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監獄人権センター201301SJFアドカフェ写真
SJFと共催した市民と対話するアドボカシーカフェの様子(2013年1月)

団体名(所在地) : NPO法人監獄人権センター(東京都新宿区)

団体概要 :  日本の刑事施設の人権状況を国際水準に合わせることを目指して人権問題に関心を持った弁護士を中心に1995年結成。受刑者の支援および制度改善の政策提言活動を行っている。

助成事業名:  「刑務所出所者の社会復帰を促進するための包括的な政策提言基盤整備」

事業概要:   受刑経験者が社会復帰しやすい環境を実現するため、福祉団体、更生保護団体、ホームレス支援団体、生活保護申請支援団体等の市民団体の経験を共有する意見交換と、その政策提言基盤整備事業を行う。

助成金 :     23万8000円

事業期間 :  2012年10月~2013年9月

事業計画:  関連団体との意見交換と政策提言の基盤整備を兼ねたシンポジウムを2回開催する(12年12月;第1回シンポジウム、13年3月;第2回シンポジウム開催予定)。SJFと共催で市民と対話するアドボカシーカフェを開催(1月)。

実施状況:
(1) 第1回シンポジウムを下記の内容で2012年12月16日、青山学院大学会議室で開催した。
テーマ「受刑者の社会復帰を阻む高い壁~満期出所者を中心に~」
基調講演「満期出所者の社会復帰を阻む高い壁」
・久保田かおり(西日本新聞社会部記者)
・佐久間裕章(自立支援センターふるさとの会代表)
パネルディスカッション「満期出所者の支援をどのように作るか」
パネリスト:上記2名と海渡雄一(弁護士、監獄人権センター副代表)
100名近い参加者のなか、満期出所者の社会復帰における数々の問題点が掘り下げられ、受刑者支援団体と生活困窮者支援団体との連携が具体的事例を踏まえ議論された。

(2) 更生保護団体などとの連携・意見交換では、2013年2月1日、SJFとの共催でアドボカシーカフェ「受刑者の社会復帰支援の課題をさぐる」を開催し、ゲストに東京社会福祉士会司法福祉委員会委員長の松友了(社会福祉士、保護司)を招き、桑山亜矢(監獄人権センター理事)などとの対話を行った。

(3) 2回目のシンポジウムを下記の内容で2013年6月1日、青山学院大学教室で開催した。
テーマ「受刑者の社会復帰を阻む高い壁 Part2~仕事、住まい、そして……~」
パネリストからの報告「受刑者の社会復帰を阻む高い壁」
パネルディスカッション「社会復帰のために、仕事、住まい、そして…」
・小畑輝海(更生保護法人両全会理事長/元東京矯正管区長)
・宮澤進(独立型社会福祉士事務所NPO法人ほっとポット代表理事)
・田口真義(裁判員経験者、受刑者等の身元引受人)
・海渡雄一(進行役/監獄人権センター代表)
 100名を超える参加者のなか、受刑者の社会復帰に対して社会としてどのように向き合うべきか議論された。更生保護の専門団体、社会福祉士によるNPO、裁判員を経験した市民、受刑経験者の視点から、社会の中で元受刑者を受け入れるセイフティネットを強くしていくために必要なことについて活発な意見交換が行われた。

今後の予定 :   シンポジウム参加団体等との意見交換の機会を持ちたいと考えている。現場訪問等の参加型の手法により、より活発な意見交換をし、人権団体、福祉団体の垣根を越えて、刑務所出所者を取り巻く不寛容な社会保障政策のあり方の具体的改善を求める政策提言を将来的に行うための基盤となるネットワーク形成を促進したいと考えている。

助成事業の成果および助成の効果
両シンポジウムでは、来場者に、矯正関係、保護司等更生保護関係者のみならず、弁護士、若者支援、ホームレス支援、自殺防止活動、障がい者支援、学生、メディアなど多様な層からの参加があった。また、参加者からのアンケート回収率も60%以上となり、満足度も5点満点中4.7(第1回)、4.5(第2回)と、参加者の関心の高さが伺えた。
議論を通じて、福祉の現場での経験から、受刑者の社会復帰には、福祉の現場への資金の枯渇・偏り(人件費にはお金が付かない)、コーディネートは促進されるが、実際のニーズを受け入れる受け皿の不足、地域社会との関係性、人々の意識、社会の中で何気なく寄り添う存在(地域社会の良き隣人)の重要性等多様な課題があることが浮き彫りとなった。
シンポジウム開催を通じて、福祉の視点から受刑者の社会復帰の課題に光を当てることができ、人権分野以外から多様な参加者を得られたと考えている。参加者から任意でメールアドレスをアンケートに記入してもらうことで、受刑者の社会復帰に関心を持っている福祉分野等の方々と緩やかに繋がることができた。今後はこの繋がりを活用し、ネットワークをより強く、広く成長させたいと考えている。
受刑者の社会復帰を考える上で、刑務所問題を扱う団体として、監獄人権センターでは、刑務所内で受刑者が人間としての尊厳が適切に尊重されることが大前提となると考えている。さらに、社会復帰に向けた準備を受刑中から円滑に進めるためには、現在厳しく制限されている受刑者と一般社会との連絡(主に手紙による)を適切に確保する必要がある。社会復帰の促進が目的の場合は、特に柔軟な対応を矯正当局に求める等、政策提言の方向性を検討したいと考えている。

 

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