ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第11回助成
にじいろCANVAS
SJF助成事業第2次中間報告(23年12月)
◆助成事業名:『にじいろみやぎ相談会・セーフスペースにじいろみやぎ開催、セクシュアリティと就労調査』
◆相談活動、居場所づくり活動を通して困難を抱えた性的マイノリティの課題解決を支援するとともに、そのニーズを把握し、持続的に支援可能な体制を構築する。
◆就労、特にその入り口となる学生時代の就職活動において困難を抱えてしまいがちな性的マイノリティの実態を把握し、キャリア支援の現場におけるジェンダー・セクシュアリティの扱いについての課題を明確化する。
◆上記活動・調査により明らかになった問題点を実際にキャリア支援に関わる機関と共有し、適切な対応がなされるよう働きかけることで、就職活動におけるジェンダー・セクシュアリティについての無理解・偏見に基づく不当な扱いをなくす。
◆助成金額 : 260万円
◆助成事業期間 : 2023年1月~2024年12月
◆実施した事業と内容:
◆広報活動(にじいろみやぎ相談会/セーフスペースにじいろみやぎ)
①SNSでの広報頻度を上げた。
②ホームページにアクセスできるミニカードを作成し、公共施設、学校、店舗に設置を依頼。スピーカー派遣先(学校、企業、行政等)での説明とミニカードの配布等を行っている。
③市議会、県議会選挙の際、立候補者へ行った「多様な性の在り方に関する施策についての公開アンケート調査」、「就労支援に関するアンケート調査」を依頼した就労支援施設にミニカード、団体パンフレットをアンケートとともに同封し送付した。
④にじいろCANVASとみやぎにじいろパレード実行委員会で主催した「みやぎにじいろパレード2023」にブース出展と交流コーナーをつくり、相談会、セーフスペースの紹介を行った。
◆にじいろみやぎ相談会
4~11月、合計12回の相談会を実施。各回有償相談員2名で対応。相談時間は、1名最大30分としている。相談会の前後30分は、相談担当者の打ち合わせと準備、相談記録時間と片付けとしている。相談の申込みは、Googleフォームで事前申込みとし、一人30分~最大1時間の相談時間をとっている。
1ヵ月に1回 第4土曜日の13:00~18:00で開催する相談会は、仙台市の事業として開設されている多様な性のコミュニティスペース「にじのひろば」に併設する形で開催。事前申込みを基本にしているが、予約が入っていなければ、にじの広場の参加者が相談を受けれるような体制をとっている。
2ヵ月に1回 偶数月第2月曜日17:30~20:30で開催している相談会は、4月より仙台市内にある大学病院にジェンダー医療センターが開設されたこともあり、トランスジェンダー当事者の相談員が1名入る体制とした。実際にトランスジェンダーの相談需要がどれだけあるのかデーターがないので手探りではあるが、ジェンダー医療センターがある大学病院とも連携をとりながら、トランスジェンダーの生活、医療、就労等の安全安心な情報交換ができる場をつくりたいと考えている。
1ヶ月に1回 第2月曜日、相談内容の事例報告・検討20時~21時、7月からは、相談員研修会勉強会を21時~22時をZOOMにて開催している。
1)4/10(月)相談会17:30~20:30 相談者人数1名
2)4/22(土)相談会13:00~18:00 相談者人数3名
3)5/27(土)相談会13:00~18:00 相談者人数2名
4)6/12(月)相談会17:30~20:30 相談者人数2名
5)6/24(土)相談会13:00~18:00 相談者人数3名
6)6/28(水)臨時相談会15:00~17:00 相談者1名
7)7/22(土)相談会13:00~18:00 相談者1名
8)8/14(月)相談会17:30~20:30 相談者人数2名
9)8/26(土)相談会13:00~18:00 相談者人数3名
10)9/23(土)相談会13:00~18:00 相談者人数2名
11)10/3(火)出張相談会10:20~12:20 相談者人数4名(教職員)
12)10/9(月)相談会17:30~20:30 相談者人数1名
13)10/28(土)相談会13:00~18:00 相談者人数3名
14)11/25(土)相談会13:00~18:00 相談者人数3名
