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目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 

1.【委員長のひとりごと】「アベノミクス」と地球温暖化という新たな「成長の限界」(上村英明)

2.SJFニュース】 

●「『民主主義をつくるお金』を出版、社会課題解決へ市民提案を支援」プロジェクト

READYFOR(レディーフォー)でクラウドファンディング中!

 

●『原発事故後の言葉と民主主義――リテラシー・ワークショップVol.3』(6/12

~背後にある情報の意味に気づく~                                       

影浦峡さん・はっぴーあいらんど☆ネットワーク・市民科学者国際会議      

SJFアドボカシーカフェ第37回)

 

教育の機会保障と多文化共生社会

――貧困の連鎖を断ちグローバル人材養成につながる改革とは』(7/6

鈴木さん×樋口直人さん     SJFアドボカシーカフェ第38回)

 

 ● 報告:生活保護、バッシングに抗して活用策を考える』(5/13

                                   

3.【ソーシャル・ジャスティス雑感】(轟木洋子)

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1.【委員長のひとりごと】「アベノミクス」と地球温暖化という新たな「成長の限界」

   (上村英明)

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2014年は、41日~916日、南半球のオーストラリア・メルボルンで研究休暇を過ごすことになった。以前にも書いた気がするが、出発前には日本の秋・冬、滞在中は南極に面したオーストラリア南部での秋・冬、そして帰国後は再び日本の秋・冬を経験した。その意味では、今年の春、目に眩しい新緑の若葉が芽生え、日に日に暖かいそよ風が吹く季節、さらに初夏への足音は2年ぶりで心地よい。

しかし、こうした心地よい季節もそう喜んでばかりはいられないようだ。430日青森県三戸町では最高気温が30.0度となり、青森県内で4月に真夏日を記録するのは観測史上初めてとなった。他方、430日~51日に鹿児島県では大雨となり、肝付町では、24時間に552ミリの降水量があった。同地域の51ヶ月の平均降水量は324.5ミリで、552ミリという量は1ヶ月分以上の雨が1日で降ったことになり、これも観測史上初めてとなった。また、57日に気象庁は、フィリピン東方で発生した強力な台風6号が沖縄に接近する可能性を発表した。5月に沖縄に台風が接近するのは、2011年以来4年ぶりで、こちらは観測史上2回目である。

こうした「観測史上初めて」などという表現は日本ばかりではない。同じく56日、米国の海洋大気局(NOAA)は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の大気中濃度が、400.83ppmを記録したと発表したが、この数値が400ppmを超えたのも観測史上初めてだそうだ。

地球温暖化に関する科学的調査の分野で、重要な役割を担っているのが、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって1988年に設置された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」である。各分野の専門家によって構成されるIPCCは、1990年に第一次評価報告書を作成以来、1995年に第二次、2001年に第三次、2007年に第四次評価報告(統合報告)書をまとめてきた。(因みに、2007年にはIPCCはこの貢献でノーベル平和賞を受賞している。)

2007年の第四次報告書は、地球温暖化は「疑う余地がない」と結論した上で、「確信度が高い」と表現する確実な現象として、永久凍土地帯の地盤の不安定化、北極及び南極の生態系の変化、春季現象の早期化、植物種及び動物種の生息範囲の極方向・高標高方向への移動などを指摘し、大気中の濃度ばかりでなく、二酸化炭素が海水に溶け込むことで起こる「海洋酸性化」にも警鐘を鳴らしている。そして、最新の第5次報告書は、201410月にコペンハーゲンで開催されたIPCC40回総会で公表され、日本政府は、2015年のこの夏に報告書に対する政府の対応をまとめた「適応計画」を発表すべく、環境省と気象庁の下で準備作業を行っていると聞く。

さて、「アベノミクス」というグローバルな競争原理の導入による経済成長路線を取る中で、「成長の限界」を示す新たなIPCC報告書を日本政府はどの点に注目し、どう評価するのであろうか。また、経済成長神話転換の絶好の機会であった3.11の教訓を学びきれていない日本社会とその市民はさらにこの作業をどう受け入れるのだろうか。この夏にはこうした課題が問われることだろう。

そういえば、NHK57日の報道には次のものもあった。国立感染症研究所からの情報として、今年はすでに、昨年同時期(419日)の1.5倍に当たる71人が海外からの帰国後デング熱を発症しており、この5月~10月はこの感染症の拡大が国内で懸念されることから各自治体に対策を呼び掛けている。日本のメディアは、航空機による移動の拡大などを主要な要因に上げるが、IPCC報告書は地球温暖化の影響として、「感染症媒介動物」の拡散にも言及している。残念なことだが、日本の素敵な春や初夏はすでに「幻想」となっているのかもしれない。

 

 

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2.SJFニュース

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「『民主主義をつくるお金』を出版、社会課題解決へ市民提案を支援」プロジェクト、

READYFOR(レディーフォー)の「人権・平和特集」にてクラウドファンディング中!

期間限定。ぜひ支援に参加ください!

