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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第8回助成最終報告


特定非営利活動法人ピッコラーレ活動報告(2021年5月)

団体概要

 2015年12月、「にんしんSOS東京」相談支援窓口の運営を開始。より公共性の高い事業の拡大を目的とし、2018年11月、後継団体NPO法人ピッコラーレを設立。妊娠葛藤相談窓口の運営を基幹事業とし、行政からの業務受託(東京都・埼玉県・千葉県より受託)や研修事業、projectHOME事業(妊婦のための拠点づくり事業)などを行なっている。相談支援員は医療・福祉系の国家資格保持者、相談援助職10年以上の経験者により構成。相談窓口はリモートで相談を受けることができるコールセンター、電子記録システムを導入し、365日16時から24時までを開設時間とし、電話・メールでの相談を受けている。必要に応じて、同行支援(対面での面談・医療機関/行政など関係機関への同行)も実施。

 

助成事業名・事業概要

若年妊婦のアドボカシー促進のための白書作成事業

 本書は、にんしんSOS東京に2015年12月から2019年12月までの間に寄せられた相談者2,919名分(総件数3232件から明らかないたずらや妊娠葛藤相談ではないものを抜いた)のデータを用い、個人が特定されない形で作成し、妊娠に関する諸課題の提示と、アドボカシー活動につなげることを目的とする。相談窓口に寄せられる「妊娠したかもしれない」、「思いがけない妊娠をしてしまった、どうしよう」といった「妊娠葛藤」を抱える相談者の約70%が10代〜20代の若年者であり、誰にも相談できず孤立し、一人で葛藤を抱え込んでいる相談者も少なくない。なぜ、孤立しなければならなかったのか、その背景にはなにがあるのか。この白書では、特に、若年妊娠にまつわる課題を整理し、社会全体への啓発につなげていく。

 

助成金額 : 100万円 

助成事業期間 : 2020年1月~21年4月

実施事業の内容: 

妊娠葛藤白書の構成――目次より>
第1部 妊娠葛藤相談の現状
(1)妊娠葛藤とは何か
(2)妊娠葛藤と人権
(3)妊娠葛藤と性教育・人権教育
第2部 妊娠葛藤相談の実態
第1章 にんしんSOS東京の相談窓口から
第2章-1:「妊娠したかもしれない・避妊について」の相談
2:「思いがけない妊娠」の相談
3:「中絶について」の相談
4:「妊娠葛藤決断後」の相談
5:同行支援
第3部 若年層の妊娠葛藤
(1)若年層からの相談の概況
(2)若年層からの相談の傾向
(3)若年ハイリスク層
(4)若年ハイリスク妊婦の抱える背景
(5)若年ハイリスク層と全体の背景の比較
(6)若年ハイリスク相談者固有の背景から見えること


Kaida SJF
 

<広報活動>
2021.4.5 @zoom
「妊娠葛藤白書」発行記者会見 マスコミ各社含め、75名参加

2021.4.6
NHK「おはよう日本」首都圏ニュースにて「妊娠葛藤白書」紹介

2021.4.10
朝日新聞朝刊首都圏版にて紹介

2021.4.10 @zoom
「妊娠葛藤白書」発行イベント(ワークショップ形式) 91名参加

2021.4.10
TBSラジオ「蓮見孝之まとめて!土曜日」内の「人権トゥデイ」にて「妊娠葛藤白書」を紹介

2021.4.22
赤旗新聞に白書関連記事掲載

2021.4.30
朝日新聞の論壇委員望月優大さんが「妊娠葛藤白書」を紹介

2021.5.6
朝日新聞社「論座」記事用座談会

2021.5.13
TBSラジオ「荻上チキ・Session」の特集にて「妊娠葛藤白書」を紹介

<啓発活動>
2021.4.7 @衆議院第二議員会館
性交同意年齢引き上げを目的とした自由民主党有志による勉強会にて、若年妊娠の課題など白書を元にプレゼン。

2021.5.8 @zoom
認定NPO法人ブリッジフォースマイルのプロジェクト「コエール」と協働事業の、白書を用いたソーシャルアクションについて、企画内容検討会出席

 

 

助成事業の達成度・成果:   

 「妊娠葛藤白書」発行のタイミングで、記者会見、イベントを行ったことにより、妊娠葛藤という社会課題が、テレビ、新聞、ラジオなど各メディアで取り上げられ、制作当初に考えていた啓発、告知については達成できたと考えている。
 ただし、まだ十分とは言えず、今後もさらに、「妊娠葛藤白書」をツールとし、妊娠葛藤という社会課題に対する啓発を行っていかなければならないと考えている。

>「妊娠葛藤白書」は定価3,960円(税込)で販売し、5月17日現在276冊販売済み(1000冊作成)であるが、今年中の完売を目指している。
*ピッコラーレの販売サイトはこちらから


>認定NPO法人ブリッジフォースマイルのプロジェクト「コエール」との協働事業では、若い世代へ実際に葛藤を抱えた際にアクションにつなげることができるよう、10代をメインターゲットとし、SNSを活用した「にんしんSOS東京」相談窓口周知の企画をたちあげることとなった。

>「妊娠葛藤白書」の英文抄訳プロジェクト進行中。

>「妊娠葛藤啓発イベント」7月開催を目指して準備中。

>白書のデータベースをより使いやすいものにするためのプロジェクトが動き始めている。

 

