ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)アドボカシーカフェ第95回開催報告
“知らなかった”が変わるとき
―外国籍住民と地域がつながる共生の実践―
2026年3月10日、ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)は、本田佐也佳さん(きりしまにほんごきょうしつ代表)、鈴木貫司さん(NPO法人わかものまち/「みんなの公民館まる」館長)を迎えてSJFアドボカシーカフェを開催しました。
増加する外国籍住民に対して一方的に努力を強制するのではなく、「お互いに歩み寄る多文化共生の社会」を目指している任意団体きりしまにほんごきょうしつの活動実績の紹介から始まりました。
日本で働く外国籍住民の子どもたちは、就学に際して日本語に支障があっても制度の狭間で支援を受けることができない場合が多々あることが説明されました。子どもたちが日本語を理解できないが故に学ぶ意欲を失わないようサポートする日本語教室を同団体は小学校に訪問して行っています。日本語教室は、初めての環境に馴染むのに時間を要している外国籍の子どもたちの居場所機能も発揮しています。
こうした日本語教育が小学校に必要だという発想が無かった地方自治体に風穴を開けるところから始まった活動です。日本語教室は不要だと小学校には断られ、学童に働きかけたところ受け入れられるとともに、市議会議員を紹介してもらえて、その市議が議会で一般質問するに至り、日本語教育の予算請求は不可という回答を得ても、困っている教育現場の声を教育委員会に届け続けた結果、教育委員会との予算請求協議の実現が見えた等、あきらめない歩みが報告されました。この動きを本田さんの話から学んだ隣接自治体では、日本語教育の支援が予算を得て実施が決まったそうです。
さらに、入学前のオリエンテーションも開催していることが報告され、就学後の学校生活をスムーズにするためにも重要であるとの指摘が相次ぎました。一つの自治体では実施が難しくても、近隣自治体が合同で就学前の日本語教室を公設民営している事例が鈴木さんから紹介され、先進事例を全国の自治体でシェアすることで制度改善が推進されることが望まれました。
一方、就労も就学もしない配偶者など日本語や生活ルールを学ぶ場が制度の狭間で無い外国籍住民もいるため、地域日本語教室も同団体は実施しています。暮らしの困りごとをテーマに授業を行い、地域住民との新たなつながりの場にもなっているそうです。また、地域住民との生活上のトラブルを回避するために、地域ルールの理解を促進する生活オリエンテーションを自治体に提言し、市の担当課と生活環境を改善する協議を進めようとしています。
日本語教育の制度は、単なる日本語習得にとどまらず、関係資本や地域ネットワークの構築も視野に入れることが効果的で重要だと鈴木さんから提言されました。外国籍の人を雇う企業がその子どもが地域とつながれるようにすることも考えている事例が報告され、企業も悩みながら進んでいるけれど、他にも地域への想いを抱き悩みながらも何かできないかと考えている人たちはいるので、いろいろな人たちがフラットに連携して地域づくりをしていくことは大事だと強調されました。
「自分は大したことはできないかもしれないけれども、何かできるんじゃないかと思って参加した」という参加者の言葉が共感を呼びました。
詳しくは以下をご覧ください。 ※コーディネーターは土屋真美子さん(SJF企画委員)

目次
- 1 ——本田佐也佳さんのお話——
- 1.1 お互いに歩み寄る多文化共生の社会を目指して
- 1.2 日本語に支障があって学習に遅れが出ても制度のはざまで支援を受けることができない外国籍の児童 学ぶ意欲を失わないようにサポートする日本語教室
- 1.3 外国籍の児童生徒への日本語教室 心の内を吐き出せる居場所機能も
- 1.4 日本語教室を不要と小学校に断られ 学童に働きかけ 議員が市議会で一般質問し予算請求不可という回答を得るも 教育委員会との予算請求協議の実現へ これに学んだ隣接自治体で日本語教育支援が予算を得て実施へ
- 1.5 制度の狭間で学ぶ場のない外国籍住民向けの地域日本語教室も実施 暮らしの中の困りごとをテーマに授業 住民と新たにつながる機会にも
- 1.6 地域の生活ルールを知らないが故のトラブルを回避する生活オリエンテーションを提言 市と生活環境の改善を協議へ
- 1.7 就学前オリエンテーションを開催 教育委員会に入学準備について提案
- 2 ——パネル対話(鈴木貫司さん・本田佐也佳さん・土屋真美子さん)——
- 3 ――グループ対話とグループ発表を経て、ゲストからのコメント――
——本田佐也佳さんのお話——
「きりしまにほんごきょうしつ」は法人格を持たないボランティアによる任意団体で、2022年から活動を始めています。
霧島市は、鹿児島県で人口が 第2位ですが、外国籍住民の増加率が激しいです。2010年には 350人だったのが、その10年後には倍ぐらい増えて、さらに 5年でその倍ぐらい増えているという急激な増え方をしていて、行政も学校も地域も対応が後手に回ってしまっています。ゴミの分別や、病院や外国籍を受け入れる学校、就労の現場の皆さんが戸惑っていて、苦情やクレームが上がっています。
霧島市は昨年8月に非常に大きい災害に見舞われ、その時に情報が外国籍の人までは行き渡りませんでした。でも、それは外国籍の人たちが日本語を勉強してこなかったせいだという自己責任論が大きくなりました。そのような中で私たちは、分断と対立が進んでしまう前に何ができないかと、地域に声かけをしています。