・相談会は、計14回開催し、相談者人数は延べ人数計27名であった。
特徴的な相談、親子で一緒にという相談が3件、性別違和を感じる児童とその家族から相談を受けた学校に出向き、対応に関わる先生方の相談を受けたケースが1件あった。
相談内容をみると延べ63件になり、主な相談内容は以下の通りであった。(11/25分含まず)
1)セクシュアリティ 20件(31.7%)
2)家族・親戚 7件(11.1%)
3)学校 6件(9.5%)
4)仕事・職場 11件(17.5%)
5)人間関係 5件(7.9%)
6)病気・障がい 2件(3.2%)
7)支援機関 0件(0%)
8)金銭 4件(6.3%)
9)DV・性暴力 0件(0%)
10)虐待 0件(0%)
11)その他 8件(12.7%)
・海外への移住・就労
・恋愛
・トランスジェンダーMTFの交流の場がほしい
・裁判所の対応
・性別違和を感じている児童および家族からの相談を受けて
・相談会終了後にとっているアンケートへの回答は(22件)は、以下の通りです。
1)この相談会はどちらで知りましたか。※複数回答可能です。
・にじいろCANVASのホームページを見て 9件
・にじいろCANVASのSNSを見て 16件
・知人から紹介されて 1件
・チラシ・カードを見て 1件
・他団体からの紹介 1件
2)今回の相談の担当カウンセラーは、安心して相談できる雰囲気でしたか。
・そう思う 19件
・どちらかというとそう思う 2件
・どちらかというとそう思わない 0件
・そう思わない 0件
3)今回のような相談を、友人や親しい人にどれくらい紹介したいと思いますか。(1全く紹介したいと思わない-10ぜひ紹介したい)
・10:9件 ・9:2件 ・8:7件 ・6:2件 ・1:1件
4)今回の相談で良かったと思えたことはなんですか?※複数選択可能
・自分の困りごとを整理することができた 15件
・自分のこれからの希望を整理することができた 10件
・自分の不安が軽減された 12件
・ジェンダーやセクシュアリティに関する情報を知ることができた 4件
・ジェンダーやセクシュアリティに関する情報をもっと集めたいと思った 7件
・ジェンダーやセクシュアリティに関するイベントに参加してみたいと思った 7件
◆セーフスペースにじいろみやぎ(2023年4月~11月 計4回)
①5/13(土)13:00~18:00(13:00~13:3準備、17:30~18:00後片付け)
仙台市内レンタルスペースで実施。
参加申込:9名 参加者:9名
有償コーディネーター:2名 ボランティアスタッフ:3名
【事後アンケート】参加者9名中7名から回答
1)セーフスペースに参加するきっかけを教えてください。
SNSでの広報をみて 4件
友人・知り合いに勧められて 3件
2)SNS、他団体からの紹介を選択された方のみご回答ください。知ったSNS、他団体名を支障のない範囲で教えてください。
Twitter 3件
3)セーフスペースに参加してよかったですか。
とてもよかった 6件
ふつう 1件
4)機会があればまた参加したいと思いましたか。
機会があればまた参加したい 5件
わからない 2件
(写真=ある日のセーフスペース~抹茶茶碗の寄付を頂いたので、おやつは、お抹茶を立てて季節の和菓子をいただきました~)
②7/8(土)13:00~18:00(13:00~13:3準備、17:30~18:00後片付け)
仙台市内レンタルスペースで実施。
参加申込:16名 参加者:16名
有償コーディネーター:3名 ボランティアスタッフ:1名
【事後アンケート】参加者16名中9名から回答
1)参加回数は、何回目ですか。
・1回目 6件
・2回目 3件
2)セーフスペースに参加するきっかけを教えてください。(複数選択可)
・SNSでの広報をみて 4件
・友人・知り合いに勧められて 2件
・小浜さんの講演 1件
・にじCANに所属 1件
・インターネット 1件
・不明 1件
3)知ったSNS、他団体名を支障のない範囲で教えてください。
・Twitter 2件
4)セーフスペースに参加してよかったですか
・とてもよかった 5件
・よかった 4件
5)機会があればまた参加したいと思いましたか。
・機会があればまた参加したい 9件
③9/9(土)13:00~18:00(13:00~13:3準備、17:30~18:00後片付け)
仙台市内レンタルスペースで実施。
参加申込:12名 参加者:9名
