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ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第12回助成中間報告

NPO法人#YourChoiceProject(2024年12月)

助成事業名・事業目的

地方女子学生の進路選択のジェンダーギャップを解消するための調査・発信事業

 地方女子学生が「地域」「性別」の二重の壁を目の前に、進路選択において様々なジェンダーギャップに直面している問題について、課題の実態や有効な施策を明らかにするとともに、このような問題が広く人口に膾炙し、社会問題として認識されることを目指す。

 日本の難関大の女子比率は著しく低く、これは海外の難関大学の男女比がほぼ半々であることをふまえても極めて異例で不公正な状況であるが、そもそも女子比率が低いこともあまり知られていないばかりか、特に地方女子学生が首都圏女子学生や地方男子学生と比較して難関大学に進学しにくい状況にあることは意識すらされていない。また、そのような課題に直面する地方女子学生に対して、周辺のステイクホルダー(保護者や教師、地域住民など)が課題を把握せず無意識に悪影響を与えているケースが散見される。

 したがって、調査・発信事業の目的は、地方女子学生の難関大進学を阻む根本的な原因となるステレオタイプ・バイアスを明らかにし、課題について幅広く発信することを通して、当人たちを含む周辺のステイクホルダーが、それらを理解し、解消できるような環境・社会を整備することである。

 

助成金額 : 70万円 

助成事業期間 : 2024年1月~25年6月

報告時点までに実施した事業の内容(主に前回の報告時以降=24年7月~): 

 2024年度8月末:当事者の声がまだ足りていない、との認識から、追加で10名程度の高校生に対面で深掘りインタビューを実施。ジェンダーステレオタイプが、高校生自身にどのように内在化されていくのかを明らかにするため、ジェンダーステレオタイプチェックリストにあらかじめ回答してもらった上で口頭・対面でのインタビューを行った。
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 2024年度9−10月ごろ:上記インタビューを書き起こした上で、白書にできる部分を決定した。

 2024年度11月:インタビューの内容を含めて、より包括的で示唆的なものとなるよう白書の構成を一部見直した。執筆を行い、内容が完成した。

 現在:デザイン依頼中。

 

 

今後の事業予定 : 

12月中にはデザインまで含めて完成予定。

2025年1月にインターネット上に公開・印刷

2月以降、自治体へ送付/提言の際に持参・教員向け研修に白書内容を引用

3月8日(国際女性デー)政策提言内容の公開

 

助成事業の目的と照らし合わせた効果・課題と展望:   

【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるか。

(1)当事者主体の徹底した確保

 当事者へのじっくりとしたインタビューの実施によって確保した。(過程・方法は上述の通り)

(2)法制度・社会変革への機動力

 今後、自治体への提言やタイミングを狙った提言によって確保していく。

(3)社会における認知度の向上力

 今後、公開時PRによって確保する。プレスリリースの配信を行う予定。

(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)

 この過程で、一部の自治体とは友好なコミュニケーションを取れている。今後も、丁寧なコミュニケーションを心がけていきたい。

(5)持続力

 団体としては、メンバーの持続的な確保ができている、一方で、白書事業に関しては現在メンバー1名(共同代表)のみで作成・対処(白書内容の修正・デザイン依頼・印刷等のディレクション)にあたっており、人員不足が深刻である。団体内での人員調整によって改善を試みる。提言等は政策チーム全体で望む予定。

 

【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。

(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。

 この課題は親や教師等を中心とする「当事者を取り巻く環境」に関する課題と、地方女子学生自身が内在化しているジェンダーステレオタイプ・バイアスや自己評価の低さといった「当事者自身の課題」が混在し相互に絡み合っており、「これが一番の原因だ」と言い切ることが極めて難しい。

「当事者を取り巻く環境」について

 保護者がジェンダーステレオタイプ・バイアスに影響された子育てを行うことにより、①幼少期から、女子学生に対してジェンダーステレオタイプ・バイアスを反映した声がけをしてしまっていること(女子なら資格をとった方が良い、女の子が浪人なんてしないほうが良い、そこまでしていい大学に行かずとも良い、女子が数学できるなんてえらいね、など)②そのようなジェンダーステレオタイプ・バイアスが強い場合、直接的な禁止等に帰結すること(地元外進学の禁止、浪人の禁止、男兄弟と比べて教育投資をしないなど)などが課題として挙げられる。共通した原因として挙げられるのは、社会全体・及び地域社会の中で強く共有されているジェンダーステレオタイプ・バイアスである。

「当事者自身の課題」について

 地方女子学生自身が①自己評価が極めて低い、②資格取得傾向が強い、③浪人回避・安全志向などの特性を持ってしまっている。この原因には、身近なロールモデル(大学進学におけるロールモデルおよび資格以外の様々な職業ロールモデルの双方)の欠如やジェンダーステレオタイプ・バイアスの内在化(女性は結婚・出産を機に離職するであろうといった想定、女性がそこまでして難関大学進学しなくても良いといった期待感など)、女性で浪人をすることが極めて珍しい現状から起こる、周囲から逸脱することへの不安などが考えられる。

(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。

 本事業は、「当事者を取り巻く環境」の改善に寄与するものである。教員への配布や自治体での配布を通じて、この課題の認知を高め、たとえ保護者がジェンダーステレオタイプ・バイアスを持っていたとしてもその影響を断ち切ることができる第三者の存在を強化することを試みる。

(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。

 学校での教員研修・自治体での男女共同参画の取り組みなど。  

 

 

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