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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第6回助成最終報告

 モザンビーク開発を考える市民の会 活動報告(2019年1月

団体概要
 2012年12月にアフリカ・モザンビーク・農村開発に関わる研究者・NGO・市民によって設立。日本がアフリカの最重要国として位置づけるモザンビークに行う投資・開発援助が、同国の圧倒的多数を占める小農のみなさんが望む発展に繋がるように、小農主体の調査研究・政策提言・アドボカシー活動を行ってきた。

 

助成事業名・事業概要

援助・投資によるインジャスティス(不正義/不公正)を乗り越える〜3カ国市民社会連携を通じたアドボカシー活動

  本事業は、以下の5点を目標・目的として立ち上げられた。

(A)立ち上がった小農を支えることを最上位目標とする。

 これを実現するため、

(B)現地のCSOsと共に、活動をより効果的なものに育て、

(C)これまでの経験や知見を3カ国社会と世界に還元することで、

(D)より公正で民主的な社会・世界づくりに寄与する。

 そのため、

(E) 国連「ビジネスと人権の指導原則」や国連人権理事会「小農の権利宣言」に向けた努力に合流し、活動をより上のレベルに繋げる。

事業計画

 以上の目標・目的を達成するため、具体的には、次の6点の活動を計画した。

(a) 小農運動支援:異議申立プロセスの支援、運動のキャパシティ向上支援、その他、小農運動が求める支援を進める。

(b) 共同調査:現地小農運動・CSOsと日本のNGO・研究者で、日伯開発計画・投資のナカラ回廊沿いへの影響を調査する。

(c) 政策転換のための対話:3カ国市民社会として、共同・個別に各政府・企業との対話や政策提言を行う。日本では、外務省・財務省・JICA・JBICと進出企業との対話を重視する。JICAの「環境社会配慮ガイドライン」の改定に知見を活かす。

(d) 市民社会連携の強化・発信

(e) 国連「小農の権利宣言」の採択/国連「ビジネスと人権に関する指導原則」

(f) 3カ国市民社会会議@東京

 

助成金額 : 100万円

助成事業期間 : 2018年1月~12月

 

実施した事業と内容: 

以上の計画を踏まえ、上記の具体的活動について、次のように実施してきた。

(a) 小農運動支援

  1. 異議申立審査プロセスの支援:「意見書」の日本語訳を作成し、JICAと審査役に提出。 
  • JICAに対する「環境社会配慮ガイドライン違反」との異議申立については、(本事業開始前の)2017年11月に「違反なし」との結論が出た。
  • 結論が出る前、当会を含む日本の市民社会から、現地住民の依頼を受け、申立内容を補足するため、「審査役」に情報開示請求で得たJICAの資料(公文書)などの「証拠」書類を提出してきた。
  • 審査結果発表後/本事業開始後、審査にあたっての一次資料(審査役によるJICA担当部署ヒアリングの議事録、現地調査のスケジュール、審査を手伝ったJICA契約弁護士との契約書、審査役事務局の構成など)を確保し、審査プロセスが極めて不透明で不公平な手法で行われたことを把握した。
  • これらの内容と審査報告書の齟齬・矛盾について分析、とりまとめた。 

 2.運動のキャパシティ向上支援 

 3.現地からの河野大臣宛書簡、JICA理事長宛書簡、声明(2点)を日本語に翻訳、ファックスし、日本政府とJICAの対応を呼びかけた。

 

(b) 共同調査: 

4月29日から5月7日まで、現地小農運動・CSOが、日本の官民が進めるナカラ経済回廊開発(特に、内陸部と港を結ぶナカラ鉄道)の影響を調査した。

  【2018年1~3月:調査準備】 

  • ①「ナカラ回廊開発」の被害に係る2016年度までの共同調査内容・結果と②所管の財務省・JBICとのやりとり=説明・対応の間の齟齬をとりまとめ、情報提供、調査内容に関して小農らと事前協議した。
  • なお、当初は当会メンバーが現地訪問、調査に参加する予定だったが、関連の活動のためにモザンビーク政府より入国拒否が継続しており渡航が不可能となった。

