ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第11回助成
にじいろCANVAS
SJF助成事業第1次中間報告(23年6月)
◆助成事業名:『にじいろみやぎ相談会・セーフスペースにじいろみやぎ開催、セクシュアリティと就労調査』
◆相談活動、居場所づくり活動を通して困難を抱えた性的マイノリティの課題解決を支援するとともに、そのニーズを把握し、持続的に支援可能な体制を構築する。
◆就労、特にその入り口となる学生時代の就職活動において困難を抱えてしまいがちな性的マイノリティの実態を把握し、キャリア支援の現場におけるジェンダー・セクシュアリティの扱いについての課題を明確化する。
◆上記活動・調査により明らかになった問題点を実際にキャリア支援に関わる機関と共有し、適切な対応がなされるよう働きかけることで、就職活動におけるジェンダー・セクシュアリティについての無理解・偏見に基づく不当な扱いをなくす。
◆助成金額 : 260万円
◆助成事業期間 : 2023年1月~2024年12月
◆実施した事業と内容:
◆にじいろみやぎ相談会/セーフスペースにじいろみやぎ広報活動
SNSでの広報頻度を上げた。ホームページにアクセスできるミニカードを作成し、公共施設、学校,店舗に設置をお願いしている。
◆にじいろみやぎ相談会
4~5月、合計3回の相談会を実施。各回有償相談員2名で対応。
相談の申込みは、Googleフォームで事前申込みとし、一人30分~最大1時間の相談時間をとっている。
1ヵ月に1回 第4土曜日の13:00~18:00で開催する相談会は、仙台市の事業として開設されている多様な性のコミュニティスペース「にじのひろば」に併設する形で開催。事前申込みを基本にしているが、予約が入っていなければ、にじの広場の参加者が相談を受けられるような体制をとっている。
2ヵ月に1回 偶数月第2月曜日17:30~20:30で開催している相談会は、4月より、仙台市内にある大学病院にジェンダー医療センターが開設されたこともあり、トランスジェンダー当事者の相談員が1名入る体制とした。実際にトランスジェンダーの相談需要がどれだけあるのかデーターがないので手探りではあるが、ジェンダー医療センターがある大学病院とも連携をとりながら、トランスジェンダーの生活、医療、就労等の安全安心な情報交換ができる場をつくりたいと考えている。
相談内容の事例報告・検討は、1ヶ月に1回 第2月曜日20:00~、ZOOMにて開催。個別の相談内容については、プライバシーの保護からも割愛させてください。
1)4/10(月)相談会17:30~20:30
相談者人数1名
2)4/22(土)相談会13:00~18:00
相談者人数3名
3)5/27(土)相談会13:00~18:00
相談者人数2名
4)6/12(月)相談会17:30~20:30
相談者人数2名
◆セーフスペースにじいろみやぎ
5/13(土)13:00~16:00 仙台市内レンタルスペースで実施。
参加申込:9名 参加者:9名
有償コーディネーター:2名 ボランティアスタッフ:3名
今回は、SNSでの広報頻度を上げたことが効果を上げたのか、9名のうち7名が初参加の方々であった。レンタルスペースの定員10名だったため、急遽もう一部屋を借りての実施となりボランティアスタッフ3名に依頼しての開催となった。
初めての方が多かったので自己紹介を工夫したり、おやつは自分でパフェをつくってみたりと、導入を工夫した。ネイルチップをつくるコーナー、書籍コーナー、絵を描けるコーナーをつくったりして、おしゃべりだけでは自分の世界に入れるようなものも工夫した。参加者は、ギターを持ってきたスタッフと演奏したり、知り合った人とファッションについて話をしたり、絵を描いたり、ネイルチップを作成したり、思い思いの時間を過ごした。特にみんなで一斉に何かしましょうという声をかけはしないように心がけた。
