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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第12回助成中間報告

ふくおか摂食障害ともの会(2024年6月)

助成事業名・事業目的

摂食障害の当事者の実態把握と支援のあり方の検討、当事者のエンパワーメントを促すコミュニティの構築

 摂食障害の当事者が病気に脅かされず、必要な支援や情報を得ながら病気の回復に向かえるよう、当事者の実態やニーズを定量的・定性的に明らかにした上で、医療・福祉などの関係機関と課題を共有し、支援のあり方について検討・改善できる場をつくる。その際、有益な支援や情報提供方法のあり方を検討する手がかりを得ることを目的として、摂食障害経験者の回復体験を把握・分析し、回復における重要な要因を探る。
 また、当事者の孤立を防ぎ、エンパワーメントを促す場として、当事者・経験者によるWEBコミュニティを構築し、経験者の回復体験から得られた回復のヒントの共有や、多様なロールモデルとの出会い・交流ができる場をつくる。このコミュニティは、当事者のニーズを継続的に把握することも目的とする。
 さらに、摂食障害に対する社会的な認知拡大に向けて、本事業のプロセスや調査結果を広く発信することも目的とする。

 

助成金額 : 100万円 

助成事業期間 : 2024年1月~25年12月

報告時点までに実施した事業の内容: 

①当事者の実態やニーズを定量把握するWEBアンケート調査(写真下は告知するリーフレット)

 当初目標(回答数100件)を上回る、約150件の回答が得られた。当事者団体による実態調査は他に例が少なく、当事者の実態を明らかにする貴重なデータが得られた。

 当事者が治療を受けていない理由や、摂食障害について相談できない理由、回復のための試みに対する困難さなど、当事者が回復を目指す上でのネックを整理し、次項③の意見交換の材料とするとともに、今後制作するWEBサイトのコンテンツづくりに役立てていく。

ASTA

②支援のあり方を検討する意見交換

 福岡摂食障害拠点病院の高倉医師との意見交換の結果、意見交換の場は堅苦しい会議よりも、病院と我々自助グループがお互いの活動を知るところからスタートし、お互いの信頼関係づくりを目指したい旨を確認。今後、当会主催のミニ講座やシンポジウム(別事業)に先生を招聘するなどして、具体的な活動における連携・意見交換を試みる。

 

今後の事業予定 : 

①当事者の実態やニーズを定量把握するWEBアンケート調査

 今後、症状別の困りごとを把握するため、症状別のクロス分析を行うとともに、結果の分析を行い、白書としての取りまとめを行い、メディアへのプレスリリースを行う。

②回復のヒントを探るヒアリング調査

 ヒアリング項目の検討とヒアリング対象の選定(20名程度)、ライターの選定を行った上で、8~9月頃にヒアリングを実施予定。

③支援のあり方を検討する意見交換

 7月に、高倉医師との意見交換を実施予定。アンケート結果を共有した上で、今後の連携の可能性について意見交換を行う想定。

④当事者のエンパワーメントを促すWEBコミュニティの形成

 2025年に着手予定。

⑤摂食障害への理解促進を目指す白書の作成

 2025年に着手予定。

 

助成事業の目的と照らし合わせた効果・課題と展望:   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか。

(1)当事者主体の徹底した確保

 本事業の取組みに対して、当会の活動メンバーを新たに募集したところ、当事者8名の参加があり、HPを通した問い合わせ等は現在も届いているなど、当事者主体は徹底されている。

(2)法制度・社会変革への機動力

 アンケート調査では、過去のオンライントーク参加者等に回答を呼び掛けた結果、多くの方から賛同と協力が得られ、事前の目標を上回る回答数が得られた。これは、当事者が主体となって問題提起や問題解決を目指そうという活動趣旨が共感を呼んだ結果と考えられ、当事者が主体となり法制度・社会変革を目座像とする機運は、本事業の取組みを通して高まっていると考えられる。

(3)社会における認知度の向上力

 摂食障害に対する正しい認知拡大に向けて、アンケート調査で明らかになった当事者の実態を分析・公表するとともに、メディアへのプレスリリースや、関係主体(摂食障害拠点病院、福岡県及び福岡市の精神保健福祉センター)への情報共有、別事業で実施するシンポジウムでの紹介等を行い、当事者の実態を広く周知する予定である。
 また、当会の設立1周年にあたり、本事業の活動予定を、「社会の理解や政策 風穴を通すきっかけに」とのサブタイトルとともに、毎日新聞に取り上げていただいたことで、当事者主体のアドボカシー活動を試みていることを社会に発信することができた。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 意見交換を想定している関係機関の主体的な参加を課題と捉え、当初はワークショップ形式での会議を想定していたが、福岡県摂食障害支援拠点病院と意見交換をする中で、堅苦しい会議よりも、お互いの活動を知るところからスタートしたいとの旨で合意したことから、具体的な活動連携を通して、良好な関係づくりを目指す。

(5)持続力

 当会のメンバーそれぞれが役割をもって活動に取り組んでいる。メンバーが増えたことで、さらに多様な得意分野・スキルが揃い、お互いが良い刺激を与え合いながら、モチベーションを維持して持続的に活動できている。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 ⅰ)子どもの自己肯定感の低さ、ストレスの多い競争社会

 ⅱ)痩せ礼賛社会

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

 ヒアリング調査等を通して問題の本質を明らかにし、関係者間で共有し、まずは共通認識を持つこと。課題について広く情報発信し、改善の必要性等を訴える世論形成に結びつけていくこと。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 ・医療・福祉等の関係者との連携(根本課題の解明と認識共有等)

 ・メディア等との連携(情報発信等)

 ・ⅰ)については教育分野との連携(自己肯定感を育む教育の重要性についての認識共有等)

 ・ⅱ)についてはファッション業界、ダイエット産業との連携(痩せすぎモデルの規制や、行き過ぎたダイエット情報の規制等の働きかけ等)■

 

 

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