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――ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)の助成は、公正な社会を実現し希望ある未来を創造することを目的として、社会課題の原因を改善する新たな制度や仕組みを社会提案する市民のアドボカシー活動を、資金と社会対話の両面から支援するものです。第3回となる今回は、37団体より応募いただき、書類審査と面接審査により4つの助成先を決定しました。いずれも、たいへん重要だが見過ごされやすい社会課題に、地道に真剣に取り組んでいるアドボカシー活動です――

【助成期間】 20151月から201512

【助成総額】 300万円

【助成テーマ1】子ども・若者の未来に関する取り組み=
            ※テーマ1株式会社日本財託より指定寄付をいただいております

「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」による
大学・高校進学における外国人特別枠の設置・拡充にむけたアドボカシー

(助成金額 80万円)

 ◇事業の趣旨: 日本人と外国人の進学格差を是正することを目的とする即効性が期待できる対策。経済的不安定を背景とする進学格差を是正することは、子ども世代の貧困の再生産という貧困の連鎖を断ち切ると同時に多文化社会形成にもつながる。

 ◇選考概要:

・国立大学改革という今のタイミングは、特別枠をグローバル対応の一環にできる好機である点、また、アファーマティブアクションの重要性を鑑みた。
・働きかけ先として、①国公立大学(茨城大学など)に直接②高校の特別枠率が低い東海地方教育委員会にシンポジウムをきっかけにした要請行動③国政レベルでの省庁交渉④多文化共生議連⑤大学改革管轄の文科省⑥市民社会を具体的にあげ、事業が明確である。
・重要な課題を地道に取り組んできており、その成果としての説得力あるデータに基づいた省庁・議員などへのアドボカシー活動が期待できる。
・国政レベルで与党をどう巻き込んでいけるかがポイントだが、SJFが支援することにより、同じく支援してきた多様な学び保障法を実現する会との連携をとりもち、より効果が発揮できるアドボカシー活動になることが期待できる。

 

「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」による
児童・青少年向け人身取引被害者のための専用サイト/アプリ開発プロジェクト

(助成金額 80万円)

 ◇事業の趣旨: 日本で唯一の人身取引被害者専門のホットライン事業を有する団体であり、事業の背景として、近年子どもの性的搾取被害が増加しているが、取り締まる国内法は未整備であり、人身取引に対する取り組みは社会的・法的・文化的に先進諸国に比べて著しく遅れている点がある。被害の早期発見・被害者の早期救済のため、訴求力のあるコンテンツと広報機能を強化し、ホットライン事業がこれを支援する。

 ◇選考概要:

・手つかずの分野だったが、JKビジネスなど児童買春の温床を、人身取引だと捉え、明確な人権擁護の視点が評価できる。
・スマートフォンのアプリで性的搾取に取り込まれるのであれば、逆手にとって、そのアプリで対抗するという戦略のもと、事業内容が明確で、人材面からも実効性が期待できる。
・アプリ開発をもとに、高校生のインターンやボランティアチームとの連携、LINEを良い方向への活用した口コミなどを通じて、事業対象者である①子ども②子どもと接している大人(学校関係者・NPO団体など)③メディアなどへアピールする効果の高さを評価するとともに、社会対話を支援する意義も期待できる。
・事業により相談してきた被害者への支援体制について、専任者がいる点も評価できる。

 

【助成テーマ2】原発事故による被害者支援=

「市民科学者国際会議」による
放射線防護について情報・知見・取り組みを、市民と科学者が共有し、共に次の一歩を模索していくための第5回市民科学者国際会議の開催

(助成金額 80万円)

 ◇事業の趣旨: 低線量被ばくによる健康影響を示す新たな研究が多数発表されているが、社会的に知られておらず、立場の違いから政府機関に正式には取り上げられることもない。本国際会議は、正答のない現状で、政府や企業から独立した科学的知見と市民の視点に基づいて放射線の健康影響を再評価し、総合的な意思決定に寄与することを目的とし、被害者保護と放射線防護対策のプロセスを確立する。

 ◇選考概要:

・放射線の健康影響に関して、科学者自らが市民として結集し、政界・財界等からの圧力に対して独立性を保ちながら、世界の最新の科学的知見を集め、市民と共有し、社会化していく取り組みの重要性を評価する。
・正攻法を地道に続けており、学際的に研究者の知見を集め、当事者や支援NGOとも連携し、分断されてきた様々な活動や研究が総合的な視点でとらえられることに期待する。
・被災地の人たちも活動に参加しており、福島住民の社会的問題の解決に貢献する大きな力になることに期待する。
・SJFとしては、活動が社会システム・新しい政策の転換により直接的に寄与することを切望するが、政府委員会委員である専門家や関係省庁の官僚も巻き込むという課題を自覚している点で、これを支援したい。

 

【助成テーマ3】見逃されがちだが、大切な問題に対する取り組み=

「生活保護問題対策全国会議」による
生活保護基準の引下げを阻止するとともに生活保護の捕捉率100%を目指す事業

(助成金額 80万円)

 ◇事業の趣旨: 生活保護利用者は、高齢・障害・傷病・母子など社会的・経済的に弱い立場におかれ孤立しがちだが、昨今のバッシングの影響で偏見が強まり更に声をあげづらい立場となっている。生活保護基準の引き下げに対し当事者とともに抵抗し、さらに当事者の声を社会に届けること、および正確なデータに基づく生活保護制度についての正しい理解を市民の間に広めることは、人権保障の重要な活動であり、低所得者救済策と連動して国民経済全体の底上げにもつながる。

 ◇選考概要:

・格差が重大な社会問題となっている中、生活保護という重要なテーマに真正面から取り組み続けている活動に助成の意義を見出す。
・関西および東京で、市民の声を集めながら、精力的かつ柔軟に活動する一方、日本弁護士連合会の貧困問題対策本部のメンバーであるほか、多様な活動団体との連携が続けられている。受給者を中心とする市民の声を集めながら実施するロビイングの実績を評価し、今回の事業の成果に期待する。
・生活保護制度は名実ともに、この国で暮らす全ての人の最低生活を支える制度であり、人権とくに社会権の基盤的な制度である。現在の不当なバッシングに対し、制度の内容を周知させ、その役割に関する偏見を取り除くキャンペーンの実施は、不正義な社会制度改革への対抗として評価できる。

 

◇◆◇新たに助成対象となった事業は、今の日本がかかえる課題、重要にもかかわらず見過ごされがちな課題を、多様な切り口から提示しています。SJFは助成発表フォーラムを設け、皆さんとこれらの課題を共有し、今の社会情勢のなかで問われる社会正義とアドボカシー活動の役割について対話します◇◆◇

=ソーシャル・ジャスティス基金(SJF) 第3回 助成発表フォーラム2015=

◇◆◇率直なご意見やご質問、大歓迎です。ぜひご参加ください。詳細はこちらから。◇◆◇

 

 

 

 

 

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