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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第13回助成中間1次報告

NPO法人アクセプト・インターナショナル(2025年6月)

助成事業名・事業目的

「パレスチナの若者リーダーたちによる分断を乗り越えるための対話と東京宣言の作成

 2023年10月7日にハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、報復としてイスラエル軍が軍事作戦を開始して以降、パレスチナ情勢は混迷を極めています。

 これまでにも、パレスチナ、イスラエルの政治リーダーによる対話が関係国の仲介のもと行われてきました。しかしそうした対話の場への参加は男性の幹部層に限定され、若者や女性は排除され続けています。またパレスチナ内部でも、考え方や立場の違いがあり、人々は分断された状態です。このような状況も踏まえ、若者や女性を中心にした紛争当事者を含む対話の場をつくり、紛争解決や平和構築に関する提言を行うことを目的とします。

 具体的な目標としては、

– パレスチナ政治に携わる若手リーダーの対話スキームを確立すること

– パレスチナ人の若者の対話と相互理解を深めること

– 若者主導の対話を通じて、新たな和平プロセスを構築していくこと

– 地域の紛争解決と平和構築における若者と女性の役割を強調すること

– パレスチナ和平への新たな視点と、国際社会における機運を醸成すること

– 具体的な行動計画を策定するとともにそれを宣言としても公開すること

 

助成金額 : 100万円 

助成事業期間 : 2025年1月~25年12月

報告時点までに実施した事業の内容: 

 2024年7月と12月に中東某国にてパレスチナの若手リーダーを招いた少人数の対話を実施しました。参加する若者たちは、イスラエル政府による攻撃と占領に憤りを感じており、まずはその行為をどうにか止めさせたいという思いが強くありました。そしてこの対話会合について、「イスラエルが変わるべきであるのに、なぜ自分たちが変わることを求められるのか」という反発の声も聞かれました。

 しかしながら、若者たちと話を進めていく中で、攻撃を止めるために何ができるのか彼ら自身も試行錯誤し、新たな方法を模索したいと考えていること、また今、分断された状態にあるパレスチナ人たちがより団結して取り組めば、このような攻撃を止めるさらなる力になるという認識も持つことができました。

 また若者たちから対話を実施するだけでなく、自分たちの交渉能力や国際法の知識などのスキルアップもはかりたいという声が上がり、国際法の専門家を招いて、自分たちの主張がどのように国際社会からは見られているのか、どのようなアプローチが効果的なのかも話し合われました。

Kaida SJF

 2025年4月には、いくつもの調整を経て、異なる地域出身、かつ政党、市民社会からの18名の若手リーダーたちを招聘した会合を実施しました。当初は政治的主張の違いや、環境の違い、政党側と市民社会側との溝は大きく、お互いが主張し合うという場面もありました。しかしながらそれぞれが困難さや問題意識を伝え合うことで、互いの状況を理解し、次第にどのようにしたら協力し合えるのか、何を目指すべきかという問題関心に移っていきました。3日間にわたる会合の最後には、この集まりをPalestinian Youth Committee for Unity (PYCUと名付け、対話とガザのために具体的な取り組みを行なっていく合意を作ることができました。

 

 

助成事業の目的と照らし合わせた効果・課題と展望:   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか。

(1)当事者主体の徹底した確保

 パレスチナの状況についてあまり詳しくない人や、ハマスによる10月7日の攻撃の印象が強く残っている人にとっては、当事者であるパレスチナの若者たちの考えや思いが伝わりにくいという課題がありました。そこで、メディア専門講師や国際法の専門家とともに議論を行い、若者たちが主体的に学び、さまざまな知識や発信のアプローチを身につける機会を提供しました。その結果、当事者として、より伝わりやすいかたちで自らの声を発信できるようサポートしました

(2)法制度・社会変革への機動力

 複数の政党の若者から会合出席の同意を得ることは、利害関係やこれまでの経緯もあり、困難を極めました。ガザで長年、活動してきたシンクタンク、国際的な機関に所属するパレスチナ人の識者などと関係を構築し、彼らからの働きかけや紹介もあり、出席の合意を得ることできました。政党の指導者級でも複数の政党による会合は何度か行われていますが、直前にキャンセルになることもある中で、若手リーダーが集まったという成果が、一つの機動力となります。これをもとに国際社会への働きかけにつなげていきます。

(3)社会における認知度の向上力

 さまざまな主義主張がある問題であるため、広く情報公開を行うことが難しくはありますが、パレスチナ含めた中東に詳しい日本の関係者やパレスチナ人の識者から取り組みについてのコメントをもらったりし、認知を図ってきました。写真、映像、対話内容についての記録は続けているので、適切なタイミングでの公開を目指したいと思います。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 パレスチナ人の参加者同士であっても、ガザ出身者、ヨルダン川西岸地区の住民、東エルサレムの住民、そして各国で暮らす難民の間には、必ずしも深いつながりがあるわけではありませんでした。また、市民社会のリーダーたちの中には、政党関係者のリーダーから表面的な対応しか得られていないことに不満を抱いている人もいました。まず、参加者それぞれが自分たちの状況を自らの言葉で語る機会を設け、相互理解を深めました。そのうえで、当法人スタッフが個別にミーティングを行い、生産的な対話を進めるためにはどのようなアプローチが必要なのかを、一緒に検討しました。 ■

 

 

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