有償コーディネーター:2名 ボランティアスタッフ:1名
【事後アンケート】参加者9名中1名から回答
1)参加回数は、何回目ですか。
・2回目 1件
2)セーフスペースに参加するきっかけを教えてください。(複数選択可)
・SNSでの広報をみて 1件
3)知ったSNS、他団体名を支障のない範囲で教えてください。
・Twitter 1件
4)セーフスペースに参加してよかったですか
・よかった 1件
5)機会があればまた参加したいと思いましたか。
・機会があればまた参加したい 1件
④11/11(土)13:00~18:00(13:00~13:3準備、17:30~18:00後片付け)
仙台市内レンタルスペースで実施。
参加申込:12名 参加者:11名
有償コーディネーター:2名 ボランティアスタッフ:2名
【事後アンケート】参加者11名中6名から回答
1)参加回数は、何回目ですか。
・1回目 4件
・2回目 2件
2)セーフスペースに参加するきっかけを教えてください。(複数選択可)
・SNSでの広報をみて 3件
・友人・知り合いに勧められて 2件
・相談室の先生からにじいろCANVASのことを教えていただき、ホームページを見た際に、セーフスペースのことを知った。1件
3)知ったSNS、他団体名を支障のない範囲で教えてください。
・Twitter 1件
4)セーフスペースに参加してよかったですか
・とてもよかった 4件
・よかった 2件
5)機会があればまた参加したいと思いましたか。
・機会があればまた参加したい 6件
◆交流会:
①つくたべの会 4/7(日)10時~16時(エルパーク仙台)
にじいろCANVAS正会員、ボランティア会員としている方々との交流を目的とした。普段の会議室とは違い調理実習室に場所をうつして、カレーづくりを得意とする、はなさんが講師になり、カレーのレシピと作り方の指導をしてもらった。参加者みんなでつくって食べる会となった。通常の会議には親子での参加が難しいが、休日の昼間開催ということもあり親子の参加もあり、これまでの活動の中ではなかなか知らない一面を知る機会となり交流を深めることができた。
②みやぎにじいろパレード2023
「うぢらで虹かけっぺし」の会場にブース出展・交流会場設置。セーフスペース参加者で折った折り紙でブースを飾り、セーフスペースの有志がつくったネイルチップの販売、アフリカンプリントで作成したグッズ、野菜の販売などを行った。また、パレード参加者が交流・休憩できるスペースを設置した。
◆読書会:3/19(土)13:00~17:00(仙台市サポートセンター)
「トランスジェンダー問題 TRANSGENDER ISSUE」
講師:しゅんしゅんさん、いつきさん
◆学習会
①6/11(日)15:00~17:00(仙台市サポートセンター)
「アンケート調査の方法と種類~就労支援調査に向けて」
講師:しゅんしゅん(社会調査士)
②8/6〈日〉13:30~16:30(エル・ソーラ仙台)
「性教育をみんなでアップデートしよう!」
講師:性教育を考える会@仙台、特定非営利活動法人キミノトナリ
AROW
◆相談員事例検討会:相談会で受けた事例について報告と検討
毎月第2月曜日 20:00~21:00
5/16、6/19、7/17、8/21、9/18、10/16
◆相談員研修会:毎月第2月曜日 21:00~22:00(ZOOM)
・5/16:2例のロールプレイングと検討(ZOOM)
・6/19:セクシャリティの受容課程とカミングアウトの段階、発達段階に沿った性自認、性的指向の気づきや需要
・7/17:トランスジェンダーと性別移行について
・8/21:セクマイと家族
・9/18:臨床心理士研修会報告、臨床心理士とは
・10/16:上半期の振り返り
◆10/26(木)20:00~22:00
相談会・セーフスペースモニタリングミーティング
◆アンケート調査チーム打ち合わせ会:
・6/6 20:00~21:00(ZOOM)
・7/9 14:00~16:00(仙台市サポートセンター/ZOOM)
・8/17 19:30~20:30(ZOOM)
・9/10 16:00~17:00(仙台市サポートセンター)
◆アンケート調査(実施期間:2023年10月25日~12月25日)
①就職職活動とジェンダー・セクシュアリティに関するアンケート調査
②キャリア支援のジェンダー・セクシュアリティに関するアンケート調査
