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ソーシャルジャスティス基金助成先発表フォーラムを開催
助成先3団体を発表

2012年10月6日(土)13時30分より、東京・港区の芝浦工業大学において、第1回ソーシャル・ジャスティス基金(以下、SJF)助成の発表と講演、助成先団体の活動紹介などを行いました。

はじめに、来賓の坂本憲治氏(市民社会創造ファンド)、鈴木健一氏(神奈川子ども未来ファンド)による挨拶のあと、上村英明・SJF運営委員長が「ソーシャル・ジャスティスが拓く、日本の未来」をテーマに講演。次に、助成先発表に入り、まず、黒田かをり・SJF副運営委員長が助成団体選考の総評をしました。続いて、助成先3団体から団体の活動と助成事業の紹介、発表者と各団体の担当となるSJF運営委員による対話を行いました。また、会場からも、活発な質疑、意見などが出され、活気あるフォーラムになりました。

■講演「ソーシャル・ジャスティスが拓く、日本の未来」

上村英明・SJF運営委員長(恵泉女学園大学教授、市民外交センター代表)

私自身は、1982年に立ち上げた市民外交センターという小さな人権NGOの代表をしています。この基金の対象者の気持ちがわかるという点で、運営委員長に就任させていただいたのではないかと思います。私のNGOは先住民族の人権活動を支援していますが、ある特定の分野には、お金が流れていかないということをこの30年間経験してきました。活動の関係で、タイの山岳民族と関わっていますが、彼らの少なからぬ人たちがタイでの市民権がないために、差別を含めて厳しい生活を強いられています。しかし、こうした市民権獲得運動の支援をしようとすると、日本社会の資金援助を受けることができません。しかし、こうした民族の村に行くと、日本のODAによって購入された車があったりします。聞いたところ、貧しい山村の子どもたちが麓の学校にいくための支援という形をとると幾分かのお金が回ってくるのです。ですが、貧しさの大きな原因である、市民権をめぐる差別的な扱いを是正するような活動には一切援助は出ないのです。

その一方、昔に比べると、日本でもNGO・NPOにもかなりの資金が流れるようになりました。1989年の外務省のNGO事業補助金とか、1991年の郵政省の「国際ボランティア貯金」とかがその嚆矢でしょうか。1995年の阪神淡路大震災でNGO・NPOというものが認知され、1998年にはNPO法が制定されます。友人によれば、JANIC(国際協力NGOセンター)に流れ込んだ資金は、2007年で17億円でしたが、これを使いきることが難しかったそうです。しかし、2011年にはこれが25億円になり、それでも足りないという声が出ているそうです。これは、多くの公的なあるいは企業を通してのお金の流れが市民社会を認知したとみることもできますが、別の視点でいえば、NGO・NPO活動が体制の一部に取り込まれたということができます。よく、お金には「色」がついていないといわれますが、私の経験からいえば、やはりお金には「色」がついているのです。政府からのお金あるいは企業からのお金は、どうしても一定の方向性、つまり彼らの期待するあるいは希望する枠内での活動にしか回らず、そこに収まらない団体や活動にはさまざまな理由をつけて回らない構造になっています。

こうした「色」がついたお金に依存することは、活動分野が限定されることで、NGO・NPOの多様性、自立性を弱め、それは市民社会自体の活力を削ぐという問題につながります。SJFの応募要項にあります「見逃されがちだが、大切な問題への取り組み」とは、現在の日本社会の一般的な体制の中で見逃されがちな課題とそれを改善するための政策提言、つまりアドボカシー活動の重要さを指摘しています。むしろ、体制の中で、あるいは政府や企業の視点から無視される課題に対して、オルターナティブな提案、社会を変える提案を積極的に支援したいというのがSJFの目的になっています。まさに、多様な、本来の市民社会の形成に向けて、新たなお金の流れを作ることが重要なのです。