 

クラウドファンディングとはネット上で少額ですが資金を集める事を言い、募集期間内に目標金額を達成しなければ、支援が集まっていても0円になってしまいます。

社会を変えたいと思いながらも、具体的にどうすればよいのか分からず、一歩が踏み出せないでいる方々に、あなたもできる社会提案・社会対話、実践の参考事例集としてこの本を届けたい。

 

社会のために、自分も何かできないかと模索されている方々に、民主主義をつくる新しいお金の流れに参加できることをお伝えしたい。

 

当事者が少数派のために見逃されがちだが、大切な社会的課題を解決するために。

多様な市民が共有できる政策や制度を、市民自ら提案する活動を支援するために。

★詳細 https://readyfor.jp/projects/socialjustice

 

 

●『原発事故後の言葉と民主主義/リテラシー・ワークショップVol.3』★参加者募集★

 SJFアドボカシーカフェ第37回)

【講師・モデレーター】 影浦峡さん(東京大学大学院教育学研究科教授)

【共催】 はっぴーあいらんど☆ネットワーク、市民科学者国際会議

【日時】 612日(金)18:00-21:00(受付開始1745)※開始時刻にご注意ください。

【会場】 新宿区・若松地域センター 2階 第1集会室

 

風評被害、風評払拭、放射能「安全」、復興目途、因果関係認めず、などの言葉が蔓延しています。これらは、本当に必要な情報を伝えているでしょうか。原発事故直後から、そして時が経つにつれ、伝えられる言葉の崩壊はますます深刻化しています。専門知識がないから理解できそうにないと情報の意味を考えず、一部の専門家のみに決定と責任をあずける姿勢がこの現状を後押ししています。知識の有無にかかわらず、言葉をシンプルにひも解くことで、背後にある情報の意味に気づき、自ら判断し、行動の選択につなげていく、リテラシー・ワークショップを開催します。生まれながらにして誰もが持つ、言葉と認識、またその権利を見つめ直します。講師・モデレーターの影浦峡さんとともに、ひとりひとりが情報に適切に反応し、開かれた社会づくりにかかわっていくことを始めませんか?

★詳細・申込 http://socialjustice.jp/p/20150612/

 

 

教育の機会保障と多文化共生社会

――貧困の連鎖を断ちグローバル人材養成につながる改革とは』★参加者募集★

    SJFアドボカシーカフェ第38回)

【登壇】 鈴木寛さん文部科学省補佐官/東大・慶大教授[クロス・アポイントメント]

  樋口直人さん(移住労働者と連帯する全国ネットワーク・貧困PJ/徳島大学准教授)

【日時】 76日(月)18:30-21:00(受付開始1800

【会場】 文京シビックセンター 4階 シルバーホール

 

生まれや環境により教育の機会を奪われたまま就職困難となった親世代の経済的不安定さは、子ども世代への貧困の連鎖を生んでいます。このなかで、国籍による高校や大学への進学格差を積極的に是正し、貧困の連鎖を断ち切ろうと「大学・高校進学における外国人特別枠の設置・拡充」にむけた政策提言に「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)が取り組んでいます。外国にルーツをもつ子どもたちを大学教育の場に受け入れることは、将来のグローバル人材、グローバルな見識をもちながら日本の地域社会で能力を発揮する人材の発掘にもつながると入試改革を要請しています。

すべての子どもの学習権を保障できるよう、多様な教育機会の法的保障にむけた動きとともに、国籍による進学格差や、外国人学校が学校教育制度から外され公的助成を十分に得られていない現状をどのように改善していけばよいのでしょうか。すべての子どもたちが潜在能力を十分に発揮できるような機会を保障するには、どのような施策を行っていけばよいのでしょうか。ゲストのお話をもとに、みなさんと一緒に考え対話できればと思います。

★詳細・申込 http://socialjustice.jp/p/20150706

 

 

 

●報告:『生活保護、バッシングに抗して活用策を考える

 

     尾藤廣喜さん×寺中誠さん 

 

5/13、文京シビックセンター、SJFアドボカシーカフェ第36回)

 

尾藤廣喜さん(弁護士/生活保護問題対策全国会議代表幹事)は厚生省に3年間勤務し、そのうち1年半生活保護を運用していた経験があり、厚生省が制度を設計した時にどのようなことを考えていたのかを踏まえてお話しされました。…

生活保護法の原理には、この立法に関与した当時の厚生省・小山進次郎課長らの考えが色濃く出ていると、小山さんの薫陶を入省当初受けられた尾藤さんは話されました。同法の1条には「生存権保障の原理」が規定され、自立の助長も含まれますが、その趣旨は、自分が主体として生きていくために生活保護制度を利用してほしいということであり、権利性の確立を示すものです。同2条の「無差別平等の原理」の定めにより、受給申請を追い返す理由に使われている“若いから働ける”や“住民票がない”等は本来、生活保護の利用要件ではないことが明らかにされています。同3条の「最低生活保障の原理」は給付内容が最低の生活を保障するものでなければならないことを定めており、先になされた老齢加算と母子加算の削減はこれを無視するものです。同4条の「保護の捕足性の原理」は、収入や年金があった場合でも、最低生活費より世帯収入が低ければその差額が生活保護費として支給されることを意味しており、稼働能力の活用を過度に強調したり自動車や学資保険の保有を問題視したりすることは、この原理の濫用であるといえます。また、不服申立制度の確立も同法に定められていますが、十分な機能を果たしておりません。…

