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ソーシャル・ジャスティス 連携ダイアローグ2024.Autumn 報告

 

 ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)は、公募第12回による助成事業を24年1月から行ってきた団体の方々(#YourChoiceProject代表・江森百花さん、NPO法人ピルコン フェロー・水谷萌さん、NPO法人CoCoTELI理事長・平井登威さん、ふくおか摂食障害ともの会代表・江上彩音さん、ふぁみいろネットワーク共同代表・綾原みなとさん、NPO法人School Voice Project理事/事務局長・武田緑さん)をプレゼンターに、宮下萌さん(弁護士/SJF審査委員)をコメンテーターに迎え、報告や対話交流を行う連携ダイアローグを2024年11月16日に開催しました。

 

 各団体から助成事業の報告を受け、続くパネル対話では、プレゼンターが持ち寄ったテーマで活発に意見交換がなされました。

 社会課題の解決に取り組む過程で対立構造が生じがちですが、そこをどう乗り越えるか、と平井さんから問いかけられました。問題の背景には複雑な社会構造があり、それを課題にあまり関心のない大多数の人にどう分かりやすく伝えていくのか、を考える必要があると平井さんは投げかけました。

 さらに、問題や当事者像を単純化する誘惑に抵抗するというテーマが、綾原さんから提示されました。ステレオタイプにして記号として処理できる方が大多数の人にとっては理解しやすいけれど、ステレオタイプが独り歩きして、その想定のもとに偏見や差別が生じることが問題視されました。

 ジェンダーに関するステレオタイプや社会構造的な差別は教育分野のジェンダーギャップの要因となっており、その解消に学生や教育関係者、地方自治体と共同で取り組みたいと江森さんは意欲を示しつつ、理解を得ることの難しさを語りました。

 これらを受けて、複雑な事象を複雑なままで抱えていくのが難しく、分かりやすい単純化の一例が対立構造ではないかとの見方を、江上さんは示しました。摂食障害に関しても、当事者は複雑で曖昧なものを抱えている一方で、ステレオタイプとして理解しようとする社会の力にさらされている現実が指摘されました。

 さらに、学校が不寛容な状況に陥るのは、教職員がさらされているプレッシャーがそのまま子どもたちにかかっている状況があるが故であり、その背景にある社会構造的な問題に向き合う必要性について、武田さんは単純化の誘惑への抵抗の一つとして語りました。

 そういった構造を根本的に変えようと原理原則にアプローチすることと、個別の具体的な政策で実を取ることとの両立について武田さんから問題提起されました。ピルコンの水谷さんからは、包括的性教育の普及に関して、政策提言と、現に中高生から挙がっているニーズに喫緊で応じるバランスを考慮した活動について話されました。

 喫緊の課題として、特定生殖補助医療に関する法案が、25年1月からの通常国会に提出されそうであることが綾原さんから示されました。法案自体が一般人は入手できず、当事者さえも分からない状況でつくられており、同性カップルや選択的シングルなどの人たちの生殖の権利が奪われようとしている状態であり、生まれた子どもの権利を保障するという理念から離れた詳細が決まりそうであることが問題提起され、この問題を社会で広く共有するためのアイディアが多く寄せられました。

 運動というのはつながっていくことだ、との宮下さんの言葉のように、つながりが深まった場となりました。

 詳細は以下をご覧ください。

 

――開会挨拶―― 

上村英明・SJF運営委員長) 皆さん、こんにちは。今年はアメリカ大統領選もあり、いろいろな変化があった年ではないかと思います。私たちの市民運動や社会運動というのは、むしろ変化ではなく、一つのテーマを丁寧に追いかけていく分野だと思っています。今回はそうした分野に助成先の方々に集まっていただいて報告を受けると同時に、お互いが更に知り合うことによって新しい可能性が生まれるのではないかということを期待しながら開催させていただいております。皆さんの報告、そしてご参加いただいている皆さんとの対話が実り深くなり、ある種の混迷の時代にとてもいい光が見えてくるような機会になればいいなと思っています。ご参加の皆様、ぜひよろしくお願いいたします。

 

 

――第12回助成事業の報告――

#YourChoiceProject代表・江森百花さん

地方女子学生の進路選択のジェンダーギャップを解消するための調査・発信事業

 まず、簡単に団体について説明させていただきます。私たちの団体は、「地方の進路選択におけるジェンダーギャップ」という課題に取り組んでおり、ビジョンとしては、「すべての学生が生まれついた地域や生まれ持ったジェンダーに関わらず自由な進学選択、キャリア選択ができる社会の実現」に向けて活動しております。

 その上でミッションを二つ掲げております。一つ目が「地方女子の進学の選択肢を広げていくこと」で、二つ目が「地方女子を取り巻く課題を(――なかなか皆さんに知られていない細かな課題だと思いますので――)社会化し、環境を変えていく」ことです。今回の助成事業はこの2つ目の調査事業になります。

 私たちが取り組んでいる課題はどういうものか。特に日本の難関大学の女子比率は、他の国に比べて著しく低い状態にあります。東大だと20%程度、京大だと22%程度になります。また、さらに細分化して考えていくと、東京大学の学内では、地方から来ている女子は9.5%で、地方の男子よりも少ないですし、首都圏の女子よりも少ない状態になっております。これを見た時に、地方の女子は「地方」と「女子」という二つの壁を抱えているのではないか、地方の女子に対する解決策が必要だろうと、この社会課題に取り組んでいます。

 調査事業には今回の助成をいただく前から取り組んでおり、「なぜ地方の女子たちが難関大を目指さないのか」について、どういう要因が考えられかを今まで明らかにしてまいりました。そこで、さらにこの課題に取り組むバイオニアとして、社会全体でこの課題に取り組む土壌を作っていくところで、このミッションの二つ目、地方女子を取り巻く課題を社会に顕在化していくところに取り組んでいます。

 今回の助成事業に取り組む理由は、地方女子たちの課題は関心のある限られた層にしか届いてこなかったので、この問題意識をさらに人口に膾炙させて、課題への取り組みをもっと発展させていきたいということで、「ジェンダーギャップ白書」を作るに至りました。このジェンダーギャップ白書、いよいよ完成に近づいており、今月には冊子として皆さまの手元にある状態にできたらと考えております。

 

 そんなジェンダーギャップ白書の内容はこのようになっており(上画像)、助成金では赤く表示しているところの調査を主に行ってまいりました。

 その「補助学習費における男女差」というのは、データもありますが、個々の保護者の方に聞くと「そんなに女の子と男の子で差をつけているつもりはない」という意見がありますけれども、実際に調査で詳しく聞いてみると、「あれ?女の子の方にあまり学習費がかかっていないじゃないか」ということが見えてきました。

 あと、高校生に対して直接30名程度にインタビューさせていただきました。難関大を目指したいと思っている学生たちの中でも、固定化されたステレオタイプというのがあることが見えてきて、当たり前に「やっぱり女性は家事をしなきゃいけないよね」と捉えている実態がありました。

 社会全体で今、ジェンダー平等が叫ばれている中で、「そういうものはないだろう」と一蹴されてしまうこともあるのですけど、そういった個々の事例をジェンダーギャップ白書に載せることで、まだ解決していない問題を明らかにできたらいいなと思っております。できるだけ見やすく、ただ個別のインタビューだけではなく、マスのデータや客観的なデータと組み合わせながら、すべての人に「これって確かに課題だね」と思ってもらえるような形で提案させていただければなと思っております。

 

自治体や学校と共同で地方女子の課題に取り組める先を模索

 今後の課題や展望については、今月でこれが完成して、各自治体や学校さんにお配りして、この問題に対して何ができるか、私たちの団体と共同で何かやらせていただけないか提案していくところですが、自治体の方は現時点でもアプローチはしているものの、どこに持っていくと動き出しが一番スムーズなのかは、私たちでもまだ手探りしている部分なので、ご助言いただけますよう、よろしくお願いします。

 

 

 

NPO法人ピルコンフェロー 水谷萌さん

日本におけるジェンダー平等に基づく包括的性教育についてのアドボカシー事業

 私はピルコンに関わってもう7年目になりました。きっかけは、自身の経験から中高生の頃に性のあり方にモヤモヤを抱えていて、何か自分に伝えられることがないか、活動できることがないかと模索する中でピルコンに大学生の頃から関わっていたのですが、大学卒業後に看護師として精神科の思春期病棟という中高生を対象とする病棟で勤めて、その中で「教育の力は大事じゃないか。看護ではできない、医療現場ではできないところを教育で補っていきたい」という思いが生じて、ピルコンの活動に事務局として関わらせていただいております。

 ピルコンという団体の紹介を簡単にいたします。ピルコンは2007年に学生団体として、代表の染矢明日香が活動を始めた団体です。2013年にNPO法人化して、今年で11周年を迎えました。ピルコンの特徴は、大学生や若手社会人、ユースを巻き込んだ活動が多いことで、若者と共に「性の健康を学ぶ場づくり」と「情報提供」をしていくのが主な活動です。中には行政や専門機関の方と連携しながら進めている活動もあります。

 私たちが目指していることは、「誰もが自分らしく生き、性の健康と権利を実現できる社会」です。

 メインにしている活動として、中学校とか高校へ訪問する授業で、「性教育プログラムの実施」が大きくあります。ピア・エデュケーションということで、「若者から伝える性教育」を強みにしております。年間100講演を上回る位、全国の中学校・高校に訪問して講演を続けています。その他、保護者やPTA向けの性教育の講演や、最近では児童養護施設や発達障害に関わる支援をされる大人の方に向けた講演も届けています。

