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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第8回助成

ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム実行委員会
SJF助成事業中間報告(2020年6月

 

団体概要 

 このフォーラムは、ジャーナリストを目指す日本と韓国の学生が集い、それぞれの問題意識を共有しながらジャーナリストとしての視点を学んでもらおうと、新聞や放送の現役・OBの記者が中心になって始めました。第1回は2017年11月に韓国ソウルで開催。以降2018年8月に第2回の広島、2019年の2月に第3回を沖縄、5月に韓国の光州で実施、それぞれ日韓が抱える問題のスポットを巡り、関係者の話を伺いながら、議論をし合いました。このように活動は、現地での数日間のフィールドワークが中心で、年に1,2回の実施を目標に実行委員会もボランティアとして企画の立案・準備にあたっています。

 

助成事業名ジャーナリストを目指す日韓学生フォーラム  

 本事業の目的: 日韓両国の現代史の現場を訪れて、双方の抱える歴史を学び、若い目で感じたことを議論しあいます。私たちはジャーナリストの原点は「平和と人権を守る」ことにあると考えています。こうした場を通じて学生たちが将来ジャーナリストとなって、日韓の架け橋となれるような視野を育んでもらえればと思います。フォーラムを1年に1,2回実施するとともに、学生たちが毎回「週間金曜日」の紙面で報告の文章を書き掲載してもらう試みも続けていきます。

 

事業計画 

■第5回フォーラムの開催
2020年は1月29日~2月2日に4泊5日で九州の筑豊・水俣を回るフォーラムを実施しました(次項目で詳細記入)
■当初の事業計画では、
①こうしたフォーラムの報告集や、映像をまとめてDVDを作成し、配布していくこと。
②第6回を夏をめどに韓国で開催すること。
③フォーラムのホームページを立ち上げ、こうした活動を広く知ってもらうこと。

 

助成金額 : 100万円

助成事業期間 : 2020年1月~2020年12月

実施した事業と内容:  

■第5回フォーラムの開催
2020年は1月29日~2月2日に4泊5日で九州の筑豊・水俣を回るフォーラムを実施しました。韓国から4人を含め25人の学生、それに現役・OBなどの記者も19人が参加しました。
筑豊では、エネルギー国策として興隆を誇った炭鉱の遺構だけでなく、そこで働いていた朝鮮の人たちの通ったという「アリラン峠」や墓地などにも足を運びました。水俣では、その美しい海が広がる地でいまなお水俣病に苦しむ胎児性の患者の方々の話を伺い、何十年も継続して取材しているジャーナリストからアドバイスも頂きました。
学生たちは、自分たちのやり方で取材し、連日遅くまで議論を交わしていました。
韓国からは前回のフォーラムの参加者で、今回、兵役につく直前にフォーラムに一部参加した学生もいて、軍隊があり兵役の義務のある韓国の若者の実情を身近に知り、そこから参加者同士の国を越えた交流を実感しました。若い人たちの感じる力、こうした体験がジャーナリストとして欠かせない「他者への想像力」に繋がっていくであろうという期待があります。

250SJF20190723
(写真上=第5回のフォーラム。2月1日に訪れた水俣市の不知火海。水俣報道を続けてきた元熊本放送のTVジャーナリスト・村上雅通さんからお話を伺った。)

 

助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望   

【Ⅰ】次の5つの評価軸※)それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか(自力での解決が難しい場合、他とのどのように連携できることを望むか)。

※この評価軸はソーシャル・ジャスティス基金がこれまでの助成事業の成果効果を分析した結果、アドボカシーを成功に導く重要な評価軸として導出した。

(1)当事者主体の徹底力
 このフォーラムは、現役・OBのジャーナリストが、ジャーナリスト志望の学生たちと一緒になって作り上げていく、いわば現在と未来をつなぐ活動です。今後は、フォーラムの企画段階から学生たちにより主体的に関わってもらい運営していくことが課題になります。

(2)法制度・社会変革への機動力
 なぜこのようなフォーラムを企画したのか。それはメディアを取り巻く危機感があるからです。安倍政権になってからのメディアコントロールは、一方でマスメディア自身の「忖度」という形で共謀関係にあり、多くの市民から信頼を失っています。さらにヘイトスピーチやフェイクニュースなどメディア・言論の劣化が指摘されています。
日韓についても、嫌韓ブームや歴史修正主義などで相互不信が高まっています。こうした状況だからこそ、これから「志」と「他者への想像力」を持ったジャーナリストの育成が急務ですし、そうしたジャーナリストが少しでも増えることで、権力の監視というジャーナリズムの基本の機能を回復できると考えています。このフォーラムに集う学生たちに私たちは希望を託しているともいえます。

(3)社会における認知度の向上力
 フォーラムは5回を数え、10人以上の学生が新聞社・放送局に就職し、記者やディレクターとして全国各地で飛び回っています。フォーラムでの経験がどのように活かされ、社会へ還元されていくのか楽しみなところです。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)
 ジャーナリストが対峙するのは、短絡化すれば権力です。その最大の権力、国家権力が行きつく先の権力行使が戦争です。逆にジャーナリストが共闘するのは権力の行使を受ける私たち1人1人なのです。そこの部分を基軸に持っている人たちが、このフォーラムを運営しています。

(5)持続力
記者になってからも多忙な中、フォーラムに参加する人もいれば、このフォーラムをきっかけに韓国の参加者と親友になり、留学した人もいます。就職先は違っても同期であったり、後輩であったり・・フォーラムで出会い、ジャーナリストの道を歩き始めた人たちという、財産がこのフォーラムを持続する力になります。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

社会的な要因については【Ⅰ】-(2)でも述べましたが、新自由主義の元派生してきたポピュリズムに対する危機感も、この活動の根底にあるといえます。

 

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。
 かつてメディアの世界は学生の志望も多く人気もありました。いまはメディア・それもジャーナリズムを目指す学生は激減しています。メディアへの失望や、きつい仕事に就きたくないといった最近の学生資質なのかもしれませんが、フォーラムでは、そういった若い人たちにも、ジャーナリストという仕事のやりがいを伝えていければと思います。言葉が躍りますが、ジャーナリストは民主主義の戦士です。その戦士を一人でも多く送り出していくことが、フォーラムが果たす社会貢献だと考えます。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。
 ジャーナリストは何より現場へ行き、現場で人に話を聞かなければなりません。フォーラムもその実地体験の場です。ではどこへ行くのか、
そのきっかけは例えば、今回一緒に基金を受けることになった諸団体との連携からも生み出せるのでないか。そうした問題について学生たちと一緒に考えてみたらどうだろう、と思いました。ジャーナリストとして取り組む課題は、至る所にあるのです。

 

今後の事業予定:
■第6回、この夏の韓国開催については今の段階で入国できたとしても2週間隔離が必要で、現状では中止を考えています。コロナでの日韓の入国制限が解除になった時点で、検討することになります。
■それに代わる企画として、ズームを使っての日韓学生の交流イベントのようなものをこの秋をめどに開くことができないか、検討を始めていくことにしています。
■フォーラムの活動を広く知ってもらうことと、参加した学生たちが常時情報を発信できる場として、ホームページの立ち上げをしていきたいと思います。ホームページの製作には学生に中心的になってもらい、そのためのメンバーを募集していきます。
■フォーラムは、これまで事務局のようなものがありませんでしたが、
連絡や事務作業、それにホームページ業務などのために場所の確保が必要です。JCJ(日本ジャーナリスト会議)の事務所に常駐ではなく、いわば間借する形で事務局を置くことを検討しています。

 

 

 

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