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ソーシャル・ジャスティス基金 第13回助成先(2024年助成公募)審査結果

 

公募テーマ:
―次の両テーマとも、未来を担う世代が中心になって取り組む活動を積極的に支援―

  特設テーマ:『分断を超えた共生』に取り組むアドボカシー活動 

※無関心や作られた憎悪に振り回されず、平和と人権への想いを共有し、分断を乗り越えていく市民同士の連帯を目指す活動を積極的に支援。

  基本テーマ:『見逃されがちだが、大切な問題』に取り組むアドボカシー活動

助成決定額:総額500万円(各事業100万円)。

助成決定先:5事業(下記)。

※助成公募を24年9月に行い(公募の概要はこちらから※ご参考)、有効応募総数58件より書類審査を通過した申請者への面接審査を経て決定。

助成期間: 2025年1月から1年間以上2年間以下。

 

特定非営利活動法人アクセプト・インターナショナル

パレスチナの若者リーダーたちによる分断を乗り越えるための対話と東京宣言の作成(助成期間:1年間、助成額100万円) 

【事業概要】

 当法人はパレスチナ政党幹部や若者たちとの対話を重ね、現地の平和構築団体やNGOとも議論してきた。現地の若者たちは厳しい状況下でも新たな視座で対話への参加意欲があるが、若者と女性は対話と和平プロセスから排除されてきたため、若者や女性を中心とした紛争当事者と新たな対話による解決への道筋を創ることを目指す。パレスチナあるいはイスラエルを国家承認する国の数は拮抗しており、両者の存在を否定するより先を見据えた対話が今から求められていると考えている。パレスチナ政党の若手リーダーたちによる対話の場をつくり和平プロセスへの具体的なイメージを共有し、日本でその人たちと他国の若者、可能な限りユダヤ人の参加も呼びかけ、共に安心して議論できる場を持ち、合意事項の宣言を国際的に発信し、関係各国の指導者に影響を及ぼすことを目指す。

選考骨子

・平和構築が非常に難しい現場での活動実績を通じ、若者や女性の対話意欲や海外発信意欲をすくい上げた活動は貴重だ。日本社会へのインパクトも期待できる。

・政府や関係省庁との調整力や、国際司法機関や国連人権機関等を巻き込む力を鑑みた。

・リスクの高い状況であるが、次善策をとることになっても誠意をもって事業目的の達成に尽くされることを期待し、長年の対立の解決に向けて対話によって旧来とは別の道を切り開く挑戦を応援する。

 

きりしまにほんごきょうしつ

外国籍住民への日本語教育等支援を通したエンパワーメント・地域の受け入れ体制の基盤作り事業(助成期間:2年間、助成額100万円) 

【事業概要】

 転入してきた外国人住民が地域住民として受け入れられず孤立する現状を改善するための基盤づくり。能力の発揮や理解を得るために必要な日本語力の習得を支援する。また、生活オリエンテーションを関係機関と連携して定期開催し、その通訳ボランティアも募ることで支援の要となる人とのつながりを生む。外国人へのヘイトやマイクロアグレッション、偏見を解消していくために、地域住民との対話交流をコーディネートする。多文化共生社会に向けて、それぞれをありのまま受け入れ、社会に必要なルールやマナーを尊重し、対等な立場で学んだり、働いたり、暮らしたりすることを個人の意思に基づいて築いていく。

選考骨子

・積み上げてきたネットワークを活かし、アドボカシーにも本助成を契機に挑戦する強い意志がある。

・ジェンダー差別や民族差別が深刻だった地域発での本事業の意義を鑑みた。この地域モデルが全国各地での取り組みに好影響を及ぼし得る素地を持っている。

・オールドカマーともつながりを築き、全ての人を包摂した多文化共生に努めることを期待する。 

 

特定非営利活動法人 原子力資料情報室

核ごみ調査に揺れる地域の声をすくい上げ、政策変更を促すアドボカシー活動(助成期間:2年間、助成額100万円) 