助成事業の成果をふまえた課題と展望:   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか(自力での解決が難しい場合、他とのどのように連携できることを望むか)。

(1)当事者主体の徹底力


 研究者や、統計調査などの専門家ではなく、妊娠葛藤相談窓口で実際に相談者の声を聞いている相談員が、相談員の視点から分類、分析をしている。電子カルテのデータ抽出方法も何度も検討し、やり直しを繰り返し、ベストな分類方法を模索しながら進め、データ分析・原稿執筆までを担い、作成した。
周知の方法、また取材対応においても、ピッコラーレ主体で行い、常に、ピッコラーレがハンドリングできるよう、事前打ち合わせを重ねて行い、相談窓口として、相談者の不利益になることがないように徹底している。


(2)法制度・社会変革への機動力

 ピッコラーレは以前より、地方議員、国会議員などから、若年妊娠、妊娠・出産・子育てについて参考意見を求められることが多くあった。白書が完成したことで、より説得力を持って提言を発信することができるようになっている。妊娠葛藤を包括的に支える法律作成(たとえば、セクシュアルリプロダクティブヘルス&ライツ法など)への提言、また、妊娠中絶出産にかかる当事者の医療費負担ゼロへ向けての働きかけなどを白書のデータを元に行っていく。その第一歩として、2021年11月に院内勉強会の開催を予定している。

(3)社会における認知度の向上力

 「実施事業の内容」にあげた通り、テレビ、ラジオ、新聞、などから多数の取材を受けた。今後も7月のイベント、11月の院内勉強会に向けて広報活動を行う。
認定NPO法人ブリッジフォースマイルのプロジェクト「コエール」と協働事業である、SNSを活用した「にんしんSOS東京」相談窓口周知の企画が実際に動き始めると、さらに、若年者への認知度が向上することは間違いない。


(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 行政の窓口や医療機関に「にんしんSOS東京」(ピッコラーレ)の認知とともに、妊娠葛藤の背景にあるものへの気づき、つまり、葛藤を抱えるのは、本人の責任だけではない、ということも少しずつ認知されつつあることを感じる。「妊娠葛藤白書」を作成したことにより、マスメディアに多数取り上げられたことによる効果であるかもしれない。
ただ認知されたことと、どのように協働支援していけるのかは、別物であるので、「ここで相談者に寄り添うことが相談者に社会の居場所を作ることにつながる。そのために協働したい」という態度で臨むことには変わりはない。
白書を研修の教科書として提示し、行政や医療団体、民間団体への出前研修を計画している。これによって、妊娠葛藤は解決しなければならない社会課題であるという共通認識を持ち、妊娠葛藤、特に、若年妊婦の背景を考えあうことが、妊娠葛藤のない社会の形成につながると考えている。


(5)持続力

 「妊娠葛藤」という課題は、緊急避妊ピルのOTC化、また、未成年の妊娠に対する親権の壁問題、包括的性教育のためのデータなど、今現在でも複数の課題が見えている。様々な課題を内包しているため、今後も、一つ一つの課題に焦点を当てて白書を作成していく必要に迫られると予想される。2023年度中に、「妊娠葛藤白書2」の発行を目指している。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

>妊娠・出産が自己責任とされていること。
>妊娠葛藤に対しての、無関心、無理解。
>貧困・暴力・虐待など社会的病理。
>性教育の不足
>避妊へのアクセスの悪さ
>相談に対するハードルの高さ
妊娠・出産は保険診療ではない(医療費は自己負担)し、若年妊娠は、医療機関でも教育機関でも、また、社会的にも懲罰的に扱われ、妊婦から社会の居場所を奪っているにも関わらず、新生児遺棄が起きると母親のみが加害者としてセンセーショナルに報道される。そういった社会からの、妊娠・出産に対する、とりわけ若年妊婦に対する偏見・差別がこの課題を作り出していると考える。
また、妊娠は自己責任とされているために、相談することへのハードルも高くなってしまっている。


(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

妊娠葛藤を生む根底には、経済的困難があることの具体的データとして、政策提言、地方行政、医療機関への働きかけの際の資料とし、具体的には妊娠・出産周りにかかる費用を無料にすることを目指す。また、妊娠がもたらす社会的な困難について、白書のデータを元に社会に発信し、妊娠は自己責任ではないこと、危機的妊娠への社会の眼差しの変容を促す。若年者の妊娠不安や葛藤{の根本原因}は、包括的性教育の不足であることが、白書の作成で明らかになった。この結果を示して、包括的性教育の必要性を提言する。
コエールとの協働においても、当事者の背景に関するデータを読み込んだ上での、若年者への性に関する知識の提供と相談窓口の運営になるため、より、必要としている人たちへ届く企画、アクションにつながることと思われる。


(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

全国の妊娠葛藤相談窓口とネットワークを作り、課題の共有と解決方法を探っていくための勉強会の開催し、課題の共有、政策提言などを行っていく。ピッコラーレの事業の一つであるprojectHOMEと連携し、ピッコラーレの拠点である、東京都豊島区と協働し「妊婦に優しいまちづくり」を検討していく。コエールとの協働も、若年者への啓発につながる。また、この課題に理解のある国会議員と連携し、妊娠葛藤を包括的にカバーできる法整備について検討会をもつ。

 





 

 

 

 

 

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