(写真上=おやつタイム ~5月というのにというのに蒸し暑い日、アイスが食べたくなりました。ただアイスを食べるのもものたりない。溶けてくアイスに慌てながら、各自好きな物で、デコってみました~)
◆交流会:つくたべの会 4/7(日)10時~16時(エルパーク仙台)
にじいろCANVAS正会員、ボランティア会員としている方々との交流を目的とした。
普段の会議室とは違い調理実習室に場所を移して、カレーづくりを得意とする、はなさんが講師になり、カレーのレシピと作り方の指導をしてもらった。参加者みんなでつくって食べる会となった。通常の会議には親子での参加が難しいが、休日の昼間開催ということもあり親子の参加もあり、これまでの活動の中ではなかなか知らない一面を知る機会となり交流を深めることができた。
◆読書会:3/19(土)13:00~17:00(仙台市サポートセンター)
「トランスジェンダー問題 TRANSGENDER ISSUE」
講師:しゅんしゅんさん、いつきさん
◆相談員研修会:5/15(月)21:00~22:00事例報告検討会後開催
2例のロールプレイングと検討(ZOOM)
◆アンケート調査チーム打ち合わせ会:6/6(火)20:00~21:00(ZOOM)
◆アンケート調査チーム学習会:6/11(日)15:00~17:00(仙台市サポートセンター)講師:しゅんしゅん(社会調査士)
◆打ち合わせ会議:2/26、3/5、3/19、6/11(仙台市サポートセンター)
4/9(エルパーク仙台)
5/17、6/1、6/4、6/6(ZOOM会議)
◆今後の事業予定 :
◆相談会(2023年4月から2024年12月まで実施)
① 1ヵ月に1回 第4土曜日の13:00~18:00で開催
仙台市の事業「にじのひろば」と併設で実施
② 2ヵ月に1回 奇数月第2月曜日17:30~20:30で開催
◆相談会(2023年4月から2024年12月まで実施)
① 1ヵ月に1回第4土曜日の13:00~18:00、相談員2名体制で開催
仙台市の事業「にじのひろば」と併設で実施
有償相談員2名体制で開催。
② 2ヵ月に1回奇数月第2月曜日17:30~20:30
有償相談員2名体制で開催。
※ 助成金申請当初は、① の相談会のみの計画でしたが、2022年7月より実施していた相談会への要望もあり、② の時間帯の開催を増やしました。
◆セーフスペースにじいろみやぎ(2023年4月~2024年12月まで実施)
2ヵ月に1回偶数月第2土曜日13:00~18:00で開催。
有償コーディネーター2名体制で開催だが、レンタルスペースの部屋の対応人数を超える申し込みがあった場合には、有償コーディネーターをもう1名増やして対応したい。費用の方は、消耗品、会場費の予算を調整し捻出したい。
◆アンケート調査勉強会・アンケート作成(2023年6月~10月)
◆アンケート調査(2023年10月~11月実施予定)
・就職活動とジェンダー・セクシュアリティに関するアンケート調査
・キャリア支援のジェンダー・セクシュアリティに関するアンケート調査
◆ネットワーク構築講演会・相談会…2023年9月子育て支援団体との連携講演会開催予定 (2024年12月までに以後2回の開催予定)
◆会議(1回/月 2024年12月まで)
◆交流会(4回 2023年4月~2024年12月)
◆ジェンダー医療に関する情報交換、連携構築
◆県外相談施設・パレードの視察、他団体との連携構築
◆学習会の開催
◆助成事業の目的と照らし合わせ 効果・課題と展望:
【Ⅰ】次の5つの評価軸それぞれについて、当事業において当てはまる具体的事例を挙げた。あるいは、当てはまる事が現時点では無い場合、その点を今後の課題として具体的にどのように考えるかを記載。
とくに、助成申請書の3-5で5つの評価軸について記載した「課題と考えることとそれへの対策」に関連させて、どのように変化したのかも記載。
(1)当事者主体の徹底した確保
相談・セーフスペース事業には、当事者にも相談員・スタッフとして関わっていただいている。当事者の視点が入り相談・セーフスペースがどんな場所であるとよいのか、どんな情報を提供するのかをともに考えている。