◆ネットワーク構築講演会
・9/24〈日〉13:00開場 ⒔:30~16:30
(仙台市子育てふれあいプラザのびすく泉中央ホール)
「セクシュアルマイノリティと子育て・家族・結婚 #にじいろかぞく#子育て#家族#結婚」
講師:小野 春氏
共催:公益社団法人Marriage For All Japan結婚の自由をすべての人に
後援:宮城県 仙台市
協力:一般社団法人マザー・ウイング
広報活動:子育てふれあいプラザのびすく関係機関、公共施設へのチラシ配架、みやぎアピール大行進にてチラシ配布、SNS発信、まなびのめ、マチコ、仙台市子育て情報サイト等Web広報サイトに掲載、プレスリリース等を行った。
【実施報告】
入場者数:46名(内スタッフ11名含)
来場者からのアンケートからは、「満足」、「やや満足」の感想をいただいた。これまで宮城県内では、なかなか取り上げられてこられなかった「セクシュアルマイノリティの子育て・家族・結婚」を講演テーマにすることにより、これまでつながれていなかった、子育て支援に携わる方々や子育て中の当事者とのつながりをつくることができた。また9/19に仙台市から来年中にパートナーシップ制度創設の話しもでたためか、パートナーシップとの関わりから新聞社、テレビ局などからの取材も入り、私たちの活動をより多くの人々に知って頂く機会とすることができた。
記事掲載:河北新報 9/25掲載
報道:ミヤギテレビ 9/28放送
※チラシ、プログラム別添
◆11/18 シンポジウム-「同性婚」から「にじいろのまちづくり」を―
セーフスペースブース出展(広報・手作りグッズのチャリティバザーを試みました。)
◆11/19 みやぎにじいろパレード2023
セーフスペースブース出展・交流会場設置(広報・手作りグッズのチャリティバザーを試みました。)
(写真=みやぎにじいろパレード2023 ブース出展 ~有志で作ったレインボーカラーのネイルチップ、シュシュやヘアーターバンなど手作り小物、寄付頂いたお野菜等の販売、募金箱の設置をしました。みんなで折った鳩は、段ボールツリーに飾りました~)
◆スピーカー派遣
・5/24 大崎新任研修スピーカー派遣
・6/20 河北新報職員研修会
・7/23 LUSH学習会講師派遣
・9/25 岩沼北中学校スピーカー派遣
・10/25 宮城学院女子大学教職員研修会スピーカー派遣
・10/31 社会教育研究会スピーカー派遣
・11/6 マツダ労災組合スピーカー派遣
・11/28 大崎市女性コーディネーター養成大崎塾スピーカー派遣
◆今後の事業予定 :
◆相談会(2023年4月から2024年12月まで実施)
① 1ヵ月に1回 第4土曜日の13:00~18:00で開催
仙台市の事業「にじのひろば」と併設で実施
② 2ヵ月に1回 奇数月第2月曜日17:30~20:30で開催
◆相談会(2023年4月から2024年12月まで実施)
① 1ヵ月に1回第4土曜日の13:00~18:00、相談員2名体制で開催
仙台市の事業「にじのひろば」と併設で実施
有償相談員2名体制で開催。
② 2ヵ月に1回奇数月第2月曜日17:30~20:30
有償相談員2名体制で開催。
※ 助成金申請当初は、① の相談会のみの計画でしたが、2022年7月より実施していた相談会への要望もあり、② の時間帯の開催を増やしました。
◆セーフスペースにじいろみやぎ
(2023年4月~2024年12月まで実施)
2ヵ月に1回偶数月第2土曜日13:00~18:00で開催。
有償コーディネーター2名体制で開催だが、レンタルスペースの部屋の対応人数を超える申し込みがあった場合には、有償コーディネーターをもう1名増やして対応したい。費用の方は、消耗品、会場費の予算を調整し捻出したい。
◆アンケート調査(2023年10月25日~12月25日実施)とまとめ
①就職活動とジェンダー・セクシュアリティに関するアンケート調査
②キャリア支援のジェンダー・セクシュアリティに関するアンケート調査
◆ネットワーク構築講演会・相談会(2024年12月まで2回)
トランスジェンダーに関わること、就労支援に関すること、パートナーシップ制導入・同性婚に関すること等を検討中
◆会議(1回/月 2024年12月まで)
◆交流会(4回 2023年4月~2024年12月まで)
◆ジェンダー医療に関する情報交換、連携構築