寺中誠さん(東京経済大学他講師)からは、憲法25条の生存権に基礎を置く生活保護制度は、形式的平等(equality)ではなく実質的平等(equity)を求めているという視点からお話されました。すべての人は、社会的・身体的・心理的など様々な条件により、同一の標準的な人間モデルにあてはまることはありません。にもかかわらず同一の社会保障を与える形式的な平等原則には、上から福祉を施すというパターナリズム、同一の標準モデルを押し付けるという抑圧的な性格があります。これに対し、ひとりひとりの異なる必要に応じる社会保障は、保障の形や量はそれぞれで異なりますが、実質的には平等に必要性を充たします。この実質的平等には、クオーター制やアファーマティブ・アクションなどにより、マイノリティをマジョリティ以上に支援するという意図的な調整が含まれます。まさに不平等によって、平等を実現するというやり方です。…

生活保護バッシングは、社会保障の根幹をなす生活保護制度を、形式的平等の論理に持ち込み、実質的平等を実現しようとする流れを攻撃している由々しきものだとの見方を寺中さんは示しました。…

★詳細 http://socialjustice.jp/p/report20150513/ 

 

 

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3.【ソーシャル・ジャスティス雑感】 (轟木洋子)

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今年のGWは海外出張ですべてつぶれてしまった。しかし、旅先では仕事以外にも様々な人との出会いがあり、それは楽しみなことでもある。米国アトランタで晩ご飯のためにふらっと入ったレストランでのこと。満面の笑顔のアジア系青年がエプロンをかけてテーブルに寄ってきた。

「僕はNPOのボランティアなんだけど、今日僕がこのお店で給仕をすると、その25%NPOに寄付されるんだ。だから、どうぞよろしく!」

私も日本のNPOの職員だと話すと、抱きついて喜んでくれた。ウェイターとしての仕事はいかにも不慣れで、お店のベテランに教わりながらなんとか、という感じだったが、笑顔がステキな青年だった。彼は、3歳頃に両親といっしょに韓国から米国に移住したのだという。「韓国に帰ったことは?」と聞くと、「帰れない」という。彼の両親は英語ができないせいもあり、グリーンカードの知識もなく、そのまま20年近く米国で過ごしてきたのだという。つまり、不法滞在だったらしい。そのため彼も、韓国籍はあるが、米国籍はない。それを彼が知ったのは、大学に入学する時だったという。そのためいったん出国すると再入国できない可能性が高く、そもそも韓国に戻ると自分は兵役に就かなければならなくなり、それは絶対に避けたいのだという。

今は、NPOの力を借りながら、両親はなんとかグリーンカードを取ろうとしているところだという。およそ20年前、英語ができないにも関わらず、小さな子どもを連れて米国に渡った両親の決意とはどんなものだったろう。そして、苦労しながらも、こんなステキな青年を育ててきた両親に会いたくなった。私の食事の25%が、彼が応援するNPOの寄付になるならと、ワインを余計にもう一杯注文した。

 

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今月号の執筆者プロフィール

  • 村 英明 [市民外交センター代表/SJF運営委員長; NGO市民外交センターの代表として、先住民族の人権問題に取り組み、この関連で国連改革や生物多様性などの環境保全、核問題など平和への取り組みを実践するとともに、グローバルな市民の連帯に携わってきました。SJFでは、平和、人権、エネルギー、教育など多くの分野で新たに現れている21世紀の課題を解決するため、市民による民主主義実現のための政策や制度づくりを支援している。恵泉女学園大学教授。]
  • 轟木洋子 [(公財)ジョン万次郎ホイットフィールド記念国際草の根交流センター事務局長; 民間企業を経て、アムネスティ・インターナショナル日本支部のキャンペーン・オフィサー、日本フォスター・プラン協会の広報室長を担当後に、米国の大学へ留学。帰国し「シーズ=市民活動を支える制度をつくる会」プログラム・ディレクターとして支援税制の成立・改正運動等に関わり、その後現職。]++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

★SJFでは、助成事業や対話事業を応援してくださるサポーターやご寄付を募っております。認定NPO法人への寄付として税金の優遇制度をご利用いただけます。詳細は http://socialjustice.jp/p/shien/ ★

認定NPO法人まちぽっとソーシャル・ジャスティス基金(SJF)

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『民主主義をつくるお金』プロジェクト、

READYFOR(レディーフォー)で期間限定クラウドファンディング中!

https://readyfor.jp/projects/socialjustice 

ぜひ支援に参加ください。

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160-0021 新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル5F 

Tel: 03-5941-7948     FAX: 03-3200-9250

URL: http://socialjustice.jp/ 

Twitter: https://twitter.com/socialjusticef

Facebook: https://www.facebook.com/socialjusticefundjp

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++  転 送 大 歓 迎 +++++++++

 

 

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