 政策提言として、義務教育の中で性教育をもっと広げていくために要望書を出し、緊急避妊薬という万が一避妊に失敗した時のお薬へのアクセス改善を求めています。

 毎年4月にボランティア――「フェロー」と私たちは呼んでいて――が新しく集まってくださるので、その方々が同じように講演やイベントで情報発信ができるように人材育成もしています。また、私たちが届けるだけだと性教育がなかなか広まっていかないところがあるので、全国の中学校・高校の先生方が私たちと同じような性教育ができるように教材製作もしています。さらに、自助グループの運営や相談支援もやっています。

 「日本では性教育が遅れている」と話されることが多いですが、実態としてどういうことが挙げられるかというと、性教育で扱う内容の最低基準や、性教育にかける時間、内容が日本と海外のスタンダードでは大きく異なっています。ユネスコの世界標準ガイドラインでは、「生物や健康の科目を中心とするカリキュラム化」がしっかりされているのですけれども、日本では学習指導要領の「歯止め規定」によって教えられる範囲が限られています。また、性教育にかける時間も、海外のスタンダードでは年12~20時間、しかも年齢が5歳から18歳以上という幅広い年代で行われているのに対して、日本の学校だと平均3時間。私も経験があるのですけれども、雨などで体育ができない時に保健体育をやろうかみたいな感じで、先生もきちんと時間が取れない実態がありします。

 ピルコンの講演で届けている「包括的性教育」は国際スタンダードに添っているのですが、日本ではまだ「歯止め規定」があって私たちも講演のご依頼いただく中で課題だと思っています。ポイントとしては、歯止め規定があるから避妊については扱わないでほしいとか先生が教えてはいけないという訳ではないのですが、この歯止め規定に先生たちがすごく捕らわれていて、私たちが伝えたい内容や先生が本当は伝えたい内容がなかなか伝えられない現状もあります。

 中学校・高校に訪問する以外にも、大学生以上の方が性教育について学べるワークショップや院内勉強会を開催したり、SJFアドボカシーカフェを共催したり、大学ですと東海大学さんと連携しながらユネスコセミナーというイベントを今年開催したりしました。

 

包括的性教育に関する提言に注力

 今後の展望としては、包括的性教育に関するサイトの作成やSNSでの発信もやっていきたいと思っていて、概要が今月に出来上がるところで、進めていきたいと思っております。

 

 

 

NPO法人CoCoTELI理事長・平井登威さん

精神疾患の親をもつ子どもの“こえ”を可視化するWebメディア

 まず簡単に自己紹介をさせていただきます。関西大学の4年生で23歳です。今、大学を休学しながら、静岡の浜松が地元で、そこに住みながら活動をしています。僕自身、幼稚園年長の時に父が鬱になって、そこから虐待などを経験したという原体験があり、精神疾患の親を持つ子ども若者の支援を行う学生団体を、コロナ禍に入学した大学の1年生の冬に立ち上げて、去年5月にNPO法人化して活動をしています。

 

 続いて、取り組んでいる課題についてお話しします。そういった子どもたちは欧米では自身の精神疾患の罹患率が他の子どもと比べて2.5倍高いと言われています。さらにメンタルヘルス以外にも様々な影響が出る可能性が高いこともわかっています。そういった子たちは少ないのではないかと言われがちですけど、実は子どもの5人に1人位いると言われています。まだまだ社会で知られてない問題なのかなと考えています。

 今、日本で「メンタルヘルス」という言葉は注目されていると思います。精神疾患を有する患者数もかなり増えていて本人がフォーカスされていることは大切だけれども、家族がサポーターとしてだけではなく自分の人生を生きるというところがもっとフォーカスされたらいいのではないかと思いながら、特に子ども若者を対象に活動をしています。

 でも、日本にいると本当にまだまだ空白な領域です。そういった子たちの困難は目に見えづらい。「虐待」・「貧困」・「ヤングケアラー」・「不登校」といったラベルがつかないと支援を受けることが難しい。そういった子たちが受けた影響は次の世代になっても続いて、その子たちが子どもを持つという選択をした時に、その子どもも精神疾患の親を持つ子どもになっていくという負の連鎖が起きていると思っていて、それを止めたいと活動をしています。

 ただ、まだ規模の限界などがあるなかでの活動に範囲が限られていて、住む地域は関係なくオンライン上で精神疾患の親をもつ子どもを支援できる居場所づくりや相談支援をやっています。その中で取り組んでいるWebメディアが助成事業で、後ほど説明します。

 ピアサポーターの養成も行っています。同じような立場の子が自分も何かしたいとなった時に――この可能性はすごく大きいと思うのですけど――、安心・安全や学びの機会を保証できる環境がなかったので、ピアサポーターへのサポートが必要だと考えて、コミュニティ化して活動しています。

 200から300人ぐらいの子ども若者と出会って活動をしていて、抱えている課題の多様性を感じています。ただ、社会でこういった困難はまだ知られていないとすごく感じています。

 

精神疾患の親をもつ子ども若者がロールモデルと出会える可能性を生み出すWebメディアづくり

 社会のどこに課題があるのか。複雑な構造の中で僕たちが大きく定義していることが二点あります。一点目が、当事者の子どもたちはまだ見えないことで、僕たちも今そうなのですけど、子どもからの相談を待つ支援となると限界があり、相談する前の段階で自身の状況を客観視して自覚して言語化して、かつSOSを出して、ということはハードルが高いことだと思っています。だからそこで出会える子たちは、もう何かしらの逆境体験を経験していて、多くの場合、影響が出ているので、もっと早く出会える場が必要なのではないかと思っています。

 もう一点が、社会資源がまだ無いことです。ビジネスに落とし込むことが難しい、かつ公的な枠組みがまだ無い領域なので、お金の面で問題があります。それ以前に、問題の認知度が低いところは大きな課題だと思っています。

 助成事業は、そういった子どもたちの声を届け可視化するメディアの制作・運営です。目的は、声を届けて社会課題化していくことや、相談するのはハードルが高いので、相談しなくてもロールモデルと出会える可能性を生み出すことや、課題内の多様性を見える化することです。コンテンツは、当事者のストーリー記事や、専門家の観点からの解説記事や、当事者の“こえ”を届けるポッドキャストをやっています。これらインタビュー記事はホームページから「活動内容」のところで「メディア」を押してもらうと見えます。今、出会っている子どもにもインタビューさせてもらって完全匿名で顔出し無しで記事を制作したり、「ぷるすあるは」という精神疾患の親をもつ子ども若者向けのコンテンツをやっているNPOさんの方など、各分野の専門家に記事を書いてもらったりしています。ポッドキャストは、来年の初めぐらいから公開する予定で進んでいて、ここでも当事者や専門職の人たちとかと話して、「読む」だけでなく「聴く」という形で社会に課題を届けていけたらと思っています。

 

 今後の展望としては、子どもから相談を待つハードルは高い時に、海外の事例で、大人が精神科医を受診した時にその子どもにまで目を向けて、必要があれば支援を提供していく仕組みがあり、そういったことができれば多様な困難の予防になると思っています。あと、企業で休職者が出た時にも、その子どもや家族に支援が必要な可能性があるとも思っていて、そういったところをしっかりとモデルを作って、公的な枠組みに落としていきたいと思っています。ただ、それ以前にしっかりとこの課題を社会に知ってもらうことはとても大切だと思っていて、その社会課題化というプロセスの一つとして、今回のWebメディアをしっかり構築していくことで、多様な形で“こえ”を届けられたらいいなと思っています。

 こういった活動の中でも、どうしても親が悪く見えてしまうこともあったりはすると思うのですけど、そこで対立を生むのではなく、精神疾患のある方も、その家族も生きやすい社会を目指すために、そういった子ども若者支援を、親の立場や精神疾患を有する方が頼りやすい形にしていけたらと思っています。ぜひこういったところを皆さんと一緒に対話できたら嬉しいなと思っています。

 

 

 

ふくおか摂食障害ともの会代表・江上彩音さん

摂食障害の当事者の実態把握と支援のあり方の検討、当事者のエンパワーメントを促すコミュニティの構築

 私どもは摂食障害の当事者団体で、私自身も当事者の一人です。日頃は、「オンライントーク」といって、摂食障害の当事者の方がオンライン上で交流する場の運営を中心に、活動しています。

 助成事業では、摂食障害の当事者を取り巻く課題解決に向けて、大きく五つの項目に取り組んでいます。本日はそのうち、「当事者の実態やニーズを把握するアンケート調査」と「支援のあり方を検討する関係者意見交換」という二つの取り組みについて、途中経過のご報告と、全体を通した今後の課題と展望についてお話したいと思います。

 一点目が、アンケート調査についてです。こちらは当事者の実態やニーズの把握を目的として実施し、全国の当事者155名から回答をいただきました。こういった調査自体も今まで例がないことで、今回、定量的な側面から、当事者の困りごとや心境を浮き彫りにできました。

 その結果の一部ご紹介します。当事者の方が回復の試み(病院/カウンセリング機関/自助グループ/回復方法/回復者の体験談 を探すこと)をしたことがあるかどうかと、それに対して困難さを感じたかを尋ねたところ、いずれも多くの方が試みたことがあると同時に、困難さも感じていることが浮き彫りになりました。当事者が頼れる先や情報の少なさを象徴する結果かと考えています。

 それから、当事者に、摂食障害を患っている自分自身に対する気持ちを尋ねたところ、「不安」という方が実に96%もいらっしゃる。その他の気持ちも多くの方が感じておられて、おそらく「自分を責める」、「みじめさ」、「恥ずかしさ」が、「病気を人に知られたくない」という気持ちにつながり、相談機関や医療につながれない実態がうまれているのかと思います。当事者が声を上げられず、ニーズが明らかにならないことで、支援が充実せず、回復の見通しが持てずに、「不安」や「孤独」という気持ちも生まれているという、負のスパイラルに陥っているのではないかとも推察されました。

