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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第12回助成中間報告

ふぁみいろネットワーク(2024年6月)

助成事業名・事業目的

精子提供・卵子提供・代理懐胎で家族形成を行う当事者の経験から生殖技術の社会的公正を考える

 精子提供・卵子提供・代理懐胎は、これを用いて親になる者と、生まれる子やドナー・代理母の権利の対立が常に問題となってきた。助成事業は、不妊症や高齢、他疾患の闘病、LGBTQ、非婚など、多様な事情を抱えてこの技術に頼る当事者の手記の編纂プロジェクトを主軸とする。この手記集を当事者や一般市民対象のワークショップでの対話の土台とすることで、生殖技術をめぐる社会的公正の実現を目指したい。

 

助成金額 : 100万円 

助成事業期間 : 2024年1月~25年12月

報告時点までに実施した事業の内容: 

(A) 当事者手記:書籍企画書(別添)をもとに、当事者に手記の執筆を依頼。

(B) 教材:現時点で2種類を作成し、Web公開準備中(①精子提供を受けた事実を子に告知した親に対する当団体調査、②海外研究紹介)。

(C) 一般向けワークショップ:①大学生400名、②留学生15名に対する出張授業を準備中。②は各国の状況を踏まえた双方向の対話の予定。


(写真上=大学生対象の出張講義2024.6.26)

(D)ネットワーキング、対話、アドボカシー:学会やシンポジウムでの発表、関係者と会合。

 

今後の事業予定 : 

(A) 当事者手記:執筆希望者への声掛けを継続。打ち合わせを隔月実施。初稿締切2024年12月予定。出版社との交渉継続(決裂したら電子書籍)。

(B) 教材:①当事者・医療関係者向け「子どもへの出自の告知、実際どう?(仮題)」2024年7月公開予定。②当事者・社会一般向け「精子提供・卵子提供・代理懐胎〜海外の知見から(仮題)」2024年9月公開予定。

(C) 当事者向けワークショップ:手記の初稿が出揃った段階で、2025年1月〜3月に初回実施し、執筆者以外の当事者と意見交換を行う予定。

(D)一般向けワークショップ:①大学生400名対象(24.6.26に実施=上掲写真)  ②アジア圏を中心とする留学生15名対象が現時点で決定。今後も可能な限り多くの機会を設定。

 

助成事業の目的と照らし合わせた効果・課題と展望:   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか。

(1)当事者主体の徹底した確保

助成事業に関する意思決定や外部との交渉は、当事者メンバーが主体となり、研究者メンバーとの協同のもと遂行した。

・当事者対象のお話会等の機会に、手記の執筆希望者を募った。

・当事者に対する聞き取り調査を実施した(3件)。

(2)法制度・社会変革への機動力

・「特定生殖補助医療法案」に関する動きを注視して当事者に情報提供するとともに、孤立しがちな当事者が安全に意見交換できる場をオンラインおよび対面で提供した。

・医療職や心理職、超党派の国会議員の集まる生殖心理学会でポスター発表とネットワーキングを行い、当事者の声を伝えた。

・当該法案に関する超党派議連に提出用のアンケート調査を準備中。

(3)社会における認知度の向上力

・大学生向けセミナーを企画、近日実施予定。

・学会発表やシンポジウム登壇を通して当事者団体としての知見の発信とネットワーキングを実施中。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 協力体制の構築を目指している。

(5)持続力

 2024年1月〜6月に対面企画2件、オンライン企画2件を実施。オンラインコミュニティ(2024年6月13日現在、参加者364名)運営と合わせ、当事者へのピアサポートとエンパワメントを持続的に提供中。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

・社会一般の人々の情報不足と、メディア等が提供する情報の偏り、エンターテイメントの題材としてのセンセーショナルな消費。

・専門家の偏見とパターナリズムが根強い。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

・当事者の手記の刊行や一般向けワークショップ、教材の作成と頒布を通して、情報提供と対話機会の創出を行う。

・専門家(医療職・心理職・福祉職、多領域の学術研究者、政策決定者など)とのネットワーキングによる当事者アドボカシー活動。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

・この技術で生まれる子の権利の擁護活動。

・国内外のLGBTQ当事者団体やその研究者との連携。■

 

 

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