  【2018年4月~5月:調査実施・報告書とりまとめ】

  • 当初予定がずれたために現地市民社会メンバーの予定が合わず、小農らだけで実施した。
  • 事前準備をベースに、農民組織だけで、情報収集、住民インタビュー、写真撮影など「ファクトベース」の調査を行い、レポートをとりまとめる成果につながった。 

(c) 政策転換のための対話 

  1. プロサバンナ事業:
  • 外務省・JICAへの情報照会を継続
  • NGO外務省定期協議会・ODA政策協議会(3月1日、7月31日、12月5日)に議題提出し、その後のフォローアップを実施
  • 3月1日、7月23日には、外務省国際協力局長との面談(3月は代理との面談)
  • 4月23日、11月2日には、議員主催で外務省との勉強会・意見交換を行った。
  • これまでの活動を踏まえ、河野太郎外務大臣による「指示」内容が伝達され、これに関するフォローアップ作業(詳細の確認)と議事録の公開、現地の小農運動やCSOsへの伝達を行った。
  • 議員主催の勉強会(4月23日)に出席し、外務省・JICA・議員に資料を提供するとともに、現地の状況を踏まえた議論を行った。
  • 3カ国民衆会議(後述)の2日目11月21日の午前に、政策協議の場を設け、小農運動のリーダー3名と、モザンビーク市民社会組織の13名が、ブラジルと日本の市民社会の立ち会いの下、外務省・JICAとの政策協議の機会を直接もった。これには議員2名が立ち会った。

モザンビーク6
(写真上=モザンビークからの小農リーダーたちの話を聞く外務省・JICA担当者ら)

 

 2. ナカラ回廊経済開発(鉄道・港湾開発):

  • 2015年から継続する財務省・NGO定期協議会での議題提出・問題提起のフォローアップとして、次の活動を行った。

   イ)民間企業(三井物産)からの情報提供の要請を融資元であるJBICを通じて行った。

   ロ)三井物産からは契約書への調印が求められたことを受けて、JBICを通じての情報開示に変更し、助成期間内に2度(4月11日、8月9日)の面談を経て、次を実施した。

      • 4月11日の個別面談では、過去の現地調査で明らかになった問題点について、対応結果を聞き取り、不明瞭な点に関するさらなる情報提供を要請。またこの記録をとり、これを公開した
      • JBICの説明の根拠となる調査結果や地図等の情報の開示および現地被害への対応を求めてきた。

   ハ)上記の共同調査結果報告書に基づき、6月14日の財務省・NGO定期協議会に向けた質問書の提出を行った。

   ニ)3カ国民衆会議の2日目午前に、上記①と同様の手法で、小農リーダーたちの財務省・JBICとの直接政策協議の場を設けた。これには議員2名が立ち会った。

モザンビーク5
(写真上=政府関係者との政策協議 財務省・JBICと対話するモザンビーク小農女性)

 

(d) 市民社会連携の強化・発信

  • 「3カ国民衆会議」に向けた準備のプロセスを活用し、3カ国市民社会(小農運動を含む)のやり取りを活発化させた。
  • 3カ国以外の国の市民社会への発信を強化するため、これまで関心を寄せてくれた国際NGOや教会組織などとの情報共有を進めている。結果、ドイツの教会組織から民衆会議の資金援助を受けることができた。

