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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第9回助成

ジュマ・ネット
SJF助成事業中間報告(21年6月

 

助成事業名インド、アッサム州における国籍を奪われた人々の生活と法的支援事業  

 インド、アッサム州では、以前から不法移民(主にバングラデシュ人)の排斥運動が強く、民族同士による襲撃や対立が続いていた。BJP政権下、2019年8月に全国市民登録簿が更新されたが、3300万人の申請中、190万人が外されることになり政治的緊張が続いている。国籍を認めさせるには外国人審判所に必要な書類を提出して訴えるしかなく、時間や費用がかかることと、一部の人は拘置所に拘留される事態となっており、住民の間に絶望感が広がり、自殺者も多数でている。被害者の規模が非常に大きいため、アッサム州バルペタ郡で、貧困層や自殺者を出した世帯を対象に、生活支援や教育支援と合わせて、法的支援を進め、この問題と向き合いながら、問題解決の糸口を探っていく。

 

事業計画 

 事業は大きく、被害者の、(1)生活支援活動、(2)法的支援活動、(3)提言活動に分かれる。

(1)被害者のネットワーク化と提言活動

(2)法的支援活動 5件ほどの州の最高裁での裁判支援

(3)生活支援活動
① 対象世帯の子供100人への学習支援、教材配布、教員の研修
② 対象世帯の生活支援。灌漑ポンプ、ミシン、裁縫用材料等の配給(約10世帯)

 

(1)の活動は、2名の人権活動家。

(2)の活動は、弁護士2名。

(3)の活動は、教育担当者1名、生活支援担当者1名、補助員(主に教育)5名が担当する見込みである。

 

助成金額 : 100万円

助成事業期間 : 2021年1月~2021年12月 

実施した事業と内容:  

(1) 被害者のネットワーク化と提言活動の活動は現在、コロナ禍ということもあり、集まっての会議ができないため各被害者と連絡を取り、状況を確認中である。

(2) 法的支援活動は、現在1件の裁判を支援中である。50歳の女性が外国人という嫌疑をかけられ、2018年に外国人審判所で外国人と宣告された。女性は早くに結婚するため、父親との親子関係を証明することが難しく、彼女もその典型例である。今後、最高裁での判決が注目される。

(3)生活支援活動は、①小学校2年生から6年生の子ども30人を対象に、5人の臨時教員補習授業を提供している。コロナ禍により、子どもたちは学校が休校になることも多く、こうした措置によって教育を継続できた子どもたちも多い。子どもたち一人一人から話を丁寧に聞き、全国市民登録簿更新の影響等についてもモニタリングしている。

②また、収入向上活動として、25人の女性グループが地域の伝統的な刺繍「カタ」のトレーニングを受け、ベッドカバーや上掛けに刺繍を施して販売する事業を開始した。女性たちに布や糸を支給し、作成されたリネン類を販売している。地域の手工芸品販売促進会や、facebook上のグループで好評を得ている。枕カバーやショールなど、他の製品の作成も始めた。

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写真上=ジュマ・ネットの支援で子どもたちに補習を実施する教育ボランティア。子どもたちの多くは、家族や親戚が市民権問題で影響を受けている。

 

助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例を挙げてください。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか記載ください。

 とくに、助成申請書の3-5で5つの評価軸について記載なさった「課題と考えることとそれへの対策」に関連させて、どのように変化したのかも記載ください。

(1)当事者主体の徹底力 

 被害者のネットワーク化は一部、手工芸グループの女性たちによって実現化している。立場の同じ女性たちが悩みを共有すると同時に、若いメンバーは手工芸品の生産によって自らの進学費用を稼ぎ、今後英語で発信できる主体となることが期待される。

(2)法制度・社会変革への機動力

 現在、最高裁でも一件の裁判を支援中であり、判例を重ねていくことによって外国人と嫌疑をかけられた人々に有利な制度へと変革していくことができる。

(3)社会における認知度の向上力

 映像や記事をSNS等で発信することを検討していたが、5月までは選挙があり、政治情勢が不安定なため見合わせていた。現在、現地のパートナーとどれだけの発信ができるのかを調整中である。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 協力的な市民グループやNGOと連携し、インド国内の市民層にアピールする。

(5)持続力

 現在、ジュマ・ネットからの支援は二年目に入っている。コロナ禍と現地の政治情勢によって状況は厳しいが、コロナ禍終息以降を見据えて準備を整えていきたい。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 アッサム州では移民出自のムスリムに対する偏見と差別があり、特に「バングラデシュからの移民」が大量に入ってきているのではないかという恐怖感が人々の中にあることが課題である。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

 外国人として宣告され、拘留されてきた人々の声はこれまで社会に届かなかった。こうした層の人々の声を届けると同時に、NRCから排除されて被害を受けている人々の情報を発信することで、世論の流れを変えることができれば大きな貢献となる。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 アッサム州内でのリベラルで市民的な層との連携が重要だが、現在は政治的な背景もあってこうした層が活性化しておらず、困難がある。

 

今後の事業予定

(1)被害者のネットワーク化と提言活動については、コロナ禍と現地の政治状況(選挙)により遅れているものの、実施を試みる。

(2)法的支援活動は現在すでに1件の裁判を支援中であり、今後も継続して計画通りの活動を予定している。

(3)生活支援活動は、現地のパートナーが非常に精力的に活動し、またコロナ禍の状況で必要性の高い活動である。こちらも計画通り、実施を予定している。

 

関連するSJFアドボカシーカフェ『あなたがある日突然、外国人だと言われたら―インド・アッサム州における市民権問題―』の報告はこちらから

 

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