2012年度はソーシャル・ジャスティス基金の初めての助成事業として、
<公募テーマ1>『「原発事故による社会的弱者の支援」に関するアドボカシ-活動』と、
<公募テーマ2>『「見逃されがちだが、大切な問題に対する取り組み」に関するアドボカシ-活動』という
二つのカテゴリーに対して総額200万円の公募を行いました。
テーマ1は、福島における原子力発電所の事故に対しては多くの現場への支援が行われているが、そこで発生した社会的弱者の皆様に対する、市民自らによる社会提案活動への資金的支援は十分でないと考えられるため助成対象としました。
テーマ2は、市民セクターにおける「見逃されがちだが、大切な問題に対する取り組み」、その中でも特に社会提案活動への資金的支援は日本にほぼ存在せず、これからの社会で必要とされると考えられるため助成対象としました。
応募はテーマ1が4件、テーマ2が22件、合計26件でした。テーマ1への応募が少なかった理由ついては、震災から1年半の段階で社会提案活動がちょうど起こり始めている段階であること、被災地への広報活動が充分でなかったことなどを考えております。テーマ2については、非常に多様な分野からの応募があったことから、このような市民ファンドに対する社会的必要性が高いことが再認識できたと考えております。
書類と面接による審査の結果、
<公募テーマ1>『「原発事故による社会的弱者の支援」に関するアドボカシ-活動』は、「政策提言までつながるアドボカシ-活動か」「福島の地元をはじめとする関連団体と連携をしているか」などの視点をもとに審査した結果、残念ながら該当なしとなった。
<公募テーマ2>『「見逃されがちだが、大切な問題に対する取り組み」に関するアドボカシ-活動』では、以下の3事業に助成することに決定いたしました。
◆ レインボープライド愛媛 (助成金額;96万円)
『地方都市・松山における性的マイノリティの理解を目指す社会対話の挑戦』
生活するために潜在的存在に成らざるを得ないことが多い地方都市で、「多様性を認めあう誰もが生きやすい社会」実現のため、着実に社会や行政・教育機関などへと働きかけを行っていることを鑑みました。
◆ NPO法人監獄人権センター (助成金額;23.8万円)
『刑務所出所者の社会復帰を促進するための包括的な政策提言基盤整備』
刑務所出所者の社会復帰を、これまでになかった形で、福祉団体、更生保護団体、ホームレス支援団体、生活保護申請支援団体等の市民団体とともに創っていく先駆性と、着実に実行できるプログラムを鑑みました。
◆「(仮称)オルタナティブ教育法」を実現する会 (助成金額;50万円)
『子どもの多様な学びを実現するための立法を目指す活動』
子どもに関する社会的な問題が続出する中、フリースクール、デモクラティックスクール、外国人学校、ホームエデュケーション等、既存の学校に通う以外の、多様な子どもの学びの在り方、育ち方を立法化する目的と、これまでの蓄積を鑑みました。
ソーシャル・ジャスティス基金は今後1年間に渡って、これら3団体と様々な形でそれぞれのテーマについて広く社会対話を設定していきます。このことによって、単に資金提供を行うのではない社会変革型の市民ファンドを、多くの市民や企業の皆様とともに創りあげていきたいと考えています。
資金的な制約もあって今年度は3団体を選考することとなりましたが、結果的にご応募にお応えできなかった団体も含めて、様々な分野の非常に素晴らしい団体から申請をいただけたことに深く感謝しております。