(e) 「小農の権利国連宣言」の採択/国連「ビジネスと人権に関する指導原則」 

  • 今年秋の国連総会での採択に向けた「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」のドラフト文の最終交渉が国連人権理事会(ジュネーブ)で行われたことを受けて、
    • この日本での情報共有・発信に努めた。
    • 2018年3月1日のNGO・外務省定期協議会のODA政策協議会にて、同宣言への外務省としての見解に関する議題提案、提起。
    • https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/shimin/page25_000194.html
    • 3月にドラフト文の全訳(日本語)を作成し、これを公開した。 https://farmlandgrab.org/27954
    • 宣言文が長いため、各条にわけてブログに掲載した。
    • http://farmlandgrab.blog.fc2.com/blog-category-12.html
    • 5月のジュネーブ人権理事会での最終討論の際、日本政府代表がネガティブな発言(「たねへの権利」への反対の表明)を繰り返したことを受けて、これを広く日本の関係する団体や一般に知らせる活動を行った。
    • その結果、問い合わせや雑誌や書籍への寄稿依頼が相次いだ。
    • 日本政府への対応を改善すべく、連携したが、10月の人権理事会での最終投票、国連総会第三委員会での結果は「棄権」であった。
    • 3カ国民衆会議で、これを真正面から取り上げることにした結果、より多くの関心を呼び、会議中・会議後の取材なども相次ぎ、関心を高めることに成功した。
    • 同民衆会議3日目には、外務省・JICAを招いての「緊急報告会」を開催し、そこで日本政府の棄権について公の場で質問を行い、その回答(国際法として概念が成熟していないのではないか)を引き出し世間に広く問題提起した。
    • 当会メンバーが、FAOも参加する「小規模・家族農業ネットワーク・ジャパン(SFFNJ))の依頼を受け、SFFNJ編集の『国連 家族農業の10年と農政大転換』に同権利宣言について執筆した。
    •  
  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」
    • 現在策定作業中である「国別行動計画(NAP)が国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」をはじめとする国際基準に適合し、市民社会の視点を踏まえた内容になるよう、日本の市民社会が日本政府とNAP に対する具体的なインプットや提言を行っている。このメンバーとして、市民社会プラットフォームの会合に参加した。
    • 同プラットフォームの総会等へも参加し、積極的関与を予定していたが、外務省との意見交換会等において、外務省側から「参加人数制限」が設けられ、これに対して同プラットフォームに疑問を呈したが、改善されず、不参加となった。
    • 現在、 『ビジネスと人権に関するベースラインスタディ報告書』が外務省HPに公開され、パブリックコメントが募集されているため、この準備を行っているところである。

(f) 3カ国民衆会議@東京

モザンビーク1
(写真上=壇上に並ぶ日本・モザンビーク・ブラジルの小農)

 

  • 実行委員会に向けた準備:
    • これまで関心を寄せてくれたNGOや個人に呼びかけ、1月、2月のブレーンストーミング会合を経て、3月28日に拡大会合を開催し、「実行委員会」の経ち上げなどの骨子を決定。
    • 4月後半から「実行委員会設立会合への呼びかけ人・団体」の募集を開始。
    • 最終的に、41名・19団体の方に呼びかけ人・団体となって頂き、メーリングリストの運用を開始した。
    •  
  • 3カ国民衆会議実行委員会の設立:
    • 設立趣意書を作成し、合意に至った(8月3日)。
    • http://triangular2018.blog.fc2.com/blog-entry-7.html
    • この趣意書に賛同する実行委員会メンバーの募集を行い、27名の個人と7団体に実行委員会が参加した。
    • さらに民衆会議が近づいたことを受けて、賛同人・団体を募集し、8名5団体の賛同者を得た。

モザンビーク2
(写真上=日本の援助と投資{ナカラ回廊開発やプロサバンナ事業}による被害の影響を語るモザンビーク小農女性) 

 

