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「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークでは、2010年より、困難のなかで生きるあらゆる子ども/若者に支援を行き届かせることを始めとする4つの柱を立てて活動してきました。そして、そのうちの一つ、「子どもの貧困対策法」が20136月に制定され、20141月に施行されました。

 法律は、「生かされてこそ」のもの。政府では子どもの貧困対策大綱がまとめられ、子どもの貧困対策が具体化していきます。私たちは、その具体化のプロセスに、実際に貧困・低所得の状況にある子どもや保護者を支える活動をしてきた市民の経験と知恵を反映していくことで、実効性ある法律にしていきたいと考えています。

  このたび、私たちは「ソーシャル・ジャスティス基金」の「「子ども・若者の貧困問題」を対象としたアドボカシ-活動」として「『生かそう!“子どもの貧困対策法”』市民のちから事業」に助成していただけることとなりました。市民のちから事業では、ネットワークの強みを生かし、子どもの貧困問題に関わる多分野の方々の知恵をいただき、提言につなげていくために、(1)市民のつどい、(2)自治体セミナー、(3)連続セミナーを開催してきました。 

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1.「生かそう!子どもの貧困対策法」市民のつどい

◆日時:2013106日(日)13時開場 1330分~1630

◆会場:豊島区勤労福祉会館 大会議室

◆参加者:北は北海道から南は大阪まで、約120名が参加。内訳は、学生・奨学生、ひとり親家庭当事者・社会的養護当事者、子ども関連NPO・支援団体・福祉施設スタッフ、学校教職員、夜間中学教員、スクールソーシャルワーカー、地方議員、医師、弁護士、研究者など。

◆内容

【第1部】「当事者が願う子どもの貧困対策」では、下記の当事者/支援者の方々が発言してくださいました。

・地域での支援:栗林知絵子さん/NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク代表

・ひとり親家庭支援:片山知行さん/特定非営利活動法人全国父子家庭支援連絡会代表理事

・子どもの貧困対策:村井琢哉さん/特定非営利活動法人山科醍醐こどものひろば理事長

・奨学金問題:岩重佳治さん/奨学金問題対策全国会議・弁護士

・夜間中学問題:澤井留里さん/夜間中学講師

・若者・学生の立場から:岸野秀昭さん/大学生・子どもサポーターズとしま 学習支援会「クローバー」・CYCLE

・社会的養護:渡井隆行さん/特定非営利活動法人社会的養護の当事者参加推進団体日向ぼっこ代表理事

【第2部】では、【第1部】の発言を受けて、①教育、②社会的養護、③ひとり親支援、④若者問題、⑤保育・乳幼児・医療・障害児、といった領域のほか、⑥領域は限定しないグループに分かれ討論を行いました。

【参加者の声】開催後のアンケートでは、「さまざまな分野の問題を知ることができた」「子どもの貧困問題が複合的な問題であることがよくわかった」「テーマごとの勉強会・セミナーなどを開催してほしい」などの感想・意見が寄せられています。

 

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2.「子どもの貧困対策・自治体セミナー」

◆日時:20131214日(土)1230分開場 13時~1630

◆会場:お茶の水女子大学 共通講義棟1号館301

◆参加者:84名。内訳は、自治体職員、地方議員、NPOスタッフ、学生、大学教員、マスコミ関係者、省庁職員など。

◆内容

4名の方々に自治体での取り組みを報告していただきました。

◎報告1:片岡孝さん(東京・荒川区総務企画部企画担当課長)には「あらかわシステムと荒川区の取り組みの現状」をご報告いただきました。

 「区政は区民を幸せにするシステムである」という区の基本姿勢のもと、荒川区民幸福度の研究とともに、2009年には「子どもの貧困問題検討委員会」が設置されました。同年には荒川区自治総合研究所が設立され、「子どもの貧困・社会排除問題研究プロジェクト」がスタートしました。2011年には最終報告書がまとめられ、「荒川区子どもの貧困・社会排除問題対策本部」が設置されています。

◎報告2:富山耕生さん(東京・足立区教育委員会子ども家庭部こども支援センターげんき・北地区支援係・相談員)には、「あだち・ほっとほーむ事業について」ご報告いただきました。

 足立区では、2002年に子ども家庭支援センターを設立し、「あだち・ほっとほーむ」事業を開始しました。現在の法的位置づけは「養育支援訪問事業」です。養育困難家庭で支援が必要であると判断した家庭に対し、区が指定する「あだちほっとほーむ協力家庭」が養育支援をするシステムです。協力家庭は登録制の有償ボランティアで、対象となる子どもは3か月から15歳(中学生)です。「最も不遇な児童の潜在能力を補償するため、オーダーメイドの支援を提供」する点にこの事業の意義があります。

◎報告3:白數宗雄さん(京都府健康福祉部家庭支援課ひとり親家庭支援担当課長 )には「ひとり親家庭で育つ子どもへの支援―NPO 等とつくる居場所づくり」についてご報告いただきました。

 この事業は、悩みや不安をもつひとり親家庭の子どもと保護者が、気軽に交流し集うことのできる居場所を提供することで、子どもの心の安定や学習意欲の向上、保護者の悩みの解消を図ることを目的としています。NPO等に補助金を交付し、通年型は3か所、夏休み短期型は19か所で実施されています。通年型には①平日開催型(生活支援・学習支援・余暇支援・保護者支援の4プログラム)、②土日開催型(ピアサポート&ワークショップ、学習支援・食育プロジェクト、定期プログラム)があります。  