新たな市民社会の形成を目指すといえば、極端な場合、突拍子もない運動になることもあります。今年は、米国の大統領選挙の年ですが、市民外交センターでは、前回2004年の大統領選挙でブッシュ大統領の再選を阻止するための国際的インターネット投票を、韓国のNGOと共催で呼び掛けました。民主主義というものは、自らの生活に関わることを市民が自ら決めるという制度です。現在、日本も韓国も世界中の国々が米国の影響を大きく受けています。とくに、ブッシュ大統領の影響を受けて、日本も海外派兵などをなし崩しで拡大してきました。米国の大統領はグローバルな影響力を持っているにも関わらず、米国国民にしか投票権がなく、意見をいうチャンスもありません。私たちはこの国際投票を、グローバルな形で民主主義をつくりだす新しい試みとして取り組んだのです。これに対し、日本のメディアなどはほとんど関心を寄せませんでしたが、こういう試みも現在の助成制度では対象となりません。これは極端な例ですが、NPO法制定の牽引車も市民団体側の中心となったシーズであった例もあります。その意味では、従来の助成活動のような「現場で、目にみえる活動」だけが市民活動ではありません。社会を変える政策を作る、制度を動かす、その実現の活動をするための市民活動に資金の流れをどう作れるかは、日本の市民社会の重要な課題であると思います。とくに、3.11の東日本大震災、原発事故を経験して改めて大きな課題だと認識された方も多いのではないかと思います。SJFは、今回の助成総額はまだ200万円に過ぎませんが、これまでお話してきたような意味で、大切な試みであることを実感しています。

この夏、オーストラリアに行ってきました。独立したのが1901年と、アボリジニーのこと以外では、歴史も伝統も浅い国ですが、ベトナムとかバングラディッシュとか、さまざまな国からの難民や移民を受け入れています。たまたま乗ったタクシーの運転手はエジプトのカイロから自分らしい生き方を求めて移住したキリスト教徒で、移民の経緯などを聞く機会がありました。その点、この国は多様性を大事にする懐の深い社会だと思い直すことがありました。現在の日本は、グローバル化の流れに巻き込まれる形でタイムスパンの短いことだけが注目されています。しかし、長いスパンで見れば、多様性の保障される市民社会は活力のある、住みやすい社会になるのだと思います。画一的な経済や画一的な発想だけで成り立つ市民社会には、本当の意味で未来はないのだと考えます。

ただし、改めて運営委員長として申し上げますが、SJFがベストの形ではありません。本来なら多様なNGO・NPO活動を市民一人一人がその判断で支援していかなければなりません。一番良い形は一人一人の市民が多様な活動に、安定的に関わっていける社会を作ることです。しかし、残念ながら、日本ではまだその基盤がまだまだぜい弱です。SJFはその点では、ベストではなく、セカンドベストな活動だと思いますが、いわゆる「見逃されがちな」視点から、多様性の尊重される、活力ある社会を実現するために、長期的な展望を持ちながら、市民社会の構築に貢献していきたいと考えています。

■公募助成の選考について総評
今回の公募および助成団体選考審査について、黒田かをり・SJF運営副委員長が説明と総評を行いました。
<公募について>

第1回の助成は、総額200万円(1案件の助成上限は100万円)として、次の2つの助成テーマを設定し、7月2日から31日まで公募しました。

公募テーマ1;「原発事故による社会的弱者の支援」に関するアドボカシー活動
公募テーマ2;「見逃されがちだが、大切な問題に対する取り組み」に関するアドボカシー活動

テーマ1に挙げた「原発事故」については、SJF(準備会)では昨年、このテーマに関連して「子ども」「予防原則」「情報公開」の3つの視点で3回のアドボカシーカフェを行い重視してきた課題として設定しました。テーマ2は、社会的弱者への対応、不公正の是正というようなアドボカシー活動への支援策が日本社会でほとんどないという現状から、設定しました。

アドボカシーカフェ(仮称)は対話型のワークショップで、ステークホルダーや関心もつ市民と問題を提起する方との対話を通してその問題の認識を深める会議の手法です。SJFでは助成を受けた団体は助成事業についてのアドボカシーカフェへの参加を条件としています。
応募件数は、公募テーマ1が4件、公募テーマ2が22件の、計26件でした。テーマ1の応募が少なかったのは、被災地への広報活動が不十分であった、被災に対する後方支援ができていないため応募する余裕がないなどが考えられます。テーマ2では、非常に多様な分野からの応募があったことから、このような市民ファンドに対する社会的必要性が高いことが再認識できました。