お互いに歩み寄る多文化共生の社会を目指して
私たちが目指しているのは、誰かに責任や負担を強いる社会ではなく、「お互いに歩み寄る多文化共生の社会」です。これまでの私たちは、高い崖を外国人に登らせて、上から「もっと頑張ってください」と言っているような状態だったけれども、そのように努力を一方的に押し付けたり強制させたりするのではなく、「お互いに歩み寄れるちょうどいい場所を見つけて暮らしていきましょう」という考えで私たちは活動を進めております。
地域と共生をしていくためには何ができるかということで、2022年から最初はカンバセーションナイトという交流会を始めました。そして、地域にサポートする人が増えるように、日本語サポーター養成講座を国際交流協会と始めました。また、企業から依頼があって、技能実習生たちに日本語を教えに日本語教室を行ってきました。
さらに、地域に暮らしている方々との交流を深めるためにも、スポーツ大会やボウリングをしたり、外国籍の住民の方々が自分たちの母語を生かして活躍できる場として、多言語の絵本の読み聞かせをしたりしています。
こうした活動を続けていく中で、行政に対して住民のニーズを伝え、大きい問題になる前に変えてほしいと伝えに行ったけれども、やはり重い腰が上がりませんでした。外側からアプローチするだけではダメだと思って、男女共同参画審議委員会に公募して選ばれたけれども、内側から声を上げようにもやはり難しかったのです。
そんな時にソーシャル・ジャスティス基金の理念に出会って、解決策の提案までするアドボカシー活動というのがあることを知った時に、私は胸を打たれました。その時の公募テーマに「分断を超えた共生」、そして基本テーマに「見逃されがちだが大切な問題」が掲げられていたので、これこそ私たちが今やらなくてはいけないことなのではないかと、応募させていただきました。
その際、 外国籍児童生徒への日本語教育支援が霧島市では一切行われていなかったので、真っ先に取り組む必要があり、外国籍児童がいる小学校を訪問し指導しようと考えました。こういった日本語教育は他の自治体でもそうですが、日本語教師ではなく地域のボランティアによるサポート等を用いることが多いのですけど、私たちは日本語教師の有資格者だけで、教科書やオリジナル教材を用いた授業をすることにしました。助成金をいただいているので、学校や受講者からは授業料をもらわないで、まず実績を重ねています。
{※ここで、小学校における日本語教室の様子を伝える短編動画が投影されました}
お話をするのが大好きな小学 2年生の女の子で、ところどころ言葉につまずくことで恥ずかしいと思ったり、発話するのが怖いと思ったりするところを日本語教師がサポートしています。この子は 1年生の10月に来日し、ひらがな・カタカナは他の児童がもう終わった後に入学する形となったので、かなり遅れが出て、漢字にはすごく拒否感がありました。私たちは一人ひとりに対してどんな学習支援が必要かを考えて教えていますので、身近にある漢字の苦手意識をフォローすることから始めました。2年生になって九九が始まったけれども、足し算でつまずいてしまったので、日本語教師とゆっくり九九の練習をしたり、ゲームを通して学んだりしています。やがて、ひらがなだけの1年生の教科書だったら「読みたい」と言ってくれるようになったので、1年生の教科書を使って、かけっこした先で音読をするとか、いろいろ工夫をしているところです。
日本語に支障があって学習に遅れが出ても制度のはざまで支援を受けることができない外国籍の児童 学ぶ意欲を失わないようにサポートする日本語教室
2人目はベトナムから来た男の子、いま小学 1年生です。幼稚園年長の10月に来日し、6ヶ月ぐらいで小学校に入りました。その時は、日本語教育の支援を望む意向を保護者から受けていたので小学校側にお願いをしたけれども、小学校側は必要性を認めず断ってきました。でも、その保護者から相談が続いていたので、私たちはどうにかできないかと裏で動いていました。そうこうしていたら、夏休みの後あたりから、この子がクラスでも話をするようになって、そこで初めて日本語の遅れがわかって、担任から教頭に相談したけれども、発達の遅れではないので特別支援は無理だと言われ、支援の狭間から落ちてしまいました。
そこで、私がその小学校でも日本語教室を始めて、教科書で学んでいるだけではクラスメイトから遅れてしまう部分をサポートしています。{※ここで、この小学校における日本語教室の様子を伝える短編動画が投影されました。}
先生一人に対して 30人ぐらいのクラスだと丁寧にはできないけれども、一対一で対応することで丁寧にフォローしています。また、子どもが職員と話しをするアクティビティを校内で行って、外国籍の子どもに対する意識を職員にも持ってもらえるよう働きかけました。
この子は、パッと見、喋っていて不都合がないので大丈夫だと思われてしまうのですけれども、場合によっては質問と答えが一致しなかったりして、言葉に支障がないように見えても、その裏にはいろんな問題を抱えていることがあります。それを担任の先生だけで、日本語教育に関わってない方が判断するのは非常に難しいのです。できないことが続けば学ぶ意欲を失い、学習についていけなくなるという負の連鎖が起きるので、今、これを担任の先生や支援員の先生に押し付けているのが現状です。