 

 二点目が、関係者意見交換です。こちらは支援のあり方を検討する場で、福岡県摂食障害支援拠点病院の専門医と意見交換をしてまいりました。その中で、机上の意見交換ではなく具体的な行動レベルでの連携をしてはどうかのご提案をいただき、福岡県摂食障害支援拠点病院のご協力のもとで、シンポジウムを開催するという嬉しい流れになりました。

 シンポジウムは、医師の基調講演・当事者の体験談・パネルディスカッションの三部構成で行ったのですが、当事者の体験談に対する反響が非常に大きく、当事者の声には力があることを実感しました。また、シンポジウムを準備する過程で、メディアをはじめ、いろいろな方に協力を求めていったのですが、私たちの活動の社会的意義を評価してくださる声が意外に多く、当事者の立場だと、どうしても自己責任だと考えがちですが、社会課題としての認識を強める機会になりました。

 

摂食障害をめぐる課題を知ってもらえる機会として活動のプロセス自体をデザイン

 今後の展望についてです。それぞれの取り組みを着実に進めていくことはもちろんのこと、この取り組みのプロセス自体を、摂食障害をめぐる課題を知ってもらう機会としていかにデザインできるかが非常に大事かなと思っており、それを通じて私たちの声を社会に届けてくれる応援者をいかに増やすかも大事だと感じています。ですので、これまでにできたつながりも生かしながら、今後もいろいろな方と連携して、広がりのある取り組みにしていきたいと考えております。

 

 

 

ふぁみいろネットワーク共同代表・綾原みなとさん

精子提供・卵子提供・代理懐胎で家族形成を行う当事者の経験から生殖技術の社会的公正を考える

 ここでは団体の概要と私たちの活動の社会的背景、助成事業、それを踏まえて今日皆さんと一緒に考えたいテーマについてお話しいたします。

 ふぁみいろネットワークは、精子提供・卵子提供・代理懐胎という第三者が関わる生殖補助技術によって家族形成を行う当事者のNPOグループです。共同代表である私自身が、不妊治療をやり尽くした後に匿名のドナーさんから卵子の提供を受けて妊娠出産し、現在、子育て中の当事者です。これらの技術を必要とする仲間は、私のような不妊に悩む夫婦のほか、同性同士、トランスジェンダーのカップル、選択的シングルなどさまざまな背景を持っています。ふぁみいろネットワークでは、400名以上が集うオンラインコミュニティや対面の親子イベントなどを運営しており、多様な当事者が属性の垣根を越えて交流を深めています。

 

 実は今、精子提供・卵子提供・代理懐胎を必要とする当事者は、日本社会で重大な岐路に立たされています。日本ではこれまで、これらの技術を規制する法が未整備の状態で、日本産科婦人科学会が独自に定めるガイドラインに基づいて、主として精子提供の人工授精が実施されてきました。卵子提供や代理懐胎を必要とする人々の大部分は営利的な仲介エージェントに頼り、国内での極秘の治療やメディカルツーリズムによる海外渡航などを行ってきました。そんな中で、これらの技術は「特定生殖補助医療」という新しい名称を与えられ、誰がどんな形でその恩恵を受けてよいのかを厳密に定める法案が、次の通常国会に提出される見通しです。

 法案の作成にあたっては、卵子ドナーや代理母の身体の商品化と搾取の懸念や、生まれた子の「出自を知る権利」が侵害されてきた歴史などが論点となりました。また、これらの技術は「生殖は男女の婚姻関係の中でなされるべき」という社会的通念からの逸脱であり、伝統的家族観への挑戦ともなるため、法案においては同性カップルなどの婚姻できない人々や婚姻を選ばない選択的シングルが治療対象から排除されるなど、当事者にとって非常に厳しい制限が罰則規定を含めて設けられる見通しです。

 そんな中で私たち当事者は、不妊治療患者や性的マイノリティといった属性の垣根を越えて、連帯して声を上げる必要性を痛感しています。メディア、エンターテイメント作品、そして学術論文の多くが、「出自を知る権利」を奪われた子どもたちが成長する過程でのアイデンティティクライシスの問題に着目する一方で、その歴史を繰り返すまいとする私たち親の学びや育児の実践を透明化してきました。親側の当事者はしばしば「他者の権利を踏みつけながら自己の欲望を追求する毒親」として、あるいは「ドナーや代理母を生殖の道具に貶めるエゴイスト」として、ステレオタイプ化されてきました。しかし、私たちの個別の人生の物語はもっとずっと多様であり、生まれる子やドナーや代理母への思いも繊細な語りに満ちています。

 ふぁみいろネットワークでは、今回の助成事業で、これまで十分に光が当てられてこなかった当事者の語りを可視化し、 当事者同士や一般向けに広く発信することで、社会との対話の土台を作りたいと考えています。この対話の先にこそ、ドナーや代理母、生まれる子、そして親になる人それぞれの人権が擁護される社会が実現すると信じています。

 

“特定生殖補助医療”による家族形成の当事者 ステレオタイプではない複雑なストーリーを土台に社会対話

 以上の状況を踏まえ、助成事業の中核は、精子提供・卵子提供・代理懐胎で家族形成を行う当事者の手記の編纂と出版です。現在、無精子症をはじめとする不妊症やトランスジェンダーのご夫婦、同性カップル、選択的シングルの当事者の手記が集まっており、従来のステレオタイプに回収されない豊かな語りが立ち現れつつあります。助成事業では、この手記など当事者の語りに基づく対話型のワークショップを一般向け及び当事者向けに計画しており、大学への出張講義や教材の作成も並行して行っております。

 私たちをめぐる物語は、しばしば「エゴスティックな親V.S.人権を踏みにじられる可哀そうな子どもや代理母」などのわかりやすい対立構造で語られがちです。一方の私たち親自身も、「ドナーさんや代理母さんには感謝しかないし、我々は親としてわが子の幸せを願っているから大丈夫」などの単純な主張で、これに対抗したいという誘惑にさらされています。

 今回の手記は、単純な物語から取りこぼされてしまう微妙で複雑なニュアンスを大切にしながら、社会的対話の土台を作る試みです。今日の連携ダイアローグでも「単純化の誘惑に抵抗する」をお題として、皆様それぞれのフィールドでの経験や想いをお伺いできればと思います。

 

 

 

NPO法人School Voice Project理事/事務局長・武田緑さん

インクルーシブ教育/学校DE&I推進のためのアドボカシー活動~マイノリティ当事者/支援者団体と教職員団体の対話・連帯を力に~※DE&I; Diversity Equity & Inclusion

 

 私たちSchool Voice Projectは、学校教職員のネットワーク団体です。現場の声を集めて世の中に発信することで、学校教育をボトムアップでよりよく変革していこうという団体です。活動の柱の一つに、民主的でインクルーシブな学校にしていくというのがあり、助成事業は、いろんなマイノリティの当事者や支援者団体と教職員団体が一緒になってロビイング活動をしていくものです。

 不登校が年間34万人を超えるという状況になっていて、子どもたちが安心して学校にいられていない、排除されてしまっている現状があるということを前提に、現場で子どもたちを見ているリアリティを持っている私たち教職員の団体と、子どもたちの切実な課題感や学校にどんな社会的な障壁があるのかをよくご存知の当事者性の高い団体と一緒に、両方の視座を混ぜることで、より良い解決策を提案できたらと取り組んでいます。

 今年度は学校をインクルーシブにするための共同提言をまとめるということをゴールにしていて、来年度は具体的に発信やロビイングのアクションにつなげたいと考えています。

 プラットフォームの構成団体は、外国ルーツの子どもたちの支援団体・社会的養護や貧困世帯で育つ子どもたちや支援団体・LGBTQ+(“かもしれない”を含む)の子どもの居場所運営団体・性の多様性の出前授業や関連調査等を行う団体・障害当事者のネットワーク団体です。これは、議論を始める段階で最終的にどんな提言になるのかによって団体名を出せるかどうかの判断が必要なので、まだ団体名を出さずに始めたいという団体が多かったものですから、今は固有名詞ではない形で並べさせていただきました。

 議論の前提として「インクルーシブ教育」の定義を、障害分野の話だと日本では思われがちですが、本来そうではなく、「多様な子たちみんなが包摂されるように教育システムそのものを改革していくプロセス」というように枠組みの方を見直していくということにしています。あと、こういう議論をしていくと、「フリースクールにお金を出しましょう」みたいな路線もありえるわけですが、それは議論すべき大切な論点だと思うのですけど、このプロジェクトにおいては地域で通う公立学校のいわゆる“通常学級”を対象とし、特別支援学校・フリースクール・外国人学校などについては議論しません。つまり、この言い方が適切かわからないですが、メインストリームがどう変わるかという話をすることを前提にしています。

 これまでテーマ設定をして、「不登校」や「学習/授業」、「ルール・規範(学校文化)」などについて議論をしてきたのですが、プロジェクト立ち上げ当初はこのようにテーマで切って年度末まで話していこうとしていたのですが、論点が前半で出尽くした感じがあり、具体的なアクション提言を進めた方がいいということになってきています。

 