◎報告4:岡部卓さん(首都大学東京・教授)には、有識者の立場から神奈川県による生活保護受給世帯の「子どもの健全育成プログラム策定推進モデル事業について」ご報告いただきました。

 神奈川県では、2010年度からこのモデル事業を実施しています。生活保護を所管する郡部保健福祉事務所6か所に、生活保護制度と子育てについて専門的知識をもつ「子ども支援員」を配置し、家庭訪問や電話相談、カンファレンスや関係機関調整など、積極的なアウトリーチによる寄り添い型の支援を実施しています。また、ケースワーカーが子どもに支援を行ううえで活用するため、手順や留意点、関連する情報を集めた支援の手引書にあたる「子どもの健全育成プログラム」も作成されています。全年齢を対象に6つのプログラムを作成し、新任ケースワーカーや関係機関でも使えるよう工夫されています。

 

 セミナーの参加者からは、「子どもの選択の幅を広げ、社会資源や機会を提供していきたい」「困窮している家庭を支援するには、多様な人が関わることが大事であり、輪がつながり、ネットワークが構築される必要があるという認識を共有した」などの感想が寄せられました。

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3.子どもの貧困対策連続セミナー第1回「どうする? どうなる? 就学援助」

◆日時:2014130日(木)1830分~2030

◆会場:立教大学池袋キャンパス16号館第1会議室

◆参加者:約50名。内訳は、NPO・民間非営利団体スタッフ、地方議員、児童養護施設・社会福祉協議会・若者サポートステーションスタッフ、労働組合、学生、会社員、フリーランスライター、新聞記者など。

◆内容

 学校事務に携わる4名の方々にご報告をいただきました。

◎報告1:岡田昌也さん(福島・公立中学校事務職員)には、「今、福島の学校で」というタイトルで福島の現状と県外避難している子どもたちへの対応の実状を伝えていただきました。

 震災後29000人もの子どもがまだ避難生活をしており、「避難先の自治体からの就学援助」を受けています(所得制限有)。また平成23年度補正予算において平成26年度まで被災者に必要な就学支援を行うことができる「被災児童生徒就学援助支援等臨時特例交付金」が設けられました。所得制限はありませんが、一部自治体で所得制限を付けている例があるとのことです。特に、この交付金については被災地外に避難している人や自治体に知られていないのが実状です。福島の子どもの生活を考えると復興どころか復旧もしていないと感じるとお話くださいました。

◎報告2:近藤満さん(埼玉・公立高等学校事務職員)には、「高校生への就学支援」について話していただきました。2010年から公立高校は授業料無償ではあったものの、実際には授業料以外の諸経費が25万円にのぼること、高校統廃合による通学費の負担が大きい現状があり、その中で、所得制限付きとはいえ公立高校の授業料が復活することによる生徒の経済的困難への懸念が指摘されました。

◎報告3:竹山トシエ(全国学校事務職員制度研究会)・永山美子(埼玉・公立小学校事務職員)には、「学校事務職員ができる福祉的支援」について、具体的にお話いただきました。

 

 竹山さんからは、就学援助が市町村による実施のため、自治体によって、就学援助の項目や金額に差異が生じていること、それぞれの学校現場で就学援助事務を担当する事務職員が保護者へわかりやすく工夫したお知らせを作成したり、中学校でも高校でかかる費用について事前に案内をしたりするなどの努力が払われていることが報告されました。

 永山さんからは、越谷市の実施例をご報告いただきました。保護者向けに就学援助の説明会を開いたり、年度はじめに在籍児童・生徒全世帯に文書を配布、援助対象となる所得、支給額の目安などを示しています。学校独自でも案内を作成し配布して、伝える努力をしていますが、事務職員が学校に1名しかおらず、出張等でいないと保護者が仕事を休み書類を持ってきてくれても手続きにつながらないことがあります。2013年の竜巻災害のときにも就学援助を受けられるようになりましたが、告知は被害地域の学校だけで、被害を受け他校に転校してきた生徒がいた場合のことは考えられていませんでした。

 

 報告の後、参加者からも就学援助をめぐる各地の動きをご発言いただきました。

・就学援助制度のお知らせでは、「経済的に苦しい家庭のために」ではなく「子どもが元気に学べるために」と文言を変える努力をしています。

・就学援助の内容についてほとんど知らなかったので、勉強になりました。

・子どもだけに目を向けて支援するだけでは足りない事実を知りました。

・上履きのかかとを踏んで履いていた生徒に教員は「ちゃんと履け」と指導しますが、話を聞くと上履きが小さくて足に合わずかかとを踏み潰していたことがわかりました。教育指導とは異なるまなざしを子どもに向けられることが学校事務職員の居る意味だと思います。

 

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 20142月~5月にかけての今後の予定をお知らせします。

227日(木)子どもの貧困対策・第2回連続セミナー+ネットワーク会議

 

   テーマ:「学びのセーフティネット」の現場から

        ―夜間中学校、夜間定時制高校、私立通信制の「子ども・若者たち」―

 会場 :立教大学池袋キャンパス 12号館第3・第4会議室

 時間 :18時半~21時

321日(金:祝)13時~17時 立教大学(予定)

 子どもの貧困対策・第3回連続セミナー

 テーマ:検討中

427日(日)13時~17時 生活クラブ生協(予定)

 2回 子どもの貧困対策・自治体セミナー

5月下旬~6月上旬 時間・場所未定

 第2回「生かそう!子どもの貧困対策法」市民のつどい

 

(文責:「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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