  • ユースチームの立ち上げとクラウドファンドの開始:
    • 実行委員会の立ち上げを受けて、クラウドファンドを運営する目的でユースチームも設置された。このサポートも行った。
    • https://peraichi.com/landing_pages/view/triangular-web
    • クラウドファンドは、9月末に開始し2ヶ月弱で、資金サポートだけでなく、情報発信や共感の輪の広がり、コミットメントの上で、大きな成果をあげた。(詳細は後述)
    •  
  • 事前学習会の開催
    • 7月22日、9月8日、10月17日、11月10日に事前学習会を開催。関係者や市民が、日本の有機農家が抱える課題、アグロエコロジー、モザンビークの歴史などに対する理解を深める機会を作った。
    • 11月2日の貴基金主催アドボカシーカフェ「食とのグロバリゼション アフリカ日本の農業開発援助から考える」で発表を行った。
    •  
  • 3カ国民衆会議
    モザンビーク3
    (写真上=国連での「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」の採択と日本の棄権について報告する元ビア・カンペシーナ国際局スタッフ。)
  •  
    • 来日メンバー(18名)
    • モザンビークの小農リーダー4名(内女性3名)、市民社会組織メンバー9名、弁護士1名、カトリック教会シスター1名、ブラジル小農リーダー1名、ブラジル市民社会組織メンバー2名の来日・滞在手配を行った。(*残念ながら本事業でチケットを購入したモザンビークのバティスタ氏は体調不良で直前に来日が叶わなくなった)*モザンビーク、ブラジルの小農リーダーらは、1名を除き、ビア・カンペシーナ加盟の農民であった。
    • 日本側参加メンバー:
    • 実行委員会関係者、呼びかけ人・団体・賛同者などに加え、日本中から有機農家の参加を得た。クラウドファンドでその交通費を確保した。
    • 全体プログラム
      • 11月17日~18日:モザンビーク&ブラジルメンバー到着
      • 18日:市民農園ミルパ(千葉県・三里塚)にて農民交流(全員参加)
      • 19日:農民交流→都内へ移動
      • 20日:10~17時 3カ国民衆会議 Day1 市民社会会合(クローズド)18~20時 オープンイベント「日本の私たちと今世界で「大豆」をめぐって起こっていること~アグリビジネスによる油糧・飼料作物栽培の環境・社会的影響と住民の抵抗~」
      • 21日:9~14時 財務省・JBIC/外務省・JICAとの政策協議
      • 15~21時 Day2 国際シンポジウム&マルシェ「危機の21世紀を超えて、つながりあい、食の幸せを未来に手渡すために」(当日は、写真展や種子交換会も実施)
      • 22日:10~16時 Day3 市民社会会合(クローズド)、16時~16時45分記者会見17~19時 緊急報告会「日本とODA/投資:モザンビーク北部で何が起きているのか~プロサバンナ事業とナカラ回廊開発に抗う農民たち」(外務省・JICA登壇)
      • 23~25日:山形・京都・埼玉に分かれて農民交流+サイドイベント(京都、神奈川)、国際開発学会(茨城)を行った。
      • 26日:帰国

モザンビーク4
(写真上=たねの交換会で日本の農家から説明を受けるモザンビーク小農女性)

 

  • 3カ国民衆会議のフォローアップ
    • 会議の様子を動画に記録し、発表した。
    • https://www.youtube.com/channel/UCoZCgmP4w-1Ttbw65YqRtGQ
    • 事業終了後、日本語字幕を作成し出来たものから順次公開している。
    • 参加した市民映像作家らが、動画を編集し公開している。
    • 実行委員会加盟団体が、2/3に報告会を準備中。
    • 3日目のまとめとして決まった院内集会を2月18日に開催すべく、民衆会議に参加した農家を中心に「国連小農宣言・家族農業10年連絡会」を立ち上げた。


事業計画の達成度:  

本事業を通じての活動領域の達成度としては、次のように考える。

(a) 小農運動支援 (90/100)

  • 援助や投資事業に対して、実証的な調査を経た報告書に基づくアドボカシー活動を、モザンビークの小農運動が実現するために、大きく貢献することができた。
  • 3カ国民衆会議での来日時の、政府(外務省・財務省)・JICA/JBICとの直接政策協議における被害の証言と交渉は、小農リーダーらに大きな自信を与えた。また、政府関係者の側に、当事者としての小農を無視することを難しくさせた。
  • 国連総会第三委員会での小農権利国連宣言の採択が民衆会議1日目の夜となったこともあり、この宣言が小農運動の発意によって成立したものであり、その草案もビア・カンペシーナの小農宣言を土台としたものであったことから、南の小農運動への理解やリスペクトを日本社会に広げることに役立った。
  • 農家・農村交流を通して、小農が求めていた農民同士の交流、技術的な部分や販売面での気づきや学びの機会を提供することができた。