学校をウェルビーイングにする個別の具体策リストと土台となる理念法制定

 ここまでの成果と学びと課題としては、プラットフォーム構成団体の間ではかなり関係構築は進んでいて、忌憚なく意見交換ができるようになってきたと思っていますし、お互いの専門領域から学ぶこともできていると思います。また、価値観のすり合わせや、一番大事にするべきことは何かということが共有確認できていると思っています。社会モデル的発想で考えるということです。つまり、何か子どもたちにとっての困りごとが起こっている時に、それを個人の努力や責任に帰すのではなく、学校の仕組みや学校の当たり前がどうなっているから居られなくなっているのかというふうに学校のあり方のほうを見直していくことを大事にすることが共有確認されてきていて、かなり安定した基盤としてなっていると思います。

 一方で課題としては、どうにかしたいことが多岐に渡ってたくさんありすぎて、その解決策が細かくバラバラになってしまうことと、何からどうしたらいいのか迷うことがあります。あと、団体間で連帯する意義を見出せるロビイング内容にする必要があり、その設計が難しいことです。ロビイング内容と戦略を固める難易度が非常に高くて煮詰まった時期があったのですが、現状では、個別具対策と新しい法律づくりを目指そうという方向になってきています。原理そもそも論を重視するのか、個別具体の小さいけど実現できそうな方を重視するのかという議論があったのですが、両方を走らせながら議員さんの反応を見に行って戦略も変えていこうというような話に今なっています。

 ということで今、その法律づくりに取り組んでいます。個別具体策のリストと、理念法として基本的な考え方を土台としてしっかり制定しようという新しい法律づくりと、二本の路線で動き始めているところです。

 ちなみに戦略的な話なのですが、「インクルーシブ」と言うより「ウェルビーイング」と言う方が良さそうだという話も出ています。

 新法づくり(仮称「学校ウェルビーイング法」)の方向性としては、学校教育というのはすべての子どもが受け止められるものにしていくことを明記することと、学校は多様な子たちが通っていることを前提に社会的障壁の除去にあらかじめ努める――合理的配慮をすることも大事ですが、その前にみんなが困らなくていい仕組みにアップデートしていく――ということでお金をつけることを明確にする法律づくりをしています。

 もう一つの個別具体策(「学校ウェルビーイング八策」)は、特に大事なことをまとめたものです。多岐にわたっているので優先順位をつけて、その内容によって文科省・厚労省・地方自治体・国のいずれに言うべきことかの違いがあるので、整理して実際にロビイング活動しながら、何をより深めて追求していくのか考えたいというところです。

 

 

 

――パネル対話――

宮下萌さん・弁護士/SJF審査委員) 皆様からいろいろお話を伺えるのを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。事前にパネリストからいただいている対話テーマの希望もございますので、そこを踏まえながら進めていきたいと思っております。

 まず、総合的な質問になりますけれども、長きにわたって皆さん活動されていて、やりがいを感じたこと、また、どういった困難があってどう乗り越えたかとか、ざっくばらんに伺えれば幸いです。

水谷萌さん・ピルコン) まず、やりがいを感じる事について。ピルコンはチームに分かれていて、講演担当・イベント運営・SNS担当とか、いろんなメンバーがボランティアに出て60名ぐらいが活動してくれています。私はその中でも中高生の講演に携わることが多く、そこで事前アンケートと事後アンケートって言って、講演の前後で中高生にGoogleフォームでアンケートをいただいています。その事後アンケートに、「講演を聴く前は悩んでいても誰にも聞けなかったけど、今日の講演で聞けてよかった」とか、「性について自分で調べることが無かったけど、知らないことをたくさん学べた」とありました。あと、性のあり方に悩む当事者もいらっしゃって、私も実際にセクシュアルマイノリティ当事者でもあるのですけど、「当事者の方からリアルな言葉を聴くのがなかなかないので、そういった貴重な声聞けてよかった」とか、そういった声を直接聴くことが、私にとってはすごいやりがいになっていると感じています。

 一方の課題や難しいなと思うところについては、学校の先生たちが「歯止め規定」で左右されてしまっている印象があることです。歯止め規定は、先生が教えてはいけないというわけではなく、個々に配慮をし、生徒さん方の発達段階に応じて教える必要があるという内容なのです。先生方にとっては、周りの目とかもありますし、養護教員の先生がやりたくても「校長先生から言われたら、そうしなければならない」みたいに思ってしまっているようです。避妊や性交に付随するところが規定の主な対象なのですが、そういったところが伝えきれない現状があります。それに対して私たちも強制することは決してないですけれども、学校の先生方に伝えたいことや意図をお話して賛同いただければやりますし、今年度はそういうのは無しということであれば、学校さんと最終的に調整をしてできる範囲で包括的な性教育を届けています。

 

宮下さん) やはりアンケートは励みになりますよね。武田さんがすごく頷いてらっしゃって、学校現場において身にしみて感じるところがあるのかなと思いますので、コメントや感想あればお願いいたします。

 

武田緑さん・School Voive Project)  「歯止め規定」は本当に無くしたいと思っています。規定されている内容の性教育にも取り組まないわけではないですけど、かなりハードルが高くなっている。関係者、保護者や地域の理解を得ながらやるということで、実質ものすごくハードルを越えないとやれないというふうに今なってしまっていて、越えるように頑張るのもいいですけど、規定の方を無くしていく動きが必要だと痛感しているところで、共感しました。

 

宮下さん) 現状、歯止め規定がある中でできることと、そもそも論としてどうやっていくかということと、二つとも必要な活動になっていくのかなと思います。

 また後でこのテーマでお話を伺いたいのですけれども、ここで、CoCoTELIの平井さんから先ほど「認知度がまだ低くて、今回Webメディアを活用している」ということでしたけれども、広がりや手応えを感じてらっしゃいますか。もし、まだ難しいなと考えていたら、どこが障壁になっているか伺えればと思います。

 

平井登威さん・CoCoTELI) 一つすごく良かったなと思ったのは、Webメディアを読んで相談してくれた子が何人かいたことです。相談するのはハードルが高くて、まだ僕たちは相談を待つしかできていない中で、僕たちに相談する一歩手前でロールモデルと出会えるWebメディアは相談のハードルを下げたと感じられて、すごく良かったと思っています。ただ、今は広報が未だ行き渡っていなくて、CoCoTELIを調べたり関連ワードを調べたりした人たちが流入してくる形なので、そうではない人たちにどう届けていくかは、今後の課題になってくると思っています。

 

宮下さん) 当事者でない方に声をどう届けるかというのは、皆様にも共通する課題かと思うので、そこら辺も深掘りしてお話を伺いたいと思います。

 #YourChoiceProjectの江森さんから先ほど、白書を作って発信の準備をされているというお話があり、地方の女子学生ではない人たちにどう届けるかというところで課題に感じていらっしゃるところがあると思います。行政を動かすきっかけについて皆さんにご相談したいというお話もありましたので、そこら辺をもう少し伺えればと思います

 

江森百花さん・#YourChoiceProject) 私たちは今年の8月に本を出させていただいたのですけど、その本を読んだ上でも「進路選択って結局、本人たちの好みの問題だから、難関大学を目指しなさいみたいなのは、あなたの意見だよね」というふうに言われることもあって、背景にあるジェンダー・ステレオタイプや構造的な差別というところをなかなか分かってもらえません。その解決策として、私たちは客観的なデータを見せるようにしているのですけど伝わっていかないというのが一つ問題としてあり、それについてもぜひ皆さんがどうしているかはお聞きしたいです。

 それと、今回つくった白書を自治体さんなどに持ち込んで協働していきたい時にどんな窓口がいいのかが見つからず、自治体の男女共同参画センターへのアプローチもしているのですけど、「その事業は自分たちではできません」と言われてしまいました。皆さん、どうされているか聞きたいです。

 

宮下さん) 何かご意見やコメント、アドバイスのある方はいらっしゃいますか? 特に行政とつながりがあるところだと、ふくおか摂食障害ともの会の江上さんは福岡の地元でつながりはございますか?

 

江上彩音さん・ふくおか摂食障害ともの会) 私たちの場合は、県や市の精神保健福祉センターという依存症などを取り扱う部署と繋がりがあります。江森さんたちの場合は、男女共同参画の部署にもうアプローチされているものの、反応がいまいちだとすると、その先どういう作戦でいくのかは考えどころだと思いました。

 

江森さん) ありがとうございます。あと一つ思ったのが、ビルコンさんは学校で講演会などをされているというお話があり、#YourChoiceProjectとしては高校生たちに直接届けられたらいいなとも思っているのですが、自分たちが講演会に行こうと思っても学校側の予算が下りず、行くなら実費になると、私たちとしてもサステナブルでなくなります。学校にそういう予算を出していただくには、どこに掛け合えばいいんですか?

 

水谷萌さん) 私たちも難しいと思っているところですが、ピルコンは11年という長い歴史の中で、学校さんが徐々に予算を持ってくださるようになって、リピーター校も増えてきました。私たちは、予算が出ない学校の場合はそれこそ行政と連携をしていて、例えば区や市の性感染症対策課という感染症について扱う課が保健所にあり、その予算で行けている地域があります。学校へ直接依頼するのではなく、市の方から学校に打診していただいて、人気なので抽選で、10校位は保健所からお金を出していただく形で、私たちの講演を届けられるところが出てきております。

 

江森さん) そうなると、その学校を管轄している自治体にとにかく当たって行くのが当面はいいという感じでしょうか。

 

水谷さん) そうですね。あと、私たちが学校で聞いた話ですけれども、保健師の先生同士のネットワークがあるみたいで、例えば神奈川県の学校の一つで講演をやったところ、「ピルコンの講演がすごくいいよ」と、ありがたいことに言っていただいた保健師の先生が口コミで広めてくれたことがあって、予算について先生同士で相談し合っているそうです。

 

宮下さん) 具体的な示唆をいただきました。他の団体さんも参考になったのではないかと思います。水谷さん、ありがとうございます。

 続きまして、これも「当時者ではない人たちをどう巻き込むか」という戦略的な話につながるかと思うけれども、江上さんから皆さんとお話ししたいというテーマがあるので、ご紹介させていただきます。

当事者のプライバシーに配慮しながらも、当事者の声をどう届けるか」。平井さんもやっていらっしゃることだと思うけれども、やはり当事者がいないとどうしても運動として届いていかない、声が届いていかない。でもプライバシーの問題もある中で、共感を呼ぶようなリアリティのある当事者の声を発信する工夫について、平井さん、いかがでしょうか?

