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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第9回助成中間2次報告

特定非営利活動認定NPO法人FoE Japan(2022年1月)

団体概要

 FoE(Friends of the Earth)は、世界73カ国・地域で活動する草の根の環境団体のネットワークです。気候変動などグローバルな課題に対しては、共同で国際社会に働きかけ、アクションを行っています。この地球で生きるすべての者たちが、公平で心豊かに暮らせる持続可能な社会の実現を目指し、脱原発・エネルギーシフトを実現するための活動の他、気候変動や森林破壊、途上国での大規模開発による環境・人権問題への取組みなど、幅広く政策提言活動を行っています。政策研究や現場での調査を基に、根本的な解決のためのしくみのあり方を検討し、政府や企業に提案しています。

 

助成事業名・事業目的

国内最大規模のリニア開発~国民的議論による見直しを

 国内最大規模の開発事業となるリニア中央新幹線の工事は、広大な範囲の生態系、国内交通網、地方開発、これからの社会のあり方自体にも多大な影響を及ぼします。すでに始まっている工事により、沿線の生態系、住民の暮らしは破壊的に脅かされています。本活動は、リニア計画の妥当性、政策決定プロセス、環境アセスメントの問題点を今一度検証し、さらに沿線各地の工事影響や問題点を明らかにします。問題点を市民が知る、考えるきっかけを作り、住民や若い世代を含む市民が、この国の将来に何を残したいか、本当に必要な開発であるかを議論する機会を設けます。本活動を通じて、環境や社会に甚大な影響を及ぼす開発事業に科学的な検証と十分な国民的議論の必要性を訴え、時代に即した持続可能な社会の構築を目指します。

 

助成金額 : 100万円 

助成期間 : 2021年1月~22年6月

 

実施事業の内容(~21年12月): 

  • 影響調査

・大鹿村送電線工事影響地の視察、住民からの聞き取り(1月)

・飯田市長野県駅予定地周辺住民から聞き取り、現地視察、移転代替地視察(3月)

・山梨県大月市車両基地に関する聞き取り(4月)

・豊丘村非常口工事現場、残土置き場、変電所予定地視察、住民からの聞き取り(5月)

・松川町リニア残土運搬問題を懸念する住民からの聞き取り(8月)

・大鹿村住民運動のフォローアップ(1月~12月)

※NHKの巨樹百景「神様の樹に会う」で取り上げられ、ブナの木[*樹齢300年の巨木=写真下]の伐採取りやめに繋がる。

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・南アルプス市住民による差し止め訴訟、静岡住民による差し止め訴訟の傍聴(4月~10月)

・駒ヶ根市残土置き場予定地周辺住民からの聞き取り(1月~12月)

・リニア新幹線沿線住民ネットワーク・ストップリニア訴訟事務局会議、訴訟報告会(隔月)参加(1月~12月)

・山梨差し止め訴訟傍聴、静岡差し止め訴訟傍聴

 

  • 情報整理・発信

・問題、論点の整理(1月~6月)

・ニュースレター、メールマガジンで発信

・リーフレット制作(11月~12月)※制作途中

・特設HP制作(11月~12月)※制作途中

 

  • SNSを活用した参加型アクション

・オンライン署名を実施(1月~12月)

 

  • 市民参加型ワークショップ

・オンライン・品川区内会場開催とのハイブリットで「緊急学習会 リニア大深度工事 陥没が心配!」を開催(一般公開)(9月)

・長野県リニア沿線住民オンライン座談会(非公開)開催(11月)

・緊急オンラインセミナー「リニアトンネル崩落事故~岐阜で何が起こっているのか?!」を開催(一般公開)(11月)*写真下

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※上記の他、梨の木ピースアカデミーにて全6回の連続のリニア講座を開催し、参加型でディスションを実施(内4回を12月末迄に実施)

 

  • 提言の提出、対話の提案

・川勝静岡県知事への署名提出、要望書の提出(3月)*写真下

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助成事業の成果(中間評価)   

 リニア事業の現地視察、住民、関係者からの聞き取りにより、報道されることが少ない沿線各地の環境社会影響の実態が明らかになりました。各地の状況を整理、まとめる中で、特に緊急性の高い問題を取り上げた学習会やセミナーを開催しました。住民や専門家から状況の解説、問題提起を行い、市民の理解と行動への参画を促進しました。品川区での学習会の開催については、大深度地下問題の周知が急務であったことと、区内でリニアの事業の概要や問題点が沿線住民に周知が遅れていたため、学習会の開催により、これまで問題を知らなかった層への発信と参加の機会を作れました。また、品川区民と共同開催したことにより、今後の品川区での活動を展開していく基盤づくりに繋がりました。岐阜県の問題を取り上げたオンラインセミナーでは、 トンネル工事の事故やトンネル残土の汚染問題等を検証し、沿線の住民が今最も心配している問題について議論しました。

