話
  • 河川整備基本計画(案)への意見書提出、環境アセス意見書提出キャンペーンに協力
4~5月 河川整備基本計画オンライン勉強会(2回)、環境アセスオンライン勉強会(1回)

5月 国交省交渉、国会議員レク

5月 キックオフ勉強会「鳥取県智頭町の森を生かしたまちづくり」

 

6月~12月

連続講座「川と森とともに生きる球磨川流域の未来」

【第1回】(6/25):「山が水を貯める力」について考える~森林保水力ってなに?~

【第2回】(7/3):森林を活かし、暮らしを守る~多発する災害の中で~

<以降の予定>

【第3回】釜石の住民参加型の復興まちづくりの手法に学ぶ(仮)(8月)

【第4回】川の生き物の視点から見る球磨川の現在と未来(仮)(9月)

【第5回】川や市街地の洪水をどう逃がすか(仮)(10月)

【第6回】海外の川づくり事例に学ぶ(仮)(11月)

【第7回】命を守るための滋賀県流域治水条例に学ぶ(仮)(12月)
  • 地元からの報告や現地フィールドワークと意見交換等の場も併せて検討中
 

6月~ 市民グループ等による被災地調査内容とのすり合わせ

    伝統知等に関する聞き取り調査開始

8月~9月 流水型ダム、流域治水先進地等への視察実施

 

12月~ 調査や講座内容を元に提言作成作業

2023年2月 事業者側との対話の場や院内集会の開催

提言の提出

2023年5月 事業完了

 

助成金額 : 100万円

助成事業期間 : 2022年1月~2023年6月 

実施した事業と内容:  

球磨川流域の被災地現地調査、被災者聞き取り調査開始

 球磨川流域の広範な被災地、被災者に関して被災前後の様子の聞き取り調査を開始した。並行して他の市民グループが行っている聞取り調査を共有しており、まだ途中段階であるが互いに補完しながら、山の崩落や伝統的な川との暮らし等について当団体で調査を行っている。

Kaida SJF
(写真上=球磨川河川工事の現状と課題について被災者から聞き取り調査)

Kaida SJF
(写真上=遊水地と移転問題に揺れる被災地での聞き取り調査)

県議会、国会議員向け働きかけ

 県議会議員、国会議員と共に流域住民の聞取り、被災地調査を行った。議員が直接現地に入り当事者の声を聞く機会が少ない中、参加した県議会議員が聞取り結果を議会一般質問等へ反映する等の形で成果を上げている。

Kaida SJF
(写真上=被災地住民グループを県議会議員と共に訪問し対話)

Kaida SJF
(写真上=球磨川流域の現状と課題について県議会議員向けにレク)

省庁との対話

 国土交通省とのオンライン対話に出席。問題点の指摘、回答、継続協議事項整理などを行った。今後も継続していく予定。

市民向け啓発キャンペーンへの協力

 連携する市民・住民グループと協力し、河川整備基本計画(案)への意見書提出、環境アセス意見書提出キャンペーンに取り組んだ。特に山林や環境面、政策手続き上の問題点などの明確化、SNSやパンフレット等を通した発信を行い、広く問題を伝えることに貢献した。合わせて、河川整備基本計画や環境アセスに関するオンライン勉強会を開催した。

連続講座開始前のキックオフ勉強会を開催

 森林や住民参加の地域づくりの先進事例として、鳥取県智頭町の森を生かしたまちづくりに関する勉強会を、市民グループと共催した。関係者への連続講座周知、今後協力や参加を促す契機となった。

 

助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例を挙げた。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるかを記載。

 とくに、助成申請書の3-5で5つの評価軸について記載した「課題と考えることとそれへの対策」に関連させて、どのように変化したのかも記載。

(1)当事者主体の徹底力 
  • 球磨川流域・熊本県内の住民グループ、市民グループ2団体と連携
  • 被災当事者の自助のための地域グループ2団体と連携。連続講座開催やキャンペーン、議員等の視察、提言活動等で連携
  • 市民グループ等に属さない流域住民について、議員等の視察聞取りの際の連絡調整、調査や講座開催への協力、キャンペーン周知協力などの形で連携
(2)法制度・社会変革への機動力
  • 4月初めに「球磨川水系河川整備計画(原案)」、「環境配慮レポート(法アセスと同等の手続きにおける配慮書に該当)が国から示されるなど、当初予想より早いスピードで国の政策決定が進みつつある。現行の法制度上での意見書提出等には取り組んできた。
  • 県議会議員、国会議員等との連携により、事業者である国や県への働きかけに取り組んでいる。
  • 今後事業を継続していく中で、球磨川流域や他事例の普遍化、国内外への発信を継続していく。
(3)社会における認知度の向上力 
  • 連続講座の趣旨やテーマ設定は、他の市民グループではこれまで扱わなかったものであり、幅広い住民や関係者からの参加が期待できる
  • 講座開催だけにとどまらず、並行して実施中の聞取り調査、提言とりまとめやアドボカシー活動を効果的に関連付け、具体的な成果と社会での問題認知向上につなげる。
(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)
  • 事業者である国や県との対話や提言活動を継続している。
  • 連続講座開催に当たり県や国の関係部署への周知を図り、参加を促している。
  • 流域の川づくりを考える際、ダム問題是非を避けて議論することは難しいが、連続講座周知の際はダム問題への直接的言及を避け、「ダムに賛成」「どう考えれば良いのかまだ判断できない」と考える層からの広範な参加を促し、講座質疑の中でもなるべく幅広い意見を拾い、対話へつなげる予定。
(5)持続力

 現地側では、20~40年の市民活動実績のあるスタッフが事業企画、管理を担当し、広範な人脈やノウハウを活用して活動を展開している。また、東京側の国際NGOスタッフからは、事業マネジメントや普遍的に呼びかける上での助言を受けると共に、それぞれの国内外での現地活動へのフィードバック、連携に取り組んでいる。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 日本の河川政策における法制度の未熟さ、議員や住民や市民社会を含めて広く問題が認知されていない点、近代化・都市化し川や森との関わりが希薄化した現代的な生活スタイルの広がり、ダムを含めた河川政策が進む地域が過疎高齢化し外部からの情報が限定的である点、政策決定への住民参加等本来のあるべきモデルが広く認知されていない点など。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

 既存の市民グループと異なる角度からの課題の社会への発信、これまで取り組まれていなかった「川と共に暮らしてきた流域の伝統知や記憶」の聞き取り調査実施と可視化による掘り起こしや問題提起、賛成・反対運動ではなく「住民自身の声を取りまとめて提言し実現へつなげる」という試みを通して、関係する住民や事業者への新たな角度からのアプローチを模索する。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 流域の多様な住民やグループとの連携、問題の共有を進めると共に、様々なレベルの議員、行政関係部署への働きかけを更に進め、広範な立場からあるべき姿の共有や対話の機会づくりを進める。   

 

 

 

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