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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)アドボカシーカフェ報告

 

◆ 今後の企画   ~ご参加募集中~  

『ソーシャル・ジャスティス基金 2013年度助成 発表フォーラム1019 
詳細やご参加受付はこちら  
http://socialjustice.jp/p/20131019/

国家秘密と情報公開 ―― 特定秘密保護法案は、秘密のブラックホールか!
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24日 アドボカシーカフェ第20回
 
詳細やご参加受付はこちら  http://socialjustice.jp/p/20131024/                  ◆


『働く世代の貧困問題と生活保護法改正』

   2013924日、文京シビックセンターにて、SJFは第19回アドボカシーカフェを「生活保護と日本の貧困問題」をテーマとする2回目の企画として開催しました。会場では、どういう社会に日本はこれからなっていくのかに思いを馳せつつ、自らの問題として考え取り組む端緒をつかもうとする真摯な対話が繰り広げられました。

 

◆ 当日プログラム概要 ◆

   ◇ 川村 遼平さん(NPO法人POSSE事務局長) の提言
  ケーススタディ/なぜ生活保護が攻撃の的に?/二法案をどう評価するか/どんな社会を目指すのか?

  ◇ 嘉山 隆司さん(元 新宿区福祉事務所ケースワーカー)のコメント

   ◇ 参加者のグループディスカッション

  ◇ ゲストとの対話

  ◆ モデレーター 辻 利夫(SJF運営委員)

 川村さん0          嘉山さん0
川村遼平さん         嘉山隆司さん

  映像アーカイブとともに報告します(以下敬称略)。◆    

~ 若者の労働・貧困相談を年間1千件超うけて見えたことは ~

  生活保護の申請を受理する手前―“水際”で強硬に跳ね返す“作戦”と闘ってきた。NPO法人POSSEは、生活保護申請に何度も行っていながら受け付けてもらえなかった人たちの申請に同行し、行政の対応を改善させてきた。

  生活保護を申請する権利を侵害している実態がある。京都府舞浜市では、申請書に定型の書式のないままで、窓口に提出した申請する文書を忘れ物扱いして追い返す事例があった。情報公開請求をしたところ、相談してきた人に対し申請を受理したのは15%程度だった。東京都大田区では、適応障害の診断を受けた集団生活が困難な申請者に不適切な住居を強要する対応をする事例があり、情報公開請求をしたところ、肝心の担当のケースワーカーの発言箇所のみ黒塗りで、個人情報はそのまま出てきた。(川村)

  水際作戦で、なぜそこまで追い返そうとするのか?(参加者)

  過去3回ほど水際作戦が強まった時期があり、1回目はエネルギー政策の転換で炭鉱など山間地の労働者からの生活保護受給申請が増えたことへの対処、2回目は在日の人へのプレッシャーをかけ稼働年齢層の受給申請者を減らすため、3回目はリーマンショック後の不況で受給申請者が増えたことへの対処として申請書類を増やす形で行われ資産申告書やどこを調査されてもかまわないという白紙委任同意書まで提出を求めることが行われた。また、増加する申請事務に追われ福祉事務所じたいが過酷な労働環境となり、障害者や精神疾患者などのケアに追われており稼働年齢層の生活保護にまで手が回らず、ホームレス特別措置法を頼りに自立支援センターの利用を薦めたという実態もあった。(嘉山)

  行政処分が怖くてケースワーカーと話しにくい大阪などの事例がある。行政の裁量で生活保護を停止されると時限が不明で動きにくい。違法行為の水際作戦を含め、司法の判断にゆだねられるよう、法律の順守を求める対応で精一杯なのがPOSSEの仕事の現状だ。(川村)

 

~ がんばる若者を使い捨てるブラック企業 ~

  過酷な負荷をかけて選別/消耗させて使い切る/良心を崩壊させるといったケースで亡くなった方々がいる。どんなに頑張っても働き続けることができないのがブラック企業であり、昨日まで正社員でも親元に帰れない人は生活保護を申請せざるを得ない場合がある。(川村)

  ブラック企業がはびこる社会でフツーの仕事・生活が困難にという川村さんのお話について、多様なフツーがあることを明らかにする必要があると思う。川村さんのフツーとは?(参加者)