1年間の相談事業を通して、Mtfのつながる場所の必要性を感じており、トランスジェンダーに特化したスペースの開催を検討している。
◆県外相談施設・パレードの視察、他団体との連携構築
◆学習会の開催
◆助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望:
【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例を挙げた。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるかを記載。
とくに、助成申請書の3-5で5つの評価軸について記載した「課題と考えることとそれへの対策」に関連させて、どのように変化したのかも記載。
(1)当事者主体の徹底した確保
相談・セーフスペース事業には、当事者にも相談員・スタッフとして関わっていただいている。当事者の視点が入り相談・セーフスペースがどんな場所であるとよいのか、どんな情報を提供するのかをともに考えている。相談者の中には、これまで同じような思いの人と出会わず来ていて同じ当事者の話を聞きたいという方がいらっしゃる。支援者としての当事者は、自分の経験が何かの役に立てばと思うが、あくまで自分の経験が押し付けにならないようにしたい思いがある。
相談会では、2名の相談員で当たることにしており、このような場合アライとしての相談員が調整役になり、今の話は〇〇さんの事例だけど、〇〇さんはどうしたい?と投げかける役割になり、一緒に相談者の抱える問題を解決する仲間であるという立場をとるよう意識するようにしている。
また、一次相談の場所として、相談者の困り事を整理し、明確になった困り事を専門機関と結びつけ、情報提供を行っている。事後アンケートの結果からは、問題となっている困り事が整理され、不安が軽減され、自分の希望が整理されている様子がうかがわれた。また、このことから「ジェンダーやセクシュアリティに関する情報をもっと集めたいと思った」、「ジェンダーやセクシュアリティに関するイベントに参加してみたいと思った」と自分自身のセクシュアリティを受け入れ前向きな気持ちになっていることがうかがわれる。
セーフスペースは、セクシュアリティを特化しておらず、自分と違うセクシュアリティの方、年齢、特性も違う人が出会うという場です。まさに多様な人々が集う時間をどのように過ごすかが、毎回スタッフの課題です。当初は、集った人たちが楽しく過ごせる空間をスタッフが作らなければと思い、色々なものを用意し、飽きさせない、手持ちぶさたにさせないなど色々な状況を想定し準備をしていました。しかし、そのことは、参加者に何かをさせることに集中してしまい、参加者一人一人への思いには寄り添えていないのではないかと思うようになりました。
まずは、セーフスペースとは、安全な場所という意味であること、一人一人がゆっくり過ごし、ほっとできるような空間を参加者のみなさんで考えながら過ごすということと、以下のグランドルールをしっかり伝えることにした。さらに、緊張の強い人には、初めての人たちが集うのだから、緊張やぎこちなさを感じることは当然なんだということを伝えるようにしました。その上で、スタッフは一人一人がどんなことに興味を示しているのかを観察をし、必要な手助けを行うよう心がけている。
セーフスペース参加者が、「みやぎにじいろパレード2023」に、ボランティア参加、一般参加で参加していました。このことは、セーフスペースに参加することで社会に自分の意見を表明する段階まで、エンパワーメントされたと考えます。
<セーフスペースグランドルール>
1.呼ばれたい名前でご参加ください。
2.自分のセクシャリティや個人的なことは話しても話さなくても良いです。
3.お互いの発言や意見を尊重しあいましょう。相手の意見を否定せず、
まずは最後まで聞きましょう。相手の嫌がる言動はもちろんいけません。
4.アウティングに気を付けましょう。ここで知りえた個人的な事柄は、
外で話たり公表してはなりません。
(2)法制度・社会変革への機動力
これまでの相談から伺えるのは、相談者が抱える相談項目は、家族、就労、多岐にわたり、セクシャリティの問題だけではないということが見えてきている。セクシャリティへの偏見、差別が生み出され、法制度が整っていないことによる、生活の困難・困窮を招いていることを、今回実施している就労支援アンケートからも考察したい。今後の企画を通して一人一人の人権が守られると言うことはどういうことか一般市民と考え、行政に訴えていきたい。