<審査について>
審査はSJF運営委員による審査委員会で行い、8月28日の第1次審査(書類審査)では、26件から5件を選定し、9月28日に第2次審査(面接審査)を行いました。審査方法について、初年度の今回は運営委員会が代理しましたが、来年度以降は第三者による審査を行う予定です。
審査は、応募要項にあるように助成金が有効に使え、団体に目的達成の力量が認めらるなどを基準に選考しました。その結果、テーマ1では残念ながら、該当団体がありませんでした。アドボカシー活動に助成金を有効に使えるか、被災地の地元の団体との連携ができているか、という点で不十分ということになりました。

テーマに2は、レインボープライド愛媛、NPO法人監獄人権センター、(仮称)オルタナティブ教育法」を実現する会の3団体を選出しました。今後、助成期間においてそれぞれの助成先団体にSJFの運営委員が担当者として付き、助成事業を支援し、資金提供にとどまらず、社会的な対話型議論などを通して社会変革に結び付けていけるように進めていきます。

■助成決定団体活動・助成事業紹介と対話
 各助成先団体から、これまでの活動および助成事業についての紹介をいただき、団体の担当者となったSJF運営委員との対話、会場の参加者との質疑応答、意見交換を行いました。

1)レインボープライド愛媛(愛媛県松山市)
発表者;代表:江戸氏
 同性愛や性同一性障がいなど、様々な性的マイノリティ が自分らしく活き活きと生活できる社会を目指して四国・松山で活動中。当事者に対する偏見が根強いなか「多様性を認めあう誰もが生きやすい社会」実現のため、社会や行政・教育機関などへと働きかけを行っています。性的マイノリティについてはLGBT(ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダの頭文字)と表現する場合もあります。

◎助成事業;地方都市・松山における性的マイノリティの理解を目指す社会対話の挑戦


(レインボープライド愛媛江戸さんと轟木)

<対話>
担当者;轟木洋子・SJF運営副委員長
Q(轟木).センシティブな問題で、社会がどちらかというと避けて通っている問題だが、松山市とどのように関係づくりをしましたか。
A(江戸).最初役所に行ったときには、相手にしてもらえなかったが、何度か行くうちにほっとけなくなったのか、行政と取り組むためには段階をつくったほうがいい、こうした方がいいと教えてくれて、その通りにしました。NPOではないけど、松山市に登録された団体です。
Q.世田谷区では性同一障害の上川あやさんという区議が誕生したり、世の中全体も変わってきてるのかなと思うが、四国ではどのように理解されていますか?
A.LGBTの人は四国にはいない、東京や大阪にしかいないと思っているような段階で、遠いところの出来事のように思われています。
Q.テレビでは性的マイノリティの方が活躍しているが、それは一般的な性的マイノリティにとってプラスなのか、それともマイナスなのでしょうか?
A.ホモネタは当然笑うべきところというお笑いネタのように扱われています。各放送局、放送基準に「性的マイノリティに配慮するように」という一文がある。それでも、あのような扱いで、報道関係の配慮はまだまだだと思います。
Q.そういう風に流れると、「やっぱりあいつらおかしいよな」と刷り込まれてしまい、子ども達への影響が心配。教育委員会と取り組まれていると聞きましたが、学校ではどのようにLGBTについてどのように教えているのですか?
A.先生方に聞くとほとんど教えていない。学校の先生向けの講演をよく行うのですが、たくさんの生徒を送り出したが20人に1人の割合でいるとは思わなかったと言われる。5~6%という出現率はクラスに一人いるはずということになるが、理解はまだまです。
小学生の親御さんにお話したときには、今後のために聞いておいて良かったと言われた。自分たちの知らない世界を分からせてもらえるのは大変ありがたいと言われました。
Q.すごく上手に活動している感じがするが、これまで上手くいかなかったことなどもありますか。
A.当事者がなかなか公の場に出て来られない。ブログを書いたりしているが、僕にメール送るのに2年、3年かかったりという人もいます。
Q.セクシャルマイノリティの方の自殺率が高いと聞く、また就労・年収の低さの問題があるとも聞きます。
A.異性愛者よりも自殺率が4倍くらい高いという統計もある。自己肯定感が幼いころから持てない。自己確立も難しい。 結婚して、子どもを持って、家も持てば幸せでしょ、成功でしょといわれるが、私たちはそれに当てはまらない。私も会社で上司に「お前も結婚さえすればな」と言われる。そして、結婚した人が出世していきます。でも、先輩がこうやって考えたらいいよ、こうやって乗り越えたなどという事例があれば伝えていけます。