 

平井登威さん) すごく難しいところだと思っていて、社会は実名顔出しだとメディアが盛り上げて、すごく話題になることが匿名の時よりも多いというのは事実としてあると思います。それでも結局1日か2日で消費されてしまって、もどかしいし怒りの気持ちが湧いてきます。

 僕たちが子ども若者と関わっていて、その子たちの中には逆に自分から当事者経験を発信したいという子が構いるけど、僕は否定的なポジションを取っています。実名顔出しで発信するとなると、その時はすごく発信したいと思っていたとしても不可逆性が高くて、5年後・10年後に消したいと思っても消せなくなっていたり、目の前のことに何も影響がないとしても、将来、結婚したいと思ったパートナーの家族がそれを見て結婚に反対するかもしれないし、就職でもいろんな問題が起きるかもしれないところがまず一点。あと、顔出しや実名で発信ができる若者たちは、バイト代わりにそれを話すようになっていってしまうことがある。目の前の生活はすごく大事な中で、それがバイト代わりになってしまうと、経済面でも依存度が高くなってしまうし、かつ「子ども・若者に関する当事者」は世代交代が来るもので、より若い人たちを社会は求めていくと思うので。そうなった時に、それまで発信することに経済的にも依存せざるを得なかった人たちが、きちんと就職していれば身につける必要があったはずのスキルを身につけられないまま職が定まらない状態になってしまうことがあり得ると思うと、僕たちはそういった当事者の実名顔出しの発信は無しで課題啓発はやっていきたいと思いながら、今の問いは聞いていました。

 

宮下さん) そうでなんですね。

 ふぁみいろネットワークの綾原さん、当事者の手記を編纂して出版されるというお話が出ていたと思うので、詳しく伺えればと思いますが、いかがでしょうか?

 

綾原みなとさん・ふぁみいろネットワーク) やはり、当事者の実名顔だしの問題というのは、私たち自身が気を使っているところです。手記に寄稿してくださる方々以前に、私たち運営メンバーが普段の活動をどうするかというところもあって、私はSJFさんの企画においてさえ顔出しをしないで、数年前に思いつきで使ったSNSのアイコンである猫のぬいぐるみをそのまま使い続けていて、顔出しをすることに抵抗があります。

 実名で語ることは、私個人の問題にとどまらず、子どもの出生のことを含む内容ですので、子どものプライバシーを守らなければいけない。子どもがある程度の年齢になって自分の何を開示するかを自分で判断するようになるまでは、 子どもの話を含む私たちの家族の大切な話に関して、実名顔出しの活動はできないというのがあります。

 それでも運営メンバーの中で、マスコミ対応を積極的に頑張ってくれている方、ご家族と一緒に出てくださる方もいるけれども、そんな時でも、それがどの媒体に掲載されるかによらず、最終的にアンチコメントが一晩で300件ということもありますので、傷つく前提でないと発信できないというのが難しさでもあります。

 そんな中で、「メディアコントロールを意識するように」という知恵を授けてくださった方もいて、ちょっとかわいそうな感じを出していくと同情されていじめられないとか、「悩みながら私たちはやっているんです」とか、「子どもも悩んでるけど、幸せです」みたいなニュアンスですと攻撃されないかもしれないと。ここで「実際は子どもは悩んでないんですけど」なんて親が言うものなら、「それはエゴイストな親の目線だ」みたいな形で攻撃の対象になって、一体何を言っていいのか分からない八方塞がりの感じになっています。

 だからと言って沈黙してしまうと、私たちはステレオタイプ化をされやすい集団ですので、みんなの想像の中にだけ存在する極端な当事者像が独り歩きしてエンターテイメントとして消費されていくという状態が続いていますので、なるべく安全な形で、断片化されない情報を、なるべく生のままで提示したい。マスコミに対応すると、マスコミが作りたいストーリーに則った発言の部分だけが抜き出されることがあるからです。

 そこで私たちは、当事者の語りを、分割されない一つのまとまりとして提示できるといいなと考えています。その時は前提として、各自がペンネームで執筆する形でやっていこうと思っております。

 

宮下さん) リアリティのあるアイディアや実行されていることをお話しいただいたと思います。ちなみに、この出版はいつ頃されるのですか。

 

綾原さん) 手記自体は集まってきていて、年内に手記としてだいたい出揃うといいなと思っていたけれども、まとまった手記を書くのは大変で、やりたいと思っていながら私自身が書けていなくて自分で設定した締め切りをオーバーしている段階です。書くのが大変すぎて、もういっそ誰かに手っ取り早くインタビューしてもらいたいと思うぐらいですけど、でもそれだとインタビューする人がリードする形になって、私たちの出したい手記とずれてしまうかもしれない。やはり自分で書くしかなく、年明けぐらいにはある程度の形にして、それを基にしたワークショップなども、2年目にやっていきたいという野望があります。

 今日、この連携ダイアローグに出て、やる気が高まりましたので、諦めずに書きあげようと思いますます。手記は今後も引き続き募集をして、当事者の多様性がふぁみいろネットワークの持ち味なので、婚姻している・していないに関わらず様々な状態の方の語りが集まるといいなと思っております。

 

宮下さん) 手記をぜひ拝見したいと思います。今のお二方のお話を伺って、何かコメントはございますか?

 

武田緑さん) 私たちSchool Voice Projectはアンケート結果の中でも自由記述の部分が結構インパクトになると思っています。実名でなくてもエピソードがあるということは、数字も力にはなるのですけど、そのストーリーで届けられるのは当事者の力だと思うのです。個人名を出さずともストーリーとして出してもいいエピソードがもらえるのであれば活動に生かさせてもらうことはできるのではないかと思いました。

 もう一つ、今のお話聞いて思い浮かんだことがあります。京都の「山科醍醐こどものひろば」という子どもの貧困のことをかなりやってこられた団体さんが、もう10年ぐらい前ですか、YouTubeで、貧困家庭で過ごしている子たちのエピソードが特定の個人のものではなく、いろんなケースの話を混ぜてストーリーの形にしてスライドムービーの感じで発信されていて、当時話題にもなって多くの人に啓発効果があったと思います。そういう形で、いろんな方のエピソードをつなげて再編集するような形で発信するという方法もあるのかなと思いました。

 私たちも教員の声を発信しているのですが、先生たちは結構そういうリスクがあることなのです。なので、記者会見をする時も顔出し無しで、記者会見場にはいるけれど顔は撮らない形でやることもありますが、顔と名前が出なくても、その実在しているリアリティはちゃんと伝わるので、一つの方法かと思いました。

 

宮下さん) 調査に関して、自分の活動も併せてコメントさせていただきたいと思います。私も調査をやったことがありました。レイシャルプロファイリングに関する調査で、東京弁護士会主催で行い、量的な側面も大きかったけれど、先ほど武田さんがおっしゃったように、自由記述でコメントをたくさんいただいて2,094通集まったうち1,000通以上が何かしらのコメントを残してくださっていたのです。これはぜひ皆様に届けて社会を変えたいと思いまして、テキスト分析的なことをやって、特徴的な単語が出ているところをピックアップして、この単語が何語出てきているのか、この単語が使われているコメント例としてどういうのが挙げられるかをご紹介しました。その後、出版したけれども、その時に専門の方にテキストデータ分析していただいて、その単語と単語がどう結びついているかを分析していただいたこともありました。

 自由記述をそういうデータ化して発信するということはあり得る方法かと思ったのが一点です。

 もう一点、これは以前の公募による助成団体の明日少女隊さんのように、全員、仮面をかぶって完全に匿名でやるというスタイルをとっている団体さんもいらっしゃるので、いろいろな工夫があると思いました。

 当事者のプライバシーに配慮しながら当事者の声をどう届けるかに関して、様々な工夫についてお話をいただきました。江上さんいかがでしょうか?