(3)社会における認知度の向上力
相談会・セーフスペースの広報は、SNSでの情報配信を定期的に実施すると共に、ホームページにアクセスできるミニカードをつくり、公共施設、学校、店舗などにおいていただけるようにした。
当団体の企画シンポジウム「セクシュアルマイノリティと子育て・家族・結婚 #にじいろかぞく#子育て#家族#結婚」「みやぎにじいろパレード2023」において相談会・セーフスペースについても一緒に広報できた。また、このシンポジウムは、仙台市のパートナーシップ制の導入のニュースとともに、新聞、TVニュース番組でも取り上げられた。
また、仙台市議会議員選挙、宮城県議会議員選挙があり、議員立候補者にアンケートを実施した際、相談会のミニカードなどを同封した。
企業、行政、学校などからのスピーカー派遣の依頼が昨年度の数を上回った。スピーカーの話しを聞いてということで、学校からの相談の要請もあった。
相談会・セーフスペースの様子などは、個人情報に注意しながらも、今後開催を予定している当団体の企画を利用して紹介する場をつくりたい。そして、マイノリティが抱えている「生きづらさ」は、マジョリティ側にいる人間が感じている「生きづらさ」とつながっていることを考えてもらえるようにし、地域社会からの理解を得られるようにしたい。
(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)
仙台市議会議員選挙、宮城県議会議員選挙に際して実施した候補者アンケートにおいて、性的マイノリティ団体や当事者に対するヒアリングや連携の必要性があると回答した候補者・当選者も多く見られた。そうした議員等を突破口として、相談や調査から見えてきた実態を踏まえた意見表明・提言を行いたい。
「ネットワーク構築講演会」の第1弾企画「セクシュアルマイノリティと子育て・家族・結婚 #にじいろかぞく#子育て#家族#結婚」
講師に、同性カップルで3人の子育てをし、現在同性婚訴訟を戦っている小野春さんを招聘。小野春さんの「子育て・家族」についてお話をお聞きし、同性婚が日本で認められていないことは、「家族」にとって何が問題なのかを学ぶ機会となった。こちらの講演会には、宮城県・仙台市から後援をいただき、一般社団法人マザー・ウイングの協力をえることにより、これまで連携のなかった子育て支援施設、学校への広報ができた。
(5)持続力
相談会を継続するために相談員・セーフスペースコーディネーターを新たに5名増員した。
11月19日に開催された「みやぎにじいろパレード2023」には、ブース出展。有志で作ったネイルチップ、小物、地元協力者からの野菜チャリティ販売、相談会・セーフスペースの継続のための募金活動をしました。持続していくための資金面での支援の構築がまだできていないが、今後当団体が企画している講演会・プライドパレード等の活動を通して、活動内容を理解してもらい、支援者を増やす工夫をしていきたいと考えている。
【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。
(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。
マジョリティが優先の社会から生まれる差別、偏見、就労の困難、貧困
(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。
性的マイノリティが安全安心した空間で、直面している困難・不安について話せる場を提供し、問題を共に整理して社会資源へつなぎ、エンパワーメントすることができる。
(3)この助成をきっかけに実際に連携が進んだことはあるか、あるいは今後具体的な計画はあるか。
前年度に引き続き仙台市が毎月開催する居場所事業「にじのひろば」と併設する形での相談会を開催できていることにより、行政との関係構築ができており、企業等から行政へ性的マイノリティに関する研修について問い合わせがあった際など当団体を紹介していただけています。
一般社団法人マザー・ウイング、にじーずとにじーず仙台の開催で連携することになった。
助成金を頂くことにより、活動の幅が広がりました。活動するメンバーは、新たな出会いと経験を積み新たな学びを自身のスキルアップにつなげています。 ■