<会場との質疑応答>
Q.行政との関係でうまくいかなかったことや今の課題は?
A.自分自身が悪いんだから忘れていこうとしていることもあるが、当事者がなかなか参加できないことです。ブログも発信しているが、それを2、3年読んでいてもメールで返信できず、3年たってようやく自分から書いてみようという気になったといわれたこともある。意識変革にいたる時間的な長さと難しさがあります。
Q.セクシュアルマイノリティは自殺率が高い、職業選択時の困難さ、年収の低さがあると言われたが、具体的にどんな状況か?
A.同性愛者の自殺率は6倍くらい高い。自己肯定感を幼い時から持てない体験が多すぎる。一般のルートから外れているということが自分自身でも刷り込まれる中で板挟みになって悩んでいます。

2)NPO法人監獄人権センター(東京都千代田区)
 発表者;事務局・松浦氏
刑務所、拘置所での被拘禁者の人権問題に関心を持った弁護士が中心となって1995年から活動しています。今回の助成は「受刑経験者が社会復帰しやすい環境を実現するために、福祉団体、更生保護団体、ホームレス支援団体、生活保護申請支援団体等の市民団体の経験を共有する意見交換」と、その政策提言基盤整備事業を対象としています。

◎助成事業;刑務所出所者の社会復帰を促進するための包括的な政策提言基盤の整備


(監獄人権センター松浦さんと辻)

<対話>
担当者;辻利夫・SJF運営委員(認定NPOまちぽっと事務局長)
Q(辻)昔と比べて、最近の監獄の状況はかなり変化していますか。
A(松浦)受刑経験、拘置所経験のある方からのお話では、2006年に旧監獄法の改正があったが、実際にはほとんど変わらなかったといいます。
Q.リーマンショック以降相談件数が増えたということだが、具体的に教えてください。
A.監獄人権センターは刑務所内の人の処遇状況を良くすることを対象としているので、刑務所を出た人から相談を受けるというのは想定外だった。出てしまったあとは、刑務所の中の嫌な記憶を早く忘れて社会生活を立て直したいということから、刑務所に関係するところに相談するという発想はなかった。しかし、最近は頼る所がどこにもなくて、専門外だと分かっているのだがといって、監獄人権センターに相談に来る人が増えています。
Q.監獄人権センターの活動が認知されてきているということですか。
A.そうだといいが、おそらくネットの発達で情報のアクセスが用意になったからだと思います。
Q.社会復帰支援の活動はいつから始めたのですか。
A.具体的な活動は昨年度からだが、団体発足当時16、7年前に作られた設立趣意書に社会復帰支援を行うということは書かれていた。ただ、旧監獄法の時代は受刑してしまうと弁護士・家族以外は連絡が取れないという制度だったので、いつ刑期を終えて社会復帰するという情報すらなかった。2006年に法改正があって、以前よりは刑務所の中と連絡が取りやすくなったということで社会復帰支援のニーズが顕在化してきた。そこで、受刑中の方に社会復帰後の情報をどう届けるか、それを出来るのは監獄人権センターだけなのではということで冊子を作って活動を始めた。社会復帰後の支援はその発展系と考えています。
Q.大阪市では橋下市長の影響もあってか、薬物中毒者や性犯罪者などに対する厳罰化・社会からの隔離という流れがあるが、そうした新しい状況が出ていますか。
A.市民一人一人の中で厳罰化への思いは強まっています。橋下市長を拍手して受け入れる迎合的な世論の高まり、そして経済状況が悪くなる程そういう風潮は高まる。一部のマスコミも煽っています。
Q.以前は出所した人の社会復帰を受け止めようという風潮が地域にあった。しかし、最近は保護司のなり手も少なく、地域も受け止めるような雰囲気がなくなった感じがします。
A.刑務所を出た方を受け入れる国立の施設を作ろうという動きがあるが、地域住民から迷惑施設扱いや反対運動が起きる。どこの地域でも同じような状況が予想される。一方で犯罪者と言われる人たちを地域で受け入れなければいけないかを粘り強く保護司さんと訴える活動もある。そういったところにもっと予算が流れれば良いのではないでしょうか。
Q.保護司さんの活動に市民運動が連携をとるということは少なかったと思うが、シンポジウムを通して今後どのような関係を作っていくのですか。
A.どなたが保護司なのかという情報を得るのも難しいので、今まで保護司さんとあまり接点をもてていない。最近、社会復帰のための冊子を作ったりしていると、そういった方々と接触できる機会も増えてきた。今度のシンポジウムではビッグイシューさんが広報協力してくれる。今はまだネットワークといえる状況ではないので、まずネットワークにしていきたい。