さらに、私が出会ってから今まで抱え続けているケースで、同時に入学したパキスタンの男の子と女の子がいて、日本語は全くゼロで、英語もわからないし、パキスタンの少数言語であるパシュート語しか使えないので、翻訳機も正確に反応してくれない状況でした。受け入れが決まった小学校の現場は大慌てでしたが、教育委員会からも支援が受けられなかったのです。でも、私がちょうど同じ小学校にベトナムの子を支援に行っていた時だったので、助成金を活かして、この子たちの初期指導を集中的にすることになりました。そうしないとすぐに不登校や不就学になってしまうことが予想されたので、週に 2回から多い時は 4回行って、 3学期中は徹底的に日本語を覚えてもらったり、地域のルールを覚えてもらったりしています。
{※ここで、この子たちが小学校に転入して 8日後の日本語教室の様子を伝える短編動画が2つ投影されました。}
「おはようございます」や「さようなら」といった基本的な言葉や、トイレに行きたい時に言える等、自分の不調を伝える言葉を優先的に教えました。
そして、「貸して」、「どうぞ」、「ありがとう」というやりとりも、言葉がわからなくて友達のものをすぐに取ってしまったりするトラブルを防ぐために先に導入しています。これ以外にもたくさんトラブルはあって、私たちにとって当たり前だったトイレのマークも、どちらに入ればいいのかわからなくて反対に入るといったことも起きました。また、 週の真ん中に祝日があると、祝日だとわからなくて学校に来てしまうこともありました。
外国籍の児童生徒への日本語教室 心の内を吐き出せる居場所機能も
外国籍の児童生徒への日本語教室は、彼らの文化的背景や今の言語レベルを考慮してどこまで教えておくのがよいのか、一人ひとりに合わせたレベルやタイミングについて丁寧な判断が必要になってきますので、一括指導は難しいです。
また、ただ日本語を教えればいいという場所ではなくて、本来の自分を出せる場所であり、心の内を吐き出せる場所としても機能しています。私たち日本語教師の前では大きい声で話したり、走り回ったり、跳ねたりするけれど、クラスの中では小さく硬くなっていることが多いのです。それで、クラスの中で起きたイライラをぶつけられもします。
でも、学校の中で週に1回でも2回でも、私たちのような第三者的存在があって、そこで吐き出すことができれば、不登校や不就学への対策にもなるので、日本語教室の持つ「居場所」という位置づけも大切になってきます。
制度や体制が不十分なので、発達に遅れがないから特別支援には入れないけれども支援が必要だという狭間で苦しむ状況があります。それで、先生たちも本当に困っていて、教育委員会も先例がない限りは手探り状態で的外れなアドバイスをしてしまうことがあります。例えば、サポートしている支援員さんに対して、声を出さずにサポートするようにという無理難題を押し付けたりしてしまうのです。
「翻訳機を使えばよいのではないか」と言われることがありますが、先ほどの男の子のようにパシュート語しか話せないと、パシュート語では翻訳機が正しく訳してくれないので大きい誤解が生まれてしまっています。それで、そういう子どもは、自分が言った言葉に先生や職員がなぜ反応してくれないのかという不満を持ち続ける一方で、職員は正しく訳せない翻訳機のせいにするというディスコミュニケーションを起こしています。だから、現場にただ翻訳機さえ渡せばいいということではないのです。

日本語教室を不要と小学校に断られ 学童に働きかけ 議員が市議会で一般質問し予算請求不可という回答を得るも 教育委員会との予算請求協議の実現へ これに学んだ隣接自治体で日本語教育支援が予算を得て実施へ
私がこの取り組みを始めてから、いろんなところにも声かけはしてきました。先ほどのパキスタンの子とベトナムの子がいる小学校に 1年以上かけて声をかけてきていたけれど「必要ない」と言われて、学童に働きかけました。その時、学童の代表が、使用許可してくださった上で、「教育の格差を放置しているだけだから、もっと変えていかないといけない」ということで、市議会議員の方を紹介してくださいました。
私はその市議会議員に勉強会を何度かさせていただきました。その議員は、どうにかこの現状を変えたいということで、一般質問で教育委員会との答弁が2月25日に――ごく最近ですけど――できました。その際、義務教育期間に日本語教育支援を実施しているのは私たちだけだと明言されましたし、他に問題がたくさんあるから予算請求できなというふうに回答をされました。それは本当に残念だったけれども、そこから更に動きがあり、来週・再来週と教育委員会と予算請求について協議をしようという動きがあります。
皆様にもお伝えしたいのは、私たちの地域のように支援が当初はゼロだったとしても、支援が必要だと訴えかけてダメだったとしても、社会的に必要なことを訴え続けることは大事だということです。例えば、お隣の姶良市が、私とも話し合いをした後に、「姶良市も困っていたから、こういう具体的な案を教えてもらえて助かった」ということで、すぐに予算請求をして、日本語教育支援がもう4月から動き出すことになっています。ですので、道なき道を進んでいるようであっても、賛同や協力をしてくれる誰かに絶対に出会えるので、社会的に訴え続けることは重要だと思っています。
制度の狭間で学ぶ場のない外国籍住民向けの地域日本語教室も実施 暮らしの中の困りごとをテーマに授業 住民と新たにつながる機会にも
もう一つの取り組みがあります。先ほどまでの話は子ども対象の日本語教室でしたけれども、大人対象にも週1回、霧島市で唯一の「地域日本語教室」を開いております。留学生は学校で、就労者は企業で相談する先があるけれども、外国籍住民の家族や、日本人の配偶者がいる外国籍住民ですと、学ぶ場所がないのです。制度の狭間に落ちてしまうので、地域日本語教室がないと、日本語を学んだり、つながりを持ったりできる機会がありません。