  まず労働時間でいうと過労死しないというのが最低ラインだ。そして、フルタイムで働いていれば、カップルで子どもが育てられることが担保されている社会であり、生活保護受給者も医療や介護などの点で自己抑制的にならずに生きていられる社会であり、まだこれからの課題だ。(川村)

  大学としては良い就職先への就職率を上げたいのが真情だが、労働現場を知る職員は稀であり学生にがんばってとしか言えない状況だ(参加者)

  ブラック企業を好きになってしまわないよう、恋愛のようには就活にのめり込まない構えを学生に薦めている。また、親の世代は長期雇用を前提として“がまんしていればそのうち認めてもらえる”という世代であり、家族に認めてもらえず子どもが自殺したケースがあるが家族に追い込まれないよう、過去と異なる現代の状況を世代を超えて家族で共有した方がよいと思う。(川村)

  ふつうのOLとして働いているが、これからの雇用はどうなるのか不安だ。ブラック企業によって弱い立場の人が厳しい労働を強制されるように弱い立場の人たちがいるから自分たちが利益を受けられるという社会は問題だ。(参加者)

  ブラック企業を見つけて行く社会的なしくみや、被害者をサポートしていくしくみ自体が重要ではないか。(参加者)

  安倍政権は海外投資家のお金をいかに日本に回すかに注力し解雇規制の緩和が検討されているが、合理的な理由の有無にかかわらず雇用側に解雇する権利がある解雇権の乱用は断固として止めたい。NPOとしては、働くあらゆる世代がつらい状況について声を上げられるよう、相談をうけた声を社会的につないでいきたい。たとえば、過労死した遺族からの画期的な「過労死防止基本法案」が次の国会で取り上げられるよう署名活動をしており、40万程集まっている。(川村)

 

~ “ゆりかごから墓場まで”ヤバイ社会保障の行くえ ~

  子育て、介護、高齢者など様々な分野で社会保障制度への攻撃が強まっており、お金を払っている人が社会保障を受けられるという商品化の発想が社会に広がっている。この中で、特に自己負担が全くなく“商品”の論理がきかない生活保護分野は“お金を払っていないのに受給できる”ということで、社会保障費削減における象徴的なバッシング対象となっている。これは日本の福祉国家度合いが後退していることを示しており、雇用の実現は社会状況等に依存し不安定なものにもかかわらず人間の基本的な生活の賃金依存度が高まっており、社会保障制度の“脱商品化”(エスピアン・アンデルセン)が縮小後退していることを示している。(川村)

  自己責任論がはびこる社会の中で、生活保護を受給する人への偏見が高まらないようにしたい。就労支援などでケースワーカーによる伴走型サポートができるとよいのではないか。(参加者)

  ケースワーカーは都市部では200世帯近くを担当している状況で多難だが、NPO等と連携し就労意欲を喚起する方向で進めてきた。福祉事務所の人件費が十分なものとなれば、十分な教育を受けたケースワーカーが家庭訪問を小まめに実施し、相談に乗り不正受給を防ぐこともできるだろう。生活保護を受けていても地域の人間関係を健全に保てる支援もよりできるだろう。また、保健師にも訪問してもらえれば医療費の申請漏れのケースは減るだろう。(嘉山)

  根本的に解決できるよう、ケースワーカーだけでがんばるのではなく、社会全体が持っている力を合わせられるよう、自分たちがどういう生き方をしていくのか考えたい。(参加者)

 

~ 生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案による支援の課題 ~

      安倍政権の日本再興戦略には社会保障に関する大きな項目はない。景気回復に一途な社会傾向の中、生活困窮者の支援は危機的な状況だ。

  生活保護法改正案に関し、受給申請に際する書類提出の要件化が盛り込まれていることは記者会見も行われず、市民団体や弁護士有志が公開前の条文を入手し確認して初めて気づくことができたもので隠蔽的なことが行われていたといえる。また改正案には、扶養の事実上の要件化がもりこまれ、これらが“水際作戦”を後押しする形となっていることに加え、生活保護を停止や廃止する要件が緩和されており、結果、受給制度からの締め出しをすすめるものだ。(川村)

  改正で扶養者照会が強化される場合、親兄弟に今の状況を死んでも知られたくない受給申請者への配慮が必要だ。(嘉山)

 

