ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)第4回助成事業最終報告
NPO法人 僕らの一歩が日本を変える。 活動報告(2017年3月)
◆団体概要:
「若者と政治に新しい出会いを届ける。」をミッションに、若者と政治が触れ合う機会と場作りを行っている。16歳〜22歳の若者で運営されるNPO法人。若者の政治関心低下による社会の衰退という問題に対して、全国の中学高校での主権者・政治教育の「票育」事業や、高校生と国会議員をつなぎ、社会問題などを徹底議論する「高校生100人×国会議員」を主な活動としている。
◆助成事業名:『若者と政治に新しい出会いを届ける「票育」授業プログラム』
《課題を発見する力》と《課題解決の選択肢を見出す力》の2つを学べる授業プログラム「票育」を全国の中学高校で展開する。
◆事業計画 :
票育授業プログラムを中高生に届けることのできる、地域の担い手を育むプログラムを作成し、全国の自治体に普及。
◆助成金額 : 100万円
◆助成事業期間 : 2016年1月~2017年1月
◆実施した事業と内容:
今年度は3つの地方自治体と業務提携を結び、「票育」を活用した若者の地域参加や政治関心の向上など、ニーズに合わせた事業を実施した。
①岐阜県美濃加茂市との業務連携事業について
2016年5月に市と業務提携を結び、記者会見を実施。票育の実施と若者の政治参加のための協議が始まる。 その後、25歳以下の若者が行政の機関として内側から政治に参加できる仕組みとして「若者委員会」を設立することが決定。2017年3月現在、委員会は発足し、票育の実施を6月に控えている。
②宮崎県日南市と日南学園との3者業務提携事業について
市長の任命を受けた日南市1期票育CREWが発足し、弊法人は日南学園にプログラムを提供した。 彼ら1期票育CREW は、地域活動を2ヶ月行い、学習成果として6月15日に同じ高校の生徒に票育授業を届けた。市内のメディアが動向を取材し、発信。この票育プロジェクトは、日南学園プロジェクト学習における表彰式で最高の評価に当たる市長賞を受賞した。
③長崎県大村市との業務提携事業について
大村市の「地域人材育成アドバイザー」に就任した。市全体の若者を対象に、票育が人材育成事業として事業化。 1000人を対象とした票育授業を大村工業高校にて実施した。大村市における主権者教育発足式にて票育について講演。 その後、大村城南高校の生徒30名が票育CREWとして任命され、彼らに研修を実施。弊法人の政治ボードゲーム教材「CANVASS」の大村版を作成及び授業での活用をゴールに据え、11月に授業実施を達成。来年度の事業実施が決定している。
④政治ボードゲーム教材「CANVASS」について
政治をより楽しみながら学べる教材として「CANVASS」というボードゲームを製作した。中高生が国会議員となってゲームに臨むゲームであり、議員として、「演説」「政策」「イベント」という3つのアクションから1つを選んで、「人気」と「実績」を集めて競う。政治家がどんな人とどんな仕事をしていて、政治が自分たちの周りにどんな影響を及ぼしているのか、そんな政治のリアルを政治家の視点から楽しく学ぶことができるボードゲームだ。
半年間で高校、大学、大学院、その他日本政策学校など様々な年代を対象に20回程度実施。
⑤弊法人が担い手となる票育授業の実施について
今年1月から計20校、4098名に票育授業を届けた。 主に18歳選挙権が適用された高校3年生の世代が多く、教員、生徒ともに高い満足度を記録。
⑥票育オフィシャルサイトの設立について
票育の入り口を広げることを目的とした。
作成した票育オフィシャルサイトはこちらから。
【票育CREWSHIP制度とは】 票育授業を中高生の教室に届けるのは、22歳以下の“地域の若者”。彼らは《票育CREW》として、自分の住む地域のフィールドワークやヒアリング研修を通じて得た学習成果を《票育授業》という形に変換して学校現場に届ける。この過程を通して、《票育CREW》が地域の担い手となり、地域に参画していく制度のことを指す。主に、この票育CREWSHIP制度を実施した。
⑦2016年度の総務省若者啓発企画にて登壇
総務省が主催した「選挙レコメン!文化祭」にて代表後藤が登壇し、18歳選挙権実現から見る社会参加について様々なゲストと議論を交わした。
また、弊法人は来場者300名が参加する今イベントにて「社会参加を促進する若者の組織」をコーディネートし、ブース運営を行った。
◆事業計画の達成度:
3つの自治体にて票育の担い手を輩出することができた。その担い手のめざましい活躍も各自治体の関係者や SNSを通して聞こえてくる。 この点で、事業計画に対してかなり高い達成度を実現できた。 また、当初の予定を超えて、岐阜県美濃加茂市では若者委員会が設立され、一歩先をゆく若者の政治参加の制度を設けることに成功した。
◆助成事業の成果・助成の効果:
【助成事業の効果】 ①岐阜県美濃加茂市 若者委員会が設立。25歳以下の9名の委員が誕生した。 ②宮崎県日南市 約10名の票育CREWが誕生し、同市内にて2度の票育授業の実施が実現した。 ③長崎県大村市 30名の票育CREWが誕生し、同市内にて2度の票育授業の実施が実現した。 大村市の魅力や課題をもとに政治のボードゲームが作成され、次年度以降の市での活用が決定。
【助成の効果】 事業における先行投資が可能となった。 特に政治のボードゲーム教材の作成や、業務委託費が業務終了後に振り込まれる今回の業務委託事業では、貴団体の助成なしには成立しなかった。
◆助成事業の成果をふまえた今後の展望:
1年間、地方自治体との連携による票育CREWSHIP制度の実施を行ってきて、票育CREWSHIP制度の発展した形こそが若者委員会であると痛感した。 美濃加茂市若者委員会を来年度以降も現実的かつ効果的に運営することで、政治参加の文化を根付かせていくことが次なる目標になると考えている。 また、他の自治体においても委員会の設立に向けて協議を続けていく方針である。
また、担い手を育まなくとも主権者教育が学校教育内で普及されるべきだと強く感じている。そのため、CANVASSという弊法人が開発したボードゲームの普及を実現する。