概要報告=ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)アドボカシーカフェ第32回
◆ 次回アドボカシーカフェ ◆
『セクシュアルマイノリティに開かれた、これからの社会』
【日時】12月22日(月)18:30~21:00
【会場】新宿区・四谷地域センター
【ゲスト】藥師実芳さん( NPO法人ReBit代表 )
阿部裕行さん(多摩市長)
【詳細・お申込み】こちらから
ヘイトスピーチをのりこえる!
シリーズ:「日本で生かそう!国連人権勧告」第7回
【日時】11月12日(水)18:30~21:00
【会場】文京シビックセンター
【登壇】辛 淑玉さん(のりこえねっと共同代表)
寺中 誠さん(東京経済大学現代法学部ほか非常勤講師)
上村 英明さん(市民外交センター代表/SJF運営委員長)
参加者と対話する(左から)寺中誠さん、上村英明さん、辛淑玉さん
ヘイトスピーチという暴力により心身を深く傷つけ合う社会現象にどう対応したらよいのでしょうか。憎悪の扇動が蔓延する日本社会の課題について、地域から国際的な視点まで含めた対話がなされました。
ヘイトスピーチは、弱い立場に置かれ、さまざまな社会課題を背負わされてきた集団を標的として、排除しようというものです。その論理は、政府の伝統的な差別的政策を支持するもので、こうした差別活動に参加する人々は政府の「お墨付き」を得て安心しようとする人々だという見方が示されました。また、政府は「表現の自由」を盾にこれに対応しようとしませんでしたし、またメディアや法律家もこれを支持する場合が少なくありませんでした。こうした動きは「ヘイトスピーチ」という言葉がなかった時代から続いてきたのです。
しかし、今回は「ヘイトスピーチ」と言語化されると同時に、カウンターと呼ばれる対抗する人々が出て広く問題視されるようになったと言えます。カウンター活動に参加する人々は、ヘイトスピーチを「それは、アウトでしょ」と捉える思想信条をこえ差別に対する拒否感を共有し、むしろ厳しい生活環境の人たちだろうと報告されました。問題意識は国会議員、学者に広がり、今年7月の国連自由権規約委員会、8月の人種差別撤廃委員会の勧告を受けて、首相や法相、都・府知事がヘイトスピーチを問題視する流れが作り出されましたが、これをどう定着化や制度化するかが問いかけられました。
そもそもヘイトスピーチは、単なる「言葉の暴力」ではなく、憎悪の扇動により心身を極限的に傷つける「暴力」であり、8月の人種差別撤廃委員会からも、明確な「暴力」として法規制すべきだと強く勧告されました。第2次世界大戦後、ユダヤ人差別がホロコーストを引き起こした歴史への反省から、特定の人種・民族集団に対する差別の撤廃は重要な国際課題だとされましたが、日本は、軍国主義や戦争への反省はあっても、差別の土俵となった植民地主義や帝国主義への反省に乏しく、こうした問題への対応を遅らせてきました。また、社会課題を制度により解決しようとする姿勢の乏しい日本に対し、今回の人種差別撤廃委員会の勧告は、差別禁止法の制定や国内人権機関(国内人権委員会)の設置を取り上げています。さらに、差別の実態に関する調査やそれを土台とした差別の定義の明確化も不可欠な作業です。
まず、マイノリティの被害当事者が声をあげられるような安心・安全な環境が必要ですが、その環境が不十分で声を上げられず、社会的弱者から脱せられないという実態があり、行政が間に入って被害を阻止することのできる制度構築が必要だと強調されました。視野を広げてみれば、「多様性」が日常にある社会をつくれば、マイノリティが発言できる環境保障につながる学びや社会参加、市民の意識変革が進むことから、日本は多民族・多文化社会をつくっていく覚悟が試されていると締めくくられました。
◆ 次回アドボカシーカフェ ◆
『セクシュアルマイノリティに開かれた、これからの社会』
~ダイバーシティをLGBTという視点から考える~
【日時】12月22日(月)18:30~21:00
【会場】新宿区・四谷地域センター
【ゲスト】藥師実芳さん( NPO法人ReBit代表 )
阿部裕行さん(多摩市長)
【詳細・お申込み】こちらから
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