 沿線の住民の座談会の開催では、各地から参加した個人や住民グループが問題や不安、悩み等を共有し、リニア事業による地域分断や孤立化を防ぐための地域を越えた連携、連帯のネットワーク構築が始まりました。SNS等も利用した署名活動では、ユースグループと連携することで、若い層やリニア問題に関心のなかった層への問題を発信することができました。また、若者と静岡県知事との対談も実現し、多くのメディアにも取り上げられました。

 

助成事業の課題と展望:   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか(自力での解決が難しい場合、他とのどのように連携できることを望むか)。

(1)当事者主体の徹底した確保

・学習会の開催、セミナー、座談会の開催によって、住民や市民がリニア問題について議論し、具体的な解決策についても話し合うことが出来ました。

・事業の影響の実態を住民の声を通して伝えることで、参加した市民が開発の負の側面も知った上で、これからの日本の開発のあり方、交通体系のあり方について議論、行動する機会となりました。

(2)法制度・社会変革への機動力

・大深度地下利用法の適用地域の住民を招いての学習会では、住宅街地下にトンネルを掘ることによるリスクや権利侵害等を具体的に洗い出し、問題提起しました。

・利便性や一部の企業の利益のみが優先されてきたリニア推進政策のあり方に、セミナー等を通して問題提起しました。今後は、SNS等を活用し、さらに幅広く世論に問いかけるキャンペーンが必要とされます。

(3)社会における認知度の向上力

・リニア工事によって生活を脅かされている沿線各地の現状や住民の声を発信していくことで、環境社会影響の大きさ、深刻さの実態を周知しました。リニア問題に新たに関心を持つ市民やメディアからの問い合わせが増えました。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

・影響住民の声や活動を発信することで、広く理解者や支援者が増えています。

・地域を越えて沿線の住民が連携できる座談会により、情報共有、相談し合える関係性が出来つつあります。今後も継続、また対象地域を増やすことで、住民の孤立化を防いでいきます。

・参加型の学習会やセミナーを開催し、様々な意見を聞きながら、より持続可能な交通、開発のあり方を議論しました。今後は、さらに様々な立場の市民が議論できる場を作ることで、「国民的議論」の必要性を訴えていきます。

(5)持続力

・長期間に渡る工事の影響、そして運行開始後の影響にも住民が対策を講じることができるように、住民主体の環境調査力、情報発信力の向上のための支援を行いっていきます。また、そのための全国からの支援を呼びかけます。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 リニア中央新幹線は日本の交通網、自然生態系に大規模に改変を与え、沿線地方政策・経済、住民の暮らしに多大な影響を及ぼす事業でありながら、国民的議論を経ずに「国家的事業」として進められてきました。影響を被る住民への説明や意見を述べる機会も十分にもたれず、詳細計画も決まっていないまま環境影響評価が実施され、着工されました。政府及び沿線自治体の強力な後押しにより住民の不安の声は封じ込められてきました。すでに生じている様々な問題もメディアが報じることは少なく、現場で何が起こっているのか一般の市民には知られていません。自然災害が頻発し、持続可能な社会の構築が急がれる今の時代に、自然破壊や地域分断、大都市集中を生じさせる事業を開発ありきで進めてしまう社会の仕組みに問題があります。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

 リニア沿線の影響を明らかにし、広く周知することで、事業のリスクが市民に理解されてきています。沿線の住民は、座談会や学習会をきっかけに、他地域の住民とつながり、情報交換や連携を行うことで、事業者への対応や対策、情報発信の方法を習得することができるようになります。住民や市民が意見を発信する機会を設け、事業の必要性から議論しました。今後、さらに広く世論に問いかけると共に、事業者や国、自治体に届け、開発事業のあり方から見直しを求めていきます。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 沿線の住民を孤立させないため、地域を越えた連帯が重要です。情報共有や共同アクションを通して連携を深めることができます。また、沿線の住民を支える全国からの支援も欠かせません。リニア問題は沿線地域だけの問題ではなく、日本の交通、開発のあり方、また都市形成のあり方にも影響します。持続可能な社会の構築に向けて、自分ごととしてリニア問題に向き合い、沿線住民に寄り添い、声を上げていく市民の輪が必要です。さらに、国及び各地の政策決定者や地域のステークホルダーへの働きかけ、巻き込みが問題解決に向けての重要なステップとなります。

 

関連するSJFアドボカシーカフェ:『地域から問う持続可能な社会経済のあり方~リニア新幹線の開発事業をめぐって~』の報告はこちらから

 

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