<会場からの質疑応答、意見交換>
Q.入国管理局所管の移民・難民のセクシャルマイノリティーの支援をしている。いま、ニューハーフが入国管理強化でどういう扱いを受けるかを調査しているが、留置場では男性房・女性房という分け方をされていてセクシャルマイノリティーの視点がないように思う、刑務所の中はどうなのでしょうか。
A.刑務所は男性房・女性房ではなく、女性刑務所・男性刑務所をわかれていて、基本的に戸籍上の性別で振り分けされる。しかし、最近若干改善されていて、たとえばヘアースタイルなどや入浴の時に性転換していることが公の面々に知らされることがないように配慮をしなさいという通知がだされている。しかし、同性愛者だとわかると独居房にいれたりという現状もあります。
Q.犯罪の起こらないですむ社会とは?反対をしなくてもすむ社会とはなにか。
A.寛容な社会のあり方というのが一つのキーワード、いろいろな条件をつけて排除をしていくというシステムではどんどん排除される人が増える。刑務所生活を経て無年金の方がいる。刑務所が全額免除申請していれば、加入期間に反映されるのに、無年金になってしまったりしている。そういった方たちを救済することも必要ではないかと思います。
Q.なぜ犯罪者に私たちの税金を使って救いの手を差し伸べなければいけないのか。
A.恐らくそのような声は多いと思います。もちろん、犯罪者と言われる人たちの人権も守らなければいけないと説明するんですが、それだけではなくてその人たちの人権を守ることで、社会の回りの人たちの人権も守られて社会環境が改善する。例えば再犯の防止につながったりします。
Q.今回、SJFで助成を受けてどのように感じ期待していますか、またこれからどのような関係性を作っていこうと思っていますか。
A.社会的な価値として社会復帰の問題/受刑者の人権を守るということを認めてもらうことに期待します。SJFが大きくなっていけば、社会的影響力も強まるので、そういったネームバリューにも期待する。対話をする機会を与えていただけるということなので、どうやったら犯罪のない社会を作っていけるかなど話し合っていきたい。

3)「多様な学び保障法」を実現する会(東京都北区)
(旧「(仮称)オルタナティブ教育法」を実現する会)

発表者;事務局長・中村国生氏
「子どもの多様な学びを実現するための立法」を目指したネットワーク型の団体。フリースクールやシュタイナー教育、デモクラティックスクール、外国人学校、インターナショナルスクール、ホームエデュケーション等、既存の学校に通う以外の、多様な子どもの学びの在り方、育ち方を公的に認め、支援を求めるための活動を行っています。多様性を認め尊重する社会づくりを目指しています。

◎助成事業;子どもの多様な学びを実現するための立法を目指す活動


(多様な学び法の中村さんと樋口)