ここでご紹介したいのは、中国人の女性で、日本語教室に初めて来た時は日本語が話せず、日本人と話すのも怖くてガタガタ震えた状態で、それでも学びたいと思って来てくれました。ゴミの分別を教えた授業の時は、家に帰ってすぐに実行した動画まで撮って送ってきてくれました。
{※ここで、二人の受講生からのメッセージ動画が投影されました。}
一人は、最初は一言も話せなくて、ハンドジェスチャーばかりでしたけど、今では積極的に話してくれるようになりました。もう一人は、比較的日本語が流暢な方ですけれども、自分の母国の人としかつながることができないでいたケースでした。また、別のネパールから来た人は、日本に来て1年になるけれども、日本語が話すことができなかったからアルバイトもできず、日本人の友達もできませんでした。でも、この地域日本語教室に来ることで、ネパールや日本の人とも知り合えて新しいつながりが生まれています。
暮らしの中での困りごとが毎週出てくるので、私たちの地域日本語教室はそれをテーマにした授業をしたり、教科を変えたりしながら進めています。やはり、学校や職場で学ぶことができずに制度の狭間に落ちる人たちのためには、定期的に開催される地域日本語教室が必要となっています。
地域の生活ルールを知らないが故のトラブルを回避する生活オリエンテーションを提言 市と生活環境の改善を協議へ
さらに私たちは、「外国籍転入者向け生活オリエンテーション」の定期的な開催を霧島市に呼びかけている最中です。
例えば、ゴミの問題は外国籍転入者たちが知らないからだけではなくて、不便なゴミカレンダーを出している自治体にも責任があるのではないかと思っています。
これら生活に必要な情報をどう提供しているか、調査したところ、形だけは一応実施していましたが、やり方が外国籍転入者に不親切で、情報が行き渡っていませんでした。
先述の市議会議員が一般質問で答弁をしてくださったおかげで、来週、市民課という生活環境に関わる人たちとも協議をして、これから先、霧島市側が外国籍の人も日本人も暮らしやすいように変化できるよう今動こうとしております。
役所内でもすごく困っていることがあるので、地域の住民の声を中立な立場で仲介して、どういう改善ができるか提案をしながら、環境づくりに今励んでおります。
就学前オリエンテーションを開催 教育委員会に入学準備について提案
私たちは「就学前のオリエンテーション」を、ソーシャル・ジャスティス基金の助成を受けて、生活オリエンテーションに加えて、今まで 2回開催しています。学校に入学するとなると非常に複雑な事情があります。霧島市内のとある小学校は赤鉛筆と青鉛筆を1本ずつ準備してください、とある小学校は赤青一緒になっている鉛筆でいいです、とある小学校ではスティック糊はダメですとか、非常に細かったのです。それではおそらく日本人でも間違う。そんな読み間違いをしそうなものを、外国籍の方が日本語だけで渡されても分からないという実態がよく分かりました。
これも教育委員会に働きかけて、小学校の入学準備の統一基準を作ることや、わかりやすい資料を作ることを提案しています。
これから先、地域には日本語教師、日本語を教えることができる人たちが必要です。でも、地域に活躍する場所がないからこそ、どこに誰が隠れているのかもわからない状態です。ですので、私たちがこの活動を続けることによって、日本語教師が活躍できる場所をつくり出しています。
{※ここで、同団体で活躍している日本語教師が寄せてくれたコメントが紹介されました}
今後の展望として、一つ目は、霧島市議の方に場をかなりつなげていただいたので、これから先は、私は市役所の担当課と市議や市長との間に入って、どのような改善をしていけばより良い環境になるかという提案をしていくつもりです。なかなか多文化共生推進プランができてこないので、これをもう少し具体的にできるように提案をしていこうと思っています。
二つ目は、外国籍の家族を受け入れる基盤が全くないので、せめて地域日本語教室がこの助成金が終わった後も、どこからかの委嘱や公的なものが関わって続けていけるようにしていきたいと思っております。
——パネル対話(鈴木貫司さん・本田佐也佳さん・土屋真美子さん)——
鈴木貫司さん) お話をお聞きして、現場と向き合っていらっしゃって、その現場の課題をきちんと議員に伝えるとか、アドボカシーをしていく視点が非常に伝わってきました。現場と行政をつなぐことや、企業で技能実習生に日本語教室を開いていることもお話しくださって、目の前で関わっている子どもたちや大人たちのニーズを伝えていくのが本当に大事だと改めて実感しました。
こういた事業を持続可能にしていく基盤、制度化や予算化させていくのは、やはり難しいことですよね。

本田佐也佳さん) はい、そうですね。
鈴木さん) 実は僕らも今、子ども・若者の居場所である「みんなの公民館まる」という名前の公民館を民設民営で運営しています。最初は僕らも助成金をもらいながら、そこからなんとか企業の協賛と個人の寄付で持続可能にさせていこうと実践中です。あまり行政から予算が見込めなかったので、そこは地域の力で少しずつお金を出してもらったりしていますが、そのためには現状の課題を伝えるのが非常に大事だと思っているので、そのことも後の議論でできたらと感じました。
行政の担当者レベルでは動かないことでも、議員さんを巻き込むことは、議員さんの中にはこういうことに注目して課題意識のある現場寄りの方もいらっしゃるので大事なことだと思います。
もう一つ大事なのは、外国籍の方を受け入れる基盤を築くところで、居場所みたいな拠点があるとか、ボランティアをどう巻き込んでいくかは大事なことだと思っています。ちなみに今どれぐらいボランティアはいらっしゃるのですか?