(b) 共同調査 (60/100)

  • 上記のとおり、日本とモザンビークの市民社会が同行することはできなかったが、立派な報告書が作成され、それに基づいて、財務省・JBICとの対話に挑むことができた。
  • 結果、報告書で指摘された点についての調査が約束された。

(c) 政策転換のための対話 (85/100)

プロサバンナ事業

  •  小農が求めるプロサバンナ事業の完全停止は実現していないが、異議申し立て以降2018年3月までは、一部事業(マスタープラン策定プロジェクト)が一時停止したことが、事後的に明らかになった。
  • 3月1日には、河野太郎外務大臣による「プロサバンナ事業は、反対派を含むあらゆる人びととの参加型意思決定に基づいてのみ進められる」との判断が出され、一定の前進をみた。

 

  • モザンビーク弁護士協会(Bar Association)が、プロサバンナ事業の管轄責任者・農業食料安全保障省大臣に対し、マプト市行政地裁に訴訟を起こした。その結果、2018年8月、「訴えを全面的に認め、事業の全面的情報開示を求める」との判決が導かれた(認容/勝訴)。 https://goo.gl/pv1DRL
  • ただし、外務省・JICAは、この判決を「知らなかった。判決が出るまで聞いていなかった。モザンビーク国内のこと」と矮小化する動きを見せており、また外務大臣指示を、小農運動の会合への参加を既成事実化することで事業強行を試みている。

ナカラ経済回廊事業 

  • 小農の調査を受けて、不十分ながら何か所かで歩道橋が架けられた事実は確認できたが、生活の足として使われていた鉄道サービスの欠如、そして石炭の粉塵被害などについては何ら対策がとられていない。直接対話で、今後の調査が約束されたので、これのフォローアップが不可欠である。

環境社会配慮ガイドライン 

  • JICAが同ガイドラインを策定して9年が経過し、異議申し立て制度の活用も7年目となった。制度の実態をここまで詳しく調べた団体がないことから、制度の構造的問題(JICAから独立していない審査役、審査役事務局の問題について、一次資料と今回のケースに基づき、改善を要求していくことができる。
  • 例えば、手続き書には書かれていないJICA職員に審査の権限(審査役の助言のために契約された外部弁護士の業務指示や監督、現地調査のスジューリングや仕切り)が与えられていることの問題、不透明な審査役事務局の役割、審査役の審査の進め方の問題などである。

(d) 市民社会連携の強化・発信 (85/100)

(f) 3カ国市民社会会議@東京(90/100) 

  • これまでごく一部の日本の関係者がブラジルやモザンビークの市民社会と関わっていたものが、3カ国民衆会議を通じて、人数としても多様性としても格段に広がった。また、一般の人への認知度があがり、多くの人の共感と協力を得ることができた。
  • 来日した二カ国の小農のこれまでの頑張りや言葉や姿勢、歌や踊りには、多くの方が関心を示すとともに共感してくれ、事業の意義も理解してもらうことができた。
  • 参議院議員会館で外務省JICAを登壇者として招いて行った3日目の「緊急報告会」については、11名の国会議員に呼びかけ人になってもらえた。そのため、外務省・JICAの出席者も、クローズドの会とは異なり質問内容をわざとずらすのではなく、正面から答えようと努力はしていた。
  • 記者会見と会議には多くのジャーナリスト(フリーを含む)が参加した。
  • 3カ国民衆会議のイベントは、平日という難しい日時での開催であったにもかかわらず、延べ500名ほどの参加者を得た。
  • その他については、次項に記載。

(e) 国連「小農の権利宣言」の採択/国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(70/100)

 

助成事業の成果・助成の効果:   

 事業による成果・効果の政策的な部分については、前項を参照されたい。ここでは、社会的広がりに絞って報告したい。

 本事業を通じ、プロサバンナ事業が抱える問題と小農らが置かれた状況への理解・共感や、私たちの食と農、暮らしのあり方との関係性のなかでとらえ直し、小規模・家族農業による実践(グッド・プラクティス)を共有しながら可能性と未来を考えていくことへの賛同により、以下の成果が得られた。

