ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第5回助成最終報告
NPO法人 わかもののまち 活動報告(2019年1月)
◆団体概要:
若者がひとりの市民として参画できる地域社会、わかもののまちの実現を目指し、静岡県内を中心に、若者の地域活動の支援や、わかもののまち実現に向けたロビイング活動などに取り組んでいる
◆助成事業名・事業概要:
「市民としての影響力を高める『日本版ローカル・ユースカウンシル』の開発と普及」
子ども・若者を「未熟な市民」から「若い市民」へと転換することを目的に、欧州を中心に広がるユースカウンシルの日本版を開発し、その理念と手法を記載し「わかもののまちのつくり方ハンドブック」を作成した。
◆事業計画
《2017年》
1月〜2月 検討会議に向けた準備
2月〜8月 検討会議の実施
8月〜10月 検討会議の成果物の取りまとめ作業(報告書作成)
11月〜12月 フォーラムの開催
※同時並行で弊法人では、2017年4月から静岡市、焼津市の2市で自治体と連携し、試行期間としてローカルユースカウンシルを設置し、運営を行う。
《2018年》
1月〜9月 各地域の実践
10月〜12月 実践の振り返りと検討会議の内容の見直し
※2018年には、ローカルユースカウンシルのコーディネーター研修などの実施も視野に入れる。
◆助成金額 : 100万円
◆助成事業期間 : 2017年1月~2018年12月
◆実施した事業と内容:
申請時と同様に、本事業では、大きく3つの活動に取り組んだ。
① 「わかもののまちのつくり方ハンドブック」の作成
若者の地域参加・社会参加に関わる実践者、研究者等で「日本版ローカル・ユースカウンシル検討会議」を組織し、日本版ローカル・ユースカウンシルの開発を行った。
その内容は、「わかもののまちのつくり方ハンドブック」としてまとめ、中学生や高校生世代の若者が、自らの力でまちをつくるための手助けとなることを目的とした。
② わかもののまちのつくり方フォーラムの開催
作成したハンドブックを普及することを目的に、全国3箇所(静岡、京都、東京)で「わかもののまちのつくり方フォーラム」を開催した。フォーラムの開催にあたり、ヨーテボリ市(スウェーデン)で実際にユースカウンシルの活動に関わるユースワーカー及び若者を招聘した。
また、国内で若者の社会参画の活動に携わる当事者にも登壇を依頼し、「わかもののまち」の実現のために何ができるか、何が必要かを対話から考えていった。
(写真上=ヨーテボリ市ユースカウンシル コーディネーター パウラさんの講演)
(写真上=わかもののまちのつくり方フォーラム パネルディスカッションの様子)
③ 関係地域でのユースカウンシルの実践
本プロジェクトで開発した日本版ローカル・ユースカウンシルの実践段階への移行へ踏み出した。現在は、当団体の活動フィールドである静岡市・焼津市での実施検討を行っている他、茨城県、京都市(京都)、堺市(大阪)、などでも、ユースカウンシルの実践もしくは発足に向けた動きがあり、連携しながら活動を進めている。
◆事業計画の達成度:
上記の①、②に関しては、計画より約半年の遅れが出た。しかし、当初の計画通り、ハンドブックの作成とフォーラムの開催を通し、ユースカウンシルの開発と普及は達成できた。③のユースカウンシルの実践は、計画より遅れてはいるが、ユースカウンシルの実体化の段階として、当団体の活動フィールドを中心に、全国の様々な地域と連携しながら、引き続き活動を続けていきたい。
◆助成事業の成果・助成の効果:
- 「わかもののまちのつくり方ハンドブック」が、いくつかの自治体の公的な会議において、若者の地域参加の参考文献として紹介された。
- 「わかもののまちのつくり方フォーラム」の参加者は、累計で約250名を超え、若い世代を含めて、関心を集めるプロジェクトとなった。
- ユースカウンシルプロジェクトをきっかけに、「茨城県ハイスクール議会」の全体アドバイスを行なったほか、東京都杉並区の中学校でハンドブックを使った授業の講師を担当した。
- 2018年に「ユースカウンシル京都設立準備会」が発足され、ハンドブックを用いて、ユースカウンシルの概要についての話題提供を依頼された。
- 2018年12月には、内閣府青少年問題調査研究会から依頼を受け、ユースカウンシルプロジェクトについて紹介を行なった。
- 堺市(大阪)、の若者参加事業に関する相談を受けた。
- 静岡市、富士市、浜松市、名古屋市の中部地域で、若者の社会参画に取り組む若者団体のネットワークが構築できた。
◆助成事業の成果をふまえた今後の展望:
当初の一番の目標であった「わかもののまちのつくり方ハンドブック」の作成を通して、我が国の若者の社会参画が抱える課題について改めて整理することができた。このハンドブックをもとに、各地域での若者参加を実体化していくことが第1に取り組んでいく活動である。
ありがたいことに、ユースカウンシルプロジェクトから派生し、いくつかの自治体でユースカウンシルの活動が始まろうとしている。こうした自治体とも連携をしながら、全国に波及する活動を目指したい。
また、今回のハンドブックだけでは、扱いきれなかった内容もあることから、さらに若者参加を広げていくために、ハンドブック第2弾の作成も視野に入れていきたい。