本田さん) 私が行っている講座に登録してくださっているのは70名ぐらいで、そこから私たちの活動に直接関わってくれるのは10名に満たないです。各地域で自分でやっている人もいるけれど、時間をそこまで割けないのが本音という方は多いので、そこが課題です。
鈴木さん) そうですよね。ボランティアベースでやってもらうけれど予算を取れれば謝礼を払えるみたいな制度にしていくとか、いろんなところでファンディングしていくとかが必要でしょうね。ボランティアさんも、ずっとモチベーションだけでできるとは限らないですし。時間が空いているからできるというシニアの方もいらっしゃると思うけれど、そういったシニア層だけでなく、若手の方で時間がなくても関われる方法など、いろいろな関わり方を「きりしまにほんごきょうしつ」でも新しく提案できると、新しい可能性が広がると感じました。
本田さん) ありがとうございます。
日本語教育の制度は関係資本や地域ネットワークの構築も視野に
鈴木さん) 日本語教育が国家資格になったことによって――自分も日本語教育能力試験を受けて資格を取って使っていないけど――、いい面と専門化しすぎる面とがあって、地域が目指している日本語教育に対応できるかは疑問でしょう。地域の事情にあわせて創設する認定生活アドバイザーみたいなものができたらいいと思います。
日本で在留資格を持つ時に、日本語 N5、日本語能力試験の一番下のところを最低限取らないといけないとなった時に、そこだけを目指す日本語教育でよいのか。
生活言語や生活のルールまで外国籍の人が学べて、日本語の中で困らずに生活できるようにする日本語教育が必要かと思います。先ほどお話があったように、日本人の友達がいないとか、地元のネットワークが全くないみたいな人が、日本語をある程度しゃべれるようになったところで、しゃべる機会、関係資本や地域ネットワークをどうやって作っていくのかが、今の制度では取りこぼされていると思いました。
土屋真美子さん) 全く素人の質問で申し訳ありません。日本語教師は、国家資格になっているのですか?
国家資格となった日本語教師が指導できる月次日数に上限のある制度 初期指導が不十分となり後の教育現場に負担を強いることに
本田さん) 国家資格に変わったばかりです。試験も一昨年から始まり、その試験に合格する方法だけでなく、私は現職だったのですが、現職の人が国家資格に切り替わるルートがいろいろあります。
日本語教師は、現場ではずっとボランティア扱いだったのです。どれだけ勉強して資格を取ったとしてもボランティアだったので、謝金を払われなかったりして、立場としてすごく弱かったのです。
この国家資格の管轄は、今まで文化庁だったのが文科省に移り、外国人に対するいわゆる“おもてなし”の日本語ではなく、公教育として日本語教育を捉える形に変わりました。日本語教師がそういう教育の現場に入るからには、国家資格を持って他の教諭たちと同じ立場でということのはずですけど、蓋を開けてみると、どうやら日本語教師は教諭として迎えられるわけではなくて、支援員という非常勤の不安定な立場で、それは国家資格を取るための労力に見合わない立場となりそうな状況です。これでは、日本語教師になりたい若者は出てこないのではないかと正直思います。
今、私が日本語支援に行っていて、他にも支援員の方々がいますが、その人たちは月に来られる日数の上限が決まっていて、その枠の中で何とかしないといけないのです。でも、先ほどお話しした、まだ入国して半月も経っていず、“あいうえお”も分からない子たちには、私は週に2・3回のペースで行き続けていて、それだと1か月の上限日数は2週間ぐらいで使い果たしてしまうのです。
そういった上限のために初期指導を曖昧にしてしまうと、後で現場の負担が大きくなるので、制度上や予算上の上限を設けずに、現場にきちんと対応できる仕組みにする必要があるのですが、国は机上の空論で指導の時間上限を判断していて、本当にもどかしいです。
このように、国家資格化したとしても立場が弱いのは全然変わっていないので、これから先も問題視されていくと思います。
土屋さん) 鈴木さんも現場でその辺のことは感じてらっしゃいますか?
