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【ソーシャル・ジャスティス雑感/SJFメルマガ2018年11月16日配信より】

   世界こどもの日に権利条約を読もう (大河内秀人/SJF企画委員)                              

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 11月20日は、1954年に国連が制定した「世界こどもの日」として、子どもたちの相互理解と福祉を増進させることを目的とする国際デーです。1959年のこの日に「子どもの権利宣言」、1989年のこの日に「子どもの権利条約」が国連で採択され、その後も選択議定書や、個別の問題に関する人権条約なども積み重ねられ、子どもの権利を保障する世界のスタンダードは一歩一歩押し上げられてきました。

 1954年の12月に国連総会が、すべての加盟国にそれぞれ「子どもの日」を制定することを勧告しましたが、日本ではそれ以前、1948年に国民の祝日に関する法律(祝日法)で、古来から端午の節句として男子の健やかな成長を願う行事が行われてきた5月5日が「子どもの日」と制定されました。その条文では「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」と規定されており、そのあたりのニュアンスが、「子どもの権利」とのズレを感じるのは私だけでしょうか。

 「子どもの権利条約」は、今や米国以外のすべての国連加盟国が批准している、子どもの人権に関する現代の国際標準です。日本は1994年に、158番目の批准国となりましたが、国連子どもの権利委員会により定期的に行なわれるその実施状況の審査において、指摘された問題に関して、再三の勧告にもかかわらず、取り組みの不十分さが非常に目立ちます。

 私は「江戸川子どもおんぶず」の代表として、区内の学校や子ども施策関係者等の集まりで「子どもの権利条約」に関するレクチャーを何度かしてきましたが、教師や民生委員など子どもにかかわる人々の多くが「子どもの権利条約」の存在すら知らないという現実に驚きました。ここから締約国の周知義務に対する条約違反です。

 そして「子どもの権利」に対する認識の問題です。子どもの権利委員会が重要視する「子どもの権利を基盤にしたアプローチ」がなされていないことが毎回指摘されているように、子どもを権利の主体と見ていないことが根本にあります。朝鮮学校無償化の問題も、子どもの学ぶ権利より、国にとってどうであるかということが先に立ちます。福島の子どもたちの健康の権利より、政策の都合が優先します。

 「江戸川子どもおんぶず」では、“子どもの権利条約を読む”ワークショップを行っています。一つの条文を、何が主語で何が述語かから、単語・文節を細かく分析し、その条文の成立に至る国連での議論を調べ、声に出して読む、という作業をみんなでするのです。そうすると、世界の人々がいかに子どもたちのことを考え、人権思想を深め押し上げてきたかということに感動します。そして締約国としての日本の問題、さらには市民一人ひとりが何をすべきか、何ができるかという道筋が見えてくる思いがします。

 「世界こどもの日」は、「子どもの権利条約」を読む日にしたいと思っています。

 

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