 

江上彩音さん) 皆さんのいろいろな工夫を聞くことができて、私自身もすごく参考になりました。私たちもこれから当事者にヒアリングをして体験談をまとめようとしているので、CoCoTELIさんのWebメディアや、ふぁみいろネットワークさんの手記もぜひ参考にさせていただきたいと思いました。また、武田さんのご意見から、必ずしも名前を出さなくても、リアリティを出すにはいろいろな工夫があると改めて気づかされました。

 綾原さんのように、ご自身で手記を書くのは大変だけど、インタビュアーや編集者の視点が入らないが故に、発信者の生の声や思いが伝わる媒体になると思います。と同時に、インタビュアーや編集者の視点が入ることで、より読みやすく、とっつきやすいものになるという利点もあると思うので、いろいろな可能性の中で、私たちの体験談はどのように発信したらいいのか、今日の皆さんのご意見を団体に持ち帰って、検討してみたいと思います。気づきをありがとうございました。

 

宮下さん) 私自身も参考になることが多く、実のある議論になったと思います。

 ではテーマをまた少し変えまして、このSJFの助成は対話重視というところで、対立構造と見られがちな人とも対話をしていくというところに力点を置いています。ここでまた平井さんにお話を伺えればと思っていまして、その活動をしていくと親が責められる対象になってしまいがちなところを、そうではないということをいかに発信していくかが課題だと伺ったので、その対立構造をどう乗り越えるか、対立構造化させる構造をどう乗り越えていくかというところを伺えればと思います。

 

平井登威さん) どれだけ自分たちはその意図がなかったとして、どれだけ考えてなかったとしても、そう見えてしまったら、そうなってしまうものだと思うので、とにかく気をつけています。例えば、Webメディアで親子関係がすごく苦しかったというエピソードを載せる時はしっかりと最初に「これはその親が悪いわけではないよ」ということをできるだけ目に入る位置に置くようにしていて、日々の発信においても、今日のプレゼンでも少しそういう話をしたと思うけれど、絶対伝えるようにしています。

 この前のSJFアドボカシーカフェでもそうですけど、親の立場の人たちとコラボしていくことが大事だと思っています。このアドボカシーカフェは本当に貴重な機会を得たと思いました。ああいう形でどんどんコラボしていくことも大事だろうと思っています。

 ただ、団体運営と絡めていくと難しいところもあって、社会を構成する大多数の人たちは理解コストの低い方が課題を理解しやすい。複雑な構造に対して目を向ける方が当事者の人たちと根本からから解決していくにあたって圧倒的に重要だったとしても、社会の大多数がそうではないのは多分どの課題でもそうだと思う。でも、僕自身もこの課題はすごく深く見えていうけれども、他の課題は深く見られていない場合が多いと思う。そういう社会の中でも、大多数の人たちに対してどう分かりやすく伝えていくのかは、団体のブランディングも含めて、向き合っていく必要があるだろうとは最近感じていました。

 

宮下さん) そうですね。どう伝えていくのかは丁寧な議論が必要になってくると思います。これに関して、School Voice Projectさんは様々な団体さんとコミットしていて、ロビイングの仕方もご苦労されていて、その中での課題などはいかがでしょうか?

 

武田緑さん) 今話題になっていたような点については、協働している他のマイノリティ当事者・支援者・団体の方とは、テーマは違うけど、構造として教育の中で排除が起こってしまっている辛さを被ってしまっている側の人たちの立場でみんな活動しているということなので、そこのすり合わせはそんなに苦労しなかったと思っています。先生たちに理解してもらう必要があることや、でも先生たちがこうなってしまうのは構造上の原因があることは結構すんなりと共有できたと思っています。

 問題はどちらかというと、学校教育を取り巻く現状はいろんな要素がつながって構成されているので、どうにかした方がいいことがありすぎて、何から手をつけていくのがいいのか、その合意形成が難しいことです。戦略について今大きく分かれている部分があります。例えば今の学校教育関連の施策で、障害のある子が普通教育に適用できないので別枠を作りますとか、不登校の子たちは通常学級に適用できないので校内フリースクールを作りますとか、基本構造を変えずにそこからこぼれてしまった人の受け皿を作る形になっているけれど、その基本構造を根本的に変えようと原理原則にアプローチしていくべきなのか、それともスクールソーシャルワーカーを増やすか指導要領の内容を減らすかといった個別の政策で実をとることをやっていくべきなのか、というところで議論が難しくなっている現状です。

 でも、そこの認識のすり合わせはこちら側でできるので、平井さんや江森さんが先ほどおっしゃっていた社会一般の人たちに伝わらないというのとは別の問題かもしれませんが。

 

宮下さん) いや、ありがとうございます。改めて重要なテーマをいただいたと思っております。

 原理原則で根本的でラディカルな変革を求めるというスタンスと、できるところからやっていこうというスタンスと、そこをどうすり合わせていくのかは、運動の永遠の課題だと思うので、答えが出ることではないと思うけれども、どちらの視点も間違いなく大事だと思っています。

 できることからやっていき着実に社会を変えていくところと、根本的に欠けていること――例えば日本には差別禁止法なく、国内人権機関もないこと――に難しくても取り組んでいくところと、どちらも車の両輪として必要なことなのではないかと思います。この運動の両輪としてどうやっていくかについて、皆さんご意見ございますか? ピルコンさんは歯止め規定をそもそもなくしたいということと、できることをやっていくことと両方をやっておられると思うけれども、いかがですか。

 

水谷萌さん) そうですね。政策提言については、義務教育の中にいれていただきたい性教育の内容等については行っているのですが、やはり変えるとなると時間もかかります。一方で、現に中高生から挙がってきている問題として今すぐ教えてほしいというニーズは高いので、SNSを使ったり、学校の教育の範囲でできるところを行ったりしつつ、大元の組織や政策も変えていけたらというのが、私たちも正直なところではあります。できるところからしたいなという気持ちです。

 

宮下さん) ありがとうございます。この点、皆様、何かコメントのある方いらっしゃいますか?

 

江上彩音さん) 目先の出口対策と、根本的な対策の両方が必要だという議論は私たちの中でもあり、共感をもってお伺いしました。

 摂食障害に関しても、緊急的に今困っている方をどう支援するかという出口対策的なものも必要だけど、そもそも摂食障害を生み出さない社会にしていかないと、今困っている人が生まれることに終わりがない。ただ、それはもう資本主義社会に対抗するぐらいの壮大な話になりそうで、本質的だけれども難しい課題にどう対処するかは、皆さん共通なのかなとお伺いしました。

 

綾原みなとさん) ふぁみいろネットワークの場合、何に対抗しなければならないかというと、次の通常国会で年明けに提出されようとしている私たちのことを決める法案です。これが通ってしまったら、同性カップルが医療的に守られた状態で子どもを持つ権利が完全に否定されてしまって、それでも子どもを諦めない場合は知人に頼んだりSNSなどでドナーさんを見つけてこっそりみたいに地下に潜っていくしかない。

 そんな人権リスクを抱えた法案がこのまま通ってしまおうとしている時に、当事者団体として何ができるのかが喫緊の課題です。この法案を何とかしないと大変なことが起きてしまうということを常々考えつつ、どうロビー活動をするのか模索中です。この法律は超党派の議連のメンバー内で議論されてきたのですが、その議連に入っていない国会議員の先生方は私たちの実情を何もご存じないようで、そういう議員さんたちにどうアプローチすべきなのか。当事者団体として、あらゆる手を尽くしてこの法案に向き合っていこうとしている段階ですけれども、情報提供するには大変な準備が必要なのです。例えば、諸外国の法律はどうなっているのかなど、私たち自身も勉強しないといけない。勉強しても分からないことは、専門家の先生を頼って教えていただいていますが、知力やアイディアの限りをつくして対処するという段階です。

 私たちは最初はピアサポートをやっていたはずなのに、それだけで完結するような甘い世界ではなかったです。アドボカシーはこういうことを粘り強くやらないといけないし、諦めてはいけないと思っています。「私たち抜きで私たちのことを決めないで」ということを、実際にどう私たちのアクションにしていくかが課題感としてあります。その時に、私たちの手記があって当事者の実際を伝えられるといいのですけど、手記も法案提出までには間に合わないと思うので苦しいところにおります。

 

宮下さん) 日本は必要な法律は全然揃っていないのに、おかしな法律が出されるということがあって、去年も一昨年もいろいろ、共同親権とか。

 

綾原さん) 本当にそうですよね。

 

宮下さん) その時、その問題で関わっていらっしゃる方は夜も眠れなくて走っているところですよね。

 今日こうして喫緊の課題をご教示いただきまして、こういう問題があることを、問題に関わっていた方以外にどう伝えていくのかが、法案の制定や廃案、改正する時、非常に重要なことだと思うのです。普段は関心が全然ない人たちに対しても、すごく大変なことが起こっていることを署名活動やストーリーでの発信、議員勉強会や資料提供などで取り組むことがあると思います。ぜひ多くの方を巻き込んでやっていただければと思います。

 

 最後、「単純化の誘惑に抵抗する」というテーマを綾原さんから事前にいただいて印象的だったのですけど、「当事者」といっても一枚岩ではない?

 

綾原みなとさん) そうですね。「当事者」といっても、それまで自分たちが同じカテゴリーの当事者枠に入るとお互い思ってもいなかったような人たちが、蓋を開けてみれば当事者であるということがありました。私たちは、必要とする生殖技術を軸にしてネットワークを作ろうとしているので、婚姻状態にある人もそうでない人もいるし、それまで自分自身がいわば偏見を持って見ていた社会集団と仲間同士になったりもする。これまでの自分の眼差しを大きく作り変える形で活動に加わってくださっている当事者たくさんおられます。

 そういう中で、当事者たちが一枚岩ではないというのは、当事者自身は日常的に感じることなのです。けれども外から見ると、ステレオタイプで語ってしまうというのが先ほど平井さんが「理解のコスト」とおっしゃっていて、私たちのことを簡単に理解して消費する上では、ステレオタイプにしておいて記号として処理できる方が多くの人にとっては理解しやすいことでしょう。そういったステレオタイプが一人歩きしてしまうけれども、その作り出された当事者像を聞いても当事者はピンとこなくて、自分たちとかけ離れた人物が想定されていて、それをもとにエンタメ作品が作られたり法律が作られたりする。とくに法律を作られるのは我慢がならないし、本当に大変なことになるので困るのです。

 そんななかで、社会の側が私たちを単純化してくるから、こちらも単純な刃で切り返さないといけないみたいになってしまいがちです。だけど、そうではない、ニュアンスに富んだひとつの塊としての語りに力があるはずだと私たちは信じたいと思っています。