<対話> 担当者;樋口蓉子・SJF運営委員(認定NPOまちぽっと副理事長)
Q(樋口)立法して行こうというのは、20数年間の活動の中で必要性を感じたからだと思うが、フリースクールにやってくる子ども達の変化についてうかがいます。
A(中村)不登校の推移は2000年代から高止まり。フリースクールも不登校の子どもが増えるにしたがって増えたが、2000年代になると、フリースクールも増えないし、子ども達もフリースクールになかなかたどり着けないようになってきた。教育行政や学校も不登校者にいろいろなサービスをするようになってきて、子どもたちにスクールカウンセラーを用意したり、教育相談にのったり、特別支援学校に振り分けられたりもしている。そういったところに子ども達が吸収されて、はたして学習権の保証になっているのかというと、結局は今のシステムの中では子ども達は問題児と見なされている。学校教育法しかない限界を感じている人たちも多いのではないかと思います。
Q.フリースクールだけでなく、外国人学校、シュタイナー教育など違った学校教育と連携をとって活動していこうとしていますね。
A.いろいろな団体がいろいろなニーズに応えて誕生している。そういった多様なニーズから生まれるものが学校以外になってしまっている。教育というのはお金がかかるため、金銭的に支えられないという共通の問題がある。そういった所でつながりありました。
Q.議員立法の内容はつめられているのですか。
A.おおよその骨子は出来ている。フリースクールの議員連盟は以前からあって、そういったところを中心にロビー活動を始めている。今のオルタナティブ教育法では、議員さんからカタカナは法律になじまないと言われてしまった。日本国中の子ども全員に広がりを持たせるために、明後日の総会で「子どもの多様な学びの機会を保障する法律」と変える予定です。次の通常国会には、この立法のための議員連盟が成立しているようにしたい。
Q.お話の中で世論の支持も必要とおっしゃっていたが、どのように世論に訴えていくのですか。
A.子どもの学習権保証というのは、オルタナティブな教育に当てはめる法律ではなく、
学校に行っている子どもたちの学びも支える意味がある。学びたいことを学べるように学校の中でしてくださいと言えるようにしていく。そうするとつながる範囲も広くなり、学校関係者・教員ともつながっていけると思っています。そして各地で学習会をやっていき、地域でつながって、熟議のような形で広げたい。そこに議員さんも入っていただく。
Q.立法は政府の助成金がフリースクールなどにも流れてくるようにすることが一番の目的ですか。
A.何よりも子どもが多様に学んでいく機会を選べる、学習者である子どもに学習支援金みたいなものが支給されて、それを使っていろいろな学びの場を自分で選べることが、現実的だし子どもにとっても望ましいと考えています。
Q.ということは、子ども手当みたいなものになりますか。
A.そうですね。高校無償化と似たような仕組みだと思っている。ただ、高校無償化は家庭や子どもにお金が入るのではなく、学校に入る。子どもが選んだ場所にお金が入るわけです。

<会場からの質疑応答>
Q.この法を作ることによって何を獲得目的とするのか。
A.フリースクールにも公費が回ってくることを望むが、むしろ私立高校就学支援金が子どもに給付、支払われる無償化のようなものを考えている。子どもが学びの場を選べることが大事で、六甲のラーンネットコミュニティスクール、高円寺コミュニティスクールなど素晴らしいスクールがたくさんあります。

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◆ 開催時情報

9/29:助成団体を公表しました。
9/21:入場無料となりました!


(クリックすると PDF が開きます。)

日本で初めての、社会変革型市民ファンド 「ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)」 は、
たくさんの皆さまに 『いまは見逃されているけれども、社会にとってとても大切な問題と、
その解決に努力している団体』 を知っていただき、希望ある日本を一緒に創っていくことを目的に、
第1回助成発表フォーラムを、3つの助成団体をお迎えして行います。ぜひご来場ください!

■ 日 時: 10月6日(土)  13:30~16:00 (開場13:00)
■ 場 所: 芝浦工業大学 芝浦キャンパス801教室 (港区芝浦3-9-14)
JR山手線・京浜東北線 田町駅・徒歩3分、地下鉄三田線・浅草線 三田駅・徒歩5分

■ 当日のプログラム
・講演 「ソーシャル・ジャスティスが拓く、日本の未来」
上村英明(恵泉女学院大学教授、市民外交センター代表、SJF運営委員長)

・助成先団体の紹介と対話
2012年度 助成決定団体  https://socialjustice.jp/p/fund/fund_group/
レインボープライド愛媛 (テーマ;LGBT)
NPO法人監獄人権センター (テーマ;受刑経験者の社会復帰)
「(仮称)オルタナティブ教育法」を実現する会 (テーマ;多様な学び)
SJF運営委員
黒田かをり (CSOネットワーク事務局長)
轟木洋子 (財団法人国際草の根交流センター事務局長)   ほか

■ 参加費: 無料(会場でのカンパにご協力ください)

■ お申込
https://socialjustice.jp/201210.html

またはメールで →  info[a]socialjustice.jp  ([a]を@に変更し送信ください)
または、お電話かFAXで → TEL:03-5941-7948  FAX: 03-3200-9250
お名前、ご所属、電話番号、メールアドレス を お伝えください。

◆ お問合せ;ソーシャル・ジャスティス基金(認定NPOまちぽっと)  担当;奥田
■ チラシはコチラ 

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