【事業概要】

 原発政策の中で核ごみ処分政策を規定する最終処分法は、選定プロセスに住民参加や熟議機会が保障されていない。核ごみ処分地の文献調査は交付金が絡み地域有力者が応募を推進し、住民の反発や分断が起こりやすい構造になっている。調査に応募した自治体だけの問題として見過ごされ社会的対話が進まないが、本来、世代間倫理、都市と地域間の倫理、地層処分方法へのリスク認識など多面的なアプローチが必要だ。核ゴミ調査をめぐる問題現場となった地域の声をすくい上げ、核ごみ調査プロセスの透明化と合意形成の仕組みの導入、調査地域における公正な対話、政府の広報姿勢の改善や審議会での真摯な議論、法律の改正を目指す。

選考骨子

・政策決定において民主的プロセスにより合意形成することや、決定プロセスを透明化することの重要性を鑑みた。

・エネルギー政策の大きな枠組みの社会対話を前提とした道筋を持ちつつ、世代間・都市地方間の倫理問題も絡む核ごみ問題に現実的にアプローチしようとしている点を評価する。

・分断されている地域をエンパワーメントするだけでなく、日本全体の問題として社会対話の機運が高められることを期待する。

 

trunk

例えば「天気の話をするように痛みについて話せれば」2025(助成期間:1年5カ月間、助成額100万円) 

【事業概要】

 トランスジェンダーの人々への差別に反対を表明することを出発点に、入り組んだ差別の構造に目を向け、日本の差別的な法制度を変えていく土壌をつくることが目的。連鎖する社会的課題や抑圧に抵抗する場として、誰でも参加できる展覧会を開催する。複雑な現状をそのまま、形で提示しやすいアートの特性を使用し、自分の気持ちを安全に伝える場、体験したことがない他者の内面を想像し受け取る場として、参加者、鑑賞者ともにエンパワーメントができる展示を目指す。本プロジェクトは秋田を地盤に22年からスタートし、今回初めて東京で開催。性とジェンダーについての対話の場も月次で21年から秋田で開催してきた。

選考骨子

・トランスジェンダーに対する差別は喫緊で重要な問題だ。

・アートの特性を活かしたアドボカシー活動の意義を鑑みた。

・東京開催の成果が地元・秋田県に根差した活動の発展にも活かされることを期待する。

 

特定非営利活動法人リカバリー

薬物依存女性を取り巻くスティグマの解消ならびに日本の薬物政策の見直しに向けたアドボカシー事業(助成期間:2年間、助成額100万円) 

【事業概要】

 「薬物依存×女性」という複合的な問題は見過ごされてきた。薬物依存女性の7割がDV被害経験を持つなど、背景には多くの困難が存在している。薬物依存症をケアの対象とする世界的な流れを範とし、犯罪者として厳罰に処する日本の薬物政策の改革に、市民社会からの理解を得ながら、コンソーシアムを形成して取り組む。市民社会の懸念は何か、懸念は社会対話でどう解消したのか、市民の声を制度の立案者に届けて制度改革を促す。当団体は、依存女性たちの住居や就労の支援、刑務所職員向けの研修等を続けてきた。再犯防止には刑務所出所後の生活を安定させられることが重要で、女性の場合は低賃金・長時間労働ではない就労先への支援や、安心安全な身元引受人の紹介等が男性以上に必要だ。女性たちが自ら尊厳をもって生きていくために残っている深刻な問題の解決を目指す。

選考骨子

・薬物依存女性の背景には社会復帰を阻む環境や厳罰政策、ジェンダー問題などが凝縮されている複合的問題であり、重要なテーマだ。

・北海道で直接支援に丹念に取り組んできた実績に根差し、本事業で東京でも活動を展開することにより、政策により深くアプローチしたり司法関係者との新たな関係を構築したりする契機となる。

・アドボカシー手法の試行錯誤においては、有意義な取り組みをしている団体が既に連携実績のある団体以外にもあるので、連携先を広げることを期待する。

 

 

ご案内:ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)助成発表フォーラム第13回

~2025年1月25日13時30分から開催します。詳細や参加申込はこちらから。ぜひご参加ください~

 

 

 

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