相談者の中には、これまで同じような思いの人と出会わず、来て同じ当事者の話を聞きたいという方がいらっしゃる。支援者としての当事者は、自分の経験が何かの役に立てばと思うが、あくまで自分の経験が押し付けにならないようにしたいという思いがある。
相談会では、2名の相談員で当たることにしており、このような場合アライとしての相談員が調整役になり、今の話は〇〇さんの事例だけど、〇〇さんはどうしたい?と投げかける役割になり、一緒に相談者の抱える問題を解決する仲間であるという立場をとるよう意識するようにしている。
(2)法制度・社会変革への機動力
これまでの相談から伺えるのは、相談者が抱える相談項目は多岐にわたり、セクシャリティの問題だけではないということが見えてきている。
セクシャリティへの偏見、差別が生み出され、法制度が整っていないことによる、生活の困難・困窮を招いていることを、今後実施する調査等であきらかにし、今後の企画を通して一人一人の人権が守られると言うことはどういうことか一般市民と考え、行政に訴えていきたい。
(3)社会における認知度の向上力
相談会・セーフスペースの広報は、SNSでの情報配信を定期的に実施すると共に、ホームページにアクセスできるミニカードをつくり、公共施設、学校、店舗などにおいていただけるようにした。
相談会・セーフスペースの様子などは、個人情報に注意しながらも、今後開催を予定している当団体の企画を利用して紹介する場をつくりたい。そして、マイノリティが抱えている「生きづらさ」は、マジョリティ側にいる人間が感じている「生きづらさ」とつながっていることを考えてもらえるようにし、地域社会からの理解を得られるようにしたい。
(4)ステークホルダーとの関係構築力(相反する立場をとる利害関係者との関係性を良好に築いたり保持したりする力)
現在、交渉中であるが、子育て支援をしている団体と共催で「ネットワーク構築講演会」の第1弾企画を考えている。
講師に、同性カップルで3人の子育てをし、現在同性婚訴訟を戦っている小野春さんを招聘。
小野春さんの「子育て・家族」についてお話をお聞きし、同性婚が日本で認められていないことは、「家族」にとって何が問題なのかを学ぶ機会と考えている。交渉している団体は、仙台で「にじーず」の開催に協力しており、「にじーず」に参加する若者たち、関わる職員にお話を聞いてもらい、子育て支援の現場で働く方々、子育てに奮闘するお母さん、お父さんたちに参加していただけるような講演会にしたい。
そして、セクシャルマイノリティカップルも、子育てに悩んだ時、困った時、躊躇せず子育て支援施設を利用できるようなつながりをつくりたいと考えている。
(5)持続力
相談会を継続するために相談員・セーフスペースコーディネーターを新たに5名増員した。
持続していくための資金面での支援の構築がまだできていないが、今後当団体が企画している講演会・プライドパレード等の活動を通して、活動内容を理解してもらい、支援者を増やす工夫をしていきたいと考えている。
【Ⅱ】Ⅰの評価軸はいずれも、強化するには連携力が潜在的に重要であり、その一助として次の項目を考える。
(1)当事業が取り組む社会的課題の根底にある社会的要因/背景(根本課題)は何だと考えるか。
マジョリティが優先の社会から生まれる差別、偏見、就労の困難、貧困
(2)その根本課題の解決にどのように貢献できそうだと考えるか。
性的マイノリティが安全安心した空間で、直面している困難・不安について話せる場を提供し、問題を共に整理して社会資源へつなぎ、エンパワーメントすることができる。
(3)そのような貢献にむけて、どのような活動との協力/連携が有効だと考えるか。
生活の基盤を築く就労の場においてLGBT/SOGIの理解者を増やし、性的マイノリティが就労しやすい職場環境を共に考えるアライを増やす。
事業を通して聞いた当事者の声をまとめ、生活の困難・困窮がおきたときに躊躇せずSOSが出せるよう、公的機関へ対応の改善を求めていく。 ■