 どうしてかというと、既に集まっている手記を読むと、すごい癒し効果があって、その癒しは手記セラピーとも言えるような、自分の存在に肯定のシャワーを浴びているような感じがするのです。その原因としては、他者の語りの中に自分との共通点と全く違うことの両方が入っていて、違いの面からは「そんな人生があるんだ!」と気づき、自分の悩みが世界全体を占めていたところが、自分の悩みに外側の世界ができて客観視できるところがあるのです。一方、共通点によって、違うはずと思っていた人たちの中から、「よくぞ私の気持ちを書いてくれました!」みたいなことが出てくるので、代弁されるようなことがあります。

 私たちのように、世間から批判されがちなスティグマを負った当事者たちが、周りの人から大切にされているエピソードも手記の中に出てきます。例えば、「卵子提供を受けようと思うと友人に相談すると、『いいね、応援しているよ』、『困ったら助けるよ』と言ってくれて、そんな友達がいたから自分はこの道を行って大丈夫と思った」など、私たちの仲間が周囲から肯定されている記述は、私自身も肯定されたような思いがします。そういったエピソードが断片化されずに、有機的につながった語りとして出てくることに励まされます。

 ただ、手記を単にドンと出しても読んでもらえないと思うのです。みんな時間がないし、そんなコストをかけられないと思う。特に政治家さんに持って行っても伝わらないので、そこは単純化の刃と使い分けてやっていくしかなくて、永遠の課題だと思いながらやっています。

 

宮下さん) ありがとうございます。自分の体験ではないはずなのに、「自分だけじゃなかったんだ」と思えるというのがエンパワーされるのではないかと。

 

綾原さん) そうですね。

 

宮下さん) 江上さんもこれからインタビューをするとおっしゃっていて、当事者の方も元当事者の方もたくさんいらっしゃると思うので、励まされるかもしれませんね。社会に変えるためには、ある程度は単純化しなければいけないところもあるというのは本当に難しいと思いますけれども、困っていることがあればSJFの皆さんのところに来ていただくのもいいかなと思います。何かこの点でコメントある方いらっしゃいますか?

 

江上彩音さん) この「単純化の誘惑に抵抗する」というテーマにすごく共感できました。綾原さんの言葉のセンスにも感銘を受けました。本当に「複雑な事象を複雑なままで抱えていくこと」が難しくて、単純化の分かりやすい構造の一つが、平井さんが提示してくださった「対立構造」だと思うのです。

 摂食障害に関しても、「当事者って、こういうもの」といったステレオタイプがある方が理解されやすいですし、例えば、「病気の原因は親のせいだ」という対立構造を作った方が理解されやすいという側面もあるかと思います。私自身も顔と実名を出して取材を受けることがありますが、複雑な文脈を排除して、一部だけが取り出されると、違和感のあるものができてしまいます。一方で、受け手側が複雑なことをそのまま受け止めるのは難しいということも感じます。

 使い分けが必要なのだろうと思います。当事者としては単純化には抵抗し続けたい。ただ、社会に知ってもらう際には、時にその単純化の武器を使う。発信の仕方は、どちらかが全てということではなく、単純化に抵抗する場面もあれば、時にはその構造に委ねるといった形でやっていくのかなと思いながら、お話を伺っておりました。素敵なテーマをありがとうございました。

 

武田緑さん) 学校教育周りでも「単純化」という意味で似たようなことがあります。例えば、人権侵害的な校則が問題に今なっていますよね。あの報道を見ると「学校はなんていう所だろう」、「先生って人権感覚ゼロなのか」と思うかもしれません。そういう批判をされても仕方ない部分が多々あると思いつつ、でも学校がそうしてしまう背景には先生方へのプレッシャーがある。例えば、あれが最初に話題になったのは大阪の高校のケースで、髪の毛が元々茶色いのに何回も染めさせられて不登校になったというもので、それはもちろん怒ってしかるべきことで問題だと思うけど、髪の毛の色がカラフルな子たちが集まっている学校がずっと定員割れしていて「荒れている」というレッテルを貼られやすく、大阪の独自事情で言うと、そうやって3年連続で定員割れになると廃校になるという条例があるのです。そういうプレッシャーと無関係ではなく発生したと私は思っています。

 教職員も学校もさらされているプレッシャーがそのまま子どもたちに圧として掛かっていることはいっぱいあると思っています。社会的な課題は概ねそういう感じでつながって構造的な問題の中で起きているではないですか。「単純化の誘惑」という話が出た時に私はそれを思い浮かべました

 単純化への抵抗の手段についてのアイディアですけど、図的に可視化することは可能なのではないかと思っています。文章や言葉だと伝わらないけど、ビジュアル化すると分かりやすいこともある。当事者が簡単にラベリングされて単純化されることで起きているデメリットがあって、それによって現状が維持されて強化されている事は図になら伝えやすくできるのではないかと思いました。言葉だけじゃなくて、そのビジュアルで複雑な構造を見せていくことは可能性があることかもしれないと思いました。

 

宮下さん) ビジュアルで訴えていくのは活動の場面によってはすごく必要になってくると思います。運動団体でもクリエイターさんや漫画家さん等、活動している自分たちの専門と少し違うところでコミットいただける方もいらっしゃると思うので、そういった方ともつながっていく。運動というのはつながっていくことだと私は思っているので。今日もこういったご縁で皆様といろいろなお話ができたと思っておりますので、そのつながりを本当に大切にしていきたいと私も自分自身の活動で思った次第です。

 

平井登威さん) 今の図式化が僕もすごくいいなと思います。その理由は、語弊があるかもしれませんが、僕の地元で会う友達には本を読んでいる子なんてほぼゼロで、文章が出てきた瞬間にもう読みたくないとなってしまう子たちは多いと思っていて、そういう時にデザインやショート動画などの力を使っていくのは理解コストを下げられると思うからです。複雑なところを理解しに行こうとするのは、理解しに行こうとする意識だけではなく、やはり力がないとできないことだと思うので、その力がもし無かったとしても理解できるようにすることにもっと視点が当たっていったらいいなと、話を聞きながら思いました。

 

宮下さん) そのビジュアルもそうですし、音声で、例えばポッドキャストやラジオなど、発信できる媒体はいろいろあると思いますので、工夫次第かなと思いました。最後にまたいいコメントをいただきました。皆様、ありがとうございました。

 

 

 

――全体対話――

綾原みなとさん) #YourChoiceProjectの江森さんが最初のプレゼンの時に示してくださった「ジェンダーギャップ白書」の話がすべて心にグサグサ刺さりました。私は90年代後半に田舎の高校から一人だけの女子として、白書に挙げられていたような首都圏の大学に進学したのですが、何もその当時から変わっていないことがすごくショックでした。大学の古い校舎には女子トイレがなかったという時代で、周りはみんな首都圏の私立高校、特に男子校の出身者で入学する前からお互いに知っているような環境の中に地方から入ってきたのです。その時に私は田舎出身の女子でありながらこんなところに食い込めた自分を単純に誇らしく感じていて、まるで“名誉男性”であり“名誉都民”という感覚でした。当時はそのようにしか捉えることができなくて今思うと恥ずかしいです。そこからいろいろ勉強し、人生の様々な出来事があって、やっと今、「いや、あれは憤慨すべき偏った環境だった」ということがわかるようになりました。

 江森さんたちの活動は本当に我が事だと思いました。当時はその状況に怒ることができず、男性的で首都圏中心的な世界観を地方女子でありながら内面化してしまっていたかつての女子として、活動に連帯したいという気持ちをすごく感じました。私のようなOGがあちこちに実はいると思います。すごく応援しています、ということをお伝えしたかったです。

 

江森百花さん) ありがとうございます。実はOGの方で共感していただける方はいらっしゃって、寄付者の方にもOGの方がたくさんいらっしゃって本当にありがたいと思っています。でも、高校生たちにはこんな問題は分かりづらいようで、「自分が頑張ったから今この大学にいるんだ」みたいに思っている子が多いけど、その子が頑張ったというのはもちろんそうですけれど、周りの環境のおかげだったというところを、いかにみんなの共通理解にできるかを頑張っていければと思っています。

 

綾原さん) 停滞してしまった30年をここから進めてくれる感じですごく期待しています。ありがとうございます。

 

佐々木貴子さん/総合司会・SJF運営委員) ありがとうございます。 他にご参加のみなさまどなたでも、聞きたいこととかコメントなどございましたら、ぜひお手をお上げください。 貴重な機会です。

 

参加者) はじめまして。皆さん、今日はありがとうございます。特に、当事者のプライバシーの問題や、複雑な問題をどう複雑なまま伝えるかというコミュニケーションについて大変勉強になりました。

 一つ質問があるのですけれども、ここ数年、非営利業界でネット上での誹謗中傷がいくつか大きな問題になったと思っております。皆さんも前面に出て活動されている中で、そういうご経験やそういうリスクを感じられていることがあればお伺いしたいというのが一つです。もう一つは、それに対して何か対策を取っていることや、もしくはこの問題がもう少し和らぐために必要な場や、解決への糸口について何か感じられるところがあればお伺いしたいです。

 

綾原さん) 今、団体としての安全性が、私たちも非常に問題に感じているところです。ふぁみいろネットワークは規模的にもNPO法人化することができる団体ですが、法人として登記しようとすると、代表者の住所氏名が登記簿に載ってしまうのです。私たちは今は弱小でアンチの標的にされていない段階ですが、これからプレゼンスが高まっていった時に、私たちや子どもの安全をどうやって守っていくのかを考えて、団体の法人化を諦めたという経緯があります。