  自立支援法案では、ブラック企業の標的となっている“中間的就労”がもりこまれている。中間的就労は、働ける世代の困窮者への福祉として推進されているが、労働基準法の最低賃金条項が適用されない恐れがある。また、支援は派遣会社が参入を伺っているが、就労実績ありきの業界で困窮者の現場支援の実績はなく派遣先がブラック企業となりうる。まずは、就労先の受け皿を改善する必要がある。(川村)

  労働基準法の根拠は憲法だ。憲法改正も問題になっているが、我々自身を守っている条文の変更を注目していきたい。ブラック企業により一部の就職エリート層にまで及んだ生活困窮を生活保護が支えてきつつあったが、その生活保護すら外されてきつつあるのが現状だ。(嘉山)

  自立支援が現物給付型となっている点はどう考えているか?(参加者)

  評価できる。また、家賃給付では自立につながらないとの批判があるが、貸付制度では返すあてがあることが前提となり、就労圧力が高まり中間的就労によりブラック企業を助長させることにつながる。(川村)

 

  生活保護法制と労働法制をどう関連付けて考えればよいのか。また、労働者の側が市民運動や弁護士等とつながって権利主張ができるようにすることが重要ではないか。(参加者)

  POSSEは「ブラック企業対策プロジェクト」を、当事者のトータル支援のために弁護士・組合・労働NPO・医師らが一緒になって9月に立ち上げた。かつて労働運動と貧困運動はばらばらの運動だったが、ブラック企業対策のトータル支援を機会にみんなで一緒に取り組んでいきたい。また、労基署がこのたび労災を申請した人が多い企業を調査し、若者を使い捨てにするような企業を取り締まりにつながったことは高く評価できるが、基本的には労基署の取り締まり対象は法律違反のため限界がある部分は労働者のトータル支援が補うのが重要だ。(川村)

 

~ 豊かな生き方・働き方を誰もができる社会にむけた課題 ~

  どんな社会を目指すのか、生存の保障をどう確保するのか、過酷な労働環境を強いられる中で果たして子どもを産み育てて行けるのか―社会の再生産をどうするのかということを考えて行きたい。自民党や厚労省がブラック企業を問題視しているのは、就活を勝ち抜いた中枢を担うはずの人たちですら食いつぶしがきて社会の再生産が危うくなっている為に対策を立てざるを得ないというレベルでしか考えてくれないので、市民の側からはより広い範囲の人々について社会の再生産を考えていければよいと思う。(川村)

  自己責任論の前に、ふつうに働けばふつうに生活できる、賃金を得られる雇用があることが前提であり原点だ。(嘉山)

  半農半X(はんのうはんえっくす)的生活を提唱する人が世にいるように働き方・生き方そのものを見直していく必要があるのではないか。(参加者)

  色々な団体が問題に取り組んでいるので、逆の立場の人の考えにふれる機会に参加しつつ、自分ができることから始めたい。(参加者)

  生活困窮者の支援に関する法や制度の周知、情報の共有化が必要だ。(参加者)

  生活保護の受給は権利だという教育が必要なのではないか。(参加者)

  自分という存在は尊いものなのだ、基本的な権利をもっているのだという権利意識を一人ひとりが持つことが大切だと思う。企業の期待にこたえられない自分はだめなのだという思考回路に陥らない為にも。(参加者)

 

~ おわりに ~

  まちの居場所づくりとしてのCaféのほか、大学の非常勤講師も始めた。今後も労働問題・貧困問題について情報発信していきたい。(嘉山)

  生活保護をどうしたら自分の問題として考えられるのか―実態を知ってもらい、自分の立場におきかえて考えてもらいたい。生活困窮に陥っていない人も含め、労働者どうしの競争が激しいほど、日々仕事をしている或いは探している状況自体が悪くなっていくということを知ってほしい。今後、ひきつづき行政に対し情報公開請求をしていく予定だ。今後も応援してほしい。(川村)

 

⇒ 情報公開の拡充と市民の知る権利の保障拡大をめざす活動を精力的に展開中のNPO法人情報公開クリアリングハウス理事長 三木由希子さんが、次回10月24日、アドボカシーカフェに登壇します! 

『国家秘密と情報公開――特定秘密保護法案は、秘密のブラックホールか!』

詳細は  http://socialjustice.jp/p/20131024/

ご参加受付は https://socialjustice.jp/20131024.html

 

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*** (保存用)2013年9月24日企画のご案内資料はこちら ***

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