鈴木さん) 自分が教師をしていた当時は、そういう支援員ではなく、教員の採用枠で働きながら外国人指導に当たる立場にいました。実は、外国人の子どもを個別指導していると、集団を見ている担任よりちょっと下、みたいな感じは結構ありました。
学校教育のニーズは今、個別主義にだいぶ変わってきてはいますけれど、新しいカウンセラーのポジションもそうですが、個別指導する日本語教師が国家資格になったことと、教育委員会経由で制度として雇うこととは別枠で捉えられているように思います。
国が方針を出したところで、結局、自治体ごとに予算を考えなければいけない話になってくるので、霧島市が予算をどうつけてどのように配属させるといったポジショニングを新しくつくっていくことは大事なことだと思います。
土屋さん) 日本語教師という国家資格ができたけれども、一般的な教員ではなく、今までの支援員のような扱いということですね。
日本語教師による支援が担任の授業内に限られる自治体もあるが 個別指導のニーズに応えられない制限は解消を 教育委員会に日本語教育の現場の声をもとに提言
本田さん) はい、今のところ支援員と同じ立場になってしまいます。そうなると私、今回現場に入って初めて知ったのですけど、支援員さんは「入り込み授業」といって、教室の中にいながら児童のそばで活動の補助をしたり別指導を行ったりすることしかできず、「取り出し授業」という別教室に行って全く別のカリキュラムで指導を行うことが許されていないらしいのです。例えば、日本語を教えることを任された支援員さんから聞いた話では、自分が外国籍の子に日本語を教えたくて声を上げ、盛り上がってきて応答練習をしていた時に、担任の先生から「静かにしてください」と言われたらしいです。言語を学ぶのに声出さないで学ぶなんてできないのに、ただひたすら“あいうえお”を書くといったことしかできないわけです。そんな形で、やっている意味があるのかと支援員さんたちもすごく悩んでいらっしゃいます。
今の私は助成金の枠の中で特別に入っているから、自由にさせてもらっているけれど、もし私がその支援員の枠の中に入ってしまったら、やはり同じ教室の中に入らないといけないといった制約が出てくるでしょう。教育委員会と話をするときには、「そういう立場上の制限は、特性上、外してもらいたい」というように具体的にお伝えしていかないと、委員の皆さんは現場を知らないまま見切り発車をされてしまいかねません。難しいところだなと思います。
鈴木さん) 支援員の裁量の範囲は自治体によって異なるようですね。自分がいた自治体では取り出すことができていた気がします。
本田さん) 霧島市は日本語教育支援をどこもやっていなかっところを、私たちが始めたものなので、取り出すという考え方自体がありませんでした。日本語教育が支援員さんや担任に押し付けられる以上、教室の中でしかできないという捉え方でした。支援員さんも一人ひとりの契約の中で、教諭ではないから指導してはいけないという縛りがありながら、日本語を教えているのです。
それでよいのか葛藤があるらしくて、それを解消するためにも、具体的に現場が声を上げられるようにしておかなければいけないと考えました。それで、この助成金のおかげで私はここまで現場に入ってヒアリングができて、皆さんの声をすくい上げて、教育委員会に訴えることができました。

近隣自治体が合同で入学前の日本語教室を公設民営する事例 入学前の適切な支援で就学をスムーズに 先進事例を全国の自治体でシェアすることで制度改善の推進を
鈴木さん) 学校に日本語指導員という担当職員を置くという点では、東海地区の県は、1990年代にニューカマーのブラジル人など急激に増えて、学校がなんとかしないといけない事態になって、そこから多文化共生がずっと推進されてきました。
そういった実情は、鹿児島と東海は距離感があって、事例もあまりシェアされていなかったようですね。行政は初めてのことに取り組むのはハードルが高いけど、他で先進事例があると変わりやすいので、事例等のシェアは大事だと思います。
霧島市は人口どれぐらいでした?
本田さん) 12万人ですね。
鈴木さん) 以前住んでいた静岡県の菊川市は人口 4万 7千ぐらいなので、単独でそういうことできなかったのですが、外国人比率が8%ぐらいと多いので、近隣の3市町が合同でお金を出し合って、学校に入る前の指導教室を公設民営型で、日本語教師を雇って運営しています。3か月ぐらいから半年ぐらい、日本語を学んだ後に学校に入る形です。そういうなかなか面白い事例があります。
やはり予算は大変なところはあるけれど、その日本語指導教室に近隣市町から送迎して、学校文化など実際のところを学んだ上で入学するのです。学校の枠内だけでやると大変な部分があると思いますが、学校ルールから一歩離れた練習段階というチャンネルがあると学校側も子どもや保護者もやりやすいので、そういう仕組みをつくっておくのは大事なことだと思います。
本田さん) そういったプレスクールが本当に必要です。日本に来る前に暮らしていた国によっては、女の子が教育を受けることが許されていない地域もあり、異国の日本での小学校入学が初めての集団生活、初めての学びという状態の子どもですと、一体何が起きているのかもわからない状態で、かつそのような子はクラスに一人しかいないというスタートとなるのです。そうならないよう、入学前に、いろんな国の子たち、いろんなバックグラウンドがある子たちが一つの場所に集まって、横のつながりがつくれる居場所を持てたうえでそれぞれの小学校に行ければ、そういう子どもたちの精神的な支えになりますし、現場で受け入れる先生方もトラブルが減って多いに助かります。
日本の学校に入る前に適切に支援をしてあげられれば、その後の受け入れは絶対スムーズになるので、霧島市は先ほどお話しした今回の答弁では“できない”とはっきり言われましたけど、他の市町村と合同でやるとか、いろんな考え方ができると思うので、可能性を周りで見出していけたらなと思います。
鈴木さん) 国の予算は付きそうですか。
本田さん) まだ。
土屋さん) やっぱり素人が思うのは、先ほど鈴木さんがおっしゃったように、最近だけでなく、以前も一時期たくさんのブラジル人が日本に働きに来たといった話はあったのではないですか。その経験が共有されていないのですか。
本田さん) 共有されていないです。
土屋さん) 問題が沈静化したわけではないですよね。
本田さん) 霧島市は、技能実習生制度ができてから外国籍の方が微増を続けていたのですが、ここ10年ぐらいで激増したため、ノウハウを学ぶという素地が無いまま対応に追われることになりました。しかも入ってきたのが技能実習生だったので、監理団体や企業が間に入るので、日本語の指導をしたい場合は企業に依頼すればよい状態が続いてきたのです。