  1. 新しい仲間・支援者との出会い

(1)民衆会議の実行委員会、呼びかけ人・団体、賛同人は、農家・農民団体・市民団体関係者・一般市民・研究者・教会関係者など多様性に富み、世代・男女の割合も拡散しており、新しい運動の形を社会にも市民運動にも示すことができた。

(2)クラウドファンド (https://congrant.com/project/triangularfr/551)
 を通じて、167名の方に141万円のご支援をいただいた。これ以外に、複数の個人から約50万円のご寄付をいただくなど、一般には分かりづらい話題で、「遠いアフリカ・モザンビークとブラジル」のことではあるが、関心をもってもらい、実際にお金を出すという行為によって、支えるアクションに参加してもらうことができた。(実際、ここまで輪が広がると思っていなかったので、若者のサポートがあってのことであるが、予想を超える成功であった。)

 

  1. 成果の拡散

メディアによる取材→記事化、動画撮影&アップなど協力者が広がり、また情報が拡散された。

(1)事前広報:毎日新聞、東京新聞、産經新聞、日本農業新聞、社会新報で会議の紹介が大きくなされた。

(2)会議後に日本農業新聞、しんぶん赤旗、Ganas、レイバーネット、カトリック新聞などで記事にされた。

(3)ウェブテレビへの出演:当会メンバーがウェブ配信番組『ニュースX』に出演した(3カ国民衆会議、小農の権利宣言、プロサバンナ事業等について)

(4)以上の番組を受けて、掘潤さんがパーソナリティを務めるラジオJ-Waveの番組にて、「2018年度の5大ニュース」の2位に選ばれた。https://t.co/ODbakWOZ7L

(5)市民映像作家による独自の動画編集・発信

 ユープラン、映像ドキュメント.comによる動画の編集・発信が続いている。

 http://triangular2018.blog.fc2.com/

 

  1.  新たな動きが始まった

(1)民衆会議に参加した日本の農家を中心に、新たに「国連小農宣言・家族農業10年連絡会」が立ち上がった。

http://unpesantsrights.blog.fc2.com/blog-entry-1.html

 

(2)民衆会議に参加した「当会以外のメンバー」が、世界、モザンビークやブラジル、日本で起きていることを広く伝えたいとの思いで、新たな動きが始まっている。

 

  ①2月3日イベント Earthmanship主催 

   「今 世界で起きていること と 「食」の未来-意外と知らない 私たちの税金の使われ方」

https://www.ngo-jvc.net/jp/event/event2019/02/20190203-minsyuukaigi.html

  ②2月18日院内集会 上記連絡会が参議院議員会館にて主催 

   「国連小農宣言・家族農業の10年 院内集会」の中部地域で、若者の社会参画に取り組む若者団体のネットワークが構築できた。

 

 

助成事業の成果をふまえた今後の展望:  

  • 本事業で助成・ご支援いただいた民衆会議をきっかけにつながった/ひろがった人びととともに、これらの国際的な流れを契機として、 「成果イメージ」で目指した状態に寄与する政策転換を引き続き目指していく。
  • 具体的には、問題の根幹となっている「小農は貧しい被援助・支援対象者」というマインドセットを、小農運動がいつも口にする「私たちのことは私たちが決める」の方向にいくまでにまずは3カ国の政策決定者のマインドセットを変える。
  • これら経験を、すでにあるネットワークを使って、他国・地域の小農・市民社会とも共有していくなかで、連帯を深め、国際的な政策変更に資する動きに参加していく。
  • 一方で、ブラジルでもナカラ回廊開発・プロサバンナ事業と同様の事業に関する融資契約がJICAとブラジルの穀物企業Amaggi社との間で締結された。この企業が土地収奪等の人権侵害で悪名高いことにより、ブラジル市民社会から2カ国の市民に協力要請が届いており、これにも対応していく。

 

 

 

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