公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本の
『名張毒ぶどう酒事件・奥西勝死刑囚と袴田事件・袴田巌死刑囚の再審開始を通した死刑廃止の世論喚起事業』は、
SJF2013年度助成事業の1つです。その近況レポートをいただきました。
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名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんは、この1月には、88歳の誕生日を迎えました。
2013年5月以降、二度も危篤状態に陥り、いまは状態が安定しているものの、
予断を許さない状況が続いています。
最高裁は、2013年10月、奥西死刑囚の第7次再審請求の特別抗告を棄却しました。
弁護団は、2013年11月に、第8次請求を名古屋地裁に申し立てしました。
弁護団は、新証拠の提出準備を始めています。
一方、袴田事件では、静岡地裁に第2次再審請求をしている袴田巌死刑囚の弁護団と支援者が、
2014年1月13日、静岡市内で全国集会を開きました。アムネスティ日本からは、
若林事務局長が参加し、支援の声を寄せました。また、再審無罪となった元死刑囚である
免田栄さんや島田事件の赤堀政夫さんなど、約350人が県外から駆けつけ、袴田巌さんの
即時再審開始と刑の執行停止、釈放を求めるアピールを採択しました。
第2次再審請求で、弁護団と静岡地検は昨年12月に最終意見書を提出しています。
袴田事件については、次々と新しい証拠が明らかとなっています。
例えば、有罪とされたポイントは、袴田巌さんの自白とみそタンクから見つかったとされる
「5点の衣類」ですが、この2点で新たな事実が次々と明らかになりました。
自白については、袴田巌さんの「自白」を録音したテープを分析した結果、袴田さんの
自白から時系列のおかしい部分がみつかり、既に収集された証拠から「体験物語」を
構成したとみられます。
関係者の供述調書・調査報告書には、同じ社員寮の同僚2人が
「(出火直後に)サイレンを聞いて部屋を出ると、袴田が後ろからついてきて、
一緒に消化活動をした」
という証言があり、確定判決の事実関係と食い違います。
「5点の衣類」については、弁護側と検察側の双方のDNA鑑定で、付着した血液は
袴田死刑囚とも被害者とも一致しないという結論が出ました。
弁護団が証拠開示請求を続けた結果、次々と新事実が明らかになりましたが、
それは600点にも上ります。
袴田事件での、捜査段階での多くの疑義がありますが、それを裏付ける新証拠が出て、
検察側のストーリーは崩れていて、かたくなに再審開始を拒否する理由は見当たりません。
静岡地裁は、この3月中にも再審開始の可否を決定するのではないかと見られ
ています。
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