でもこれから先、その技能実習生制度が変わって育成就労になると、家族を連れてくることができるビザにもなっていきますから、先ほどお話した地域日本語教室にいた女性たちみたいに、家族として来てどこからも学ぶことができずに地域で取り残された状態になる人が増えてきます。
日本の制度上、家族、配偶者・子どもとして来た人たちへの支援はすっぽり落ちてしまっているのです。
土屋さん) でも、ブラジル人がたくさん愛知県等に来た時は家族も来ていたはずですよね。
本田さん) そうです。多文化共生をしないと地域がパニックになるという状態だったから進められたのだと思いますけど、だからこそ数十人に対して1人の教諭をつけることができるという制度なのです。 でも霧島市の場合、各学校に1人・2人しかいないので、その制度では先生を付けることができないから、支援員たちでどうにか回してくださいというのが現状です。霧島市中で義務教育期間の外国籍の子どもは31人しかいないので、現制度では、その全員を集めて教諭を1人雇えるかどうかという予算なのです。でも、その子たちは市中の方々に住んでいるので、一つの場所に日本語指導の教室を作るのが難しくて、訪問型がいいのです。でも、それだと雇う人数を多くしないといけないし、日本語教師は日数に上限もあるとか、いろいろ制約がかかってくる。
土屋さん) なるほど。お話を伺っていて、古い問題のようでいて、その後から状況が変わっているから、新しい課題もいろいろ出てきているというのが現状ですね。それを、先ほど鈴木さんがおっしゃったように、近隣の市町村との連携で解決できる道はありそうですか。
本田さん) そう思います。
鈴木さん) 行政職員も学ばないといけないと思います。国の補助金にどういうのがあるかリサーチしていないと思います。どういう支援制度が今、国で出ているのか、自治体にどういう申請を出してもらえれば支援を受けられるのか、そこまでのコンサルティングができるといいとは思います。それを NPOなど法人格があるところに委託するという方法は一つかもしれません。いずれにしても、自治体はやる気がないと知ろうとせずに単に“予算がない”で終わりになってしまいがちですが、そこまでアプローチするのは重要です。
本田さん) そうなのです。スタートアップを支援する予算を国がとっていることを具体的にリストアップして、全部プリントアウトして自治体に持って行ったこともありましたが、「その事務局をできる人がいないので」と断られて、「私たちが事務局してもいいです。それぐらいの思いでやっています」と伝えても、結局、「上と検討してみます」みたいな感じで終わってしまう。
その後、実際に課長級の人たちと話し合うことができて、必要な支援について話をしたら、「実績がないことには」と言われました。そこで私は「何とかして実績をつくってきます」と言って探していたら、ソーシャル・ジャスティス基金と巡り会って、ここにかけるしかないと思って、助成金に応募したのです。それが通ったからこそ今こうやって実績を重ねられて、そのおかげで市議会議員に現場のさまざまな声や現状をお伝えすることができたので、一般質問にもつながりました。でも、できない理由を探すのが上手な自治体の答弁に、どうやって対抗していくか毎回必死です。
鈴木さん) 僕らも今、不登校の子たちのキャリア教育が大事ではないかと考えていて、助成金を別途とって、アンケートとインタビュー調査をして冊子にして、報告会を今度やりますが、そこに行政職員も引っ張り出したりしていますし、担当職員は地道に巻き込んでいっています。
土屋さん) 本当にマッチポンプで、「お金がありません」、じゃあ「お金がありますよ」と言ったら今度は「人がいません」、じゃあ「人は自分たちが担います」と言ったら、今度は「実績がありません」と言う、断るノウハウは長けていますよね。
本田さん) そうですよね。私はグイグイいけたからよかったですけど、私の知り合いの日本語教師は、そこでもう「今この人たちに働きかけてもダメだ」となった人もいます。
地域の声をすくい上げることができない現状は良くないと思っていますが、ただ行政任せというのも良くないですから、お互いできることを持ち寄って改善できたらいいのではないかと思っています。
鈴木さん) 法人化してもいいと思います。今後、本格的にやっていくという意思を法人化で具現するというのは一つあると思います。任意団体には行政が委託事業を制度上は出せないだろうから。
あと、企業版のふるさと納税を使って、NPOや市民団体へのお金を引き出すという方法もあるでしょう。そうすると予算が無いという言い訳は関係なくなるのではないですか。
それから、地域おこし協力隊で多文化共生に取り組んでいる人もいるのではないですか。
本田さん) 霧島市は、地域おこし協力隊がいないのです。
鈴木さん) 入れたら? これは総務省の予算なので、自治体は予算を取らなくていいですから。
土屋さん) あれも自治体のやる気ですよね。
鈴木さん) 多文化共生推進員のような地域おこし協力隊のなり手たちはいると思うのです。担当課をやる気にさせて、地域おこし協力隊を入れられるといいですね。地域おこし協力隊は報酬もよくて、やりたい人は結構いると思います。
地域おこし協力隊と絡めて多文化共生を推進する。教育委員会の管轄かもしれませんが、多文化共生フェスみたいな地域のイベントをするなど、協力隊にはミッションはありますが活動費もきちんとあるので予算確保できますから、どんどん多文化共生の街として認知させていけるような活動をするのはよいと思います。シティープロモーションの視点で担当課を巻き込み、多文化共生を進めるのは面白そうです。
お金と人の手配を含めて可能な方法を示されるのは、議員さんはけっこう好きだと思います。それで、こんな方法があるのに霧島市は実施しないのは問題だという話に持っていける可能性があると思います。だから、一歩先のこういう方法だったら予算や人を取れるという話の進め方は実現可能性が高まると思います。
今日、参加してくださっている皆さんの中で、そういった多文化共生の事例をご存じだったら、ぜひ紹介していただければと思います。
土屋さん) NPO で頑張っている人の中には、行政のお金と人の使い方がわかって初めて機能するようになったと言う人も結構いますので、行政のお金を使っていくノウハウを蓄積していくことは大事だと感じます。
先ほどから本田さんにソーシャル・ジャスティス基金をすごく評価していただいてありがたいのですけれども、この助成事業によって地域がどう変わったと言えますか?