 なので、団体が安全にやっていけるようになるためには、中傷目的で登記簿を閲覧して代表の個人名と住所を特定できるという状況を改善してほしいです。もう少し守られた状態で社会運動ができるといいなと思いつつ、今はあえて任意団体として活動している状況です。

 

武田緑さん) 請願する時も、個人名と個人宅の住所が必要なのです。それは問題だという話を私たちもしていました。

 炎上の話は基本的にSNS上の話だと思っているのですけど、個人的な意見としては、もうX上で戦おうとしても疲弊するばかりですし、それ以外の媒体でも、個別に一人ひとりから来る反応に打ち返していくことは本来注ぐべきエネルギーが取られてしまうので、意味があまりない上に労力がかかりすぎるので、そこはもう降りてしまっていいのかなと思っています。それよりマスメディアで報道してもらうとか、手記を出版するとか、SNSではないところでのプレゼンスを上げていく路線に軸を置くべきだろうとは思っています。SNSは広く発信するというよりは仲間とつながり続けるツールとして使う、といった切り分け方が必要かなと考えているところです。

 

参加者) 皆さんの話を聞きながら、アイヌ女性と在日コリアン女性がSNS上で誹謗中傷にさらされ人権侵害を受けたことなど自分のこともいろいろ思い出していました。やはりこういう場があって話のできる仲間が見えるというのは一つ大きいですね。どの社会もどこの国に行っても、残念ながら差別をする人たちはいる。でもそれに対して、少なくとも自分自身がもう凹んで諦めて無力感に苛まれることはないだろうと思っております。

 ぜひ皆さんにお伝えしたいのは、法務局があれを人権侵害として認定しても何の力もなくて、侵害したご本人は何の責任を取らないのが今の日本のシステムなのです。そういう差別を禁止する法律もなく、ヘイトスピーチや部落差別もそうですけど、差別を止めましょうという教育はあるけれども、そういう差別に対する制裁や救済はありません。これは、ぜひみんなの力を集めて変えていきたいと思っている一人です。

 一つ質問がありまして、先ほどの綾原さんのお話で、喫緊の課題として特定生殖補助医療に関する法案が国会に提出されるというのを初めて認識しました。じゃあ私たちは今、具体的に何かできることがあるか、教えていただけますか?

 

綾原さん) そうですね。「これは、おかしいよ」ということを話題にしていただけるだけでも有難いと思います。「これは、おかしい」と感じることができる感性のある人たちはある程度いらっしゃるはずですけれども、その人たちがまずこんな法案を知らないのです。

 法案自体が一般公開されていなくて、私たちも特殊なルートで聞き及んだ感じで内容を把握したもので、公開される議連のシンポジウムなどはYouTubeで見て、様々な情報収集の苦労を経て、法案のことを突き止めました。それをなんとか社会運動につなげていきたいのだけれども、法案自体が一般人は入手できる状況になく、密室で作られていて、当事者さえも分からない。卵子提供などのエージェントさんたちも自分たちの存続がかかっているはずなのですが、おそらく法案を分かっていない状況で、さまざまなステークホルダーが締め出された状況で法案が作られています

 だから、これが国会に提出された時にきちんと議論されるのか疑問で、密室のまま少し議論して終わってしまうのでないかと不安です。同性カップルや選択的シングルなどの人たちの生殖の権利が根こそぎ奪われようとしている状態であることや、生まれた子どもの権利を保障するという理念からほど遠い詳細が決まりそうになっているということを知ってほしいです。報道は毎日新聞から少し出ただけなのですけども、そういったものを読んで知っていただけるとか、「今なんか大変らしいよ」と話題にしてもらえるだけでも助かります。

 同性婚のことに関しては社会の認識も高まってきているけれども、同性婚の先に家族形成があるというところまで、みんな想像できていないのです。同性カップルが子どもを持つことを想像する手前で思考停止してしまっている人が多いと思うので、「婚姻という枠組みさえ取っ払ってしまったら、同性カップルだろうが選択的シングルだろうが子育てができるんだよ、本当は」となるぐらい発想の転換をみんなできるように、話題が広がっていくとありがたいと思っております。

 

 

参加者) 複雑なことをどうやって複雑に伝えるかが大事だということなどが心に刺さりました。今のふぁみいろネットワークさんのお話は私も知らなかったので、一緒に考えていきたいと思います。ありがとうございました。

 

参加者)それぞれがそれぞれに課題に取り組まれているということを知りながら、またそれが立体的に他の方と対話をされていたのを頼もしく感じながら拝聴させていただきました。SJFがこういう場を重ねていき、日常の中でも何かつながっていくことができればいいなと思いました。またどうぞよろしくお願いします。

 

佐々木さん) ありがとうございます。皆さんがこの場で言葉を発することによって重なり合う部分が少しずつ広がっていくのを私も体感させていただいて、これこそ連携が始まるきっかけかなと思います。このきっかけをさらに広げて、例えば、ふぁみいろネットワークさんがお話された1月には決まってしまうかもしれない法案に対して、議会に陳情や意見書をできる方たちで出していただくとか、私たちにも少しはできるのではないかと思う部分はありますので力を合わせられたらいいなと思います。自分たちを抜きにして全てが決まっていくのはもう嫌ですよね。きちんと議論して、本当に必要なものにして行きたいですね。

 

綾原さん) 今、佐々木さんがおっしゃったように、皆さんに陳情していただくとか、首相官邸に一言とか、比較的簡単にできるアクションがあるかもしれなくて。ただ、私たちは追い詰められすぎて思いつかない部分もあるので、もし皆さんの中で法案の国会提出までにできるようなアイディアがありましたらお知恵をいただけないでしょうか。

 

宮下萌さん) 例えば、Change.orgさんなど署名のサイトを使って、いま何が起きようとしていて何が問題なのか、そして何を求めるのかを、まず文章でクリアにすることが大切かなと思います。それを踏まえて、多くの方に署名を募るということは、まず人をつなげるきっかけとして一つあると思います。

 法的な観点からのアドバイスとなると、弁護士など法律の専門家のコミットも必要だと思いますし、他の分野でも専門的な知見のある方も必要だと思います。また、議員へのアプローチをどうするかというところで、とにかく議員の方でつてがありそうなところをどんどん回っていく

 今、思いつく範囲で申しましたが、社会のみなさまにはまず知っていただくためのコンテンツを――それが署名なのか、ストーリーなのか、いろいろあると思うけれども――作ろうという形が良いのかなと思いました。

 

武田緑さん) 署名はもちろんだと思うけど、何が問題なのか、画像でわかりやすく整理したものをSNS等でで上げるのはいいのではないかと思いました。

 また、顔だし無しでいいので、記者会見をしたらどうですか? オンラインでもできるし、この件だと厚労省になるでしょうか、所管の省庁の記者クラブに連絡をすると記者会見ができるので、そこに当事者を集めて会見するとそれなりに報道されるのではないでしょうか? 普通にメディアに載っている量がとても少ないと思うので、騒ぎを大きくするようなことをやるといいかもしれません。ただ、その時に個人に攻撃が向かないようにプロテクトするべきだとは思いますけど。

 

江上彩音さん) 個人としては、署名活動が一番参加しやすいと思うので、署名活動に加えてメディアへのプレスリリースをして、情報を拡散するのは良いかと思います。私たちはシンポジウム開催にあたって、新聞記者の知人にプレスリリースの方法を聞いて、ファックスやメール、電話をとにかく遠慮せずにかけたのですが、一定の反応がありました。

 メディアさんが惹かれるポイントは、社会課題としての重要性だと思うので、これがいかに重要な社会課題であるかを示すワンペーパーを作って、プレスとして出してメディアの方に拾ってもらうというのは、賭けのような部分もあるけれども、当たれば効果は大きいと思いました。もし、記者さんの知り合いがいらっしゃれば、どういう担当に投げたらいいかも教えてくださるかもしれません。

 

武田さん) 先ほどの話に追加で、所轄の官庁の記者クラブの一覧サイトを今チャットに送りました(https://yourbd.biz/kclub-kankouchou/)。知り合いの記者個人へのアプローチもいいと思いますし、所轄官庁の記者クラブだと、そこにファックスを一本流すだけで記者室にいる全メディアの人に届くのです。今議論されている法案の件で記者会見しますので記者クラブの部屋を借りられるのです。だから厚労省なり所轄の官庁に行って、その記者クラブの部屋を予約して、セットでその所轄官庁の社会向けのプレスリリースをすると全部それ一本で結構インパクト出せると思います。

 

綾原さん) ここには社会活動の知恵が詰まっていますね。この場は本当にすごいですね。生き延びられる気がしてきました。お時間と知恵をいただきまして、だいぶエンパワーされました。

 

 

 

――閉会挨拶――

朴君愛さん・SJF運営委員) 皆さん本当にありがとうございました。お話を聞きながら、これはもう何かしなければと私も思ってしまいました。今日ご参加のみなさまの中で賛同される方は、アクションを一緒に起こすことできるのではないかと思いました。これはキーになる言葉だなと思うことがたくさんありすぎて、とても貴重な時間になりました。

つながることのできるこういう場が本当に必要だということも改めて感じました。そして、ソーシャル・ジャスティス基金がこういう場を提供することができている、この積み重ねをもっと大事にしていきたいと思いました。自分の人生とこの社会に非常にプラスになることが詰まっていると私も思いましたので、周りの皆さんにも伝えていければと思いました。本当にありがとうございました。   ■

 

 

 

 

●次回のSJF企画ご案内★参加者募集★

ソーシャル・ジャスティス基金 助成発表フォーラム第13回

【日時】2025年1月25日(土)13:30~16:00

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詳細・お申込みhttps://socialjustice.jp/p/20250125/   

 

 

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