本田さん) 私は学校にはまだ小学校しか行けていませんが、小学校に日本語教育支援が必要だと知らせることができたことは、そんなこと考えてもみなかった地域に風穴を開けられたので、非常に大きい役割を果たしていると思っています。
また、地域日本語教室もなかったのですが、開いていると外国籍の方だけでなく、外国籍の周りの人が相談に来たり、地域の日本語教育に関わりたいと思っている人が来たりして、いろんな横のつながりを生み出せたことも大きいと思います。
この事業はこの地域にとって新規性あったのだろうと思いますし、本当に困っていたのだと思いますので、問題提起した意義は大きかったと思います。
助成金をいただいてこの事業を始められたことで、この問題が放置されて子どもたちも教育現場も疲弊して手が付けられないような路に迷い込むことを避けられました。やはり実践してみられたからこそ、具体的にどのようなことが必要なのか明らかになってきたし、現場の先生方から、この事業が入ってもらえてどういう点で助かったのかという声をすくい上げられました。
――グループ対話とグループ発表を経て、ゲストからのコメント――
※グループにゲストも加わり、グループの方々に感想や意見、ご質問を話し合っていただいた後、会場全体で共有するために印象に残ったことを各グループから発表いただき、ゲストからコメントをいただきました。
本田佐也佳さん) 皆さんから多くの学びをいただきました。本当にありがとうございます。
私たちの活動自体は限定された地域でやっていると思いがちですけど、似たようなケースや、私がこうやって話をすることで何かしら活かそうとしてくださる方が生まれたりするのを目にするようになったので、活動について発信し続けようと思います。
私はただの日本語教師だったのですが、それでもこうやって問題を行政にまで持ち上げることができるようになるというのが、皆さんが“私にもできるかも”と思える一助になればと思います。これからも頑張っていこうと思います。
鈴木貫司さん) 僕自身、現場で活動するプレイヤーでもあるので、自分たちが運営する居場所は、外国籍の子たちも来ていますし、ユニバーサルに誰でも開かれる場所になっているのか、改めて問い直すきっかけをいただきました。さらに、社会で支援が必要な方々にきちんと支援が届いているのかとか、総合的に考えながら、皆さんとこの場でディスカッションができるのはすごく尊いと感じます。
排外的な考えを持つ方も社会にはいらっしゃいますが、今いろんな企業と関わる中で、本気で外国人を雇用しようとしていて、その子どもたちも企業に馴染みながら地元とつながっていけるようにしようと考えている方々もいらっしゃいました。ちょうど今日の午前中、そういう工場の社長さんと話をしてきました。企業も悩みながらやっています。そういったところとも連携をして一緒に地域づくりをしていくのは大事なことだと思っています。
企業に限らず、地域への想いを持っている方はどの分野にもいらっしゃるので、そういう人たちが想いを実現できる方法、例えば活動はできないけどお金は出せるとか、こういう資源は提供できるとか、いろんな形でフラットにいろんな方と関われることが、地域NPOの強みだと僕らは思っています。いろんな人たちが協力してくれますし、一緒にやっていこうというふうになります。皆さんと一緒に頑張れたらなと思いました。ありがとうございます。
土屋真美子さん) お二人にすごくリアルな話もいただけたと思います。先ほど私が入ったグループの中にも、「自分は大したことはできないけれども、でも何かできるんじゃないかなと思って参加した」という方がいらっしゃいました。そういう方は他にもたくさんいらっしゃると思います。
鈴木さんがおっしゃったように、企業も現場も他にもいろんなところが悩んでいるから、その辺をつなげていけると前に進むと思います。本田さんたちの活動みたいなのがあちこちにできてきて、いろんな形で連携できていけばいいなと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。今日は皆さんどうもありがとうございました。
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